TVアニメ『いつか天魔の黒ウサギ』大ヒット御礼！原作者・鏡貴也さん、山本天志監督、蜂屋誠一プロデューサー座談会[後編]

　この夏に放送スタートしたTVアニメ『いつか天魔の黒ウサギ』が大ヒットオンエア中！

　アニメの人気の秘密に迫るため、当サイトでは原作の鏡貴也さん、TVアニメ監督の山本天志さん、アニメプロデューサーの蜂屋誠一さんを迎えた座談会を行いました。　

　3回に分けてお送りしてきましたが、後編の今回はメインキャラについてや今後の見どころなど語っていただきました。

●珍しいタイプのヒロイン、ヒメア。美雷のポイントは「IQ低め」!?　

――この作品の魅力のひとつは女性キャラだと思います。まずは一途に大兎を想い続けたヒメアは情熱的で愛おしくなります。

蜂屋誠一プロデューサー（以下蜂屋P）：ヒメアの基本的な行動原理は大兎であり、常に彼を軸にモノを考えるんですよね。おもしろいキャラですよね。
他にもライトノベル作品でも珍しいキャラが多くて勉強になりました。それとテンション高いキャラが多いですね。女性は（笑）。美雷のIQをどう下げるかについてはシナリオもお芝居もこだわりました。ちょっとでも知恵があると美雷じゃなくなると（笑）。ライターさんも一旦セリフを書いた後、「これだと頭良すぎますよね」とか、収録でも野水伊織さんに「もっとIQ下げてください」と申し訳ないお願いをして。テンションの高さだけで表現しなきゃいけないから大変だったと思います。

――月光のキスで呪いが解けて悪魔になる瞬間の「呪いが解けた！」も見どころですね。

蜂屋P：バンクもかなり気合が入ってますよね。監督。

山本天志監督（以下山本監督）：若い原画さんが気合を入れて書いてくれて（笑）。

蜂屋P：3話のバンクでは下にスク水を着てて。

山本監督：バンクのようでバンクじゃない（笑）。制作の子から「スク水着せましょうよ」って。君が言うか！と（笑）。他にも下が夏服だったり、冬服だったり。

蜂屋P：毎回、描き直しているので、そんなこだわりも見てください。

●誰でも好きになる幼なじみ遥はクライマックスのキーキャラ

――大兎の幼なじみの遥もすごく気になって。好きだけど言い出せなくて、いじらしくて。そしてせつないエピソードもあって……。

蜂屋P：先生はずるいですよね。

山本監督：8巻であんなことになるなんて……。

鏡貴也先生（以下鏡先生）：（笑）。

蜂屋P：アニメの中でもいいアクセントになってますね。みんなが大兎とヒメアや、月光と美雷のほうを見てると、気づかないうちに遥がとんでもないことになってて。手品の隠し玉みたいな。

山本監督：遥を好きになるかどうかで、女性遍歴がわかると思います（笑）。

――僕は遥を好きになっちゃいました。

山本監督：やっぱり（笑）。

蜂屋P：遥の芝居で覚えてるのは1話の収録で、監督が「母性を出さないでください」と遥役の美名さんに言っていたこと。幼なじみといえばお姉さんっぽく、男の子をやさしく包む感じだけど、遥に関しては、そこは極力排除して。よくある幼なじみ像とは違う演技になっているかなと思います。

山本監督：見ている方には遥を好きになってもらえてるはずなので、大兎も遥を選びさえすれば普通に幸せになれるという状況に追い込まれた時、大兎がどんな決断をするかが物語のクライマックスになっているんです。

サイトヒメア（CV：高本めぐみ）

ヒメア制服バージョン

安藤美雷[アンドゥのミライ]（CV：野水伊織）

時雨遥（CV：美名）

●女子も萌える男性キャラ達。新キャスト発表で騒然!!

