
【ゲームクリエイターインタビュー】『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』&『スキップ・ビート!』制作者・5pb.須藤英男さん編(後編)
リリース直前の話題のゲームソフトを制作するゲームクリエイターに、新作ゲームソフトの紹介や開発秘話をご紹介いただきつつ、仕事の内容やゲーム業界に携わったきっかけ、ゲーム業界を目指す皆さんへアドバイスをしていただく企画『ゲームクリエイターインタビュー』。
今シリーズでは『メモリーズオフ』シリーズや、昨年ゲーム界に衝撃を巻き起こした『カオスヘッド』などを手がける5pb.にクローズアップしていく。
第4回目は『モノクローム・ファクター cross road』や『ユア・メモリーズオフ~Girl's Style~』など5pb.の女性向けタイトルを制作し、4月30日にPS2用ソフト『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』、5月28日にはPS2用ソフト『スキップ・ビート!』など2カ月連続アニメ作品のゲームリリースを控えた、5pb.ゲーム事業部ディビジョン4のプロデューサー、須藤英男さんにお話をうかがった。
今回は発売を控えたPS2用ソフト『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』、PS2用ソフト『スキップ・ビート!』について、そしてゲーム業界を目指す人へのアドバイスなどを語ってもらった。
PS2用ソフト『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』
2009年4月30日発売
限定版:9240円(税込)
通常版:7140円(税込)
発売:5pb.
(C)谷 瑞恵/集英社・アシェンバート伯爵家 (C)5pb. Inc.
●女性向け作品の代表作のひとつとなった『モノクローム・ファクター cross road』
――須藤さんが5pb.で手がけた2作目についてもお話をうかがいたいと思います。『神霊狩/GHOST HOUND DS』はアニメのゲーム化ですね
須藤さん:ProductionI.Gさんの意向もあって、テキストアドベンチャーの形になりました。ただアニメではテキストアドベンチャーと比べると伝わりづらい心情部分の描写追加や、後日談などゲームだけの新要素を入れさせてもらいました。またI.Gさんの協力で映像も結構使わせていただけたので、当時としてはDSの限界に挑戦する、約2~3時間分ぐらいの本篇アニメ映像が詰め込むことができましたね。アニメのファンの方にはマストアイテム的な1本になったと思うし、アニメを見ていない方でもたっぷり楽しめるボリュームになっていると思います。
――その次の作品は?
須藤さん:次の『モノクローム・ファクター cross road』もアニメからのゲーム化ですが、新キャラを入れてもいいということだったので、ゲームオリジナル色の強いタイトルとなりました。まあ、物語の内容もアニメの終了後というイメージで構築しましたし、そもそも春宮芹那というゲーム用の“主人公”を準備したぐらいですからね(笑)。ただ丁度この頃、女性スタッフも入ってきたので、感性的な面でもジャッジしてくれる人ができてやりやすくなりましたね。あとはプロデューサーとして1本目のソフトなので印象深いというのもありますね。前の2本はディレクターだったので。……とはいえ、実務面でいえば今でもディレクター時代とあまり変わってない気もしますが……。
――『モノクローム・ファクター』の成功は女性向けのタイトルを作っていく上で自信になったのでは
須藤さん:そうですね。やり方が間違っていないと感じられたといいますか、『ユア・メモリーズオフ~Girl's Style~』の時よりは実感がありました。
●リディアとエドガーのじれったい恋を楽しむ『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』
――ではDivision4の最新作についてお聞きしたいと思います。まず、同じようにアニメからゲーム化されたPS2用ソフト『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』が4月30日に発売されます
須藤さん:集英社のコバルト文庫の小説からアニメとなった作品です。『モノクローム・ファクター』の時はプレイヤーが作品のキャラクター達と一緒に何かをするということがやりやすい世界観だったんですが、『伯爵と妖精』はそれがやりにくい作品でしたね。なのでリディアのフェアリードクター(妖精博士)という職業に目を向けて、リディアとエドガーで妖精が絡んだ事件を解決していくという内容にしました。エドガーは妖精事件のことよりは主にリディアを口説いているようでしたけど(笑)。あと当初、「君が好きだ」、「はい」とかいってゲームが終わっちゃうのはつまらないよなと思っていたんですが、ある時むしろ「終わらせればいいんだ」と考えを改めました。
――それはどういうことですか?
