映画
『ゴーストバスターズ/アフターライフ』吹替声優・梶裕貴インタビュー

映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』日本語吹替版声優・梶裕貴さんが夢を語る|『ゴーストバスターズ』も、吹替作品も受け継がれていく

1980年~1990年代の映画作品に共通する感覚

――梶さんご本人が思う本作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』の中での見どころをお聞かせください。

梶:プロトンパック、ニュートリノ・ワンド、ECTO-1といった、ゴーストバスターズならではのガジェットが出てくるだけで、ワクワクします!しかも、ECTO-1を発見するのは、僕が演じるトレヴァーなので、まずそこにテンションが上がりました。あと『ゴーストバスターズ』と言えば、マシュマロマン!本作にも、かわいらしいミニ・マシュマロマンがたくさん登場しますので、お楽しみに。レイ・パーカー・ジュニアさんの歌う『ゴーストバスターズ』のテーマ曲や“ノーゴースト”でおなじみのロゴマークも健在です。オリジナル版からのファンの方は、それだけで大興奮じゃないですかね。それから、ネタバレになってしまうので、あまり詳しいことは言えないのですが…クライマックスシーンには、間違いなくグッとくるはず。ハンカチ必須です。

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、家族再生の物語でもあると思うんです。父と娘、祖父と孫。人間ドラマがすごく魅力的だなと感じました。

 

――『ゴーストバスターズ』という作品は、1984年に公開された作品ですが、お詳しいですね。

梶:いやいや!それほど詳しいわけではありません。ただ、なぜか1980年代から1990年代頭ぐらいの映画の雰囲気が好きで。世代かといったら、きっとそういうわけではないんでしょうけれど、TVの再放送などでよく見ていました。

父親が映画好きだったこともあり、小さい頃に一緒に見ていた時の楽しかった思い出も上乗せされているのかもしれません。最近は吹替のお仕事をやらせていただく機会も増えて、もっと勉強したいなと思い、作品を見返したりしています。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(※1)や『ミクロキッズ』(※2)は、本作との共通点も多いですよね。夢とロマン、それから遊び心の詰まった王道ファンタジー作品。本当にワクワクします!

シリアスな物語の軸がありつつも、思わず笑っちゃうような空気感でドラマが展開していき…でも最後には、圧倒的な人間ドラマで視聴者の心を掴んでいく。まさに黄金パターンですよね。そのカタルシスが、この『ゴーストバスターズ/アフターライフ』にもあるような気がしてたまらないんです。


※1『バック・トゥ・ザ・フューチャー』:スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮&ロバート・ゼメキス監督による1985年のアメリカのSF映画。続編として、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989年)と『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(1990年)も公開された。

※2『ミクロキッズ』:ジョー・ジョンストン監督による1989年のアメリカのSF映画。続編として、『ジャイアント・ベビー/ミクロキッズ2』(1992年)と『ミクロキッズ3』(1997年)も公開された。


――作中で気になったキャラクターはいますか。

梶:先ほども話に出てきたマシュマロマンは、もはや作品の代名詞みたいな部分もあると思うので、とても印象的です。出てこなかったら淋しいなと思っていたところ、今作ではミニ・マシュマロマンという形で登場してくれて、とても嬉しかったですね。

あとは、ポール・ラッドさんがグルーバーソン先生役として出演されているところ。コミカルもシリアスも、どちらのお芝居も魅力的な俳優さんなので、その良さが存分に発揮されているキャラクターだなと感じました。スーパーマーケットでのシーン、最高ですよね!(笑)

梶さんと吹替作品の思い出

――吹替作品の魅力についてお聞かせください。

梶:作品の理解度が抜群に上がることだと思います。字幕だけだと、物語の展開スピードによっては、どうしても文章量的に抑えていかなければならないですからね。でも吹替にすることで、純粋にテキストを増やすことができるし、視聴者としても字幕を目で追う必要がなくなるから、より映像としてのメッセージも入ってくるわけです。飛躍的に作品からの情報量が上がるんじゃないかなと思っていますね。

――吹替作品について、思い出はありますか。

梶:今のようにインターネットが普及しておらず、サブスク的なシステムももちろんなかったので、僕が子供の頃、映画を見る機会と言えば、基本的にはTV放送のみでした。放送さえしてくれればビデオテープに録画はできるわけですから、そういう意味でも放送日がすごく待ちどおしかったですね。

