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ロリガBD-BOX発売記念|出合小都美×むとうやすゆき対談(前編)

『ローリング☆ガールズ』Blu-ray BOX ~5周年記念特装版~発売記念座談会|出合小都美(監督)×むとうやすゆき(脚本) 前編【第3弾】 ロリガ誕生秘話、そして今だから語れる主演声優陣への思い

2020年12月16日に『「ローリング☆ガールズ」Blu-ray BOX ~5周年記念特装版~』がリリース! WIT STUDIO初のオリジナルテレビアニメ作品として、2015年1月~3月に放送され、何かに夢中になって頑張って生きている、世にいる普通の人々(モブたち)に勇気を与えたTVアニメ『ローリング☆ガールズ』。それだけにコアなファンも多く、その声を受けて、今回のBlu-ray BOX発売となった。アニメイトタイムズでは、そんなロリガファンの胸が熱くなる座談会を実施している。

第3回では、監督の出合小都美さん×脚本のむとうやすゆきさんのお二人に『ローリング☆ガールズ』が生まれるまでと、メインキャストへの今だから語れる思いを聞いた。

選ばれし者ではなく選ばれなかった者にスポットを当てた物語

――『ローリング☆ガールズ』(以下:ロリガ)のBlu-ray BOXが発売されると聞いたときは、どう思いましたか?

出合小都美さん(以下、出合):出るのか!と。むとうさんがスピンオフ小説などを続けられているのは知っていたので、ひとつの形としてファンの方にお届けできることは、すごく良いことだと思いましたし、純粋にうれしかったです。

――監督に来ていただいたので、『ロリガ』について、企画の始まりから伺いたいと思うのですが。

むとうやすゆき(以下、むとう):もうかなり前の話になりますが、TVアニメ『戦国BASARA』シリーズからスライドした座組でオリジナル作品を、というお話をいただいたんです。当初のお題として「美少女バトルモノ」であるとか「方言女子」「ご当地色を出す」といったようなものがあった記憶があります。

『戦国BASARA』を劇場版までやってきた中で、強い武将たちの戦いに吹き飛ばされる足軽、すなわちモブたちってどんな気持ちで生きているのかな、と常々思っていまして。選ばれし者ではなく、選ばれなかった者の頑張りにスポットをあてるのはどうだろうと。ぼくと三名ほどのプロデューサー陣でああだこうだとアイディア出しをして企画書に起こしていって、それを客観的にとらえ統括してくれる方いうことで、出合さんに監督として加わっていただきました。

――監督が加わったときには、ある程度話ができていたのですか?

出合:私はWIT STUDIOの中武哲也さん(アニメーションプロデューサー)に声を掛けていただいたのですが、そのときはむとうさんの企画で、イラストレーターのtanuさん(キャラクター原案・イメージボード)も参加されていて、キーとなる話のイメージイラストもある状態でした。メインの4人のビジュアルも、今の状態に近い感じで上がっていましたね。

――モブの女の子が主人公という点についてはどう思いましたか?

出合:面白いと思いました。女の子4人が頑張る話をやりたいとおっしゃっていたので、それだったら自分でもできるのかなって。当時はまだ若かったこともあって、飛びつくように参加させていただいたと思います。

――監督が入ってから、積み上げて行くものもありましたか?

出合:基本的にむとうさんが考えたものに、シナリオ打ち合わせでアイディアを出し合いながらブラッシュアップしていったような感じでした。

むとう:変則的なスタートのしかただったこともあって、かなり野放図に書いてしまい収拾がつかなくなりそうになっていたところ、終始冷静な視点で上手くまとめていただきました。

キャラクター原案のtanuさんがちょっとしたネタやメモからイメージをひろげてくださる方で、それが嬉しくてこちらもtanuさんの小さな走り書きを拾って膨らませたりしているうち、おかしな世界像がどんどんひろがってしまっていたのを、ズバッと「これは捨てましょう」「ここは切りましょう」とやっていただけて助かった覚えがあります。

