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TVアニメ『キノの旅』悠木碧さんが語る「キノ」という世界観の魅力

TVアニメ『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』悠木碧さんが語る「キノ」というキャラクターで表現したモノ/声優インタビュー

時雨沢恵一さん物語を綴り、黒星紅白さんがイラストを手掛ける電撃文庫の『キノの旅 -the Beautiful World-』(以下、『キノの旅』)は、多くの若者に影響を与えてきた小説でしょう。

2003年に一度アニメ化された本作が、2017年10月に「キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series」として再びアニメ化され放送開始となります。

今回は、本作の1話を終えたところで、主人公 キノを演じる悠木碧さんにインタビューを実施。2003年版のTVアニメ『キノの旅』にもサクラ役として出演した悠木さんが作品に対する想いを語ります――

 

悠木 碧さんが考える原作『キノの旅』の魅力
――『キノの旅』の原作に出会ったのは、いつ頃でしたか?

キノ役・悠木 碧さん(以下、悠木):11歳のときに、サウンドノベルのゲームのオーディションがあったんです。そのときに「優しい国」のサクラを受けたんですけど、その際に原作を読ませていただきました。(※「優しい国」は2003年版TVアニメの13話にもなっている)

――その歳だと、かなりインパクトもあったのでは?

悠木:子供の頃って大人は絶対に正しいものだと思っているし、周りの人を疑う事ってないと思うんですが、『キノの旅』の世界では、キノのほうが明らかに若く見えるのに、周りの大人の方が偏った考え方をしている事が多いのでとてもセンセーショナルに感じました。

それぞれの国に偏ったルールがあって、そこで生きているから国ごとに偏った考え方を持つ国民たちが登場するんですが、多分それは現実世界も同じなのだと思います。それぞれに好きなものや嫌いなものがあるように、何かしら偏っている。それが今なら分かるんですが、当時は衝撃だったというか、大人にも好き嫌いがあって、大人も人間だっていうのをちゃんと文にしてくれたというか。

――そのルールの中に置かれたときに、人がどうなってしまうのかみたいなのはわかりますよね。

悠木:キノは努めて「エゴではなくニュートラルでいよう」と思っているんですが、そんなキノが主人公だからこそ、私だったらこの場でどういう対応をするのかな?と考えてしまうのではないかなと思います。

――ちなみに、子供の頃から読書がお好きだったんですか?

悠木:本は小さい頃から好きで読んでいました。『キノの旅』はストーリーの内容自体が重たかったり、哲学的なことを言っていたりするんですけど、情景や人の描写はすごく分かりやすく書いてあって、何より文章のリズムが良いんです。

だから子供でもさくっと読めるし、それなのにあのストーリーの内容!っていうところに、良さを感じたのだと思います。

――世界観が独特ですが、『キノの旅』の魅力って、どこにあると考えていました?

悠木:誇張して、偏って書かれている国がたくさんありますけど「全くありえない話ではない!」というところが最大の魅力だと思います。それをキノとしてニュートラルな視点で読むことで、すごく哲学してもらう機会に繋がるというか。

最近、哲学的なアニメに関わらせていただくことが多いのですが、キノはその原点じゃないかなと思うんです。それが正義だからこうするとかではなく、一度その文化を試してみて、合わないから僕はこうする、っていうのを繰り返している。そのニュートラルさと世界の偏り感-----まり世界がいかにニュートラルではないのかと考えたときに、「私はどの国の人かな?」って誰もが思っちゃうと思うんですね。

だから、初めて読んだときは、とてもセンセーショナルだったんですが、今読むと心が落ち着くというか、心の整理がつくような気持ちになります。一度自分と向き合う時間になるような、そういう読書体験だなと思いました。

作品世界の時間の流れはゆっくりしているけど、起こっていることは激動で、でも俯瞰で世界が見えて……この作品以外でこの空気感を味わったことはないです。

――大人になって読んでも、考えるキッカケになりますよね。この国にいたら、自分だったらこうなりそうだなとか。それに11歳で出会ってしまったのだから、大変ですね。

悠木:そうですね(笑)。人って、大人になる過程でいかに自問自答できるかで成長する度合いが違うと思うんです。『キノの旅』って、その自問自答を促してくれるので、11歳でそれを教えてもらったのはすごくありがたかったなと思っています。今になって読んでも、やっぱり自問自答してしまうし、あのとき出していた答えが正解なときもあれば不正解のときもあるし、その逆もある。その変化が分かるので、昔読んでいた方は、また読み返してもらうと全然印象が変わってくると思います。


再びアニメ化するに当たっての役作り

――再びアニメーションになると聞いたときは、どう思いました?

