
近頃のあんたら、ちゃんと良い感じやで♪ だから、ルカを喰わないで——『さよならララ』でララが食べた魚の数を最終回まで数えてみます!【考察・レビュー】
2026年7月より放送中、アニメスタジオ・キネマシトラス15周年記念作品『さよならララ』。筆者がグッと来てしまったので、本企画では、"ララが食べた魚"を数えています。
第9話では、ルカとの距離が緩やかに縮まり、ふたりはまさに茉里の言う通り「ちゃんと良い感じ」に。しかし、本当の愛を探すララには、その関係をゆっくり育てる時間がありませんでした。
そして、ララの力は再び暴走。ルカまで食べそうになってしまい……魚カウントも5匹のまま。良い感じなんだから、ルカだけは喰わんといてくれ!
近頃のあんたら、ちゃんと良い感じやで♪
薬で症状を抑えながら、「本当の愛」を探し続けるララ。残された時間は少ないものの、第8話までの焦燥感とは少し違い、どこか落ち着いた表情も見せるようになってきました。プリンセスとしての使命や、自分の愛の危うさを知ったからこそ、ララ自身も少し大人になったように感じます。
今回は、茉里・ララ・ルカの3人でカラオケへ。高校生らしい時間を過ごしながら、ララとルカの距離も少しずつ縮まっていきます。薬で時間を稼いでいるとはいえ、ララにはもう猶予がありません。それでも、焦って距離を詰めるのではなく、一緒に歌って笑って、他愛もない時間を積み重ねていく。その空気感が心地よいですね。
そんな日々の中で、ララはルカという人間を改めて見つめ直します。どんくさくて、少し意地っ張りで、決して王子様のような完璧な人ではない。それでも、一緒にいると不思議と温かい。ララのモノローグから、彼女が少しずつルカという一人の人間を知っていく様子が伝わります
ただ、この感情が「本当の愛」なのかと言われると、ララ自身にもまだ分かりません。実際、胸から光が放たれるような描写もありませんでした。それでも、ルカとの何気ない日常に、ララが「幸せ」のようなものを感じ始めていることは確かだったように思います。
ララ、これはほんま難しい問題やで
ルカとの距離が縮まる一方で、愛がなんとなくわからない。焦らずゆっくり、誰かとの関係を築いていくこと。恋愛を楽しむこと。それ自体は、素敵なことだと思いますが、ララには時間がありません。だからこそ、ララは「進展のなさ」を気にします。もっと仲良くなれば愛になるのか。恋人になれば、本当の愛は見つかるのか。
出会って、仲良くなって、付き合う。そうした形式的な営みは、恋愛の王道ルートではありますが、その先に必ず愛があるとは限らない。誰かと一緒にいて「これ、愛やな」と思うことは難しい。第7話でララは、愛が短剣となって誰かを傷つけるかもしれないという、愛の裏面みたいなものを知りました。
しかし今回は、その反対側にある「一緒にいて心地いい」「なんだか幸せ」という、表面というか、ポジティブな愛っぽさと向き合っていきます。それが劇的なものではないからまた難しい。我々も「愛ってそういうものの集まりだ」みたいな規範が最初にあって、他者との時間や感情をそれに当てはめて、愛を感じているような気もします。付き合うことが愛なのか。それとも、愛があるから付き合うのか。ララ、これはほんま難しい問題やで。
二度、生まれる。
一方で、ルカもこの距離感に戸惑いを感じていました。一緒に過ごせば過ごすほど、ララの本当の姿が見えないような気がする。そんな悩みを茉里に打ち明けると、彼女は「あんたら、ちゃんと良い感じやで!」と言い切ります。
このセリフ、やっぱりめちゃくちゃ良いんですよね。視聴者から見ても、ふたりはちゃんと良い感じ。お互いを思いやって、同じ時間を過ごして、少しずつ距離を縮めている。その絶妙なペースを、理屈ではなく「良い感じやで」と言い切ってしまう茉里らしさが、とても好きでした。
しかし、ララにはその「良い感じ」を待つ時間がありません。若干の焦りを抱えつつララは、自分からルカへ気持ちを伝えることに。ざっくり言えば、「一回付き合ってみたら何か変わるかもしれないやん!」という選択です。劇的ではありませんが、こういう恋愛の始まり方はリアリティがありますね。
運命の王子様との劇的な出会いではなく、自分の意志で一歩踏み出してみること。そして、その選択を決めたララにグレイスはもう一度、「人間は二度、生まれる」という言葉をかけました。
一度目は、存在するために。二度目は生きるために。学校へ通う。アルバイトをする。大津家で暮らす。そして、自分の気持ちを誰かに伝えてみる。ララは地上へ来てから、少しずつ他者が存在する社会の中で自分の居場所を選び続けてきました。そして今回、「ルカに気持ちを伝える」という、生きる選択を行いました。恋を始めた、というだけではないでしょう。
今週の魚食カウント:ルカを喰わないで
ララの告白を受けたルカも、その気持ちに応えます。しかし、ララを大切に思うからこそ、ルカは「ゆっくり関係を築いていきたい」と伝えました。これまで同じペースで歩いてきたふたり。でも、その"ゆっくり"を、ララはもう待つことができません。彼女の使命と力が、人間として滋賀に存在すること、ルカとゆっくり愛を育てていくことを許しませんでした。
ララの力は再び暴走します。王子様へ向けられたあの短剣と同じように、ルカへ向かって「食べたい」という衝動が牙を剥いたのでした。拒絶されたわけではない。むしろ、お互いの気持ちは通じ合っている。それでも、自分の思い通りにならないだけで暴走してしまう。愛は、相手を傷つけようとしてしまう。その危うさが、再びララを飲み込んでいきます。
異変を察知したリサとコータ、そしてグレイスも動き始めました。舞台は人魚たちが眠る場所へ。いよいよ物語はクライマックスへ突入か?
魚カウントは5匹のまま。……でもまた、魚どころじゃありません。近頃のあんたら、ちゃんと良い感じなんやから。頼むから、ルカだけは喰わんといてくれ、ララ。
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作品概要
あらすじ
海の王である父と、姉たちに愛されて、すくすくと育ちました。
ある日、ララは地上に生きる人間の王子に恋をしてしまいます。
それは人魚たちの世界では許されぬ、禁じられた恋でした。
それでもララは地上へ旅立ちます。
魔女グレイスにもらった薬を飲み、人間の姿になったのです。
しかしそれは、”本当の愛”を見つけなければ、
泡となって消えてしまう禁忌の薬でした。
人魚のプリンセスでありながら、人間との愛を望んだララ。
けれど———その願いは叶わず、泡となって海へ消えてしまうのでした。
それから200年。
長い時を経て、人魚姫ララは琵琶湖に蘇る。
今度こそ“本当の愛”を見つけるために———
キャスト
(C)キネマシトラス/「さよならララ」製作委員会
































