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アニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』が考察してもしなくても面白い理由

アニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』が考察してもしなくても面白い理由|クオリティの高さとともに“絶対的な答えのない物語”の楽しさを知った話

2021年1月~3月末にかけて第1~第12話が放送され、6月29日(火)に本編の続きを描く特別編が放送予定となっているオリジナルTVアニメーション『ワンダーエッグ・プライオリティ』。

数々のTVドラマ脚本を担当してきた野島伸司氏が初めてTVアニメの原案・脚本を務めていることや、毎話“劇場版レベル”とまで称される映像のクオリティ、「自殺」を中核に据え、さまざまな謎を提示しつつ、思春期の少女たちの葛藤や機微を生々しく描いた奥深いストーリーなどで話題を集めました。

しかし、序盤の段階では状況や設定などがあまり語られないままお話が進んでいくため、頭の中にどんどん「?」がたまっていき、最初のほうで観るのをやめてしまった、という方も多いかもしれません。

「それがいかにもったいないことか! お話が進むにつれ設定が明かされることで面白くなっていくのに!」と、本記事を書くにあたり筆者は当初そう思っていたのですが、冷静に改めて作品について考えると、そう単純な話ではないのかも? と思うようにもなりました。

というのもこの作品、もしかしたら「提示された問題(謎)のすべては解決しない、絶対的な答えのない」作品かもしれないからです。そしてそれがアニメの楽しみ方のひとつであることを教えてくれたようにも感じます。

そこで今回は、前半は設定や物語のネタバレなしでも分かる作品の魅力を、後半はネタバレありで筆者がそう思うに至った理由を掘り下げる2段構えで作品について語りたいと思います。

アニメイトタイムズからのおすすめ

“意味ありげ”な映像

なによりも一番最初に『ワンダーエッグ・プライオリティ』の魅力として挙げられるのは「作画(映像)のクオリティの高さ」だと思います。

これに関しては実際に見てもらったほうが早いと思うので、まずはこちらのPVをご覧ください。

放送直前PV

いかがだったでしょうか? キャラクターの動きはもちろん、背景や小物にもかなりこだわって作られていることが伝わってきたと思います。そしてなにより“意味ありげ”な映像に感じたのではないでしょうか。

キャラクターの視線の変化や、髪の毛がはらりと垂れるような細かい部分の動き、物の質感や、空気の温度や湿度まで感じられるような画作り、影の付け方、カット割り……などなど映像内のさまざまな要素に、「なにか意味がありそう」と感じたことと思います。

もちろん、アニメに限らず映像作品には無駄なシーンや画は存在せず、当然なにかしら伝えたいことがあるわけですが、ユーザーはついつい忘れがちになってしまうというか、「ただ見てる」だけになってしまうこともしばしば。それが絶対悪ということではないですが、もったいないことではあると思います。

本作には「なにかありそうだ」と思わずじっと見入ってしまうような、クリエイターの意図、もっといえば執念のようなものが映像ににじみ出ているのです。ミステリなどある種「全部が伏線」といった作品ではないのに、「一瞬でも見逃せない」と感じるきめ細やかな映像に仕上がっています。

0:10あたりのご飯に卵が落ちる映像だけで「魅せられる」というか「おっ」と興味をそそられる作品ってなかなかないですよね。

また、作品公式ツイッターは、制作に携わったアニメーターさんたちのツイ―トをかなりの数リツイートしており、制作途中のアニメーションを見ることができます。着彩や撮影処理などが乗った最終的な映像の美しさはもちろん、途中段階の時点ですさまじいクオリティだということが再認識できるので、こちらもぜひチェックしてみてください。

 

 

 
 

一見ファンタジー、その実リアルな物語

続いては物語について。まずは簡単に作品の内容を紹介します。

喋るマネキン人形のような不思議な存在「アカ」「裏アカ」からもらえる「ワンダーエッグ」。これを持つことで行けるようになる「エッグの世界」で、護衛対象となる女の子を、人の心の闇が具現化したモンスター「ミテミヌフリ」および、女の子のトラウマの象徴「ワンダーキラー」から守り、倒し続けることで、自分の大切な人を生き返らせることができる、と知った4人の14歳の少女の戦いを描いた物語となっています。

いじめられていた自分にとって唯一の友だちだった「長瀬小糸」の自殺をきっかけに不登校となった主人公・大戸アイをはじめ、妹が自死に至った理由を追い求める理知的な少女・青沼ねいる、自分の言葉によってファンの子を死なせてしまったかもしれないと考える元ジュニアアイドル・川井リカ、同性の友だちからの告白に対する過ちを苦悩する中性的な少女・沢木桃恵という、4者4様の悩みと生き返らせたい人(戦う理由)を持つメインキャラクターが繊細に描かれます。

