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アニメ『上伊那ぼたん』寿美菜子×河瀬茉希対談【連載インタビュー第7回】

ジンランのまっすぐな言葉が、かなでの心に新しい風を吹かせる──TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』第7話を寿美菜子さん・河瀬茉希さんが振り返る【連載インタビュー第7回】

寿さんと河瀬さんが語る互いの芝居

──おふたりがしっかりとした掛け合いをされるのは本作が初めてとうかがっています。アフレコを経て、お互いの役、そしてお芝居の魅力はどのように感じられましたか?

河瀬:普段から本当に明るい方で、お話する時の声まで本当に弾んでいるんですよ。私はいつもほふく前進しながら歩いている感じなんですが(笑)、初対面のときから「よろしくね〜!」と言ってくださって。その明るさにみんなが安心するんです。

本作も素敵な座組になるんだろうなということは、第1話の収録を見学に行かせていただいたときからすごく感じていました。

寿:ありがとうございます! 嬉しい〜。

河瀬:その明るいご本人のお人柄と、かなでのお芝居はまた少し違っていて。

かなではシリアスになりすぎないけれど、本音を口にするときに少し無表情になる瞬間があると思うんです。そのときの声の落とし方も絶妙で、(声が)落ちすぎていないのに何かを感じさせるぼそっとした言い方なんです。重すぎないんですよね。

だからこそ いぶきに対しても、ぼたんに対しても嫌味にならない。「私のほうがずっと想っていたのに」という感情が、変に乗っからないんです。ただただ純粋な想いを乗せている感じがして……。聞いていて、そのさじ加減が本当にすごいなと感じています。

河瀬:第7話以降の話数でもふたりで掛け合う場面がありますが、横並びで喋っているのに、気づいたら本当に向かい合って話してくださっているかのような感覚がありました。ずっとリードしていただいているなと感じていて。

ジンランは独特なニュアンスがあるキャラクターなので「そのニュアンス感を大事にしながら喋らなきゃ」と考えるところもあるんです。でも美菜子さんが郡上先輩として来てくださるから、こちらもジンランとして自然に返せる。ナチュラルなキャッチボールがずっとできたなと感じています。本当に感謝しています。

寿:いやいや、本当にこちらこそ。『上伊那』はなんて良い現場なんだ〜!(笑)

前回インタビューしていただいたときにも少しお話ししたと思いますが、かなでがかなででいられるのは、本当にみんながそのままその役でいてくれるからなんです。私自身、大学生の役を演じることがとても久しぶりだったので、最初は「大学生か……!」という気持ちもあって。

20代半ばから後半くらいの役が多くなってきている中で、大学生を演じるということに少し緊張もありました。スタッフさんとのご飯会のときにも、音響監督の明田川仁さんから「大学生、いけるんだね!」みたいに言っていただいて(笑)。それは「ありがとうございます」だったんですけど、そこを気にせずにいられたのは、みんながすでにキャラクターとして大学生でいてくれたからだと思っています。

かなでは大学院生で、寮の中では少しだけお姉さんですが、大学生の輪にスッと入っていけた感覚がありました。きっとみんながお互いにそう思っていたんじゃないかなと思います。

それと、さっき重くないと言ってもらえたのも嬉しかったです。『上伊那』のオーディションを受けるときに、軽さがすごく大切な気がしていて。

河瀬:ほお!

寿:結果的に作品としての湿度が高くなる瞬間は多いのですが、だからこそ間(ま)やセリフに色々と込めすぎない感じが大事なのかなと。俯瞰して良いバランスになるように、と考えると、役としての重さはとにかく軽く、軽く。だから、そう言ってもらえて嬉しいです。

でもジンランが出てきてくれるまでは、かなでは常に相手の心をうかがっていたんですよね。いぶきやぼたんに対しても、ずっと探りながら接していて。

そんな状況で、懐にスッと入ってきてくれるジンランが現れた。茉希ちゃんの絶妙なお芝居や、ジンランの距離の詰め方のおかげで、かなでとしてはもう気付かざるを得ないというか……目がそっちに行くし、ドキッとするんです。

言葉の壁もあるジンランですが、どんどん馴染んでいって。だからこそ単語でぽんと言われたことに、すごくドキッとすることが多いんですよね。リップバームのシーンもそうですが、短い単語の中でドキッとさせられる瞬間がたくさんありました。

河瀬:(頷いて)そうですね。

寿:家で練習しているときは段取りも意識してはいますが、テストや本番で茉希ちゃんとアフレコをしていると、段取りなどをまったく気にしなくても自然と感情が動くんです。

誘ってくれるお芝居だったので安心して掛け合うことができました。(共演が)初めてとは思えないくらい。

───河瀬さんのソロインタビューでもお話いただきましたが「台湾出身のジンランが話す日本語」を演じる難しさ、楽しさがあったと思います。第7話では、そのあたりはいかがでしたか?

河瀬:ジンランが日本語ネイティブではないことに対するお芝居に関しては、難しさのベクトルが少し違うというか。「片言にしすぎないように」という意識がありました。

またジンランは成長速度がとにかく早くて、気が付けば日本人でも使わないような難しい言葉を使ったりするので(笑)。だから良い意味で「急に違和感がなくなっちゃったな」と思われないようにしたい。グラデーション感を大事にしたいと思っていました。

ネイティブではないけれど、片言すぎないようにする……そのバランス感ですね。でもジンランが「池!」とか「滝!」とか、単語をぽんぽん言うところは可愛いなと思っていて。そのように単語単語で喋るニュアンスは意識していました。

──本当に感情表現が豊かですよね。第6話の鍾乳洞のシーンも、まるでお化け屋敷に入ったかのような驚き方で。

河瀬:知らない土地、来たばかりの場所で急に暗いところに入れられたら、さすがに不安になっちゃうのかなという気がしますよね。自分が日本以外の国で急に薄暗いところに入ることを考えたら……。

寿:私自身もイギリスに少し留学していた時期があったので、そのときのことを思い出しながら見ていました。知らない場所で、誰かと仲良くなりたい気持ちはある。一方、同じ場所に住んでいるとはいえ、まだ気を遣う部分もある。でも仲良くなりたいという気持ちが大前提にあるから「断らないでおこう」「極力ついて行こう」と思ったのかな、とか。

河瀬:この鍾乳洞でのお出かけを経て「ジンランちゃんは、出かけるのが嫌なわけじゃないんだ」と思ってもらえたのも大きいのかなと思います。最初はいぶきたちも、ジンランのことをクールな子なのかなと思っていたところがあったと思うんです。でもそこから可愛い部分やちょっと怖がりな部分、比較的すぐに酔っぱらってしまうところも知ってもらえて。彼女にとって良いきっかけだったのかなと思います。

(C)塀(秋田書店)/上伊那ぼたん製作委員会
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