悠木:今回のTVシリーズの前に、多数決ドラマ『キノの旅 the Beautiful World 「廃墟の国」-On Your Way- 』でキノを演じさせていただいていたんです。1作目のTVアニメ『キノの旅 the Beautiful World』は、自分のアニメデビュー作なんですが、その際憧れていた主人公を、たとえ一度だけでも自分が担当させていただけるのは嬉しいことだなと思っていました。

なので、再TVアニメ化が決まったときは、ついに!と思いましたし、12話も演じることができるということで責任感をより感じました。

――考えてみたら、一度アニメ化されている作品の主人公を演じることは相当プレッシャーではありませんか?

悠木:最初は重荷だと思うこともあったんですが、我々世代からすると『キノの旅』ってバイブルみたいなものなので、やりたかった人ってたくさんいると思うんです。その中で私をキノが選んでくれたので、自信を持って、これがキノだぞ!というふうに思わないとダメだよ、と自分に言い聞かせながら役作りをしています。

――1話を見た感じだと、少年っぽさは感じました。

悠木:かなりそっちに振ってはいます。私もキノは中性的であるべきだと思っていて、性別関係なく、強くて公平というのがキノの良さだと思っているので、よりニュートラルに、どちらでも聞こえるようにというのは狙っています。

――今回のアフレコは、いかがですか?

悠木:なるべくニュートラルに聞いてほしいというのがあり、キノやエルメスが、その国にいる人たちに心情を寄り過ぎちゃったりすると話が変わってしまうので、なるべく波を作らずに。でも、ストーリーとして起承転結で面白くなってもらえるようなリズムを作る、というのが私が任された仕事かなと思っています。実際にセリフ数も少ないんです。国を描いているので、大衆ガヤは多いんですけど。

――確かに台本もすぐ読めてしまいました。

悠木:多分必要最小限にしたいんだろうなと思います。だから私もアドリブは、基本的にはそんなに入れなくていいかなと。キノってすごく強いので、ハッ!とか、そういう呼吸も入れないんです。

――エルメス役の斉藤壮馬さんですが、同世代で、しかも斉藤さんも本好きなので、作品についてのお話をされたのかなと思うのですが。

悠木:この世代って、みんな『キノの旅』で育っているというか。この作品で初めて哲学したという人って本当に多いんです。それこそ学校の図書室に置いてあるくらいなので、そういう馴染み方をしている。だから壮馬くんとは、どの国の話が一番面白かった?とか、どれをアニメ化したら良いのかなとか、あの話好きだけど、きっとできないよね~とか、コアなトークをしましたね。

でも、すごいところは、その話をすると「あの話のあの考え方はさぁ」って、人と哲学の話をすごく自然にできるのは面白いなと思いました。壮馬くんとは何度もヒーロー・ヒロインの関係でご一緒させていただいてますけど、そんな話をしたことってなかったので楽しかったです。あと、あやねる(ティー役の佐倉綾音さん)も年齢が近いので、当時ハマったよね~って話をしたりしました。(笑)

――今回アニメ化によって、『キノの旅』を初めて見るという方も多そうですよね。

悠木:やっぱり中学生・高校生くらいの人に見てほしいというか。私がその当時、この作品に出会えたことがすごく嬉しかったので、もちろんアニメも全力で楽しんでもらいたいんですけど、原作も手にとっていただきたいという気持ちはすごくあります。やっぱり読んで想像するのと画で入ってくるのは全然違うので。実際に読んでみてこの国ってどんな国なのかなって自分でも想像してみてほしいです。

――先程、あえてセリフを必要最小限にしているのでは、という話がありましたが、アニメはシンプルにギュッとしていますし、小説だとまだまだいろいろな国がありますからね。

悠木:私はとにかく、原作を読むきっかけになりたい!と思ってやっています。


1話「人を殺すことができる国」を振り返って

――1話は「人を殺すことができる国」でした。アバンで、いきなりキノが旅をする理由が語られていて、それが核心に迫る言葉だなと思ったんです。やはり最初の言葉は気を遣いましたか?

