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- 藤崎萌恵
- 大阪府在住のライター。小説、漫画、アニメ、映画など“好き”を追い続ける。

すう先生の大人気BLコミック『キスは捜査のあとで』が、渡部 秀さん&齋藤璃佑さんW主演で実写ドラマ化。2026年7月より放送がスタートし、FODランキングで1位を獲得するなど大反響を呼んでいます。
本作は、とある田舎町の警察署を舞台に繰り広げられる、ツンデレ20代後輩×アラフォー人情派刑事のラブコメディ。渡部さんが演じるのは、誰にでも優しい天然人たらしの38歳の刑事・多古井平助。齋藤さんは28歳のエリート後輩・塩野 秀を演じています。
塩野は多古井に対してなぜか突っかかり、いつも嫌味ばかり。そんな日常のなか、多古井のもとにお見合い話が舞い込むと、塩野はさらに大胆な行動に出ます。我慢ならず「なんで突っかかってくるんだ?」と核心に迫る多古井に、塩野は「なんでだと思います?」と煽り──。
本稿ではドラマ『キスは捜査のあとで』第1話「取調室で恋が始まる」をレビュー。多古井と塩野が織りなす歳の差現場ラブの始まりの予感に、早くも心を奪われてしまいました。
※本稿はドラマ『キスは捜査のあとで』第1話のネタバレを含みます。
山ノ道警察署の刑事課に所属するノンキャリ刑事・多古井は、地元住民から愛される天然人たらしの人情派。過去の経験から恋愛を面倒だと感じるようになっていましたが、塩野からの予測不能なアプローチに激しく動揺します。
塩野は、山ノ道警察署の生活安全課に所属する若手エリート警察官。サイバー犯罪対策室出身で、頭脳明晰なイケメンハイスペック男子です。クールで無愛想ながらも多古井に対しては感情的になり、今のところツンデレの“ツン”が大半を占めているといったところ。
塩野がなぜ自分に突っかかるのか分からない多古井は、彼を取調室に呼んで問いかけます。「腹を割って話そう」と言われた塩野はしばし思案。立ち上がったかと思うと、決意を固めたかのようにキスし、物語は急展開を迎えました。第1話のタイトル通り、「取調室で恋が始まる」音がしましたね。
ラブコメらしいオープニング映像では手錠で繋がれる2人を再現。そして見つめ合い、指を絡ませる。そんな甘い関係への進展を心の隅に置きながら、ドラマの多古井と塩野がどのように心を通わせていくのか、その過程から目が離せなくなります。
相容れないであろう多古井と塩野のピリピリとした掛け合い。ここから始まる恋があるのかと思わせながらも、塩野の重い感情が乗っていて、時折差し込まれる彼のふとした表情にも恋慕の匂いが漂っていました。
放送前から期待度も高かった本作ですが、刑事もの、歳の差、部下×上司……心トキめく要素が詰まっており、とりわけ「クールで拗れた年下執着激重感情」がもたらす“胸キュン”は、我々を深い沼へと誘います。
テンポ良く進むので体感的には一瞬でありながら、心にしっかり刻まれるドラマ。多古井も塩野も今後どんな表情を見せてくれるのか、期待度は一層高まりました。
原作漫画から飛び出してきたような2人。スーツを着崩す多古井、スリーピーススーツをきっちり着こなす塩野は外見的要素も対照的で、2人並んで立ったときのバランスも格別です。
W主演の渡部 秀さんと齋藤璃佑さんは、ともにジュノンボーイ&特撮ヒーロー出身。渡部さんは、人から愛されすぎる多古井の優しさや懐の深さと同時に、哀愁とくたびれ感、原作以上に雄みを醸し出す熟した人情派刑事に。多彩な表情と声色で、多古井の感情の振り幅を惜しみなく魅せてくれています。
塩野の猛アタックに簡単に絆されてしまいそうな隙と危うさもあり、“やたら突っかかる”と思ったら、今度は“突然キスをする”という塩野の不可解な行動に、「どういうこと?」と感情がグルグルする多古井を見るのが楽しみです。
齋藤さんはエリートの雰囲気を纏いながら、クールな塩野を完璧に体現。端正な容姿から繰り出される冷ややかで熱烈な視線の破壊力は至高です。想像の何倍も激しい壁ドンから紙を丸める表情まで、凄まじい圧を見せつけてくれました。そして、1人になったときの素の表情には、塩野の素直な想いが……。
