声優
細谷佳正&井上和彦「極上voiceメソッド」インタビュー

声優・細谷佳正さん&井上和彦さん「極上voiceメソッド」インタビュー――おふたりがオーディオブックを通して感じた“生き方”とは?

豪華声優陣×ビジネス書ベストセラーという夢のコラボレーションが実現したオーディオブックの新レーベル「極上voiceメソッド」。その第一弾が5月25(金)、第二弾が6月29日(金)より絶賛配信中です!

「極上voiceメソッド」とは、オーディオブックの最大手である「オトバンク」とアニメやコミック等のコンテンツ界を牽引するアニメイトグループの「フロンティアワークス」によるプロジェクト・オトワークスから発売するオーディオブックの新レーベル。

斉藤壮馬さん、前野智昭さん、森久保祥太郎さん、野島健児さん、細谷佳正さん、井上和彦さんら豪華声優陣の演じる個性豊かなキャラクターが、ガイド役としてエスコート。ビジネス書や自己啓発本になじみのない方でも楽しめる内容になっています。

そこで今回は、第一弾から岸見一郎さん・古賀史健さん著『嫌われる勇気』の朗読を担当した細谷佳正さん(青年役)と井上和彦さん(哲人役)にインタビューを実施。それぞれが『嫌われる勇気』を通して感じた“新しい発見”や収録中のエピソード、聴きどころなどについてたっぷり語っていただきました。

▲(左)細谷佳正さん、(右)井上和彦さん

▲(左)細谷佳正さん、(右)井上和彦さん

「嫌われる勇気」で細谷さんと井上さんが見つけた“新しい発見”

――今回はオーディオブックということで、実際に収録してみていかがでしたか?

細谷佳正さん(以下、細谷):普通のアニメや外画のアフレコは、映像に乗せながら相手のお芝居など現場で感じることを吸収しつつセリフを言うアウトプット的な作業なんです。でも、今回のオーディオブックは自己啓発本で、アドラーの考え方を、教える本ということもあり、自分で「なるほど!」と感じながらセリフを言うインプット的な感覚がありました。

井上和彦さん(以下、井上):そうそう。僕は哲人役として出演させていただいていますが、自分で読みながら「勉強になるな」と感じましたし、教えられる部分がたくさんありました。スケジュールの関係上で、細谷くんと1回しか一緒に収録ができなかったんですけど、「やっぱり一緒に収録するのは良いな」って。

細谷:僕も思いました。

井上:1人で収録する時はその気持ちをずっと持っていましたが……何と言っても一緒に収録した時の(細谷さん演じる青年の)圧のすごさが……(笑)

細谷:(笑)

井上:そこまで来るか!? みたいな(笑)

細谷:青年は、哲人が言っている“アドラー心理学なんて絵空事だ”というのを何とか認めさせたいんですよね。最初に、井上さんとは下巻の「幸せになる勇気」でご一緒させていただんですが、上巻の「嫌われる勇気」のラストで“何てすごいことなんだろう!”って学んだ1年後に「話が違うじゃないか!」というシーンから始まるのが面白かった(笑)。

井上:(青年に対して)「この人、何も学んでない!」って思うよね(笑)

――「嫌われる勇気」は青年と哲人の対話形式で進んでいきますが、演じる際に心がけたことはありますか?

細谷:オーディオブックはアニメのように映像がなく耳でしか情報がないので、本を読んでいるような感覚を心がけました。普段の日常会話のようにラフな感じでやりすぎてしまうと、耳で聞いたときに違和感を覚えると思うので、インタビューを受けている時のように“なるべくきっちり喋ろう”と。普段の声のお仕事では“ナチュラルさ”を心がけていますが、今回は聞いている人に分かりやすく伝えるよう“語り手”としての意識が大きく占めていました。

井上:哲人という人を演じなければならないので、“この人はどうして哲人になったんだろう?”という気持ちを持ちながら収録しました。哲人は俗世間ではなかなか触れることのない崇高な部分や、生きるとはどのようなことなのか真剣に考える人。その部分を感じながら、“自分も教えを伝える人になっていかなければならないな”、と。後、青年がガツガツに攻めて来るので「いい加減、分かってくれよ!」とイライラしないように気をつけました(笑)

一同:(笑)

細谷:哲人の言っていることも分かるんですけど、青年の物分かりが悪い部分を見せていかないと、哲人との会話が成り立たないので。僕はイライラしながら演じていました(笑)