悠木:1話って、(ED後の)Cパートからアバンに繋がって、そこからAパートに行く構成なんです。なので、実は収録的にはCパートから録らせてもらったんです。キノにより表情を付けてほしいとは言われていたので、どのくらい付けようかと思いながらやっていたんですけど、このアバンのところは寝る前なので、ゆっくり話してほしいと。情緒があるというよりは、自分の中でぽつぽつと考えながらしゃべるみたいにしてほしいとディレクションをいただいたので、眠りの導入前に自分の心を整理しているキノっていう空気でやりました。

でも世界のことを「とても、愛しく思えるんだよ」っていうところだけは、愛情を込めて言ってほしいと。あらためてキノが自分の中で考えた結果「世界が愛おしい」が、この子にとって重要なんだなと思ったので、あれが最初の言葉で良かったなと思いました。そこからちゃんと、キノの世界に導入できれば良いのかなと思いました。

――入りとしては本当に素晴らしかったです。

悠木:脚本がすごく素敵だなと思いました。「何となく、だけれどね…」って始まる感じもキノっぽいし、最後まで見ると、キノから話し出したわけではないと分かるようになってるんです。そういうところもすごくニクい演出だと思いました。

――ただ、その言葉が出てくるにしては、1話も残酷な話ではあったというか。

悠木:原作を読んでもらうと、1話ってそれほど残酷な話でもないんですよ。もっとやばいのはたくさんあるので(笑)。だから、1話としてはとてもちょうどいい塩梅だなって。

――そうなんですよ! ちょうどいいし、『キノの旅』ってこういう話なんだってわかりやすいというか。

悠木:あぁ。なんか『キノの旅』を見るための覚悟みたいなものですよね(笑)。この作品を見るには覚悟が必要なんだよっていう。人はこういうふうに死んでいくし、国の正義というのもこういう描かれ方をするし。それで、あなたはどう思いましたか?っていうのがすごく詰まったチョイスでもあります。

――そうです、そうです。タイトルだけ見ると牧歌的な話なのかと思ったら、全然違うんだよっていう。初めて見る人には最適な1話でした。

悠木:あと、1話でキノに人を殺させないっていうところも、キノのニュートラルさを見せることができたのではと思います。変な話、1話で「コロシアム」を持ってくることもできたはずなんです。そうすればシズも陸も登場するし。でも、1話で「人を殺すことができる国」がきて、2話で「コロシアム」という流れもすごくいいなと思いました。やっぱり1話での覚悟がないと、「コロシアム」は衝撃が強すぎるので。

――ですね。でも、そうやって人も死ぬし、国の正義もあるしというところで、冒頭のセリフで、世界が愛しいと言えるキノが、やっぱりいいんですよね。

悠木:あれすらもキノは愛おしいと思っているという。当時からのファンとしての自分も、良い1話だったと思います。

――(スタッフ)時雨沢先生は、アバンのセリフを聞いて「ああ、キノだなあ……」と言っていました。

悠木:そうなんですか! すごく嬉しいです。先生に認めてもらえるのは、ありがたいです。

――他に1話での思い出はありますか?

悠木:結構、台本のト書きがちょっとおかしいんです。1話冒頭でキノが出会う旅人の男Aが登場するシーンに「朗々と語る男A 彼は若いのだ」ってト書きにあったりして、それが面白くて(笑)。「若いのだ」「でしょうね」って思ったんですけど、ト書きから皮肉っていうのもキノらしいなと思いました。あと現場もすごく変わっていて、キノとエルメス以外、ほぼ毎回出るようなレギュラーがいないので、アフレコブースが毎回はじめましての感じになるんです。

そこで、『キノの旅』の説明から入る空気があるんですけど、最終的にみんな同じことで面白がったり和らいだりするところがキノっぽいというか。現場の空気が、静かに仲良くなって、そして帰っていくみたいな感じがして、居心地がいいなと思いました。