コメントで「原作を愛する皆様の中に「俺たちの多古井」と言う方がいらっしゃるのも納得でございます。しかし! 俺の多古井さんです。誰にも渡しません。という気持ちで演じさせていただきます。」(公式サイトより引用)と表明されている通り、“俺の多古井さん”を徹底する姿が塩野の独占欲そのものです。
第1話を繰り返し視聴しながら、塩野が「たこ焼き」好きなのは、どう考えても好きな人の“概念”としか思えなくなってきました。
塩野はわりと感情のままに行動しているのに、恋心は多古井に全く届いていないというのが現状。やたらと突っかかったり、嫉妬心や独占欲を剥き出しにしているのは、多古井が鈍感過ぎるゆえなのだと思うともどかしさも。
多古井への恋心が膨らみ続けながら現在に至り、愛の言葉の代わりに伝わっているのは刺々しい嫌味だけになってしまっているんですよね。
仕事はできるのに、多古井のことになると途端に不器用な塩野が可愛い。想いを届けられない葛藤にちょっぴり切なくもなります。
「腹を割って話そう」と言われて、気持ちを伝えていいのかなという希望とフラれる覚悟が同居しているようにも思えますが、キスしてしまうなんて、色々飛び越えていて直球であまりにも塩野らしい。ただ、余裕なんてひとつもなかったはずです。
感情が読みにくいタイプであるゆえに、あのクールな表情の中にどんな想いが燃え滾っているのか妄想する余地も見いだすことができます。実のところ無表情に見えて、彼の目は情熱的に愛を語っているわけですが。
塩野の「ただいま」の微笑みに心を持っていかれながら、これは隣の部屋にいる多古井へ向けた「ただいま」だと解釈しましたが、執着、慈愛、溺愛、切なさ……いろんなものが入り混じった想いに触れた気がしました。クールキャラの不意打ち笑顔はズルすぎる……さらに塩野の深みにハマってしまいそうです。
そして、多古井と塩野の様子を見守りながら全てを察している江川(演:工藤 遥さん)。密かに楽しみつつ2人を応援する彼女は、まさに視聴者と同じ目線で彼らを見つめる“代弁者”。絶妙な距離感を維持しており、第1話ですでに視聴者からの支持と信頼を得ました。
第2話の予告では、キスをした塩野が猛アプローチに転じており、ラブコメ度がさらに上がりそうな予感も。多古井はというと、何故キスされたのか分からず戸惑っているようです。
誰に対しても踏み込みすぎる多古井に噛み付く塩野の嫉妬心や独占欲はかなり分かりやすいのですが、多古井にしてみたら何故突っかかってくるのか全く意味が分からないから、自分は嫌われていると思うのも当然。だからこそ“キスの意味が分からない”という説得力が増します。
恋愛が面倒だと感じていた多古井ですが、第1話で「振り回されてもいいくらいマジになれる相手に出会っていないだけ」という布石も置かれました。多古井にも幸せになってほしいですね。
大人同士の恋愛模様を描くBLをこよなく愛する私の見解ですが、年下男性が相手に向ける執着や重めの愛情、その想いを一身に受ける年上男性の戸惑いやトキメキ、包容力からしか得られない恍惚感があります。クールにグイグイ攻める塩野に、多古井はどう向き合うのでしょうか。恋の始まりはすぐそこかも……⁉︎
| 作品名 | キスは捜査のあとで |
|---|---|
| 放送形態 | 実写ドラマ |
| スケジュール | 2026年7月26日(日)~ ABCテレビにて |
| キャスト | 多古井平助:渡部秀 塩野秀:齋藤璃佑 江川まり子:工藤遥 長谷川次郎:金井勇太 八木保:ドロンズ石本 大将:矢柴俊博 松雪みすず:菊川怜 |
| スタッフ | 原作:すう『キスは捜査のあとで』(Jパブリッシング) 脚本:村田こけし 演出:大内隆弘 浅見佳史 プロデューサー:藤田洋平 寺川真未 川西琢(ABCリブラ) 制作協力:ABCリブラ 制作著作:ABC |
| 主題歌 | 「なつめき」OCTPATH |
