
コアな熱量が、アニメをきっかけに拡大。デジタルとリアルが交差する稀なコンテンツ『アサルトリリィ』の歴史を、小林プロデューサー、栄プロデューサーが語る
アクションドールから始まり、小説、舞台、TVアニメ『アサルトリリィ BOUQUET』、そしてアプリゲーム『アサルトリリィ Last Bullet(ラスバレ)』と、多岐にわたるメディアミックスでファンを魅了し続ける『アサルトリリィ』プロジェクト。2026年1月には『ラスバレ』が5周年を迎え、さらなる盛り上がりを見せています。
今回は、本プロジェクトの主幹事を務める株式会社WFS(ポケラボ)のプロデューサー・小林氏と栄氏にインタビューを敢行。これまでの『アサルトリリィ』の歩みや最大の転換点など、プロジェクトの裏側についてたっぷりと語っていただきました。
アニメ、舞台、ゲーム……多面的に広がる『アサルトリリィ』の成り立ち
──『アサルトリリィ』は非常に歴史のあるコンテンツですが、プロジェクト自体はどのような経緯で立ち上がり、おふたりはどのタイミングで参加されたのでしょうか?
小林:TBSさんがアニメ化の企画を立ち上げた時期になります。新しいアニメ企画を模索する中で、すでにドールや小説で展開されていた『アサルトリリィ』に着目し、TBSのプロデューサーが原作者の尾花沢軒栄先生にコンタクトを取ったのが始まりです。
TBSさんには「アニメに注力しつつ、大々的なメディアミックスとして展開したい」という構想がありました。そこで、メディアミックス展開に長けたブシロードさんと、アニメ制作で名高いシャフトさんにお声がけしたことで、まずはプロジェクトの土台が整いました。
──その土台ができたところに、小林さんが当時所属されていた株式会社ポケラボ(※現在はWFSに統合)が合流していますが、どのような繋がりだったのでしょうか?
小林:当時、弊社はグリーグループ内で「ポケラボ」というゲームブランドとしてゲーム開発などを行っており、ブシロードさんとゲームの開発・運営をご一緒する関係性にありました。今回のプロジェクトも最初からゲーム展開を視野に入れていたため、ブシロードさん経由でお声がけをいただき、製作委員会の各社が揃ったタイミングで私も参画することになりました。それが2018年頃の話ですね。
──初めて『アサルトリリィ』という作品に触れた際、プロデューサーとしてどのような可能性を感じましたか?
小林:弊社はゲームが本業ですので、本プロジェクトでもメディアミックス展開に合わせたゲーム領域を担わせていただくことになりました。そのため、最初は「ゲームとしてどう展開できるか」という視点で見ていたのですが、ゲームはもちろん、アニメやメディアミックス作品としても、非常に魅力的な要素を兼ね備えているなと感じましたね。
──具体的にはどのような部分に魅力を感じたのでしょうか?
小林:尾花沢先生(『アサルトリリィ』原作者・尾花沢軒栄)が長年かけて練り上げられた、深みのある世界観が根底にある点です。さらに、その世界には数多くのキャラクターが登場します。この「たくさんのキャラクターが織りなす群像劇を描ける」という点は、メディアミックスやゲームという媒体と非常に相性が良くて、コンテンツとしても仕掛けやすいんですね。実際、弊社が思い描いていたゲームとしての方向性と見事にマッチしていると、当時から感じていました。
また、『アサルトリリィ』プロジェクトの正式始動は2019年10月ですが、それ以前からアゾンインターナショナルさんのドール展開や、舞台『アサルトリリィ×私立ルドビコ女学院』の公演が行われていました。そのため、プロジェクト始動前から熱量の高いコアなファンの方々が多くいらっしゃったんです。メディアミックスを仕掛ける上で、バイラル(口コミ)の起点となる「熱だまり」のような土壌がすでに出来上がっていたのも、非常に可能性を感じるポイントでした。
──栄さんはいかがでしょうか?
栄:私は2020年10月から放送されたTVアニメの時期から、このプロジェクトに参加させていただいています。当時はプロデューサーではなく、プロモーション担当として携わっていました。
小林とは少し違う視点になりますが、私はキャラクター同士の深い関係性が『アサルトリリィ』の魅力だなと感じていました。TVアニメでも登場する『シュッツエンゲルの契り』のように上級生と下級生で契りを交わす制度もあれば、同級生どうしでの強い絆を感じられるシーンもあり、一人のキャラクターに対していくつもの関係性が描かれている部分にも作品としての深みがあると思います。また、命を懸けた過酷な戦いがある一方で、日常パートでは10代の女の子らしい等身大のシーンも描かれる。その対比にも心をグッと掴まれましたし、この世界観がすごく好きだったんです。
※編集部コメント:ラスバレコミカライズ版は ”大切な人と過ごす、かけがえのない日常”がコンセプトなので、関係性を楽しむのならこちらもオススメです!
>>アサルトリリィ Last Bullet しーくれっとがーでん
──現在はプロデューサーとしてシリーズ全体に携わられているそうですが、具体的にはどのような業務をされていますか?
栄:先ほどの小林からの話にもあったように、現在は弊社が製作委員会の主幹事と商品化窓口を務めさせていただいています。そのため、音楽ライブや朗読劇といったイベントの企画・監修をはじめ、楽曲制作やCD・Blu-rayなどのパッケージ展開、さらにグッズ展開やコラボカフェの企画、ゲームの監修など、シリーズ全体の様々な窓口を担当しております。
デジタルとリアルが交差する展開
──ここからは改めて『アサルトリリィ』という作品自体について伺わせてください。アクションドールから始まり、小説、舞台、アニメ、ゲームなど幅広く展開されていますが、根幹には「『ヒュージ』と呼ばれる謎の生命体の出現で破滅の危機に瀕した地球を舞台に、決戦兵器『CHARM(チャーム)』を扱う少女『リリィ』たちが戦う」という設定があるかと思います。
栄:はい、その世界観はすべての媒体で共通しています。
──ということは、初めて触れる方にとっては、どの媒体から見始めても楽しめるコンテンツになっているということでしょうか?
