一緒に過ごす1日がコンセプト──アルバム『day to YOU』リリース記念インタビュー 7月5日のなこの日にソロデビューする岬なこさんがアルバムの魅力を語る!
「ソラトレイト」はさわやかさと一歩ずつ進んでいきたいという気持ちを歌に
──さてアルバムの各収録曲についてご紹介をお願いします。トラック1の「75_AM6:30」の起床するなこさんを垣間見た後(笑)、続くトラック2、歌としては1曲目にあたる「morning morning」は朝と1日の始まりのイメージの曲ですね。
岬:個人的にもかなり好きな曲で、曲をいただいてからキーチェックのために全部聴いてみた中でも一番気に入りました。風の中を走り抜けていくような雰囲気の曲が一発目にくることによって、アルバムへのワクワク感が一気に上がると思います。
タイトルに「morning」とあるので、朝に聴いていただきたいんですけど、この曲によって風が起こって、背中を押されている感覚でレコーディングしました。歌っていて、すごく気持ちいいんです。
自分を開放して歌うイメージに近いので、皆さんにも歌ってもらってこの気持ち良さを体感してほしいです。
──イントロやBメロからサビへの壮大な感じや開放感があるサウンドなので、この曲を聴いたらパッチリ目が覚めそうです。
岬:激しい音の中で、すっと心に入るメロディラインになっていて。爽快感があるのと裏腹に展開が速いため、一瞬でも聴き逃したり、気を抜いたら、あっという間にラスサビだったということも(笑)。
曲頭で「大きく息を吸い込んで カーテンを開けて」や「差し込む朝日に消えた星空の気配」とあるので、朝の光景を想像しながら聴いていただきたいですし、背中を押してほしい時も自然と鼓舞される曲になっているかなと思います。
またラストにかけてのテンションの上がり方もすごくて、最初から高いのに、まだ上がっていくのかと。展開は定番、鉄板ながらもみんな、きっと好きだと思います。この曲を聴きながら通勤や通学、外出したら、1日ハッピーにすごせそうな気がします。
──朝の準備や家事などもテキパキできそうです。
岬:私もテキパキできたらいいんですけど、朝はすごく弱くて……。この曲をイヤホンで聴いた瞬間に自分の世界に入れると思うので、通勤や通学中の満員電車や混雑しているバスもきっと楽しくなると思います。でも乗り過ごしには注意ですよ(笑)。
──トラック3は5月7日に先行配信が始まった曲「ソラトレイト」です。
岬:この曲のMVやジャケット同様にさわやかさをテーマにしています。朝目覚めたところから自分がなりたい姿に一歩ずつ近づいていく様子だったり、理想通りにならないかもという不安などいろいろな感情を抱えつつも、私は応援してくださる皆さんがいるからこそ一歩一歩進みたいと想えるし、少しずつなりたい自分に近づけているんじゃないかなということを表現したくて。
そしてレコーディングやMVの撮影中に「どんな姿であっても自分なんだよ」ということを改めて感じました。
──ソロデビューで最初に先行配信で披露されたのもわかります。まさに「THEデビュー曲」で、なこさんらしいですね。
岬:私名義の曲を聴いていただくのはこの曲が初めてでしたが、「これ、なこちゃんの曲だ!」と言ってくださる方がたくさんいらっしゃって。私の思っているものと皆さんの思っているものがバッチリと合ったみたいで、すごく嬉しかったことを覚えています。
──ちなみに曲名の由来は?
