
TVアニメの前日譚『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』内山昂輝さん、逢坂良太さん、土屋神葉さんインタビュー│壁を感じてもがき苦しむ恩田に男性声優陣も共感?
サッカーを描くという難しいテーマに挑む今作。期待の3倍、すごくなっているはず!
――主人公の恩田と自身の演じるキャラクターとの関係性について、どう考えていますか?
土屋:ライバルチームのセンターバックなんですが、恩田とは幼なじみでサッカーを始めるきっかけでもあるんです。だから、友情はあるけど、絶対に負けられないという関係性だなと思っています。
仲が良いからこそお互い勝ちたいという気持ちがあるのはすごくカッコいいと思いますし、そういう関係性に憧れてしまいます。
内山:中学生が仲間たちと協力して他校に勝つんだ!と、上を目指して頑張る姿を見て、羨ましく思いました。自分は大会で全国を目指すような部活じゃなかったので、そういう思い出も欲しかったなって。だから基本的には戦う仲間というイメージです。
――山田鉄二(テツ)と竹井薫(タケ)は恩田の同級生で同じサッカー部員なので、恩田に対する特別な感情もあるのかな?と思ったのですが……。
内山:淡い気持ちは持っていると思いますけど、彼らの生活って学校とサッカーの練習でほとんど終わっていると思うし、映画でも恋愛面がことさら深く描かれるわけではなかったんです。
そういう要素(恋愛面)はあるけど、爽やかなムードでカラッとした感じで、あくまでも大事なのはサッカーなんだろうなと捉えていました。たとえばそこにもっと比重を置く物語だと、主人公が練習に手がつかなくなってしまうとか、そういう展開が考えられるけどなかったので、作品を通して爽やかな印象を持っていましたね。
逢坂:恋愛部分に関しては濃くは描かれなかったので、男どもが恩田に対する気持ちをちょこちょこ吐露するくらいの感じだったのかなと思います。
すごく簡潔に描いているなと思ったのは、劇場版の中にはないんですけど、テツが恩田を背負って帰っているときに、タケが「俺はモテるゾ!!!」と言うんですよ。それ自体が恩田に対するアピールのような感じもしたりして、そこにタケの感情が表れていて、すごくいいなとは思いました。
でも恩田にとって一番大事なのはやはりサッカーで、タケもそこは崩してはいけないと思っているので、複雑な感情があるんだろうけど、今は恩田に対して何かしてはいけない。だから恋愛ではなく、親友とか仲間という気持ちが優先されているんだろうなと思っています。
――映画のアフレコでの思い出はありますか?
逢坂:アフレコでは、監督から事細かな説明があるというわけではなく、自分の持っていった考えを受け取ってくださっていたなと思います。でもたまにすごくこだわるところがあったりして、そこの意図は読みきれなかったんですけど(笑)、「ここはこだわりたいんだな!」と思いながら表現していました。
内山:あと、念頭に置くべきだなと思っていたのは、中学生の話だということですね。それはよく言われました。だって白石涼子さんが中1の男性キャラクター(恩田希の弟の順平役)を演じていますから。
僕らの一つ下の学年を女性が演じているので、ここで声変わりしたんだなと(笑)、そういうことも含めて年齢の雰囲気は結構重要だったと思います。
逢坂:そういう意味では土屋神葉くんも若いので、我々30代は、そっちに合わせなければいけなかったけど(笑)。
土屋:えっ! そんな変わりますか?(笑)
内山:あと、試合中の「パスパス!」とか、プレイに関わる言葉は綿密に作られていて、たくさん録りました。キャラクターが映っていなくて画面外から聞こえてくるようなセリフも細かく設定されていてそこをまとめて録る時間もありました。
――では最後に、劇場版で見てほしいところをお願いします。
土屋:収録で気になったところは、恩田が試合中にナメックの成長の凄まじさに驚くところでした。そういう衝撃って、たぶんいろいろな人が感じたことがあるものなのかなと思うので、その、でっかい「えっ!」みたいなところはぜひ見てほしいですね。その感情を疑似体験できるんじゃないかなと思うので。
内山:サッカーの試合がどう描かれるのかが、やはり一番の見どころだと思います。サッカーって11人対11人で絶えず動き続けるスポーツなので、(制作を考えると)アニメで描くのは大変な作業だと思うんです。
監督がサッカーをすごく勉強したという話をプロデューサーから聞いていたので、試合をどう見せるのか、スポーツアニメとして注目してほしいです。
逢坂:僕もサッカーの試合部分はリアルに描かれているんじゃないのかなと思っていて、楽しみにしています。あと、月1くらいでサッカーの試合を見に行きませんかって誘いをいただいていたんですよ。
制作の方がチームを組んでサッカーのことを知ろうとしていたみたいなんですけど、リアルにサッカーを体験して映画を作ろうとしていることをすごく感じたので、映像がどうなっているのか、この作品のいちファンとしても期待したいです。きっと、僕らが思っている3倍すごいことになっています!
[取材・文・撮影/塚越淳一]
『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』作品情報

新宿バルト9ほかにて全国ロードショー中!
◎入場者特典
原作:新川直司先生描き下ろしコミック“『さよなら私のクラマー』第0巻”の配布(数量限定)
今しかできない、わたしの挑戦
■イントロダクション
女子中学生サッカープレイヤー・恩田希は、誰よりも練習し、誰よりも努力してきた。それでも、彼女は試合になかなか出してもらえなかった。
藤第一中学校、男子サッカー部──。それが、彼女の今いるフィールドだ。
中学2年生となった希は、監督に「新人戦の1回戦に出たい!」と何度も願う。
その理由は、対戦相手にあった。
一緒にサッカーを続け、小学4年生で転校していった、幼馴染の“ナメック”谷安昭がいる、江上西中学校なのだ。
「サッカーはフィジカルだ。身体のデカイ俺に、女のお前が敵うわけがない。男というだけで俺は──お前を超えたレベルにいるんだ」
再会したナメックから受けたその言葉を、希は試合に出て、勝つことで、はねのけたかった。
「上等だわ。見せてやろうじゃない。私に何ができるのか」
希の孤独なチャレンジに、いま、ホイッスルは鳴らされた!
■キャスト
恩田 希:島袋美由利
越前佐和:若山詩音
山田鉄二:内山昂輝
竹井 薫:逢坂良太
谷 安昭:土屋神葉
恩田順平:白石涼子
鮫島幸造:遊佐浩二
■スタッフ
原作:新川直司
「さよならフットボール」「さよなら私のクラマー」(講談社KC刊)
監督:宅野誠起
脚本:高橋ナツコ
キャラクターデザイン:伊藤依織子
音楽:横山 克
脚本協力:大草芳樹 リンリン
サッカー演出:石井 輝
サッカー考証:大草芳樹
プロップデザイン:伊藤依織子 佐賀野桜子
美術監督:齋藤幸洋
美術設定:青木智由紀 イノセユキエ
色彩設計:野地弘納
CGディレクター:松嶋古記
画面設計:田村 仁
撮影監督:棚田耕平 後藤晴香
編集:吉武将人
音響監督:鶴岡陽太
音響効果:森川永子
企画協力:高見洋平 江田慎一 小田太郎 立花 耕 片山裕貴
プロデュース:斎藤俊輔
アニメーションプロデューサー:柴 宏和
アニメーション制作:ライデンフィルム
製作:「映画 さよなら私のクラマー」製作委員会
配給:東映
■主題歌
小林愛香「空は誰かのものじゃない」(トイズファクトリー)










































