
“言葉にしなくても、わかる”。静かな時間のなかで見えてくるふたりの関係性──TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』第8話を天海由梨奈さん・富田美憂さんが振り返る【連載インタビュー第8回】
言葉にしすぎないからこそ伝わってくるもの
──そんなふたりの関係性も活きる第8話だったようにも感じられました。やえかとあかねも“同じテンションで盛り上がる”というよりも、少しバランスを取りながら成り立っているというか。
富田:たしかに。我々も同じテンションで行きすぎないところはあるかもしれないですね。天海ちゃんの雑談やボケに対して、紗弓ちゃんや吉能ちゃんは同じテンションで返すんですけど、私は結構「ほーん」って受け止める感じなので。
天海:そうそう、そうかも。
──第8話のやえかの素直さもかわいらしかったです。
富田:かわいいんですよ。あかねに対しては素直にわがままを言っても聞いてくれるだろうな、という安心感があるんだと思います。ディレクションとしては、とにかく自然な会話にしてほしい、というお話がありました。
天海:そうですね。日常会話のところは特に、本当に普段の会話のような感じでやってほしいと言われました。
──第8話は、あかねが空気を読む、行間の多い回でもありましたよね。まず、あかねが少し落ち込んでしまうエピソードが描かれていました。
天海:そうですね。アフレコのときに思ったのですが、第8話は原作と少し雰囲気が違うなと。あかねの悩む様子が、アニメではより描かれている印象があって、私もお芝居として深く悩んでいるニュアンスを入れたんです。そういったところに映像になったアニメ『上伊那ぼたん』の、おもしろさを感じました。日々変わっていく我々の心情と同じように、映像面でも変わっていくところが良いなって。
それとやえかがいい意味でズバズバと、あかねが隠そうとしているものを引き出してくれるんです。だからあかねはただ暗くなるだけではなくて、やえかの明るさや無遠慮さに、いつも救われているんだろうなと。収録して、完成したものを見て、改めて感じました。
──やえかが「大丈夫?」と聞かないところも印象的ですよね。一連のやえかの伝え方が、すごく大人な気の配り方といいますか。
富田:たしかに。なかなかできないですよね。
天海:普通は「大丈夫?」って聞いちゃいますよね。でもきっと、やえかの支え方はそっちじゃないんだなと思いました。それは原作と台本を照らし合わせながら見ても感じていて。
富田:対あかねだから、というのもありますよね。これが後輩たちに声をかける場面だったら、また違う聞き方をすると思うので。
──富田さんは、第8話のアフレコで印象に残っていることはありますか?
富田:第8話は行間が多い回でもあったので、セリフがない時間もあったんです。最初は「何かで埋めなきゃ」と思うところもあったんですけど、ディレクションで「セリフの尺や映像に合わせることを気にしすぎず、ふたりの間合いでやっていいですよ」と言っていただいて。なので、間(ま)を埋めなきゃ、映像に合わせなきゃ、と考えすぎずに収録できた記憶があります。
──決して情報量が少ないわけではなく、むしろ感じ取れるものがぎゅっと詰まっている印象もありました。天海さんはいかがでしたか? 難しいと感じたところなどはありますか?
天海:いやもう、全部が難しかったです(笑)。アニメ『上伊那ぼたん』の作風って、行間も多いですし、生っぽくもできるんですけど、生々しくしすぎると現実味を帯びすぎてしまうというか……。
お酒を片手に人生のいろいろを抱えながらも、どこか癒やされるような作品だなとも思っているんです。でも、あまりにもリアルに寄せすぎると、今まさに同じような悩みを抱えている人にとっては、生々しく、重くなりすぎてしまう可能性もあって。その塩梅がすごく難しいなと感じていました。ただ、やえかがすごく自然に、良い形で引き出してくれるんです。完成した映像を見ても、いろいろ考えさせられるけれど、ちゃんと楽しく見られる。そのバランスがいいなと思いました。
あと第8話は、あかねもやえかも自分の気持ちをしっかり言葉にする場面が多かったので、その感情の機微は大事に演じたいと思っていました。
富田:たしかに、第8話以前はほかのキャラクターを客観的に見ている時間のほうが長かったので、よりその雰囲気を感じていましたね。
──ぼたんたちのやりとりを、おふたりはどのような気持ちで見られていたのでしょう?
富田:ちょっと“きゅっ”となるシーンもありますけど、どこか気楽に見ている感覚もありました。「ひゅ~!」みたいな(笑)。
天海:そうそう(笑)。ぼたんたちと比較すると、やえかとあかねは最初からお互いの方を向いていますよね。
──確かに、最初からそうでしたね。
天海:もちろん他のキャラクターとも絡みはあるんですけど、基本的にはずっとお互いを見ている関係だったので、アフレコでも少し外から見て茶化すような空気もありました。ドキッとするセリフがあると「いいね、やってるね!」「ひゅ~!」って(笑)。