井上:「何を言ってきてもイライラしないぞ」と(笑)

細谷:僕は「何を言われてもイライラするぞ」と(笑)

一同:(笑)

――収録中のエピソードがあれば教えてください。

細谷:「幸せになる勇気」の中に、人を褒めてはいけない叱ってはいけないという“賞罰教育”が出てきます。教えてあげることは良いけれど褒めたり叱ったりすると、褒められるため、叱られるための行動を起こすという内容です。ディレクターさんが「良い本ですよね」と言いつつ、収録時に「今のセリフすごく良かったです!」と褒めてくださった時はどこか複雑な気持ちでした(笑)

井上:そういう意味では、1つ1つの内容に思い当たる部分がたくさんありますよね。「自分もそう思っていた」「そういう風に生きていかなければいけないな」など、全てのエピソードに思い入れがあります。収録時には思わなかったことが、後で読み返してみると違う見方ができたり。5年、10年後にはまた違った受け取り方ができるのではないでしょうか。なので、5年、10年後にも僕たちの声をまた聞いてもらい、違う発見をしていただきたいと思います。

――「嫌われる勇気」の聴きどころがあれば教えてください。

細谷:やっぱり、何について話をしているのか、何を提案しているのか、その“内容”に注目してください。僕ら声優の仕事は、他者の評価で成り立っているところがありますが、他者の評価を気にしないことの大切さがこの本に書かれています。自身の仕事に人生をかけている方もいらっしゃると思いますが、仕事=自分の生き方ではないと思うんです。声優や役者は職業名なのに生き方と混合されがち。でも、職業というのは生きていくための手段であって、職業の前に“自分という人間”がいるんだと。この本がきっかけで、そう思えるようになりました。

声のお仕事をさせていただく中で、いろんな方からお言葉をいただき自分を変化させては成長していく部分が僕自身多かったと思います。確かに、相手からいただく言葉はありがたいですが、自分で吸収すべきものとしないものを見極めて取捨選択する力も必要だな、と。ただ、全てが大事な事に思えたし、それを出来るだけ吸収しようと思っていました。

だからこそ、「嫌われる勇気」にある“賞罰教育”を読んだときに、教育の最終目標は「自立」だという言葉が印象に残っていて。「自立するために、教えはあり、教育はあり、他者の言葉はある」という言葉に強く影響を受け、自分の生き方の指針にしようと決めました。詳しい内容はぜひオーディオブックを聴いていただき、みなさんとその考えを共有できたら嬉しく思います。

井上:実は、「興味があるけど、本を読むのはちょっとなぁ……」っていうのが僕自身なんです(笑) でも、今回のお仕事をきっかけに読ませていただいて、本当に読んで良かったなと思います。活字が苦手な方はぜひ僕らの声を聴いていただいて、そして、その後に本にも触れていただけたら、もしかしたら新しい発見があるかもしれません。僕自身、何ヵ月間かこの作品に関わらせていただいて、生きるのが楽しくてラクになりました。

「嫌われる勇気」で書かれているように、子供と大人どちらの方が偉いのではなく、子供から教わることもある。社会で生きていると上下関係に悩まされがちですが、横のつながりに意識を向けることの大切さをこの本で感じられると思います。なので、たくさんの人に読んでいただいて、新たな気づきをたくさん見つけていただけたら嬉しいです。

▲(左)前(右)後

▲(左)前(右)後

――どんな方に聴いてもらいたいですか?

細谷:人の顔色を気にしてしまう方にぜひ聴いてもらいたいです。例えば、他人がAの意見を出したとして10人中9人がAに賛成している、そして自分はBの意見。そこで、本当の自分の意見を伝えたら相手の機嫌を損ねてしまうのでは、と言い出せないことが多いと思います。

僕自身、声のお仕事に関わらせていただく中、自分にとってベストである選択をしていかなければなりません。自分の選択で相手の機嫌を損ねたり、そこで切れてしまう縁があるかもしれないけれど、決して嫌われるためにやっているわけではないんですよね。「嫌われる勇気」の中で、他人が自分の意見に対して思う感情のことを“課題の分離”と呼んでいて、“他者の感情は自分で操ることができないから、自分の中でベストなことをやり続けていくしかない”と。その言葉にすごく感銘を受けました。

