映画
『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』満仲勧監督インタビュー

「孤爪研磨はこれまでのスポーツマンガで、まずいないようなキャラクター」満仲勧監督が語る『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』の魅力

 

今作は孤爪研磨が主役?!

――『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』について、物語の見どころをお聞かせください。

満仲:今作に関しては、(孤爪)研磨を主人公くらいに思って描いています。それはなぜかというと、研磨はこの試合を通して、一番感情が動くからです。今までずっとバレーボールが好きかどうかもわからないし、仲間に引きずられて、ここまで来ちゃったけど、日向(翔陽)と出会って変わっていく。

研磨の「翔陽はいつも新しいね」というセリフからも感じますし、試合を通じて、研磨の成長する過程を丁寧に描きたいと思って、シナリオを作っていきました。

 

 

――監督から見て、研磨のどんなところに魅力を感じますか。

満仲:研磨はこれまでのスポーツマンガで、まずいないようなキャラクターだと思います。

研磨は器用で何でもできちゃう子ですが、自分の想像通りにいかないことが面白いと感じられるという感覚を持っている。なかなかいないタイプだと思うので、キャラクターとしてすごく面白いなと思います。

――作画的には研磨をどのように動かしたいと思われましたか。

満仲:基本的にはそんなにしっかり背筋を伸ばして立たない。猫背で、ちょっと顎を引いて、上目遣いじゃないけど、猫っぽくというのは意識しました。今作では研磨だけでなくて、音駒高校のチームとして、そういう感じが出ればいいなと思って描きました。

 

 

――今作で感じた研磨の変化や成長があればお聞かせください。

満仲:研磨は「バレーボールの魅力はどこなんだろうな」と思いながら、ズルズルやってきたんでしょうね。それでここまでの選手になるのはすごいなと思いますけど。

日向やこの試合を通じて、バレーボールの魅力を見出すことができたので、研磨にとっても、高校までバレーをやってきてよかったんだろうなと思います

研磨は引きこもりになりそうなキャラクターなのに、バレーボールを通して、しっかり成長できている。それは研磨にとっても、日向という人に出会えてよかったんじゃないかなと思っています。もちろん、黒尾鉄朗(CV:中村悠一)の存在もですけど。

 

監督が感じる日向翔陽の魅力

――監督から見て、日向のどんなところに魅力を感じますか。

満仲:日向は本当にバレーボールが好きなので、『週刊少年ジャンプ』作品の主人公の王道だとは思いますけど、理屈じゃなくて、本能で突き進む姿は魅力的だと思います。

日向は中学では一人でバレーボールをやってきたので、チームとしてみんなでやれている今が嬉しい。中学時代にできなかったからこそ、やれることへの喜びが人一倍あるのかなと思います。

 

 

――パワーある日向を描き続けるのは大変ですよね。

満仲:『ハイキュー!!』を作るのはすごく大変なんですけど、それは『ハイキュー!!』を作る上ではしょうがないです。スポーツアニメ全般が大変なんですけど、嘘をつけるところと、つけないところがあるんです。

例えば、「すごいボールを打つのに、ボールがすごく変化している」という嘘はついていいとは思うんです。でも、「ローテーションで前衛3人が今ブロックとして、誰が飛んでいる」というので、日向と月島は一緒に飛べないですし、「コートにリベロがいるorいないローテーション」とか、そういうルール的なものも含めて嘘はつけない。バレーボールをやっている人たちから見ても、なるべく違和感なく、作っていきたいとは思っています。

――今作での日向について、お聞かせください。

満仲:日向もずっと待ち望んできた対決ではあります。ただ対決するだけではなくて、研磨にずっと「バレーボールが楽しいよ」と伝えてきたつもりなのに、伝わっていなくて、それがここでようやく伝わるという部分があるので、日向にとっても嬉しかったことなんじゃないかなと思います。仲の良い友だちのはずなのに、自分と共有できていない部分があって、それがようやく共有できたということですね。

 

 