自分の気になっている作品や好きな作品がTV放送するという情報を得ると、1カ月くらい前からオンエアの日が来るのを楽しみにしていましたね。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『グレムリン』(※3)、『ホーム・アローン』(※4)は思い出深いです。


※3『グレムリン』:ジョー・ダンテ監督による1984年のアメリカのSF映画。続編として、『グレムリン2 新・種・誕・生』(1990年)が公開された。

※4『ホーム・アローン』:クリス・コロンバス監督による1990年のアメリカのコメディ映画。続編として、『ホーム・アローン2』(1992年)が公開された。


 

――吹替作品に参加される際に、心がけていることや事前の準備で工夫されていることはありますか。

梶:演じられている俳優さんそれぞれに個性や特徴がありますので、それをしっかりと汲み取り、日本語としての芝居と違和感がないように組み合わせていくことが大切だと考えています。なので、とにかく反復練習が大切なのかと。それと、役者さんによって喋るテンポや呼吸のリズムが全く違ってくるので、そのあたりは強く意識するようにしています。たとえば、喋り始める前に必ずと言っていいほど「スーッ」と息を吸われる俳優さんや、国によっては舌打ちが入る台詞が多い俳優さんもいらっしゃるので。台本によっては、文章の前に「(息)」や「(舌)」とあらかじめ書かれていることも。そういったものも含めて、演じる役者さんの癖などを細かく見て、アフレコに臨むようにしています。

――本作は日本語版吹替声優も豪華な顔ぶれですが、キャストが発表された時の心境をお聞かせください。

梶:アニメや吹替など、多方面で活躍されている大先輩方と共演させていただけたことが、とてもうれしかったです。個人的に、ポッドキャスト役を演じる高山みなみさんのお声に、子どもの頃感じた刺激的な洋画体験の記憶がフィードバックして、思わず「そう、これこれ…!!」と言ってしまいました(笑)。そんなこともあって、自分が声優のひとりとして、みなみさん演じる少年と行動を共にするキャラクターを演じるのは不思議な世界だなと感じつつ…(笑)本当に夢のような気持ちでした。とてもうれしかったです。

梶さんの小さい頃に触れていたもの

――本作のエンドロールで曲が流れた時に、小さい頃に見ていた映画『ゴーストバスターズ』の記憶が呼び起されるという方も多いと思います。梶さんが小さい頃に触れていたもので、記憶が呼び起されるものはありますか。

梶:最近は、子供の頃に見ていた作品の続編やリメイクが製作されるムーブメントが多く、個人的にすごくテンションが上がっています。純粋に嬉しいですね。この『ゴーストバスターズ/アフターライフ』もそうですし、『バイオハザード』もそう。他にも、僕は小さい頃から戦隊ヒーローに憧れていたのですが、ありがたいことに今、『機界戦隊ゼンカイジャー』(※5)という作品で、そのヒーローの一員として参加させていただいておりまして。子どもの頃、戦隊ごっこをする時に、よく変身時の掛け声なんかを真似していましたが…そのセリフを今、プロの声優になって、本物として言えているという事実が、とても感慨深くて。夢が叶ったなと嬉しく思います。

こういったご時世なので、ヒーローショーに行っても声出し応援ができないという状況なのですが…それでも、マスクをした子供たちが一生懸命にサイリウムを振ってエールを送っている様子を見ると、やはり胸を打たれますね。それから、まもなく公開される『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』(※6)にも、ありがたいことに出演させて頂いているのですが、この作品は1985年に公開されたタイトルのリメイクで。というのも、1985年というのは、ちょうど僕の生まれた年なんです。『ゴーストバスターズ』もそうですが、やはりどこか不思議なご縁を感じざるを得ませんね。本当に本当に嬉しいです。

2021年になって、この「ゴーストバスターズ」シリーズが、初代から続く物語として新たに製作されたことも夢のようですし、それに参加できることも奇跡のように感じています。頑張ってきてよかったです、本当(笑)。これを励みに、さらに気を引き締めて努力していきます!


