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夏アニメ『神クズ☆アイドル』いそふらぼん先生×福岡大生監督対談【連載第1回】

ドタバタアイドル憑依コメディ『神クズ☆アイドル』TVアニメ今夜放送! 原作 いそふらぼん肘樹先生×福岡大生監督 対談インタビュー|「隅々まで小ネタが仕込まれています。原作を読まれている方は、見比べてみるのも面白いかもしれません」【連載 第1回】

「実は先生の知らない間に……」アフレコ裏話

――原作の5巻のあとがきにもありましたが、いそふらぼん先生はプレアフレコに行かれているんですよね。その後、本番のアフレコ現場にも行かれたのでしょうか。

いそふらぼん:1話だけは現場にお伺いしたんです。その他はリモートで音だけ聞いていました。プレアフレコは(去年の)7月、本アフレコは10月で。プレアフレコにお邪魔してたので、本番のアフレコには“予習済み”というような気持ちで行ったんですけど……。今井さんがこの3ヶ月の間にめちゃくちゃ練習したことが伝わってきて。「めちゃくちゃ変わってきた!」と驚きました。

福岡:あ、それに関しては裏話があります。その間にZINGSの歌録りがあったのですが、僕はそこに全部参加していて。そこで仁淀のディレクションをしていたんです。だから先生がいない間に、僕と今井くんと、音楽プロデューサーの佐藤純之介さんと、仁淀を作るための歌作りをしていました。逆に、歌から仁淀を探っていった感じなんです。

いそふらぼん:へええ〜そうだったんですね!

福岡:そうなんです。実は影でディレクションを繰り返し、今井くんと純之介さんと「あーでもない、こーでもない」と言いながら試行錯誤していました。

――例えば、監督からはどのようなディレクションをされていたんでしょう?

福岡:いろいろ話したんですが……でも今井くんって仁淀みたいな感じでさらっと歌えてしまうタイプなんですよ。

いそふらぼん:基本的にうまいですよね。

福岡:で、歌い終えると忘れるんですよ。

――忘れる!? 仁淀くんっぽい……!

いそふらぼん:アハハハ!

福岡:その瞬間にすべてを出し切るので「忘れちゃうんですよね、俺」って。「今井くん、まじで仁淀だな!」って思いました(笑)。プレアフレコ、レコーディングを経て……さらに今井くんは東山さんのライブDVDを見て、ものすごく勉強してきたんですよね。予習をしすぎたせいか、神仁淀のほうがよくなりすぎてしまいました(笑)。

いそふらぼん:あはははは!

福岡:最初、今井くんは仁淀のクズ感を演じるほうが上手かったんです。神に寄りすぎてしまったところがあったので、そのあたりはディレクションをした記憶がありますね。「今井くん、もっとクズで!」と(笑)。

――「もっとクズで」(笑)。

福岡:そもそも主役としての声を出すのって難しいんですよね。主役の声は場を支配する役割を持ってますから。今井くんの場合は、初主演で2役を演じるようなものなので、そこは大変だったと思います。だからディレクションに応えて、誠実に演じていく今井くんを見て「マジでこの子やべぇな」って思ってました。もちろん良い意味でですよ(笑)。すごいことです。

いそふらぼん:すごく真面目に取り組んでくださってますよね。

福岡:でも仁淀役が決まってから「目が死んでると言われるようになったんっすよね」と言ってました(笑)。1話のときは少し初々しい感じなんですが、2話以降は東山さんがあばれまくってくるので(笑)、いい感じに仁淀くんとシンクロしていきますよ。

『神クズ☆アイドル』を彩る音楽のセカイ

――OP、EDだけでなく、それぞれの回の挿入歌も本作の見どころのひとつ。ところで、テレビ放送がはじまる前から、ZINGSは楽曲をリリースしたり、イベントを行ったりとさまざまなアイドル活動をされています。当初から決められていたことだったのでしょうか?

