アニメ『PLUTO』ゲジヒト役・藤真秀さん&アトム役・日笠陽子さんインタビュー|アニメの底力と時代を切り開いてきた声優の芝居を楽しめるのが『PLUTO』!
視聴者と一緒に答えを見つけていきたい
——手塚治虫さんや、浦沢直樹さんの好きな作品はありますか?
藤:僕は浦沢さんで言うと『PLUTO』ですね。手塚さんだと『ジャングル大帝』が頭にパッと浮かびますね。
日笠:私は世代的には浦沢さんの作品をよく読んでいましたね。『YAWARA!』『MONSTER』『20世紀少年』などが好きです。なので今回、ブランド役の木内秀信さん(『MONSTER』で主人公のテンマを演じていた)にお会いできたのも、心の中でこっそり喜んでおりました(笑)。
浦沢さんが描くミステリーものって、伏線も凄いし長編だし、終わりがとても静かな作品が多いので、最後のほうの記憶があやふやになってしまうことがあるんですよ。今回の『PLUTO』も読んでいたのに最後の記憶があまりなくて。
『PLUTO』に出演して、改めてラストシーンに触れると浦沢さんは読者へ解釈やメッセージを委ねる方なのかなと思いました。それってすごく大事だし、難しいことでもあると思うんです。
実際、私も作品を読んでいたんですけど、幼すぎて答えを自分の中で見い出せなかったんだなと思いました。凄いメッセージ性があって、自分の中の答えは演じていても見つからないなと思うので、視聴者の方と一緒に見つけることができたらいいなと思います。
——最後にお二人が感じる『PLUTO』の魅力やおすすめポイントを教えてください。
藤:サスペンス作品として見進めていただければ必ず、ロボットの苦悩であったり人間のエゴなど、『PLUTO』の世界に引き込まれると思います。ぜひ、最後まで見てこの世界に浸っていただけたらと思います。
日笠:私の世代からすると大ベテランの声優さんたちが出演されていて、こんな方々と同じ作品に出させていただくことってなかなかないと思います。
実際に作品を見てみるとダンカンさんとノース2号のお話が本当に素敵で、浦沢さんの原作ももちろん素晴らしいんですけど、アニメーションになることによって音が付いて、色も追加されて見える世界がまた違うものが見られるんです。
アニメーションの力を改めて感じるし、時代を切り開いて来た声優さん達の本気のお芝居や掛け合いを味わうことができるのは『PLUTO』だけ!
声優界やアニメーション業界の力を余すことなく注いだような作品なので、世界中の人に作品が届いてほしいなと思っています。
[インタビュー/石橋悠 撮影/小川遼]
作品情報
あらすじ
人間とロボットが<共生>する時代。
強大なロボットが次々に破壊される事件が起きる。調査を担当したユーロポールの刑事ロボット・ゲジヒトは犯人の標的が大量破壊兵器となりうる、自分を含めた<7人の世界最高水準のロボット>だと確信する。
時を同じくしてロボット法に関わる要人が次々と犠牲となる殺人事件が発生。<ロボットは人間を傷つけることはできない>にも関わらず、殺人現場には人間の痕跡が全く残っていなかった。2つの事件の謎を追うゲジヒトは、標的の1人であり、世界最高の人工知能を持つロボット・アトムのもとを訪れる。
「君を見ていると、人間かロボットか識別システムが誤作動を起こしそうになる。」
まるで本物の人間のように感情を表現するアトムと出会い、ゲジヒトにも変化が起きていく。
そして事件を追う2人は世界を破滅へと導く史上最悪の<憎しみの存在>にたどり着くのだった―――。
キャスト
(C)手塚プロダクション/浦沢直樹・長崎尚志/「PLUTO」製作委員会
1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。