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『戦国妖狐』灼岩役・黒沢ともよインタビュー【連載第2回】

“神回”第7話で芍薬と火岩の歩み寄りを感じたセリフとは?――『戦国妖狐』灼岩役・黒沢ともよさんインタビュー|印象的だったオーダーは「石灰岩じゃなくて、溶岩にしてほしい」!?

 

『戦国妖狐』は王道中の王道で泣かせる作品。迅火が出会う人たちの言葉に耳を傾けたくなる哲学的な一面も

――原作や台本を読んだり、演じてみて感じた作品の印象や魅力をお聞かせください。

黒沢:私が子供の頃に慣れ親しんだファンタジー世界と共通点が多い作品だなと思いました。ちょっと懐かしさを感じるボケや泣かせどころもコテコテで、王道中の王道だなと思うんですが、やっぱり泣いちゃうんですよね。真っすぐ王道を行っているからわかっているし、罠にかかるのは悔しいのに笑っちゃうし、泣いちゃう(笑)。真っすぐに剛速球を投げてくる、熱量の高い作品なんだと原作を読んだ時から感じていました。

――シリアスなシーンの重厚なお芝居を見て、昔の時代劇みたいだなと思いました。

黒沢:『水戸黄門』が好きな人はめっちゃ好きそう。おじいちゃんやおばあちゃんが見たらハマってもらえるかも(笑)。灼岩、たま、迅火、真介はそれぞれ重くて、辛い過去を抱えているのに、それを表に出さずに頑張っている姿に胸を打たれます。

 

 
あと、この作品には哲学的なところもあって、例えば迅火は人間の心が理解できませんが、私たちも「この感情は人間として楽しいのかな」とか「道理として正しいのかな」とか考えることがあると思うんです。なので迅火がある意味、正解を探す旅はすごく関心があるし、行く先々で会う大人たちの言葉やアドバイスに(私たちも)耳を傾けてしまうんですよね。

――それでいて絵のタッチはやわらかい印象があって。

黒沢:原作を読んでいる時から感じていましたが、たまや灼岩はかわいいし、ご家族そろって夕方に観られるような雰囲気で。闇も個性的ですごく怖いものもいれば、ふこうちゃんみたいにかわいい子もいて。第6話(Bパート)のふこうちゃんのお話がヤバかったです。第7話までで一番好きかも。闇は怖さもあるんですが、背負っているものがみんな悲しいから同情したくなったり、戦った後もどこかせつなくて。

――アニメは全3クールと発表されていますが、確かに1クールでは描き切れない濃密さですよね。

黒沢:全然ムリですね(笑)。闇がなぜ自分がこうなったのかを語るシーンが結構あって、演じられていたキャストさんはかなりシビアな尺の中で、感情的に自分が闇になった理由を語るお芝居をされていて。闇に心を揺さぶられるのはそんな先輩方のお芝居の賜物だと思います。

 

 

――だからこそ、すごい方々がキャスティングされているんでしょうね。

黒沢:本当にそうですよね。

宣伝担当:原作の水上悟志先生のイメージも参考にしながら、キャスティングにはすごく力を入れています。

黒沢:第6話(Aパート)の稲田(徹)さんが演じる道練とサルの闇・猩々(しょうじょう)がお酒を飲みまくっているシーンがすごく楽しくて、ゲラゲラ笑いながら収録したのを今、思い出しました(笑)。

 

当初、火岩は違うキャストが演じる予定だった!? 印象的なディレクションは「石灰岩じゃなくて、溶岩にしてほしい」

――演じる灼岩の印象と魅力を感じる点をお聞かせください。

黒沢:この作品はいろいろなものを背負ったキャラが多くて、彼女も断怪衆によって霊力強化改造人間にされてしまい、火岩という闇が体の中にいる状態ですが、芍薬ちゃん自身はどこにでもいる普通の女の子と同じで。みんなが仲良くしていると嬉しいし、頑張っている人も好きで、赤ちゃんがお腹にいるお母さんを見たら幸せな気持ちになれたり。方舟になりやすいキャラクターだなと思ったし、そういう部分を大切に演じないといけないなと思いました。

また、灼岩の特徴でもある「~っす」という語尾も彼女のバックボーンの表れでもあるので、鳴き声的にならないように心掛けました。

 

 