――月光の双子の弟、日向のクールで残忍さがカッコイイんですよね。

蜂屋P：日向は最初に出てきて月光と戦って終わりじゃないかと心配してたんですが結構、出番が増えて。

山本監督：みんな、日向が好きなんで（笑）。

鏡先生：日向も8巻で大変なことになってます（笑）。

蜂屋P：日向のドラマもガッツリ描きたいんですけどね。1クールだとなかなかね。でも最終回近辺でおいしい見せ場があるのでそこは期待してください。
あと日向と言えば次回予告ですね。あのキャラで福山潤さんが「皆さん、デートをしたことがありますか？　僕はありません」ですから（笑）。

山本監督：あれは強烈でした。

――女性キャラが多い作品なのに、大兎、月光、日向にひかれて女性人気のほうが高くなりそうな予感がします。

蜂屋P：僕の作品では初めてのパターンになるかも。OPでちらっと出しただけなのにエントリオ兄弟に関する問い合わせがすごく合ったのにも驚きました。6話以降、学園描写が増えていくし、エントリオ兄弟も出てくるし、皆さんが大好きな黒守・フィリエル・優一も出てきますので女性ファンの方にはもっと楽しんでもらえると思います。
そういえば新キャストを発表したら大騒ぎになって。「『いつ天』はこんなに音響予算があるのか」と。

（一同爆笑）

山本監督：特に男性キャストが豪華ですからね。

●最終回の大兎の熱演に負けない絵を！

――あとやはり気になるのは天魔の存在です。

蜂屋P：ある雑誌から「天魔って何ですか？　わかりやすく説明してください」という質問が来たんですけど、そんなに簡単に説明できるほど軽くはないので。一応、先生にお伺いしてみたら……。

鏡先生：「天魔はー、設定はあるんですが、公には秘密です」と（笑）。原作では少しずつあきらかになってるんですが、でも、天魔が何者なのかについての監督の予想はあたってました！　バレた！（笑）

――いろいろな要素がある作品ですが、やっぱりベースは大兎とヒメアの壮大なラブストーリーですね。命がけの恋という。

蜂屋P：そうですね。ただ1クールしかないので恋の結末を描くことも、すべてを解決することも難しいわけで。監督がおっしゃったように最後に大兎がどういう結論を下すかで終わるような形になります。立花慎之介さんは本当にいいお芝居しますよね。

山本監督：アフレコのときにガラス越しに聴いてる僕らの部屋が熱くなったくらい。立花さんの超絶演技に負けないくらいの絵にしなきゃいけないということで今、現場では戦々恐々としてます（笑）。演出の新田靖成さんと総作画監督の磯野智さんと3人で「頑張らないと」と。

蜂屋P：しかも後半は監督コンテですからね。

鏡先生：僕も最終話の収録を見ましたがすごかったですね。こんなのTVアニメでは見たことないんじゃないかというシーンが続出で。

蜂屋P：立花さんが動の芝居をすると、中村悠一さんが静の中に動がある芝居をしてくれて。ベストコンビだったと思うし、大兎と月光がこの二人で本当に良かったです。だから月光がいろいろなことをする『紅月光の生徒会室』のお話もやりたかったし、コミックの部分もやりたかったんですけど……そこは皆さんの応援があればということで。

鉄大兎（CV：立花慎之介）

紅月光（CV：中村悠一）

紅日向（CV：福山潤）

黒守・フィリエル・優一（CV：諏訪部順一）

上／セルジュ・エントリオ（CV：岡本信彦）<br>下／ハスガ・エントリオ（CV：鈴村健一）

上／セルジュ・エントリオ（CV：岡本信彦）
下／ハスガ・エントリオ（CV：鈴村健一）

●年末発売の小説は未放送アニメのDVD付き！　『伝勇伝』コラボ＆お風呂シーンに注目

――ここでアニメのこれからの見どころをご紹介ください。

山本監督：今回、このシリーズでここまでやろうと決めた時、ラストシーンの大兎の芝居とビジュアルのカッコよさでどこまで行けるのか、計算して作ってきたのでクライマックスに期待してください。作画は現在、頑張ってます！

