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ロリガBD-BOX発売記念|出合小都美×むとうやすゆき対談(後編)

『ローリング☆ガールズ』Blu-ray BOX ~5周年記念特装版~発売記念座談会|出合小都美(監督)×むとうやすゆき(脚本) 後編【第4弾】 望未たち4人が巡った国々について、じっくり振り返る

広島・岡山編 #9 ~ #12 誰でも誰かのヒーローになれるんだっていうことが描けた

――クライマックスは、4話分ですね。スケールもかなり大きくなりました。

むとう:2つの土地を股にかけてやりましたね。

――実は、一度で理解するのが難しかったです……。

むとう:たしかにちょっと複雑ですよね。岡山と広島の密約。とはいえあれは言葉で説明する以外なくて、出合さんにはご迷惑をおかけしたなと。

出合:説明シーンは難しいですよね。どこまで見せれば理解してもらえるのかの限界ギリギリはどこなのかを、シナリオ会議でもやり取りしていた記憶があります。

むとう:その説明が、けっして「見せたいところ」ではないというのが辛いところで。

出合:そうなんですよね。本当はそこを観てほしいわけではないけど、ある程度説明をしないと状況や人物の関係性を理解できなくなるという。

むとう:ご当地ごと、2話ごとで国々の状況が違うから、その都度それを提示しなければいけななかったんですよね。やり始めてから、これは1クールではきついなって(苦笑)。でもそれはそれとして、なんとなくの状況とキャラクターを楽しんでくれていた方々も多くて。

出合:わりとキャラで楽しんでもらっていた人は多かった印象はあります。それこそこちらが求めていたもので、設定とかを気にしだすと、もはや打ち合わせに来て、聞いてもらったほうが早いみたいな感じだったので……。

むとう:そもそも荒唐無稽な世界ですからね。「なにか揉めてんだな」くらいで観てもらえたらいいかなっていうのはありました。

キャストさんから、岡山の設定で、藤原春と藤原桃(CV.上田麗奈)の親子がいて、さらに九鬼温羅(CV.横山智佐)という、桃の実母が出てくるんですけど、その2人のお母さんと娘の関係がすごく良かったと言っていただいたんです。見てほしいところを見ていただけていたなって。

――そのシーンで、実は千綾にも生みの親と育ての親がいて、所沢大統領の御園ハルカ(CV.大原さやか)も千綾と同じ宇宙人で、実の母親のもとに千綾を返すために頑張っていたんだということが分かって、感動したんですよね。

出合:春と九鬼温羅が戦っているときに、千綾が逢衣に「どっちもお母さんだよね!」って大事な台詞を言うんですけど、そこは意識して演出させてもらいました。あそこは、御園大統領に向けての千綾の台詞に聞こえてもいいのかなと。

――そのあと逢衣が、モブなのにモサ同士の戦いを止めに行くという流れまで含め、すごくいいシーンでした。さらにここで、逢衣は月明かりの石があればモサになれると思っていたけど、実は石は関係なかったということもはっきりするという。

出合:そうですね。実は石はあまり意味がなく、力を持っている人とか、何か強い気持ちを持っている人のもとに降ってくるものなんです。

――ここでのクライマックスは、本当にスケールが大きくて、ロボットや宇宙船などが出てくるので見応えはすごくあったし面白かったんですけど、個人的にささったのは、やっぱり何気ないシーンでして……。クライマックスで、真茶未も再登場するんですけど、もともと真茶未(=マッチャグリーン)が負傷し、その代理人として依頼主の元に行く旅に出た望未が、真茶未と再会したとき、真茶未が望未の頭を撫でずに、望未を頼るんですよね。そこで望未の旅の目的って果たせたんじゃないかなと思えて泣けてきたんです。このシーンを見たかったというか。

出合:そう言ってもらえると、すごくありがたいです。どんな素っ頓狂なお話でも、キャラクターがどういうゴールを迎えるかというか、何を得るのかが大事で、それこそが「物語」なのではないかなと思っているので、そう受け取っていただけたなら、成功したと言っていいのかなと思いました。