去年、休業させていただいたのですが、休業前は他者を意識する傾向が強く出ていたんです。声優というお仕事は、ディレクターさんの「OK!」という声に対して「本当にOKなのかな?」と疑ってしまう部分があります。「OK!」の声をそのまま鵜呑みにしてしまうと「それでOKと思うのか?進歩がないぞ」と言われちゃうような世界で。だからこそ、他人の言うことに対してすごく敏感になって、「他人が期待している自分にちゃんとなれているのか?」と考えすぎてしまうんです。

でも、そのことでいっぱいになると“自分の人生の主役が自分になれない”とこの本に書いてあって。それが今の自分の背骨になるような考え方になったので、ぜひ他人の顔色を気にしすぎて疲れている方に聴いてもらいたいと思います。
 
井上:すべての人に聴いてもらいたいですが、自分で自分を認められない方にぜひ触れていただきたいです。自分ですべきことはわかっているのに言い訳をしてやりたいことができなかったり。そんな方にこのオーディオブックを聴いていただいて、人と競争しない、人と比べない、自分が理想とする自分に向かって進んでいける後押しができたら良いな、と。生きるためのヒントがたくさん散りばめられているので、僕たちの声を聴いてそのように思っていただけたら嬉しいです。

――「嫌われる勇気」でそれぞれ影響を受けた部分があるかと思いますが、それ以外で今まで感銘を受けたものや、出会いはありますか?

細谷:僕は、堀江貴文さんの著書『すべての教育は「洗脳」である』に影響を受けました。

井上:僕は、この業界に入るきっかけをくださった永井一郎さんとの出会いです。永井さんは、人から言われたことをそのまま鵜呑みにせず、自分で確信するまでは自分でやって納得したものしか信じない方で。“もしかしたら別の可能性があるかもしれない”と思ったら絶対に試す。そして、自分で見つけた様々な可能性からひねり出して役を演じる。そんな姿勢に、「自分で信じられるようになるまでは、ちゃんと見なさい。人が何て言おうとそれだけを信じてはいけない」と教わりました。

――最後になりますが、普段の読書量や、今後オーディオブックとして読んでみたい作品があれば教えてください。

井上:シェイクスピアとか戯曲をたくさん読みたいですね。林真理子さんのエッセイとか、読んでいてスカッとするものも良いかも。あと、20代の頃に一生懸命読んだ、いわゆる文学(川端康成など)も音声化してみたいです。

もちろん読みたい本はありますが、時間がなくてなかなか手につけられない状態で。戯曲やエッセイに興味があるので、時間があれば読みたいですね。また、オーディオブックとして読んでみたいなと思うのは“文学”。20代の頃に読んでいた少し古い文学を音声化できたら良いなと思います。

細谷:読書量は大したことありませんが、今は『極上の孤独』という本を読んでいます。1人で生きていくにはどうすれば良いのか、と(笑) 僕自身、フリーで活動していることもあり、事務所に行って先輩と会いお話をすることができないので、そこを本で埋めようとしているところがあるかもしれません。今読んでいる本では、自分の肉体がどんどん老化していく時に品格や中身が表に出てくると書かれていて、誰かといたほうが寂しくなく安心感はありますが、自分と向き合う時間も必要だな、と。

お仕事をさせていただく中で、僕自身、“個性的でありたい”と思っているので、人の品格や人間について説いた本をよく読みます。もし、オーディオブック化できるなら、村上春樹さんの『スプートニクの恋人』をぜひ読んでみたいです。

――ありがとうございました。

[写真・取材・文:福室美綺]
 

「極上voiceメソッド」作品概要

第一弾、好評配信中!

 
◆作品名:『自分を操る超集中力』
著者:メンタリスト・DaiGo
voice:斉藤壮馬
出版社:かんき出版

◆作品名:『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』
著者:藤由 達藏
voice:森久保祥太郎
出版社:青春出版社

◆作品名:『嫌われる勇気』
著者:岸見 一郎、 古賀 史健
voice:青年・細谷佳正、哲人・井上和彦
出版社:ダイヤモンド社
 

6月29日より第二弾配信中!

 
◆『嫌われる勇気(後)』
voice:細谷佳正、井上和彦

◆『「原因」と「結果」の法則』
voice:野島健児

◆『超一流の雑談力』
voice:前野智昭

その後、7月にもリリース予定ですのでお楽しみに!

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