フランス実写版映画『シティーハンター』神谷明さん&伊倉一恵さんインタビュー|ゲスト出演にはあんな遊び心が!? 山寺宏一さん&沢城みゆきさんへのメッセージも
あまりにも有名なオーディション話
――今から30年前に思いを馳せていただいて、オーディションに受かった時、または初めて声を入れた時はどう感じましたか?
神谷:オーディションをやった時から、もちろん原作は知っていたんですけど、「この役はやりたい」「この役は自分だ」と思った作品はこの作品だけなんですね。
この役は、全てが揃ってないとできない役なんです。
シリアスな部分、優しい部分、ギャグがあったり、そのギャグ要素もいろんな種類があって、ある程度役者として揃ってないとできない作品だったんです。
ちょうど獠役のお話いただいた時に、自分がこの役を演じられる年齢になっていたので、それまで先輩達から沢山いただいたもの、それから自分で培ってきたものを全て注ぎ込めると感じて、これは絶対やりたいと思いました。
あとは原作者の北条司さんの作ってくれた『シティーハンター』という世界、それから獠というキャラクターで沢山遊ばせていただいたっていう感じですかね。楽しかったですよ。
伊倉:獠は、若い人じゃできない感じのキャラクターなんです。大人の懐の深さとか、人間の大きさがあるので。香は猪突猛進だし、どんどん行っちゃう感じ。何にも分からないし、やる時でかい声出しちゃうぞーくらいの勢いしかないみたいな、新人の私にはピッタリとハマった役だったとは思います。
これも長いこと言い続けてる話なんですけど、ものすごい二日酔いでオーディションに行っちゃって(笑)。「獠!」って大きい声を出すと、「うっ……!」ってなるのをおさえながら(笑)。「まずいなー」と思いながら、受けた作品だったんですよね。でも、受かったので(笑)。
今考えると、飲んじゃう理由も香っぽいちゃ香っぽいんですよ。何十年ぶりに同級生何人かと会ったんです。「これは飲まずにはいられないでしょ!」って。香だったら絶対飲んじゃうと思います。
私は体力さえ整っていれば、感覚的に普通にやっていけば、香になっていくんです。おこがましい話ですけど。
神谷:まぁ、でも「伊倉ちゃん=香」的なところって、僕らはやっていて感じていたんだよね。だから、ただ勢いがあるだけじゃなくて、可愛いし、優しいし。僕ね、改めて香という役を最近見直したんだけど、もう本当に魅力的な役だね。
伊倉:そうなんですけど!いや、言いにくくなっちゃうから!
だから、新人だった私は本当に嬉しかったんですよ。オーディションに受かったっていうのは実家で聞いたんですけど、あまりに暇だったので、スキーに行ってたんです。信州の実家の菅平に滑りに行って、天気があまり良くなかったから、家に戻ってきたんです。
そうしたら、事務所から電話が掛かってきて、「『シティーハンター』決まりました!」って言われて。もう、飛んだ! 飛んだ! どんだけ飛んだかっていうくらい廊下を走り回って喜んで、親に「もう床が抜けるから止めなさい!」って言われるくらい、大喜びしましたね。
獠と香、皆に好かれる理由は?
――獠と香は凄まじく人気なキャラクターだと思うんですが、二人が好かれる理由はどう考えられていますか?
神谷:獠は、男性からみても女性からみても、全てにおいて理想的なキャラクターだと思うんです。
いろんな場面で、皆さんがこういう芝居をしてほしいと願っているだろうなどと感じながら演じさせていただいています。
優しいところは本当に優しく、渋いところはおもいっきり渋く、アホなところはおもいっきりアホにやらせていただいて、それを皆さんが受け入れて下さったのだと思います。
――今でも男性の理想だなって思います。かっこいいの塊ですよね。
神谷:皆さんのイメージを自分の肌で感じられたので、おもいっきり演じる事ができました。
伊倉:かっこいいの塊ですよね。普通、それにくっついてる女の子はヤキモチを焼かれちゃいますよね。でも、香はヤキモチを焼かれないタイプなんじゃないかなって思うんです。
どっちかと言うと依頼してくる美女に「あんな人は獠と並んでいてほしくない」って思う感じ。
香は、ハンマーを振り回して、色っぽくないところが女性ファンから共感を呼んでるところなんじゃないかなって思います。色っぽかったら多分アンチがいると思うんですよ。「香、許さん!」みたいな。
私もあんまり甘くなるのが好きじゃないんですけど、今回の実写版がすごく分かっているのが、甘くないんですよ。
獠が香をボコボコにするんですよ。パンチングボールをぶつけっちゃったり。香もやりかえしたりね。その連続。そういうのがみんなに受け入れらているんじゃないかな。
神谷:伊倉ちゃんは、ラブシーンとかあると照れちゃって駄目なんですよ。だからあの関係がいいんだよねー。べたべたしない。
伊倉:そうなんですよ。でも時々出てくるんですけど、そういうのを香は苦手だと思うんですよね。私もなんですけど(笑)。ちょっとお恥ずかしいみたいな。
――女性から見たら、自己投影だったり友達みたいな感じなんですかね?
伊倉:だと思います。獠もかっこいいの塊なんですが、実際に存在する感じがするんですよね。香もそこにいる感じがする。その辺で軽口を叩きあっているって感じがするんですよね。ハンマーを振り回しているのは虚構の世界ですけど(笑)。
そういうのが受け入れられているところかなと。新宿に行ったら会えそうな気がしちゃう。
――香だったら、獠を譲ってもいいやみたいな(笑)。
伊倉:そういう感じになってくるんですよね。
――他の人だったら嫌なんですけどね。
伊倉:ですよね。シメシメ……(笑)。