――音駒高校のメンバーは、猫っぽく描かれているとお話されていましたが、烏野高校のメンバーは、どのようなイメージで描かれましたか。

満仲:烏野高校のメンバーは、合宿の頃から比べて、いろいろなものから影響を受けて、対戦相手の良いところを吸収して、ここまで来ています。上手くなるために、どうすれば強くなれるか、勝ち進むことができるのかというのを考えながらやってきたチームだと思うので、その辺りの強さというのが音駒チームから見て伝わればいいなとは思いながら作っていました。

 

これまでとは違う今作のこだわり

――今作に登場する研磨のシーンの中で、こだわった点はどんなところですか。

満仲:今作ではバレーボール初心者だった頃の研磨も登場します。研磨がボールを初めて触るところからのシーンになるので、レシーブができない芝居、動きをするというのがすごく難しかったです。へたくそにレシーブする方法は教科書に載っていないじゃないですか(笑)。ボールへの反応が遅れたりとか、慌てたりとか、その辺を描くのがちょっと大変で気を使いました。

 

 

――アフレコ収録で、キャストにアドバイスなどはされましたか。

満仲:音響監督の菊田浩巳さんは、全国大会の3日目で、前日に稲荷崎高校とも戦っているので、その辺の意識を持って芝居をしてくれという話はしていました。

日向とかは特に、前のシーズンとかでの芝居を直前に聞きながら、同じシーンがあったりするので、そこの芝居を振り返りつつ、繋げていきました。

――研磨を演じる梶 裕貴さんに、アフレコ収録でアドバイスしたところはありますか。

満仲:梶さんには「大変ですけど、すみません。よろしくお願いします」とお伝えしました。今回は研磨が主役のような話なので、けっこうハードですし、最後の方はずっと試合中に「ハァハァ」と言っているんです。なので、梶さんが「アフレコ収録現場の周りを走ってきてから、収録した方がいいんじゃないですか」と言っていたのですが、菊田さんに止められていました(笑)。

――ありがとうございました!

 
[インタビュー/宋 莉淑]

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作品情報

2024年2月16日(金)全国公開/IMAX(R)同時公開

 

STORY

小学生の時に、春高バレーのテレビ中継で見た“小さな巨人”に憧れ、烏野高校バレー部に入部した日向翔陽。だがそこには中学最初で最後の公式戦で惨敗した相手・影山飛雄の姿が!? 反目しあうも、日向の抜群の運動能力と影山の正確なトスは、奇跡のようなクイック攻撃、通称“変人速攻”を生み、烏野復活の力となる。

東京の音駒高校との合同合宿で、日向は因縁のライバルとなる孤爪研磨と出会う。超攻撃的なプレースタイルの烏野高校に対し、“繋ぐ”をモットーにした超守備的なプレースタイルの音駒高校。音駒高校との試合を経て新たな可能性を見つけ出していく烏野高校のメンバーたち―――

春の高校バレー宮城県代表決定戦、春高初戦と、強敵を次々と倒す中で進化を遂げた烏野高校は、春高2回戦で優勝候補・稲荷崎高校を下す。そして、遂に3回戦で、因縁のライバル校・音駒高校と対戦することとなる。

幾度となく練習試合を重ねても、公式の舞台で兵刃を交えることが一度もなかった両雄。烏野高校対音駒高校の通称“ゴミ捨て場の決戦”。約束の地で、「もう一回」が無い戦いがいよいよ始まる―――。

 

スタッフ

原作:「ハイキュー‼」古舘春一(集英社 ジャンプ コミックス刊)
監督・脚本:満仲勧
主題歌:SPYAIR「オレンジ」
アニメーション制作:Production I.G

 

キャスト

村瀬 歩
石川界人
日野 聡
入野自由
林 勇  
細谷佳正
岡本信彦
内山昂輝
斉藤壮馬
増田俊樹
名塚佳織
諸星すみれ
神谷浩史
江川央生
梶 裕貴
中村悠一
立花慎之介
石井マーク
ほか

公式サイト
公式ツイッター(@animehaikyu_com

 

(C)2024「ハイキュー!!」製作委員会 (C)古舘春一/集英社
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