※5『機界戦隊ゼンカイジャー』:2021年3月より放送されている東映制作による戦隊ヒーロー作品の第44作目。梶裕貴さんはゼンカイガオーンの声を担当。

※6『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』:1985年の映画『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』のリメイク作品で、2022年3月4日(金)公開。梶裕貴さんはロコロコ役の声を担当。


 

――梶さんが役柄を演じられるうえで、ご自身が大切にされていることがありましたら、教えてください。

梶:すごくシンプルで、ざっくりしているんですけど、演じるキャラクターのことを好きになることです。“そのキャラクターの声”という意味では、ある種分身として、その時間だけは共に生きさせてもらえるので…もちろん作品によってスタンスは違いますけど、それでも一番キャラクターのことをわかってあげたいし、味方でいてあげたいという思いはあります。

原作がある作品であれば、それを読みこんで、自分の担当するキャラクターが登場しないシーンも想像して埋めて、アフレコに臨みます。愛情と熱意、それから物理的な準備は、やはり大事かなと。『ゴーストバスターズ』でいえば、過去にシリーズがあるわけですから、それを見直して、もう少し踏み込んだところまで世界観を理解できればなと考えましたね。

僕らの生きる現実世界と同じで、役柄によって、当然いろいろな立ち場、考え方の人がいるわけですけれど…それを単純な善悪だけでカテゴライズしないことも大切なことかなと思っています。たとえば、その作品に悪役とされる人物がいたとして、その人の抱える“悪”とは何だろうと考えるのです。もちろん純粋な悪意を持っているキャラクターだって存在するかとは思いますが、そのほとんどが“主人公から見た時の悪”なんだと思うんですよね。その作品にとって、立ち位置としての悪者であっても、きっとそのキャラクターの中には何かしらの理由があって、その“悪”と言われる行為をしているんだろうと。ただ「悪者と言われているから悪く演じる」とかではなく、なぜそういった行動をするのかという部分を共感して…共感できずとも想像して演じるというのが大事かなと思っています。

 

――ルーティンワークのようなものはありますか。

梶:特に決まったルーティンみたいなものはないですね。ただ…なぜか、とある作品に関わる仕事の時だけ、必ず毎回履くパンツがあります(笑)。なんとなく白と黒の印象が強い作品に参加している時に、たまたま白と黒とパンツが目に入ったので、1話の収録時にそれを履いて行ったんです。で、たまたま2話の収録時にも、そのパンツが目に入ったので履いて。そうしたら、それ以降もうそのパンツしか履けなくなってきて(笑)。

僕、物持ちがいいタイプなんでしょうね。長く大事に使っているものほど、使えなくなるまで使いきりたくて。ちなみに、とある作品というのは『進撃の巨人』。参加してから約9年ぐらいになりますね。なので、実はパンツにもちょっと穴が開いてきているんですけど…まだ履けるので大丈夫です(笑)。こうなったら、最終話の収録まで履き続けてやろうと思います!

――それはゲン担ぎ的なイメージもありますか?

梶:きっと、もはやそうなっているんでしょうね。

――そういうことはよくあるんですか。

梶:あまりないですね。基本は黒ばかり着て、なるべく目立たないように生きようとしているんですが…最近は、逆に黒すぎて目立っていると言われてしまいます(笑)。

最近占い番組に出た時に、番組上ではオンエアされていないんですけど、「ラッキーカラーはこの色ですよ」と言われたので、ちょっと意識してその色を取り入れようとしています(笑)。

――作品を楽しみにしている方々ファンの方にメッセージをお願いします。

梶:あの『ゴーストバスターズ』が帰ってきます!もしかしたら、皆さんより僕の方がうれしいのではないかなと思うぐらい、とても興奮しております!(笑)本シリーズに初めて触れるという方も十分楽しんでいただける作品だとは思いますが、オリジナル版の内容を知っていることで、2倍…いや、10倍ぐらい満足度が違ってくるのではないかと思います。なので、ぜひオリジナル版をご覧いただいてから映画館に行っていただきたい!なぜ僕がこんなに興奮しているか、きっと分かっていただけるはずです。

――ありがとうございました!

 
[取材・文/宋 莉淑(ソン・リスク)]
 

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』作品情報

2022年2月4日(金)全国の映画館にて公開中!

 

 
原題:Ghostbusters: Afterlife
US公開日:2021年11月19日(金)

監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:ギル・キーナン/ジェイソン・ライトマン
製作:アイヴァン・ライトマン

出演:マッケナ・グレイス、ポール・ラッド、フィン・ウルフハード、キャリー・クーン、ローガン・キム、セレステ・オコナー

日本語版吹替声優:上白石萌歌(フィービー)、高山みなみ(ポッドキャスト)、朴璐美(キャリー)、梶裕貴(トレヴァー)、木内秀信(グルーバーソン)、日笠陽子(ラッキー)

 
オフィシャルサイト:https://www.ghostbusters.jp/
Twitter:https://twitter.com/Ghostbusters_JP
Instagram:https://www.instagram.com/ghostbusters_jp/

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