鏡先生：そして12月に発売予定の原作9巻の限定版にTV未放送の13話のDVDも付いてきます。その映像には『伝説の勇者の伝説』とのコラボもあって。

山本監督：『伝勇伝』パートは『伝勇伝』の川崎逸朗監督がコンテを、キャラデザの島沢ノリコさんが作画監督という豪華な。

鏡先生：脚本もその部分は僕が書いてます。

蜂屋P：Twitterで皆さんから募集したアイデアも盛り込まれてます。

鏡先生：PSPのゲームも発売予定ですが、まずはラストに向けて盛り上がっていきますので最後まで見てください。

山本監督：TVの最終回ではお風呂シーンもあって、男女とも、TV用にどうするのか、蜂屋さんのお手並みも拝見です（笑）。

蜂屋P：エントリオ兄弟もお風呂に入りますよ！

鏡先生：お風呂のエピソードは『紅月光の生徒会室』で書いてますが、月光と大兎はお風呂に入ってるけど、声だけだったんです。だから絵が見たかった方はぜひアニメを（笑）。

蜂屋P：男性の出番が多くて、誰得状態かも。でも女性ファンにはたまらないと思います（笑）。

●鏡貴也先生の熱さが伝わるアニメ。新刊、ゲームなど今後の展開にも期待！

――では最後にメッセージをお願いします。

蜂屋P：試行錯誤をしながら、鏡先生の持つ熱さを伝えられたらと思って作りました。また最近関わった作品の中では一番キャラに愛着がある作品なので最後まで見届けてくれたら嬉しいです。

山本監督：ほぼ原作のイメージ通りやれているところもあり、原作と離れたところもありで、原作と併せてアニメを楽しんでいただければ一粒で2度おいしくなっていると思います。ぜひ繰り返し原作と一緒に見てください。

鏡先生：まず僕の作品を読んでくださっている皆様、アニメをご覧になっていただいている皆様、ありがとうございます。ぜひ原作とアニメを併せて楽しんでいただければと思います。クライマックスに向けて盛り上がるアニメを見ていただきつつ、ゲームと新刊、他にもまだまだいろいろな展開がありそうなので、今後も『いつ天』をよろしくお願いします。

＜取材・文：永井和幸＞

第7話より

TVアニメ『いつか天魔の黒ウサギ』
テレ玉、チバテレビ、TOKYO MX、tvk、岐阜放送、三重テレビ、KBS京都、サンテレビ、TVQ九州放送でオンエア中！

DVD＆ブルーレイ『いつか天魔の黒ウサギ』第1巻
9月30日発売
ブルーレイ　7,980円（税込）
DVD限定版　6,930円（税込）
DVD通常版　5,880円（税込）
発売：角川書店

☆ブルーレイ＆DVD限定版　スペシャル特典☆
特典その(1)：「いつ天」お楽しみDVD
・見てから読むか、読んでから見るか！鏡貴也書き下ろし新作ストーリーを映像化したピクチャードラマ「宮阪高校生徒会室日誌」（約15分）。
同梱小冊子「宮阪高校生徒会“裏”日誌」掲載の書き下ろし小説と連動！
生徒会室で、なぜか水着選びを始めるヒメア、ミライ、泉。キャッキャウフフの生着替えの果てに、月光と大兎は…。　　　
（出演：立花慎之介、高本めぐみ、中村悠一、野水伊織、堀川千華ほか）

特典その(2)：原作イラスト　榎宮祐描き下ろし　全巻収納BOX
特典その(3)：ピクチャードラマと連動した鏡貴也書き下ろし小説掲載。小冊子「宮阪高校生徒会“裏”日誌」
特典その(4)：キャラクターデザイン　磯野智　描き下ろしイラスト使用ジャケット
特典その(5)：映像特典／ノンクレジットオープニング、ノンクレジットエンディング「空蝉」バージョン

『いつか天魔の黒ウサギ 9』DVD付限定版
12月初旬発売予定
3,990円（税込）
発売：富士見書房

PSP版『いつか天魔の黒ウサギ』
11月23日発売予定
初回限定生産版　8,190円（税込）
通常版　6,090円（税込）
発売：角川ゲームズ

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