――キノの1つの国には3日間だけ滞在するルールに似ていますね(笑)。では最後に、ファンへのメッセージと今後の見どころをお願いします。

悠木:ぜひ、新たな『キノの旅』として楽しんでほしいですし、以前の作品と見比べてもらいたいとも思ってます。特に第2話の「コロシアム」は、前作でもやっていたお話だったりするので。

やっぱりここでシズと陸が出てくるし、作中でも第2の主人公のような立場なので、この話は欠かせないんですよね。ニュートラルと言っていたキノのエゴも、すごく入ってるんです。

基本的に、それがエゴかどうかが判断基準になるような人なんですけど、いろいろ読んでいる中でも、「コロシアム」が一番エゴが出ていると思うんですよね。そういうキノ自身の感覚が出ているお話でもあると思うので、ぜひ楽しみにしていてください。

あと、単純にアクションがカッコ良かったです。アクションが見せ場になっているというところが、新しい『キノの旅』の見どころの1つだと思います。銃と刀で戦うって、すごく熱いです!

[取材・文/塚越淳一]



『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』第3話は本日10/20(金)22:00~AT-Xにて、TOKYOMX、TOKYO MX、サンテレビ、KBS京都、BS11、AbemaTVにて24:30~放送!
放送情報詳細: http://www.kinonotabi-anime.com/onair/

さらに、10/20(金)24:00~はニコニコ生放送にて第2話『コロシアム』が配信します!
番組ページ:http://nico.ms/lv307335145?ref=sharetw

ぜひこの機会に御覧ください!

 

作品情報
■TVアニメ「キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series」

『世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい』
――短編連作の形で綴られる人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。

シリーズ累計820万部突破!電撃文庫が誇る時雨沢恵一の不朽の名作『キノの旅 the Beautiful World』が2017年10月、再びアニメ化決定!

●放送局情報
・AT-X:毎週金曜22:00~
<リピート放送>
毎週日曜8:00~
毎週月曜14:00~
毎週木曜6:00~

・TOKYO MX、サンテレビ、KBS京都、BS11:毎週金曜24:30~

●配信情報
AbemaTV:毎週金曜24:30~ ※地上波同時配信

・10月13日(金)より毎週金曜日配信予定:
niconico(ニコニコ生放送/ニコニコチャンネル)/GYAO!/フジテレビオンデマンド/バンダイチャンネル/Hulu/アニメイトチャンネル/dアニメストア/ひかりTV/J:COMオンデマンド/ビデオパス/アニメ放題/U-NEXT/Amazon/Rakuten TV/DMM.com/ビデオマーケット/HAPPY!動画/ムービーフルplus

※ニコニコ生放送は毎週金曜24:00~配信(ニコニコチャンネルでは最新話は配信開始から一週間無料・第1話は常設無料)

・10月18日(水)配信開始予定:
PlayStation(TM)Video
※放送・配信日時は予告無く変更になる可能性がございます。

●キャスト
キノ:悠木 碧
エルメス:斉藤壮馬
シズ:梅原裕一郎
陸:松田健一郎
ティー:佐倉綾音
師匠:Lynn
相棒:興津和幸
フォト:水瀬いのり
ソウ:緒方恵美
ほか

●スタッフ
原作:時雨沢恵一(電撃文庫刊)
キャラクター原案:黒星紅白
監督:田口智久
シリーズ構成:菅原雪絵
キャラクターデザイン:アミサキリョウコ
総作画監督:アミサキリョウコ・立川聖治
プロップデザイン:廣瀬智仁・竹上貴雄
エフェクト作画監督:橋本敬史
色彩設計:合田沙織
撮影監督:平川竜嗣
CGディレクター:内山正文
編集:森田編集室
音楽:出羽良彰
音響監督:飯田里樹
音響効果:上野 励
音響制作:マジックカプセル
プロデュース:EGG FIRM
アニメーション制作:Lerche
OP&EDテーマ:やなぎなぎ
製作:キノの旅の会

アニメLINE@アカウント: @kinonotabianime

>>TVアニメ「キノの旅」公式サイト
>>TVアニメ「キノの旅」公式ツイッター(@kinonotabianime)
>>「キノの旅」原作公式サイト

(C)2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/キノの旅の会
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