福岡:今回エイベックスさんが関わっているので、プロデューサー的な視点からすると「歌も売らなきゃいけないな」と思っていました。事前にエイベックスさん側からも「ZINGSのライブをやっていきたい、活動をシンクロさせていきたい」とも言われていたんです。つまりマルチメディアの展開をしなきゃいけないなと思っていました。

――歌の数もかなりありますよね。

いそふらぼん:そうですねアニメにはさまざまな曲が登場します。漫画の中のZINGSより多いかもしれない……。

福岡:いや……最初は20曲って話だったんです。アルバムを作るのに20曲くらいはないといけないだろうな、なんて思ってたんですけど、いろいろな曲をもっと入れたいし、アサヒちゃんの曲もほしいなぁ〜、Cgrassの曲も欲しいなぁ〜……って感じで、オーダーを出しているうちに増えていきました(笑)。どんな曲ができたかは、放送を楽しみにしていてもらえたらと思います。

――いそふらぼん先生は以前「アイドルは歌から好きになる」とおっしゃっていましたが、

ZINGSの歌に関して、いそふらぼん先生から何かリクエストされたことはあったのでしょうか?

いそふらぼん:いえ。それぞれのキャラクターの声のイメージもなかったくらいなので、「ZINGSはこういう歌を歌うんだよ!」みたいなイメージも一切なかったんです。だから「好きにやってください」とお任せしました。確か、最初「(ZINGSの曲は)少年隊みたいなイメージ」っておっしゃってませんでしたっけ?

福岡:そうでした。ZINGSの曲は少し前の時代というか……1990年代のちょっと懐かしいJ-POPのイメージです。これはエイベックスのプロデューサーの方の言葉なんですが「ちょいダサカッコいい」というか。<暴れるハート 君にBANG>とか、まさにそんな感じですよね。

――ZINGSデビュー曲の「恋のBANG」ですね。王道アイドルソングといった雰囲気で、言葉が耳に残ります。

福岡:そう、耳に残る歌詞なんですよね。今の子から見たら「少しダサい」と思うかもしれませんが、ちょっと「え?」と思うくらいのほうが耳に残るんです。だってオープニング(OPテーマ「Let's ZING!」)がいきなり<ドラマチック空の下>から入るわけですよ。

いそふらぼん:仁淀ってこんなにラップとか出来るんだと思いました(笑)。

福岡:フルバージョンはさらにエグいんです。堀江くんが「ラップとかあるんだよね」って言ったときに、今井くんが「えっ、そうなの?」って言ってて。ここでも「マジで仁淀だな」と思いました(笑)。忘れてるっていう。しかも「俺的には恋のBANGのほうが難しかった」と言ってて。面白いです、本当に。一方のCgrassの曲は昨今のザ・アイドルって感じの雰囲気で作っています。ぜひ楽しみにしてもらえたらと思います。

――ZINGSの活動がまたすごいですよね。オンラインの初イベント「ZINGSお見立て会」があったかと思いきや、AnimeJapan2022でのパフォーマンスに、ファンミーティング。私はAJでの舞台を拝見させてもらったのですが、今井さん、堀江さんはZINGSの衣装に身を包んでいることもあって、本当にふたりがその場にいるかのような感覚になりました。

いそふらぼん:活動の振り幅がすごいですよね(笑)。「こういうことやりたいんだ」って言われるたびに「あ、やってみてください」と言ってました(笑)。確認はしてくださるんですけど、私は素人なので、基本的におまかせしてます。でもやりたいことっていうのが毎回斜め上なので驚いています。

福岡:今井くんがひとりでファンミやりましたからね(5月22日に開催された『ファンミーティングvol.0』は今井さん1人での出演)。しかも、そのファンミにみんな団扇を作ってもっていってくれて。

――すごい!それって作中にも出てくる「生きて!」とかの団扇なんです?

福岡:そうですそうです。それを見た今井くんが一瞬止まってたのが、仁淀っぽかったです(笑)。

――AnimeJapan2022では東山さんが「オンラインイベントのチケットを買って見ていた」というエピソードをお話されていましたが、出演者の作品への愛情がすごいですよね。

いそふらぼん:なんて優しい世界なんだろうと思いました。ありがたいことです。

福岡:ファンの方からも「この座組、本当に好きです」というお声をいただいています。神クズに関わってくださった役者さんたちは、皆さん「作品に関われて良かった」と言ってくれているんです。中には役に感情移入しすぎて「泣いてしまいました」という声もありました。

――そこまで役者に愛される理由に、作品の素晴らしさはもちろんですが、おふたりのお人柄もあるように思いました。

いそふらぼん&福岡:どうなんでしょうか(笑)

いそふらぼん:私はTwitterを介してでしか、人と仲良くなれない人間ですよ(笑)。Twitterを介さない交流を忘れてしまった……。

福岡:あはははは。

――Twitterと言えば、1話のリアルタイムでのおふたりのツイートも楽しみです。

いそふらぼん:最近どの媒体のインタビューでも、当然のように「先生のTwitterが……」とやたら言われるんですよ(笑)。

福岡:いや、だって先生のTwitterって神クズのコンテンツのひとつじゃないですか。吉野カズキ役の堀江瞬さんが「アカウントがいっぱいある」とバラしてましたね(笑)。実況は先生がやってくれるだろうから、自分は(リアルタイムでの中継は)良いかなぁと思ってます(笑)。

1話は小ネタにも注目?