戦闘や交流の中で4人の少女が葛藤するさまや、エッグの世界や「アカ」「裏アカ」の存在などの根本的な謎といった作品の通底的なテーマがありつつ、1話ごとに異なる護衛対象の女の子にまつわるテーマがあるのも本作の特徴のひとつ。

護衛対象となる女の子たちはみな自殺しており、もう現実世界にはいません。アイたちは彼女らをいわば“成仏させて徳を積んでいく”ことで、大切な人を生き返らせようとするわけですが、この女の子たちのトラウマがとにかく重く、体罰や性暴力、後追い自殺やカルト集団に傾倒した末の一家心中など、他人事と割り切れない社会の闇が生々しく描かれ、思わず顔をしかめたくなるほど。

ポップな色使いで一見ファンタジックな印象が先行する中、その実かなりのリアリティを盛り込んだテーマとなっており、クオリティの高い日常芝居も相まって、絶妙な現実感を伴った物語が進行していくのです。

声優陣の演技・歌唱のクオリティの高さ

作品世界のリアリティを一段と引き上げているのが声優陣の演技。主人公・アイの声を担当するのは、『IDOLY PRIDE(アイドリープライド)』成宮すず役でデビューし、本作が初主演となる相川奏多さん。初主演とは思えないほど巧みなお芝居で、揺れ動く10代の繊細な心に寄り添い、見事に表現しています。相川さん自身16歳とアイと年齢が近く、よりキャラクターのリアリティを引き上げているのも特徴です。

演じ分けも素晴らしく、物語初期の少し怯えているような声音から、徐々に徐々に内なる感情を爆発させて敵に立ち向かっていく際の叫び、エッグを通してできた友だちに心を開いていき弾む声、逆に友だちを気遣い優しく語りかける声など、そのときそのときのアイの心情の変化がしっかりと伝わってきます。

アイが作中もっとも感情の変化がはっきり見えるキャラクターなのに対し、もっとも見えにくいのが、楠木ともりさん演じる青沼ねいると、斉藤朱夏さん演じる川井リカのふたり。一口に「見えにくい」と言っても性格は真逆といえるほど違います。

ねいるはいつも冷静で、表情もあまり変わらず、一見無愛想にも見えるキャラクター。ですが、芯には優しさがあり、感情的な振る舞いが苦手なだけということが物語が進んでいく中で分かっていきます。その少しだけにじみ出ている感情を楠木さんが絶妙なニュアンスで表現しています。

リカは逆に、4人のムードメーカーともいえるほどおしゃべりでお調子もの。4人で会話しているときは心底楽しそうなのですが、彼女の内面に迫るシーンやモノローグでは雰囲気がガラリと変わります。一見飄々とした声や表情に隠されたものを斉藤さんが丁寧に表現しているのです。

最後のひとりは矢野妃菜喜さん演じる沢木桃恵。男子と見紛う自身の容姿に苦悩しており、本当はめいっぱい女子らしくしたいというキャラクターで、尖った3人に比べ、一番「年頃の女の子」感があります。その“等身大の女の子”を見事に表現しつつ、戦闘時には勇ましさ、カッコよさもきちんと出す、という矢野さんの技量が光ります。

声優陣の歌唱も本作の魅力のひとつ。OP・ED主題歌を上記の声優陣4名のユニット「アネモネリア」が担当しています。『ラブライブ!』シリーズをはじめ、さまざまな活動で実力を示してきた楠木さん、斉藤さん、矢野さんはもちろん、相川さんの歌唱力も抜群。スフィア・TrySailなどが所属するミュージックレインに身を置くだけあり、「歌える声優」としての意識の高さ、練度の高さがうかがえます。

考察しなくても面白い

ここまで作品のストレートな魅力をお伝えしてきました。筆者がなによりも言いたかったのは、「極端なことを言えば、お話が分からなくても、考察をしなかったとしてもこの作品は面白い」ということです。単純な画のクオリティや表現の面白さ、センスがズバ抜けており、そういった視覚的、聴覚的なものだけでも十分に魅力的だということが伝わって、興味を持っていただければ幸いです。

それでも、早めに設定が分からないといまいちのめり込めない、という方はぜひ第8話「明るい友達計画」を観てみてください。この話数はアイたちを導くアカ・裏アカが、これまでの物語を振り返る、という設定の第1~第7話の総集編となっており、ストーリーや設定が改めて丁寧に説明されています。動画時間の3分の2ほどまではほぼ重要なネタバレもないので、第1話を観た直後でも問題ないくらいです。

アニプレックスの公式YouTubeチャンネルにて、6月末まで期間限定で無料公開されていますので、ぜひチェックしてみてください。

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