
過去を懐かしむ余裕は、まだない。『アフタヌーン40周年展』を前に、山口つばささん×金井暁編集長が語る40年と『ブルーピリオド』誕生秘話【インタビュー】
過去の作品と現在の作品が、新たに出会う場所
──今後の物語はもちろん、『アフタヌーン40周年展』で展開される『ブルーピリオド』の展示も楽しみです。金井編集長から、あらためて本展の魅力や見どころを教えてください。
金井:ようやく(2026年6月に開催された)『寄生獣展』の展示を見に行けたんです。僕が『寄生獣』を読んでいたのは大学生の頃で、会社に入った翌年くらいに連載が完結しました。展示を見ていると、その頃の自分のことが、まざまざと思い起こされるんですよね。
今回の展示を訪れる方も、それぞれ作品を読んでいた時期は違うと思います。けれど、作品に触れることで、当時の自分の気分をもう一度味わえるというか。ある種、同窓会のような感覚になるのではないでしょうか。同時に40年間ずっと『アフタヌーン』を読み続けてくださっている稀有な方もいると思いますが、ほとんどの方はそうではないはずです。
今の読者の方にとっては「昔、こんな作品があったんだ」という新たな出会いになりますし、、かつて読んでくださっていた方にとっては、「今の『アフタヌーン』では、こんな作品をやっているんだ」と知るきっかけになるのではないかなと。過去と現在、それぞれの作品と新たに出会う場所になればいいなと思っています。
──現在『スキップとローファー』の展覧会も開催されていますね。
山口:私も『スキップとローファー展』へ行かせてもらったのですが、高松美咲さんが展示に寄せられていたコメントを拝見して、「こんな思いを込めて描かれていたんだ」と。作品の見え方が広がったように感じました。
──山口さんが『アフタヌーン40周年展』で楽しみにされている展示や企画はありますか?
山口:普段はなかなかグッズにならない作品のグッズが、たくさん出ることがすごく楽しみです。本当に個人的な話をすると、『宝石の国』のグッズがあるのがうれしくて。しかも描き下ろしなんですよね。「これはうれしい!」と思いました。
金井:市川春子さんがご自身で手がけてくださったんです。
山口:あまりそういったことをされない印象もあったので、驚きました。超楽しみです。
金井:僕もです。今回はご自身で描き下ろし、監修までしていただけたことが本当にありがたかったですね。
──あっという間にお時間となってしまいました。最後に、今後『アフタヌーン』として挑戦していきたいことを教えてください。
金井:挑戦したいことですか……。いやあ、僕は、あまり野望や野心、目標のようなものを持っていないんですよね。
すごく個人的な話をすると、僕は水木しげるさんが200歳くらいまで生きるものだと思っていたんです。だから、いつかご一緒に仕事をする機会もあるだろうと勝手に考えていたのですが、それがかなわなくなってしまったことが、ものすごくショックで。それもあって、今は、いしいひさいちさんに一度、お仕事をさせていただきたいなと思っています。
──いしいひさいちさんの作品がお好きなのですね。
金井:特に『ののちゃん』が大好きなんです。実は、娘の名前も作品から付けました。うちの娘は今15歳ですが、名前を決めたときのことは今でもよく覚えています。ある夏の日に会社から帰ったら、妻から「娘の名前が決まったから」と言われたんです。「考えた、じゃなく、決まったの?」と聞いたら、「そう。のの子。いいでしょ。あなたも好きでしょ」と。
少し珍しい名前でもあるので、「生まれてきた子が“のの子”という顔ではなかったら、もう一度考えよう」と話していたのですが、帝王切開で生まれ、手術室の外で待っていた僕に助産師さんが「のの子ちゃん、元気ですよ!」と声をかけてくださって。その瞬間に「ああ、もう決定だな」と思いました。
山口:そうなってしまう感覚は、なんだか分かる気がします。
──いいお話です。
金井:先ほど、作家の世代を問わないという話もしましたが、雑誌全体の目標というより、個人として、いしいひさいちさんと一度仕事をしてみたいという願いがあります。それと、今回ひさしぶりにカラスヤサトシさんの単行本が出ることも楽しみにしています。『アフタヌーン40周年展』の図録では、最後を僕の挨拶で締めてほしいと言われたのですが、「それならカラスヤサトシさんにも4コマを描いてもらいましょう」とお願いしました。
『アフタヌーン40周年展』の図録だと言っているのに、僕とカラスヤさんの昔の出来事が描かれています(笑)。面白かったですよ。一緒に富士山に登ったときの話や、近所でばったり会った話など、40周年らしい内容かと言われたら、「40」の「4」の字もないんですけどね。
山口:でも、そういうものも含めて『アフタヌーン』らしいというか(笑)。
金井:そうかもしれません。『アフタヌーン』の今後についての、僕の大きな野望のようなものは特にありません。ただ、これからも、面白いさまざまな作品が次々と飛び出していく雑誌であってくれたら、それが一番いいなと思っています。
[文&撮影・逆井マリ]
アフタヌーン40周年展

会場:池袋・サンシャインシティ 展示ホールA
東京都豊島区東池袋3-1-3 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル4F
開催期間:2026年7月10日(金)~7月26日(日)
開催時間:11時〜19時(最終入場18時30分)
主催:アフタヌーン40周年展製作委員会
原作協力:講談社 アフタヌーン編集部
料金:前売券2,200円/グッズ付前売券:5,200円
当日券2,500円/グッズ付当日券:5,500円 ※料金はすべて税込
販売URL:https://eplus.jp/afternoon_40thten/
公式ウェブページ:https://mixalive.tokyo/afternoon_40thten
公式X:https://x.com/aft_40thten