須藤さん:普通は好感度(?)を上げれば上げるほどいいものと考えられていると思いますが、このゲームでは上げ過ぎるとゲームオーバーになってしまうというチャレンジをしてみました(笑)。かといって好感度(?)を上げなければそれもゲームオーバーになってしまいますけど。自分が小説を読んだ時に感じた二人の「じれったさ」みたいなものを自分的に表現するとこうなりました。
――最初にプレイした人は必死になり過ぎてゲームオーバーになりそうですね(笑)
須藤さん:リディアが、というよりプレイヤーがですが、エドガーを手のひらで操るような楽しさがあって、おもしろいんじゃないかなと思ってます。ただ、この部分だけがよくクローズアップされているのですが、あくまでも「極端なプレイ」をした場合の話で物語としては一つの結末を迎えるようになっていますので、あまりこの部分を意識してもらわなくても大丈夫だと思っています。他にはニコ・レイヴン・ポールやケルピーなどの他の人気キャラが絡むシーンもたくさん用意してあるのでお楽しみに。
●やるたびに違うエピソードが飛び出すボリューム&バラエティ豊かなシナリオ
――ストーリー以外で注目してほしい点はありますか?
須藤さん:アドベンチャーゲームって、誰がやっても、多少の選択肢の違いはあっても、電源を入れてから終わりまで、同じ内容で進むのが昔からずっと嫌だったので、そこもひと工夫しました。具体的に言うとストーリーの縦軸には3つの依頼があって、それを解決していくとEDを迎えるという流れになっていますが、この3つの依頼に関して横幅を持たせて、いくつもの別の依頼を準備しました。ですから例えばある人はこのシナリオをやっているけど、他の人は別のシナリオをやっていて、同じゲームをプレイしているはずなのに話がかみ合わないというケースが発生すると思います。頑張り過ぎてしまった感もありますが(笑)。
――1回EDを見たからといってもそれは全体の数%にしか過ぎないという、かなり遊び甲斐のあるソフトになりそうですね
須藤さん:1回のプレイは割りと短い時間で最後のEDまで迎えられると思いますが、すべてのシナリオをプレイするとかなりの時間が必要になると思います。何度でもストーリーを楽しんでいただけるように作りましたので、原作ファンの方もアニメファンの方もプレイしてほしいですね。また限定版には藤井まきさんの描き下ろしの化粧箱に、OP曲とED曲、キャラソン、BGMが収録されたオリジナルサウンドCDと、指輪型のオリジナルシーリングスタンプなどが付いてきます。シーリングスタンプがかなりいい出来なのでぜひ限定版を手に入れてもらえればと(笑)。
●アニメでは描かれなかったキャラやスペシャルイベントを盛り込んだ『スキップ・ビート!』
――そして1カ月後の5月28日には現在放送中のアニメ『スキップ・ビート!』のPS2用ソフトが発売されます
須藤さん:ここのところアニメ作品のタイトルづいてますね、僕(笑)。こちらは『花とゆめ』で連載中のマンガからアニメになった作品です。主人公の最上キョーコが復讐のために芸能界入りするというお話なんですけど、キョーコというキャラがすごく興味深くて。デフォルメ化も含めて表情がコロコロ変わるし、さらには体から怨霊を出したりと、突出したおもしろさがあったので、「この子を使わなきゃ損だろう」と何も悩むこともなくゲームでも主人公のポジションになりましたね。あとは芸能界を舞台にして、まだ原作でも描かれていないところの敦賀蓮との……をゲームで表現させていただけることになりましたのでその物語を一つ。それとキョーコが芸能界入りするきっかけになった不破尚という男の子がいるんですが……彼との物語を一つ。彼との話のテーマは「感動」です(笑)。またキョーコの友人、琴南奏江との物語を準備しています。あと漫画でもアニメでもコミカルなシーンが満載なのでそういったところをうまくゲームでも表現できればと思ってます。
――他にゲームならではのポイントといえば
須藤さん:漫画の方でアニメには登場しなかったレイノというキャラがいるのですが、このキャラも登場させてもいいというお話をいただけたので、いろんな場所に登場させました。このような感じでゲームオリジナルの要素が満載なところもありますが、アニメともども、楽しんでいただければと思います。
●女性があっと驚くビッグタイトルが発表間近!
――現在制作中のタイトルや今後のリリース予定などについて教えてください
須藤さん:現在制作中といえばこのインタビューを受けている今も『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』と『スキップ・ビート!』を並行して作っているわけですが……。『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』なんてマスターアップ目前ですよ(笑)。
――お忙しい中、すみません(笑)
須藤さん:いえいえ。まあ、そんな状況ですがこの記事がアップされる頃の3月下旬にすごい発表があります。我々、Division4と、人気ゲーム制作会社とのコラボレーションです。たぶん発表されたら驚くと思いますよ。ただまだ微妙な時期なの詳しいお話しできないのが心苦しいのですが……。
――かなり大きなタイトルのようなので期待してます
須藤さん:ありがとうございます! そのタイトルを年内に出せる方向で頑張りつつ、その後も来年早々にもう一本オリジナルを出せればいいなと考えています。
●女性が違和感なく入りやすい世界観を提供
――須藤さんはここまで女性向けのタイトルを作られてきましたが、女性向けソフトの魅力はどこにあると思いますか?
