音楽
5周年を迎えたReoNaがアコースティックでお歌を紡ぐ/横浜公演ライブレポ

5周年を迎えたReoNaがアコースティックでお歌を紡ぐ――2年振りとなるファンクラブ限定ライブ『ReoNa Acoustic Live Tour “ふあんぷらぐど2023”』追加公演 一対一の静寂と躍動/レポート

新曲「オムライス」を披露

「さて、皆さんにおうかがいしたいことがあるんですが……今日、ここにくるまでの天気いかがでした?」と質問。気づいた人もいただろうが、このさりげない質問は『ReoNa Acoustic Live Tour “ふあんぷらぐど2023”』において重要な役割を担っている。荒幡の後ろに置かれていたアコーディオンがヒントとなっただろう。「本当に降ってない?」と念押しする荒幡(「これまではリハーサルの日も雨が降ることが多かったんですけど、今年に入ってから降っていないんですよ」とポツリ)。

「じゃあ今日は晴れという認識で良いですか?」「じゃあ、晴れの日にふさわしいこの曲をお届けします」とはじまったのは<晴れた空に ふわり ステップを さあ! >とはじまる 神崎エルザ starring ReoNaの「step, step」。颯爽と、伸びやかにその歌声を届けると「次に歌うのは、この“ふあんぷらぐど”ツアーから、初めてお届けしているお歌」と新曲を歌うことを示唆する。

 
 

「朝が来るのがたまらなく怖かった日があります。理由もなく、ひとりになりたかった日があります。別に、死にたいわけじゃないけど、生きてることが、なんだか、なんだか、申し訳ない日があります。そんな、とりとめのない、よくある絶望に寄り添えますように」

モノローグにあった〈とりとめのない〉という言葉からはじまっていく新曲「オムライス」。系譜で言えば「生きてるだけでえらいよ」に近い、自分の思いを淡々と語っていく曲。その上で「それでも生きていたかった」という切実な願いが歌われ、かつ、前述の「不良少女白書」を彷彿させるような、フォーク・ソングに近い物悲しさが内包されていた。そして、その物悲しさを浮き彫りにするのがサビの〈ルールルルール〉というコーラス。どのような孤独と傷がこのオムライスという言葉に詰められているかは、ぜひ楽しみにしていて欲しい。次回のシングルに収録される予定はないことから、しばらくはライブで楽しむ曲になるのかもしれない。

「次にお届けする曲は、あなたも聴いたことあるかな? 辛い時 辛いと言えたらいいのにね」と、Aqua Timezの「決意の朝に」を。夜と朝、雨とくもり、時々の晴れ間と、人間の感情の複雑さを紡ぎながら、ライブはクライマックスへと向かっていく。

「いろいろな出会いと別れが落ちている道を私たちは歩んでいます。突然の雨のように、突然の雨のように降り注ぐ、冷たく哀しい別れもあるけれど、絶望を拾い続けたその先で、出逢える人だってきっといる。私たち人間は抗いようがなく、人と出会い、人と別れ、それでも生きていく。どうしようもなく、生きていく」

〈人は一人きりじゃ生まれてこれないのに 人は一人きりじゃ生きてはいけないのに〉からはじまる「HUMAN」をアカペラで届けたReoNa。サビで控えめなピアノの音色が寄り添う。その美しい声に、絶望系アニソンシンガーでありながらも、ひとりの純粋なボーカリストであることを改めて痛感させられた瞬間であった。

 
 

新曲と新しい約束

「一人ひとり、それぞれの物語を、それぞれを持つ人生の中で、いろいろな出会いや、いろいろな別れがあるけれど、きっとなにひとつ後悔しない別れなんて……それはとても、とてもむずかしいことで。もう二度と会えなくなった誰かに、伝えそびれたことはありますか。もう二度と会えない、大切な人への心残りはないですか。いつか、別れがくるって分かっていても、それでも言えなかったこと。言いたかったこと。あなたにも、そんな人がいるかな。私にもいます。もう会えないって分かってるけど、どうしたって、また会いたい」

追加公演のみのサプライズで、TVアニメ『シャングリラ・フロンティア』第2クール エンディングテーマ「ガジュマル ~Heaven in the Rain~」をライブ初披露。新曲「じゃあな」と、前述のカバー「不良少女白書」をカップリングにパッケージしたシングルは2月28日(水)発売予定だ。

 

瑞々しい歌声を届けた後、新しい約束。10/20(日)、「ReoNa ONE-MAN Concert "Birth 2024"」 が東京ガーデンシアターで行われることを発表。10月20日からはじまったツアーのファイナルで久しぶりのBirthの発表というのが、なんだかにくい。「またこうして、同じ空間で、顔を見て、お歌、受け取ってくれますか?」と問いかけると、大きな拍手が送られた。

最後にもう1曲。「アニソンシンガーReoNaのはじまりのお歌。甘くて痛い、愛のお歌です。私にとって、出会えたあなたはお歌でした」。

ReoNaとしてのデビュー曲「SWEET HURT」が最後の曲。ピンクと水色のライトが『ハッピーシュガーライフ』の世界を思い出させる。デビュー曲だからこそしみじみ感じることができるボーカリストとしての進化がそこにあった。

 
 

彼女が日常を生きる中で感じてきた孤独や理不尽、息苦しさなどを出発点に、“絶望系アニソンシンガー”として誰かの絶望に寄り添ってきたReoNa。5周年を迎えた今、“一対一”の、親密な空間で届けられるお歌たちは、絶望だけでなく、愛にも溢れていたように思う。最後に改めてメンバー紹介。マニピュレーター・篠﨑 恭一は、「ガジュマル ~Heaven in the Rain~」のためだけに来てくれたと伝えた。

2024年はこの後、5周年イヤーを締めくくるアニバーサリーツアー『ReoNa 5th Anniversary Concert Tour “ハロー、アンハッピー”』が控えている。彼女の軌跡と進化を改めて感じるライブになるに違いない。

[文・逆井マリ]

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