――演じる側としては、とても難しい役だと思います。

黒沢:難しいです(笑)。実は最初にいただいたオファーは芍薬だけで、火岩は違う方が演じられる予定でした。何話か録ってから、「火岩も黒沢さん、お願いします」と。それから何話か戻って、火岩も演じて、両方兼ねる形になりました。

芍薬の気持ちは今の私たちの気持ちに近いので、感情も手に取るようにわかりましたが、火岩側の気持ちはすごく考えないと整理できなくて。超イージーモードだったアフレコが超ハードモードに変わりました(笑)。すごく共感できる役とまったく未知の役だったので、ずっと2作品分やっている感覚でした。

――そうだったんですね! でも黒沢さんがどちらも演じられて、すごくしっくりきましたし、良かったです。

黒沢:灼岩になると50:50ですが、火岩として演じる時が大変でした。火岩は故郷の岩の里にちゃんと家族がいて、人生を歩んでいるわけで。しっかり2役分演じた感じでしたが、良かったと言ってもらえると救われます。

――演じる前に何かディレクションはあったのでしょうか?

黒沢:芍薬に関しては「まっすぐな子なので、愛されるキャラでいてほしいです」というオーダーをいただきました。なのでモダンな感じにならず、村娘感をかもし出すように意識して。また、父親に断怪衆に売られてしまったことなど、心の中に深い悲しみを抱いているので、「人に対する言葉のあて方はやわらかいほうがいいよね」という話を音響監督の飯田(里樹)さんと話した気がします。

 

 
火岩は、どちらかといえばお父さん的で、試しに火岩の声をやってみたら「獣っぽすぎるから、もっと岩っぽくして」と言われて。その後やったら「石灰岩じゃなくて、溶岩にしてほしい。角が立っているわけではないけど、重くて硬くて冷たい感じで」と言われて、必死に正解を探したのを覚えています(笑)。

――そんなディレクション、初めて聞きました(笑)。そのオーダーを具現化できるとは……!

黒沢:私が初めて火岩を演じた時、氷岩(ひがん)がいて、氷っぽくキャラを作っていたので対比も意識しつつ、火口にありそうな石を目指しました(笑)。

――第7話はお一人での収録だったとのことですが、それ以外はたま、迅火、真介との4人で収録できたのでしょうか?

黒沢:ほとんど一緒でした。その4人+道錬役の稲田さんや斬蔵役の東地(宏樹)さんが来てくださって。

 

ここまでで印象深かったのは第6話のふこうのエピソード。灼岩は原作の足腰の強さとシナリオの素晴らしさに助けられた役

――第7話までで印象深かったシーンを教えてください。

黒沢:第6話のふこうのお話は、原作を読んだ時からグっときて。そこにふこう役の木野日菜ちゃんのかわいい声がついて。日菜ちゃんも心の深い悲しみが大得意な役者さんなので。声色は穏やかなのに、語尾とかに絶望の先の悲しみみたいなものがあって、すごくせつなかったです。灼岩と一緒のシーンはなかったんですが、アフレコはとても印象的でした。

 

 

――第3話ですべてを思い出した灼岩が一人立ち去った後、真介が追ってきて。その時の2人の掛け合いは感動的でした。まさに灼岩のすべてが詰まった回だと思いました。

黒沢:ありがとうございます。原作の足腰が強くて、これだけスピード感を持ってやっても、演じていくのに言葉を出せばちゃんと感情が返ってくる言葉の運びなんです。踏むべき言葉を全部進んでいく感じでムダがなくて。花田(十輝)さんの脚本も素晴らしかったです。声に出せば本当にむかついてきたり、悲しくなったり、愛おしくなってくるし。役としては難しかったですが、その難しさをあまり感じないくらい、脚本に助けられた役だったなと思います。

――灼岩の魅力を引き出した真介役の木村さんの熱いお芝居も素敵でした。

黒沢:芍薬がどんどん真介を好きになっていくのがよくわかります。木村さんとがっつり一緒にやらせていただいたのはこの作品が2度目で、芍薬が真介をどんどん敬愛していくのと同じスピード感で、私も木村さんへの尊敬がどんどん増していきました。

木村さんは作品への愛情が深い方で、『スキップとローファー』でご一緒した時も、オンエア後に「こんな反応来たよ」と教えてくださるくらい、作品が世に出た後も愛し続ける方なので、今回は3クールもある分、すごい愛の大きさになりそう(笑)。

 

 

(C)水上悟志/マッグガーデン・戦国妖狐アニメ化事業部
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