
春アニメ『ガンバレ!中村くん!!』梅木葵監督インタビュー|中村くんだけから向いていた矢印が、最後は広瀬くんからもちょっと向くというのが、アニメの結末としてはいいんじゃないか
第12話・第13話は、物語を音楽にもリードしていただいたと感じています
──変化というお話がありましたが、プロデューサーのおふたりから、監督が全13話のなかでの中村くんの感情曲線を表にしていたというお話も聞きました。
梅木:書きましたね。この話数だと中村くんはこのくらいのテンションという早見表を作っていました。一貫性を保つという意味でも、みんなで共有できる資料を作っておいたのはよかったと思っています。
──片岡裕貴プロデューサーからは、「1クール通して見てもらうことを前提に作るという意識の高さを感じた」というお話もあがりました。
梅木:確かに、1クールで成立するような構成も意識して作ってはいました。ただ、「この話数はこういう話」という色をはっきりさせようとも思っていたんです。たとえば、「第4話は青木山麗子が出てきた回」とか。話数によってエピソードを思い出しやすくして、誰かと話をするときに振り返りやすい作りになれば、というのを意識していましたね。
──全13話を通じて、季節が一巡りするような構成になっているともお聞きしました。
梅木:原作でも色々な学校の行事が描かれていたので、それを取りこぼさないようにしつつ、季節が一巡りするような流れにしました。原作エピソードの順番の組み換えについては、シリーズ構成の蒼樹靖子さんがうまくやってくださったんです。第7話で肝試しのイベントがちょうど夏にきているとか、季節感を意識しやすくなっていて、衣装がどっから切り替わるとかも設定しやすくて助かりました。構成の妙です。
──音楽面についてもお聞かせください。本作はフィルムスコアリングで制作されたと思いますが、どうやって制作を進めていきましたか?
梅木:私はアニメシリーズの監督をするのが初めてだったので、劇伴のオーダーの仕方がぜんぜんわからなくて。だから、「どういう風に考えたらいいですか」と音響監督の岩浪(美和)さんに相談へ行ったんです。そのときに岩浪さんから「生音がいいよね」という話をいただいて。そこから色々と話を進めていくなかで、辻田絢菜さんはどうかという話があがったんです。辻田さんが今まで作ってこられた音楽を聞いたときは、すごくかわいい音がいっぱい入っている楽曲が多くて。私は音楽にそこまで詳しいわけではないのですが、様々な楽器で色々な表現をされているのが面白いなと思いました。
──そうして、辻田さんにお願いすることになった。
梅木:そうですね。フィルムスコアリングで「このシーンはこの曲」という風にたくさんの曲を作っていただいたので、本当に大変だったと思いますが、オーダーにしっかりと応えてくださって。こんなに作品に寄り添う音楽を作れるなんて、すご過ぎると感動しました。特に第12話・第13話は、物語を音楽にもリードしていただいたと感じています。物語終盤の音楽を収録するとき、スタジオへ見学に行ったのですが、最初からすごくよかったのに、演奏者の方が「もうちょっとこうした方が感情に寄り添っているっぽいかな」と自主リテイクされていて。そういった姿勢にもすごく感動しました。
この作品を人生の豊かな時間のひとつにしてもらえたら
──監督業とあわせて、脚本・キャラクターデザインも兼任されたことでのメリットは感じましたか?
梅木:実作業のなかでの話になりますが、第13話は自分がコンテも脚本も担当したので、コンテを作るなかでちょっとセリフを直したいなどがあったら、スピード感を持って変えることができました。小回りが利く場面が多かった気がします。でも、監督としてそれが正しかったかというと、そうでもないかなと。決して、褒められたことじゃないと思っています。もっとちゃんと人に伝えて、みんなとディスカッションして共有して作っていくというのが、監督なんじゃないかと、自己反省しています。
──監督にとって必要なのは、伝える力。
梅木:そうだと思います。今回みたいに自分も手を動かして作業をするとしても、シリーズの分量的に、どうしたって監督1人では絶対に作品を作れません。色々な人の力が合わさって、作品は完成するものだと思います。だからこそ、自分の頭のなかにあるものをどれだけ同じように見ていただけるのか、みなさんに自分の思っていることを伝えられるのかが監督を務めるうえで大切だと思っています。
──今回は色々なお話ありがとうございました。最後に、改めて監督が思う本作の推しポイントを教えてください。
梅木:第13話まで見たあとにもう一度第1話から戻って見てもらえたら、きっと違う感じ方ができる作品だと思います。今度はこのキャラクターの目線に注目しようとか、音楽を重点的に聞いてみようとか、色々な楽しみ方ができると思うので、みなさんの人生の豊かな時間のひとつにしてもらえたら嬉しいですね。
[文・M.TOKU]
作品情報
あらすじ
主人公・中村男久斗はどこにでもいる内気な男子高校生。
友人ゼロの彼の前に現れたのは、クラスメイトの広瀬愛貴。
何だこの気持ちは…!?
まだ会話もしたことがないのに、広瀬をみると毎日ドキドキがとまらない…!!
内気な男子高校生・中村くんの広瀬への“片想いをめぐる妄想と暴走”をどこか懐かしい80~90'sタッチでコミカルに表現し、高い人気を博す、春泥による王道BLラブコメディ「ガンバレ!中村くん!!」のTVアニメーション化が決定!
キャスト
(C)Nakamura-kun!! Animation Project















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