むとう:あそこは出合さんが横位置ワンカット処理でやってくれたのを見てニクイなあと思いました。すごく良かったなって。同じ目線になったというか、保護の対象と見られていたところから「頼むね」って相棒のように接せられるという。それを受けての千綾の「のんすけは私のマッチャグリーンだったよ」のくだりで、誰でも誰かのヒーローになれるんだっていうのを描けたのかなって。

月並みですけど、おれの父ちゃん母ちゃんは冴えないな~って、すごいアスリートとかアーティストに憧れるけど、それでもやっぱり父ちゃんの背中を見てカッコいいなと思う瞬間があったり、母ちゃんってすげえなって感じたり、そういうモブとしての矜持みたいなものが、こういうかわいいビジュアルの世界で表現できたらいいなと思っていたので、それが伝わっている人たちがいること、こうやってボックスまで辿り着けたことにほんとうに感謝しています。

――そしてラスト。千綾を無事に宇宙に送り出して、そこから時間が経って、3人が集まっているシーンが、とても良かったです。

むとう:座談会のVol.1でも申し上げましたが、当初頭の中だけで物語を考えているときは、この旅が終わったらみんなそれぞれ自分の道をいって、もう会うこともなかったりするのかな、みたいなイメージだったんです。それが、演者さんまで含めたみんなの手でつくりあげていくうちに、どんどん優しい世界になっていって、4人が想像以上に仲良しになっていったので、最後の望未の家に集まるシーンはとても感慨がありました。

出合:あのラストシーンは、望未たちの後日談で、望未の家でお団子を食べたりしたあと、バスに乗ってどこへ行くのかな?というところで終わるんですけど、もしかしたらその先に誰かと会うのかな?という匂わせ方をしたことで、物語が全然終わっていないようになっているんです。それが個人的に、希望がすごくあって好きなラストだなと思っています。

むこう:望未がバスに乗るときに、ちょっと空を見上げるのがいいですよね。ふと見ただけかもしれないし、もしかしたら意味があるのかもしれない。

出合:それは見ている人のご想像にお任せするということで(笑)。

――監督としては、伝えたいことをフィルムにすることができましたか?

出合:もちろん拙いところはありましたけど、できたと思います。やっぱり『ローリング☆ガールズ』に関わってくれたスタッフのみなさんが、面白いものにしようと全力で向かってくれた作品だったとあらためて思います。それがフィルムに出ているんだろうなって。

むとう:おっしゃる通りだと思います。脚本って工程の始めで、最初に現場を抜けてしまうポジションなんですけど、仕上がりを見て、物語を受け取ってくださったフィルムスタッフのみなさんの熱やパワーが伝わってきました。不思議なもので、そういうのって映像に滲み出るんですよね。

出合:むとうさんが込めた情熱が、シナリオから溢れ出ていたので、それが最後まで走り切る活力になっていたとすごく思います。

[取材&文・塚越淳一]

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Blu-ray BOX ~5周年記念特装版~ 初回限定生産

価格:19,800円(税込)
発売日:2020/12/16 発売

ストーリー

地方自治をめぐる「東京大決戦」の終結から10年がたち、都道府県がすべて独立国家となった列島。
ご当地色をテーマパークのように肥大化させた各地域では
「モサ」と呼ばれる能力者が自警団を率いて統治、あるいはその一翼を担っていた。
そんな中、あちこちで巻き起こるご当地トラブル!
戦禍うずまく国から国を、なぜか平和請負人代行(世直し)を務めることになった4人の女の子たちがゆく。
世のため、人助けのため、そして「月明かりの石」を探すため、
よそ者の「モブ」とそしられつつも、4人はがんばり、ふんばって、今日もバイクで旅をする・・・!

