冬アニメ『最強陰陽師の異世界転生記』セイカ役 花守ゆみりさん×ユキ役 小倉唯さんインタビュー｜セイカにとってユキは「自分に帰れる場所」。いなければ早々に物語が終わっていたかもしれない!?

ユキと話すことでセイカは安心できる

――少し話は戻りますが、オーディション時と、実際の収録時で、演技的に変わった部分はあったんでしょうか？

花守：最初は今世で出会う子たちへの接し方が冷たすぎたので、「もうちょっと優しくていいです」と言われて、そのさじ加減を最初の3話くらいで調整させてもらいました。

――3話以降は考えなくても自然にその調整ができるようになったんですね。

花守：メイベルとのエピソードで、セイカが真面目に怒るシーンがあるんですが、そこで「今だったら自然に怒れるかも」と思ってやったものが、テストテイクの段階で「この感じがいいです」と言ってもらえて。総監督にも終わった後に「おっ、セイカがセイカになってきた」と言われて安心しました。

一度死を経験しているということが、セイカを演じる上で自分の中でキーになっていて、どうやってそれを声に乗せられるかを考えていたときに、どこか達観している部分があるほうがいいなと思っていて。それを温度としてどうやって声に乗せればいいかは悩んでいましたね。少しずつ変わっていくものでもあると思ったので、「イーファたちのことをどれくらい大切にしていいんだろう？」と思いながら台本を読んでいました。

――小倉さんは、花守さんと掛け合いをする中で、今のお話のような苦労は感じられましたか？

小倉：私から見るゆみりちゃんのお芝居は、本当にセイカそのものという印象でした。あれだけの台詞量で、考えることも多くて、かつアニメーションにも合わせていかなければいけない、何重にも難しさがある役なので、集中力が素晴らしいなと、すごく尊敬していました。

話しかけたほうがゆみりちゃんの気が紛れるのか、それとも逆に集中したいタイプか、最初のほうは探り探りでした(笑)。話しかけたときに「話していただけるほうがありがたいです」と言ってくれて、そこからは割とたくさんお話をするようになりました。

花守：めっちゃ優しかったです。頭の切り替えができなくなっちゃうので、話してもらったほうがすごく楽なんですよ。

小倉：切り替えがやっぱりすごいなと思いました。

花守：セイカって、一回始まると喋り続けているような、モノローグと台詞が直結しているようなキャラクターなんです。なので、休憩に入るたびに速攻で唯さんに話しかけていました。邪魔だったらごめんなさい。

小倉：全然！　楽しくやらせていただきました。

花守：疲れてくると本当にどうでもいい話をしちゃうクセがあって(笑)。「遠くに小旅行に行きたいんです」みたいな話をずっと唯さんに聞いてもらっていました。

小倉：そういう意味では、セイカとユキのポジション感が芝居以外でも続いているというか。私も私なりにサポートしたいなと思っていました。

花守：私の神様です。

――お二人がガッツリと共演したのは、この作品が初めてに近かったんですね。

花守：ご一緒させていただく作品は今までもあったんですが、ここまでガッツリ共演するのは初めてでした。ですが、初めてと思えないくらい話せました。

小倉：この作品がきっかけで、二人でご飯にも行きました。

――小倉さんはテープオーディションで通ったということで、第1話の収録時は不安などもありましたか？

小倉：不安でしたね。アフレコで最初に演じたシーンは、オーディション原稿にもあったところだったので、自分のテープの音源も聞き返してみたり。

あと、作品の雰囲気や流れに少し感情が引っ張られてしまうことがあり、そこはディレクションをいただきました。「ユキは唯一の天真爛漫さがあるので、周りのシリアスなシーンを気にせずにいてほしい」ということを一番大事にして演じるようにしました。

――セイカ以上に状況を俯瞰して見ているキャラですもんね。

小倉：ユキの声を聞いてちょっと安心できるというか、「戻ってきたな」と少し平和を感じさせられたらいいなと思い、周りの空気感や世界観にいい意味で入り込みすぎないように、達観することを意識しました。

――花守さんは今のお話を聞いて感じたことはありますか？

花守：まさに唯さんが言っていた通りです。ユキちゃんが出てくるたびに「ああ、ようやくちょっと気が抜ける」と安心していました(笑)。

セイカは常に頭をフル回転させていて、喋っていないシーンもずっと分析をしているんです。それが、ユキちゃんとのシーンになるとモノローグがパッと消えて。彼女とは裏を考えずに話せているんだなと。あとはやっぱり、ユキちゃんが出てくるシーンは、表現的にも優しいというか、ギャグテイストになっていたりして、物語のクッションのような存在になっていると思います。セイカも、ユキに話してから行動に移すことが多いです。

小倉：一回整理する時間みたいな。セイカくんのことを思いすぎて、お芝居に感情が入りすぎてしまうところもありましたね。「そこまで怒らなくていいよ～」とディレクションが入ったり(笑)。

花守：いやでも、怒りたくもなりますよ。本当にこの子は(笑)。ずっとふらふらしているので、怒って帰って来てもらわないと。