岬:「トレイト=trait」には「特製」や「特色」という意味があり、肖像写真を意味するポートレートにもかけています。そして曲に青空のイメージがあったので、「ソラトレイト」という造語のタイトルになりました。
──MVではなこさんが衣装をデザイン、縫製して、完成した衣装でパフォーマンスするというドラマ仕立てになっています。
岬:私が衣装を作って、完成した衣装を着て、屋上で歌うというシンプルな構成ですが、物事は思い通りには進まないと思っている私の気持ちにも通じる内容になっています。
何かをやりたいと思ってから実行に移すまでにはいくつか乗り超えなくてはいけない壁があって、このMVでも青い空の下で気持ちよさそうに歌っているカットだけでなく、夜遅くまでミシンで衣装を作っているシーンがあったり。
私自身も自分がやりたいことや好きなことをしている時は時間を忘れて没頭してしまうタイプなので、MVの中の私と結構通じるものがあります。積み重ねてきたものがあるからこそ、完成した時の達成感は格別で。
壁を乗り超える時の難しさや楽しさ、達成感が見てくれた方に届けばいいなと思います。そして楽曲とMVを両方視聴していただけたらより伝わると思っているのでご覧いただけると嬉しいです。
──「ワタシFLAVOR」はスローなリズムに合わせて、お料理する様子を歌っていますね。
岬:レコーディングで歌ったら、ちょっと小恥ずかしくなってしまいました(笑)。「morning morning」に比べるとゆっくりめで、お昼ののんびりした情景を表現できたらいいなと。
私はよく擬音を言葉にすることが多いんですが、この歌詞にも「トントトン」などちょこちょこ入っているのも見透かされているようでまた恥ずかしくて。
かわいい歌詞とゆったりしたメロディが合わさると自然と笑顔になってしまうので、料理をされていない方でも楽しんでいただけると思います。
──ちなみにご自身は料理をされますか?
岬:得意とまではいかないけど、たまに料理します。レコーディングの時にひとつ気になったのが「まぁ…このくらいかな目分量」という歌詞で、私は目分量が苦手で、きっちり測らないと不安になるんです。
だから私が歌っているけど、歌詞の女の子は私よりも料理のレベルが高いです。「ナツメグがキメ手」と歌っているけど、ナツメグなんて使ったことないし(笑)。
歌詞同士で韻を踏んでいたりするので、自然と体がリズムにのってくるのでは? と思います。かわいいお料理ソングなので、お料理をしながら聴くのもいいかもしれません。
──「街角カレイドスコープ」は晴れた午後に二人でお散歩している曲で、テンポもリズムも心地いいですね。
岬:私が散歩する時に一番歩幅に合う曲になっています。お散歩する時は目的がある場合とない場合があると思いますが、周りの景色を見る時は目的がない時のほうが多い気がするんですよね。
目的地があると真っすぐ向かうけど、目的がなければいつもと違う道を通って、いつもと違う景色を見たりして、新しい発見を手助けしてくれる曲になっています。
私は基本的にマイペースでのんびりしているタイプなので、サビ頭でも「ゆっくり歩いてゆこう」と歌っています。皆さんに寄り添いたいという気持ちと同時に、一人ひとりの人生を尊重したいという気持ちも込められています。
真っすぐに最短距離で進むことが必要な場合もあるけど、時には「止まることなく走り続ける日々は少しお休み」したり、ちょっと回り道したり、新しい道に入って新しい発見や挑戦することの楽しさが伝わったらいいなと思っています。
先行配信第二弾の「あいらぶゅー」で歌っているのは大切な人との絆と何気ない瞬間の大切さ。MVはこちらから見たなこさんの視点の映像!?