――キャラクターコメンタリーを聞いていても、設定は多そうですよね。

出合:大変でしたね(笑)。物語って、骨太な芯があって、そこに付随する枝葉の部分から派生したものを回収しながら、本題から逸れないように作っていくのが普通だと思っていたんですけど、むとうさんにtanuさん、さらにあとから加わったキャラクター設定の北田勝彦さんが、枝葉の部分を大きくするんですよ(笑)。それはポジティブで面白い部分なんですけど、本来物語は伝えたいものを伝えるものなので、脇の部分って落とさないと分からなくなるんです。

でも、この作品はモブの物語ということで、その枝葉も積極的に拾うようにはしました。そこが面白みになれば、作品の豊かさが表現できるんじゃないかなと思って作業をしていたと思います。

――これは枝葉の部分になるのかもしれませんが、たとえばバイクに乗って旅に出るところや、SF要素、もしくはTHE BLUE HEARTSのカバーなど、要素はすごく多くあって、一体これは何のアニメなんだろうと、最初に見たとき思ったんです。これは、どこかに引っかかってほしいみたいなことだったのでしょうか?

出合:それはまさにそうで、1話はいろいろと盛り込みすぎたこともあって、よく分からないという感想も散見されて、「そうだよね」と思いながらやっていたんですけど(笑)。ただ、その中でも、どこかに面白みを感じて楽しんでくれる、各々で解釈を楽しんでくれることを信じて、作っていったところはあります。

――最初にSF要素というか、世界観の説明があったのですが、あれはどのくらい知っておけばいいのでしょうか?

出合:SF要素はむとうさんがいろいろ考えていましたよね? 

むとう:SFというより、当初のお題にあった「ご当地色」を誇張した形で表現するための方便というか。ちょっとへんな方向へふくらんでしまったところはありますが(笑)。今って早めに答えが出ないとついて来てもらえないようなところがあるのですが、そうじゃないんだ、この子たちはこの世界の主人公じゃないんだと気づいてもらえると、あまり考えないで楽しめるようになっていると思います。出合さんのおっしゃる通り、観てくれる人を信じてそっちへ突き抜けてみようという感じでした。

出合:確かに、この物語は望未(CV.小澤亜李)たち主観の物語だから、世界がどうなっているのかって実はあまり重要じゃないという話もしていた記憶があります。

むとう:選ばれし主人公であれば、どうしたってその世界の真理や秘事に近づいていくことになっていくんですけど、この作品ではその役目はどこかで他の人が担っている(笑)。それは設定上モサと呼ばれる力を持っているヒロイックな人たちの中の誰かなのだと思います。

でも、望未たちが知ることはないから決めこんでいないかというと、世界設定はあるにはあるんです。ただ、その時々のリアルな時代背景によって違った想像ができるように、あえてはっきりかためきらずにおいたところもあります。そのおかげで、アニメの五年後に書いているスピンオフ小説で時代の変化に応じた背景設定のアレンジをすることができたりもしています。

――たしかに設定をあえて明言しないのは良いかもしれないですね。

むとう:良いと思ってくれる方と、やはりそれがストレスになってしまう方とがいらっしゃいます。本来は日常系作品の登場人物のはずなのに、おかしなテーマパークのような世界に放り込まれちゃった、みたいな普通の子たちのお話なので、視点がそこへは向かわないという感じでしょうか。

出合:設定が気になってしまう人は、やっぱりいますからね。

――難しいところなんですね。

むとう:いつもの見方というか、第1話の序盤を観て「バトルアニメだ」と思ってしまったら、もう宇徳真茶未(CV.藤村歩)と執行玖仁子(CV.大浦冬華)がメインと思ってしまうんでしょうね。なんで3話から出てこないんだ、って。

――最初から2人が派手に戦っていましたからね。

むとう:難しいことをやろうとしていたと思いますが、ああいうふうになれない、そうは生まれつかなかったモブの子たちが頑張る、という部分をちゃんと自分の目で見て感じ取ってくれた人たちが一定数いて。放送当時は意味がわからなかったけど、最近観直してみたらとても好きな世界だったと言ってくれる人もいる。多くの人が一発で「面白い!」と思う題材ではないのかも知れませんが、意外と一定年齢になると刺さったりするところがあるのかも。

(C)2015 The Rolling Girls 製作委員会
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