栄:そうですね。非常に間口の広いプロジェクトですので、基本の世界観さえ知っていただければ、どの媒体からでも楽しんでいただけます。登場するキャラクターもとても多いので、まずは直感的に「この子が可愛い!」とビジュアルから入っていただく形でも大歓迎です。
小林:そこがまさに『アサルトリリィ』の面白さであり、魅力のひとつでもありますね。それぞれの媒体が同じ時間軸で進行し、あちこちの地域で同時多発的に戦いが発生しているんです。そのため、例えば「舞台版で描かれた出来事の裏で、実はこんなことも起きていた」といったように、各媒体の出来事がリンクして、その後の展開の伏線になっていたりします。その発見や驚きが数珠つなぎになっていくことで、世界観にさらなる深みがもたらされる構成になっているんです。
もちろん作品単体でも十分に楽しめますが、全体像を追っていただくことで面白さが増すというのは、本作の大きな特徴ですね。
──キャラクターが多いからこそ、ドラマも膨らむのではないかと、いちファンとしては感じています。
小林:おっしゃる通りです。例えば、TVアニメ『アサルトリリィ BOUQUET』では、主人公の一柳梨璃が所属する「一柳隊」というレギオン(チーム)が結成される過程や、彼女たちを中心とした濃密な少女たちの物語を描きました。
一方で、定期的にシナリオを更新しているゲームでは、アニメに登場したキャラクターを更に深掘りしたり、アニメには登場しない別レギオンのキャラクターに焦点を当てたりしています。これは舞台などでも同様で、それぞれの媒体でキャラクターやレギオンの関係性をより深く描いているんです。
先ほど栄も言ったように、まずはビジュアルから入っていただき、そこから「このキャラクターをもっと知りたい!」と思ったときに、深く知るための入り口(媒体)がたくさん用意されているのが本プロジェクトの大きな強みです。
──確かに、アニメやゲームがリンクするコンテンツは多数ありますが、そこに舞台というリアルなコンテンツもリンクするのはなかなか珍しいことですね。
小林:そうですね。ゲームやアニメといったスマートフォンで手軽に触れられる「デジタル」なコンテンツと、どっぷりと世界観に浸れる舞台という「リアル」なコンテンツを、ここまで積極的に並行して展開している作品は珍しいのではないでしょうか。このデジタルとリアルの相乗効果によって、どんどん作品世界にのめり込んでいただけるようになっていますね。
栄:本当に、知れば知るほど深く掘り下げられる作品だと思います。
小林:そうですね。……と、ここまでアニメや舞台、ゲームのお話ばかりしてしまいましたが、『アサルトリリィ』においては「ライブ(音楽)」というコンテンツの重要性も非常に高いです。
プロジェクト初期の2020年1月に上演された舞台『アサルトリリィ League of Gardens』の頃から、一柳隊のキャストは後にアニメ主題歌にもなるテーマソング「Edel Lilie」を歌い続けてきました。これを皮切りに、作品の世界観や彼女たちの物語を表現した楽曲が次々と生まれ、現在では数多くの楽曲をリリースしています。
また、弊社が主幹事を引き継いでから開催した2023年7月のライブ『トウメイダイアリー 〜Next Page〜』以降、ライブの企画・監修をメインで担当しているのは栄です。セットリストやキャスティング、演出の根底にあるコンセプトまで、これまでのメディアミックス展開で描かれた物語の要素やキャラクターの魅力をぎゅっと凝縮して、音楽エンターテインメントの形に見事に落とし込んでくれています。
栄は非常にこだわりが強いので、「来てよかった」「また見たい」とファンの方々に思っていただけるライブを提供することに並々ならぬ注力をしています。ただ音楽を楽しむだけでなく、ライブというコンテンツの中にもしっかりと「作品性(物語)」を落とし込んでいる点は、『アサルトリリィ』のライブ展開における大きな特徴です。
──物語とリンクしたライブ体験となれば、会場に集まるファンの方々の熱量も凄まじいものになりそうですね。
小林:そうですね。弊社としても「ファンの方々に全力で向き合う」という姿勢をとても大切にしています。
少し遡りますが、『アサルトリリィ』プロジェクトは新型コロナウイルスが流行し始めたタイミングで始動しています。この頃、緊急事態宣言によって外出が制限され、エンターテインメントの興行自体にも厳しい制限がかかりました。「声を出してはいけない」「マスク着用」「1席ずつ空ける」といった状況です。私たち提供する側も歯がゆい思いでしたが、何よりファンの方々が「作品を全力で楽しみたいのに、制限があって楽しみきれない」というもどかしい時期がしばらく続きまして。
その後、ゲームがリリースされた頃から、座席を1席空けることでリアルイベントができるようになり、声出しがOKになり……と段階的に解禁が進みました。これによって「本当は感情を爆発させたいのに、静かに楽しまなければならなかった」というファンの方々の溜まっていた熱量が、リアルな場において一気に解放されていったのを感じました。
こうした時代背景と重なった巡り合わせもあり、『アサルトリリィ』のファンの方々は「リアルな場での体験」に対するニーズや熱量が非常に高いのだと思います。X(旧Twitter)などでの反響を拝見していても、そうした強い思いを私たちもひしひしと受け止めていますし、だからこそライブや舞台といった「リアルな場での展開」を、現在に至るまでずっと大切に提供し続けています。









