──トラック6の「あいらぶゅー」は6月4日に先行配信されました。
岬:自分のお友達や周りにいる大切な人と過ごす日常はどこか当たり前に感じてしまいますよね。
例えば学校に行っている人はクラスメイトに「おはよう」とか「また明日ね」と何気なくあいさつしているけど、今改めて振り返ってみると大切な瞬間だったなと思ったり。そういう周りの人との絆がより強くなる、そんな曲になればいいなって。
そして私にとっては、皆さんとの関係がより強固なものになったらいいなと思いながら歌いました。
毎日当たり前に来る日常ほどかけがえのないものはないと思うので、何気ない1日1日を振り返った時、楽しい想い出として刻まれるように、皆さんと過ごす時間も素敵な想い出になればいいなと願っています。
──ラブソングだけど、いろいろなメッセージが詰まった深い曲ですね。
岬:「ラブ」にはいろいろな意味があると思うし、皆さんに伝えたい想いはDメロにほとんど詰め込まれています。
いろいろな想い出も過ぎ去ってしまうと忘れがちになってしまうけれど、日々のちょっとしたことに感謝したり、ちょっとした発見に新しい気持ちを抱いたり。些細なことに対して少しずつ尊い気持ちが芽生えたらいいなと思います。
この曲を歌っていると、自分はあまり取り繕わなくていいのかなと思えるのもいいですね。
──MVは一緒にいる人がムービーをスマホなどで動画を撮っていて、しかもアナログ風かつバーチャルデート風で。
岬:その捉え方はおもしろいですね(笑)。今の時代だとスマホで写真やムービーを撮れるので、撮ったものをあとで見返した時に、その時の気持ちや出来事を思い出す瞬間が結構好きです。
“あなた”から見た視点のMVになっていて、ところどころにフィルターがかかっていたり、写真が切り取られていたりノスタルジックな演出もあって。想い出を大切にして、それを振り返ることの楽しさがこのMVには詰め込まれています。
──トラック7の「群青セツナ」は失恋の曲で、前の「あいらぶゅー」で「離れ離れになる日が来ても」と歌っていたり、さわやかな中でもせつなさがある曲で。
岬:過去を振り返ると楽しいことや素敵な想い出があるのと同時に、苦しいことや寂しいこともあるんですよね。2曲続けて聴くと更に寂しさが増してしまう気がします(笑)。
──「あいらぶゅー」は女子が主人公だったのに対し、この曲は男子が主人公なので余計に身につまされて。
岬:そんなつもりはないんですよ(笑)。自分の中にある感情の1つである「せつなさ」もとても大切な感情だと思います。でもこの曲も捉え方によっては想い出を振り返っている「あいらぶゅー」とそんなに変わらないのかなと思っていて。
もし「あいらぶゅー」が想い出の楽しいところを切り取っているとしたら、「群青セツナ」はその時にあった楽しい想い出をせつなく振り返っているような。根本には同じ感情があるけど、どこに焦点を当てるかで受け取り方や感じ方がガラっと変わったのかなと思います。
──しっとりした1Aから徐々にバンドの演奏が激しくなり、なこさんの歌声もエモくて。
岬:私はせつない曲やバラードがとても好きなので、気持ちも入りました。最後の終わり方も好きで、「でも君はいつか忘れてしまうのかな」という歌詞もメロディも私にとっては続くように聴こえて。
「この後。どうなっちゃうの?」と気になるし、想像したくなったし、せつなさも高まって。この曲を1人で聴いたらきっと泣いてしまうと思います(笑)。
でも皆さんがどう受け取って、どんな時に聴いてくれるのか、一番想像がつかなくて。今度、ラジオでアンケート取ってみようかな(笑)。そんないろいろな感情があるということが、皆さんに届いたらとっても嬉しいです。
──その次がバンドサウンドの「HURRAY!」はラスサビで「明日の僕へ HURRAY!」と歌っているように、つまづいたり、落ち込んだ自分を鼓舞しようとしている曲で。「群青セツナ」に続いているようにも聴こえたりして。
岬:そうですね(笑)。たくさんの想い出を振り返って、せつない気持ちになって。そんな沈み込んだ自分自身を励ます曲で、誰かから自分へ、というよりも、自分自身への応援ソングだと思っています。
この曲を歌うにあたって、歌詞と自分がリンクする瞬間が多々ありました。日々生きていく中、いろいろな感情が芽生えてきて、心がモヤモヤすることがレコーディングを通して増えていきました。
「私が歌ってよかったんだろうか?」とか「曲に向き合う気持ちはこのままでいいんだろうか?」とか。そんなモヤモヤを解消してくれたのがこの曲でした。この曲のレコーディングがなかったら、ずっとモヤモヤしたままだったかもしれません。
曲を聴いていただけること自体嬉しいんですけど、まずは歌詞を読んでから聴いていただきたくて。比喩表現はあるけれど、自分の中の表せない感情をストレートに出してくれる歌詞になっているので。
歌詞をいったん心に入れてから歌を聴いてもらえると響くものが違うかもしれないし、聴いてくださる方それぞれのモヤモヤみたいなものと向き合う時間になるんじゃないかなと。歌詞に注目して聴いていただきたい曲です。