――お話をうかがっていると、いそふらぼん先生は「なんでもやってみてください!」というスタンスだったんですね。制作側からするととても嬉しいだろうなと思いました。

いそふらぼん:私がこういうふうにしてほしいというより、いろいろやってくださったほうが……例えば、神クズは読んだこと無いけど、今井さん、堀江さんのファンだから追っかける!って人にしたら入りやすいでしょうし。私がどうというより、ファンのかた、読者のかたの気持ち優先でやって欲しいなと思っていました。

――ファンの方と言えば、本作にはファン心理を突いた言葉がたくさん登場します。推し活をしている方なら絶対に共感できるような言葉で。

いそふらぼん:私の描くセリフはTwitterを参考にしています。私のTwitterを見るとだいたい同じような言葉が出てくるんですが……。

――はい、もちろん拝見しております(笑)。

いそふらぼん:(笑)。私自身、作品を見て「こう思った、こう感じた」と表現することが好きなんです。オタクって自分の言葉で表現したり、自分の経験から共通点を見出したりすることがいちばん楽しいと思うんです。私もオタクなので「オタクはこういうこと言うだろう!」ってナメた気持ちではなく、オタクだからこういう時は「ここはあえて飲み込んで、こういうだろうな」ってすごく真剣に考えて書くようにしています。その言葉の組み立ては、書いていて楽しいところです。

福岡:オタク感って人それぞれというか。先生の言葉に寄せてアニメは調整しているんですけど、今、世界は多様性に満ちているのでどういった言葉づかいにするかは難しくて。誰かに当てつけるような感じではなく、自分が好きなことを「好きだ!」って叫ぶようなセリフを選びました。

――改めて、1話を楽しみにされている方に改めてメッセージをいただけたらと思うのですがどうでしょうか。

いそふらぼん:原作を読んでくださっているかたは「原作のここをすごく忠実に描いてる!」と見比べるのも楽しいんじゃないかなと。隅々まで仕込まれたネタなどを探しながら、見ていただけたらと思います。もちろん、神クズの原作を読んだこと無い方でも楽しめますので。

福岡:今ネタの話がありましたが、周りの人から「小ネタめちゃくちゃ仕込んでる」って言われるんです。本人的にはそんなに仕込んだつもりはないんですけどね(笑)。でも2話以降も、いろいろと登場します。

いそふらぼん:いやー……絵コンテを見ていても、監督が漫画を横に置きながら書いてくださったんだろうなというのが伝わってきました。私がふざけて描いた背景が忠実に絵に起こされていて驚きましたよ(笑)。例えば「嶺上開花ダンススクール」の名前とか……。

福岡:あはははは! Studio五組さんが初期に手がけられたアニメ(『咲-Saki-』)の主人公の必殺技が嶺上開花じゃないですか。それもあって笑いながら描いていました。

いそふらぼん:あれは私がたまたま麻雀アニメを見ながら原稿を描いていたんですよ。それ何も考えず描いていたんですけど、時を越えて、真面目にアニメにされてしまったので「恥ずかしい」と(笑)。

福岡:版権が関わらないものに関しては、出来る限り拾いました。「ここが見たかった!」って人がいるでしょうし。ちゃんとそのまま、モブも描きましたよ(笑)。

いそふらぼん:簡略化したモブをね(笑)。監督がめちゃくちゃ忠実に起こしてくれているところに注目してほしいです。

――ところで、AnimeJapan2022ではいそふらぼん先生が「神クズのキャラクターの中で誰と友だちになりたいか」とキャストに聞いておりましたが……今後メインキャストのインタビューも控えているのですが、おふたりからおうかがいしたいことはありますか?

いそふらぼん:監督から、何かありますか?

福岡:「もし幽霊になるなら誰に憑依したい?」。神クズのワールド限定で。

いそふらぼん:いい質問ですね(笑)。今回はそれでいきましょう!