須藤さん:難しい質問ですね。僕が主に作っている恋愛アドベンチャーに限っていえばキャラクターを好きになって、恋愛したいとか……そういうところですからね。男性も女性もそう変わらないかなと思います。
――美少女ゲームもストーリーや性格、表情の描写など繊細に描かれているので、確かに違いはそれほどないのかもしれないですね
須藤さん:そうですね。でも女性は男性より有利(?)だと思っていて、男性は女性向けと呼ばれるものを普通買うことはあまりありませんが、女性はその辺わけ隔てなく買えたりしますからね。例えば少年誌で連載されている漫画が女性に人気があったりとか。まあ自分は女性にはなれないので、あまり「女性のために」とかは考え過ぎずに、女性が違和感を感じないで入っていける世界観を準備していきたいなとは思っていますが……。
●ゲーム業界を目指すなら、まず「入れ!」
――須藤さんがゲーム界の中で今後やりたいと思っていることはありますか?
須藤さん:またニューハードやニュージャンルとか出ないかなあと(笑)。あとは笑えるソフトを作りたいです。泣けるものは割と方法論とかあるので「おもしろかった」と満面な笑みになってくれるようなソフトを作りたいし、ずっと作り続けていくことができたらいいなと思ってます。
――ゲーム業界を目指す人へアドバイスをお願いします
須藤さん:僕が言うと「運です」になって説得力がないかもしれませんが(笑)、まず「入っちゃいなよ」でしょうか。悩んでいるより、まずアルバイトなどからでも、現場に入って体験することをオススメします。技能面も大切ですが、実際に働いた経験が一番重要じゃないかなと思います。こちらも最初から即戦力でとは考えていないし、できる範囲のことをやってもらいますから。求人を探すなり、とりあえずチャレンジすれば僕みたいなことになるかもしれません(笑)。「こんなことができます」と声高に叫ばれるよりは実際にやってもらったほうが早いですからね。そして現場を見て、人のやり方などを吸収していき、自分のやり方を見つけていくことでしょうか。ゲームの製作でもたくさんの人と接するので、Aさんとはこのやり方でうまくいったけど、Bさんとはうまくいかなかったということもよくあります。そういうことを糧や経験にして生かすことができるようになることが大切じゃないかと思います。
――最後に皆さんへメッセージをお願いします
須藤さん:ここまで読んでいただいてありがとうございます(笑)。Division4では女性向けのタイトルを多く手がけています。4月30日に発売されるPS2用ソフト『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』も、5月28日に発売されるPS2用ソフト『スキップ・ビート!』も女性向けとなっています。アニメや原作の良いところそのままに、ゲームならではの新要素も入った作品となっていますので、ぜひ手にとってプレイしてもらえたらうれしいです。またゲームの特設サイトでアンケートをとったりしていますので、プレイ後はぜひ感想をいただけたらうれしいです。皆様のご意見を今後のゲーム作りにつなげていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。そして3月下旬には大きなニュースも控えていますので今後も5pb.をチェックしてください。きっと後悔はさせません!
●プロフィール
須藤英男さん……5pb.ゲーム事業部ディビジョン4プロデューサー。I'MAX、KIDを経て5pb.へ。KID時代、『瑠璃色の雪』、『6インチマイダーリン』、『トレジャーストライク』、『Erde ~ネズの樹の下で~』などを手がける。主な代表作は『ユア・メモリーズオフ~Girl's Style~』、『神霊狩/GHOST HOUND DS』、『モノクローム・ファクター cross road』など。
PS2用ソフト『伯爵と妖精~夢と絆に想いを馳せて~』
2009年4月30日発売
限定版:9,240円(税込)
通常版:7,140円(税込)
発売:5pb.
PS2用ソフト『スキップ・ビート!』
2009年5月28日発売予定
発売:5pb.
(C)谷 瑞恵/集英社・アシェンバート伯爵家 (C)5pb. Inc.
PS2用ソフト『スキップ・ビート!』
2009年5月28日発売予定
発売:5pb.
(C)仲村佳樹・白泉社/LME ラブミー部 (C)5pb. Inc

















