収録内容

◆本編(TVアニメ全12話)

◆映像特典
☆PV No.01~04
☆Blu-ray BOX 発売記念CM
☆ロリガ・ロック・エクスプロージョン!OPムービー
☆ロリガ・ロック・エクスプロージョン!EDムービー「振り返り映像 ~旅の思い出~」
☆Yell from THE ROLLING GIRLS(小澤亜李ver.)
☆Yell from THE ROLLING GIRLS(日高里菜ver.)
☆Yell from THE ROLLING GIRLS(種田梨沙ver.)
☆Yell from THE ROLLING GIRLS(花守ゆみりver.)

※「Yell from THE ROLLING GIRLS」はメインキャストによる新規収録音声を使った特典です。
※「Yell from THE ROLLING GIRLS」の映像は本人映像ではありません。

◆音声特典
☆完全生中継!ロリガトーク!(全12話分)
<望未・結季奈・逢衣・千綾によるキャラクターコメンタリー>
※過去のBlu-ray商品に収録されていたものと同一の音声特典です。

☆完全生中継!匠トーク!(全12話分)
<新規録り下ろしのスタッフ&キャストによるコメンタリー>

<出演>
1~2話:出合小都美(監督)、中武哲也(アニメーションプロデューサー)、むとうやすゆき(脚本)
3~4話:出合小都美(監督)、中武哲也(アニメーションプロデューサー)、むとうやすゆき(脚本)、「ローリング☆ガールズ」公式Twitter担当
5~8話:日高里菜(小坂結季奈 役)、種田梨沙(響逢衣 役)、むとうやすゆき(脚本)
9~12話:小澤亜李(森友望未 役)、花守ゆみり(御園千綾 役)、むとうやすゆき(脚本)

キャスト

森友望未:小澤亜李
小坂結季奈:日高里菜
響逢衣:種田梨沙
御園千綾:花守ゆみり

宇徳真茶未:藤村歩
執行玖仁子:大浦冬華
音無ゆかり:古木のぞみ
御園ハルカ:大原さやか
羽原アキ:かないみか
鈴本のり子:真堂圭
鈴本文:水谷優子
魚虎姫子:五十嵐裕美
鈴鹿友亀:細谷佳正
ダンディ:大塚明夫
一条美沙:中原麻衣
豆千代:早見沙織
酒呑童子:小西克幸
菊志乃:久川綾
名余竹輝夜:伊藤静
石作志麻:勝生真沙子
藤原春:田中敦子
藤原桃:上田麗奈
九鬼温羅:横山智佐

ばん子:あゆか
籾山蔵之介:関智一

ほか

※商品仕様・特典内容等は都合により変更になる可能性がございます。

封入特典

☆1st SINGLE CD「夢」/THE ROLLING GIRLS

※特典は無くなり次第、終了とさせて頂きます。ご了承下さい。

≪収録曲≫
01. 夢(THE ROLLING GIRLS)
02. 夢(森友望未 CV:小澤亜李 ソロver.)
03. 夢(小坂結季奈 CV:日高里菜 ソロver.)
04. 夢(響 逢衣 CV:種田梨沙 ソロver.)
05. 夢(御園千綾 CV:花守ゆみり ソロver.)
06. 夢[inst.]

-Bonus Track-
07. 月の爆撃機(森友望未 CV:小澤亜李 ソロver.)
08. 月の爆撃機(小坂結季奈 CV:日高里菜 ソロver.)
09. 月の爆撃機(響 逢衣 CV:種田梨沙 ソロver.)
10. 月の爆撃機(御園千綾 CV:花守ゆみり ソロver.)

※01~06新規収録楽曲/07~10は再収録楽曲です。

☆特製メモリアルボックス※キャラクター原案・tanu描き下ろしイラスト「THE ROLLING GIRLS」使用(初回)

※特典は無くなり次第、終了とさせて頂きます。ご了承下さい。

関連リンク

公式サイト
公式Twitter(@therollinggirls)

(C)2015 The Rolling Girls 製作委員会
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