――承知しました! 本日は貴重なお時間をありがとうございました。

[文・逆井マリ]

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TVアニメ「神クズ☆アイドル」作品情報

“クズ“アイドルに“神“降臨⁉

ドタバタアイドル憑依コメディ「神クズ☆アイドル」2022年夏TVアニメ化決定‼

顔はいい。しかし、歌わない踊らないファンサしない。まったくやる気のないクズアイドル・仁淀ユウヤ。

金のために芸能界に足を踏み入れたが、あまりの熱意のなさに、クビを宣告される。

そんなある日、出会ったのは神アイドル・最上アサヒの“幽霊”!?
正反対な2人がタッグを組んで、目指すはアイドル界の天下一!

この夏、稀代の無気力クズアイドル・仁淀ユウヤから(色んな意味で)目が離せない!

【放送情報】
テレビ東京:7月1日(金)より 毎週金曜25:53~
BS11:7月2日(土)より 毎週土曜22:00~
AT-X:7月2日(土)より 毎週土曜21:00~ 
<リピート放送> 毎週月曜28:30~/毎週土曜6:00~
※放送日時は変更になる場合がございます。

【スタッフ】
原作:いそふらぼん肘樹(月刊コミックZERO-SUM/一迅社刊)
監督:福岡大生
シリーズ構成・脚本:蒼樹靖子(スタジオモナド)
キャラクターデザイン・総作画監督:細田沙織
プロップデザイン:高村遼太郎
美術監督:井戸千尋
色彩設計:村田恵里子(グラフィニカ)
色彩設計補佐:萩原千颯(グラフィニカ)
3DCG:V-sign
3DCGディレクター:上薗隆浩
撮影監督:本間綾子
撮影:T2studio
編集:重村建吾
音響監督:郷 文裕貴
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
音楽:myu
音楽制作:エイベックス・ピクチャーズ、テレビ東京ミュージック
アニメ―ション制作:Studio五組
製作:「神クズ☆アイドル」製作委員会

【キャスト】
仁淀ユウヤ:今井文也
最上アサヒ:東山奈央
吉野カズキ:堀江 瞬

瀬戸内ヒカル:寺島拓篤
岬チヒロ:佐藤拓也
内濱アキラ:小林竜之
灘ユキナリ:石谷春貴
伯方ホマレ:阿座上洋平

信濃ヒトミ:喜多村英梨
河川敷:上田 瞳
ツギコ:大地 葉
しぐたろ:石見舞菜香
ナレーション:速水 奨
ほか

公式サイト
公式ツイッター(@kamikuzu_PR)

原作情報

「月刊Comic ZERO-SUM」(毎月28日発売/一迅社刊)にて好評連載中
ゼロサムオンラインでも完全無料でリバイバル連載中(第1・第3金曜日更新)
https://online.ichijinsha.co.jp/zerosum

コミックス第1巻~第5巻好評発売中

最新第6巻通常版・特装版、7月25日(月)発売決定‼

★「神クズ☆アイドル」第5巻の特装版は、今井文也(仁淀ユウヤ役)&堀江瞬(吉野カズキ役)が歌うZINGSのデビュー曲『恋のBANG』CD付きの豪華版!!

さらにいそふらぼん肘樹先生書き下ろしシナリオによる仁淀・アサヒ・吉野のボイスドラマ&キャストトークも収録!

CDに加えてZINGSの二人に迫る読み応えたっぷりの特別小冊子付き!

★購入はこちら

<CD収録内容>
1.『恋のBANG』歌:ZINGS(仁淀ユウヤ・吉野カズキ/cv.今井文也、堀江瞬)
2.ショートドラマ いそふらぼん肘樹がシナリオ書き下ろし!―『恋のBANG』の楽屋裏ー(出演:今井文也、東山奈央、堀江瞬)
3.キャストトーク (出演:今井文也、東山奈央、堀江瞬)

★最新第6巻通常版・特装版の購入はこちら

ZINGS 2ndSINGLE「MORNING」商品情報        

仁淀ユウヤ(CV.今井文也)&吉野カズキ(CV.堀江瞬)のアイドルユニット “ZINGS“が歌うセカンドシングル「MORNING」が好評発売中!

【商品情報】
商品タイトル:「MORNING」

発売日:2022年3月16日(水)
品番:EYCA-13691
価格:(税込) ¥1,650 (税抜) ¥1,500
収録内容:
1.MORNING
2.Hero’s
3.MORNING(instrumental)
4.Hero’s(instrumental)

(C)いそふらぼん肘樹・一迅社/「神クズ☆アイドル」製作委員会
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