
ついに明かされた兄妹の目的! 物語の鍵を握るのは乙を“帰す”こと――『怪異と乙女と神隠し』緒川菫子役・ファイルーズあいさん&化野 蓮役・山下大輝さんインタビュー
複雑な蓮と乙、そして菫子の関係
――第二怪といえば、ここから乙が本格的に登場しました。
ファイルーズ:乙は菫子目線だとどうしても生意気に見えちゃいますよね。でも乙からすると、大好きなお兄ちゃんに色目を使っている人に見えなくもないという。勘違いはありましたが、このふたりはどんどん絆を深めていくので、そこは見どころのひとつだと思います。
山下:蓮にとっての乙は自分が存在する目的ですよね。そこはこれまでのエピソードで明確に表れているなと思いました。彼女が自分の行動のコアであり、何者にも代えがたいほど大事な存在だから異常なくらいの執着があって。まだまだお話できないことも多いですが、間違いなくこの物語の根幹に関わる人物です。
――ふたりの関係はまだまだ謎が残っていますが、話が進むにつれて徐々に解き明かされていますね。
山下:そうですね。ただ蓮としては、乙が自分のことを気にかけて学校生活を楽しめていないんじゃないかと引っかかっていて。純粋に学校生活を楽しんで、年相応に友達と遊んでほしいと思っているはずなんです。そんな中、菫子さんなら乙の少女らしさを引き出してくれるんじゃないか、自分ではできないことをやってくれるんじゃないかと期待しているところは大きくあると思っています。
――乙を演じる幸村恵理さんとのアフレコはどうでしたか?
ファイルーズ:幸村さんは私たちが話しているのを笑顔で見守ってくれることが多かったです。でも、たまにエッジの効いた面白いことを言ってくれたりして(笑)。
山下:ラーメン屋にすごく詳しかったよね。
ファイルーズ:そうでしたね! この作品はラーメンが大事な要素だったりするんですけど、その繋がりで話していたら異常なほど饒舌になって(笑)。
山下:そこで食いつくんだ!って(笑)。美味しいお店を教えてもらったりしましたね。
「紅衣小女孩」に大苦戦!?
――第五怪〜第七怪にかけて赤い服の少女のエピソードが描かれました。緊迫する展開もありましたが、振り返ってみていかがですか?
ファイルーズ:乙が頑張ってくれましたね。彼女が自分の意思で行動しているところが良いなと思いましたし、今までは菫子が主体で動いていましたが、ここからのふたりは一緒に戦う仲間みたいに寄り添っていたのが印象的です。
山下:僕も乙の話だと思っていて、彼女がなにかのために1歩踏み出す大きなきっかけになったなと。これまでの乙は騒動に巻き込まれてなにもできなかったから、内心、自分もなにかしないといけないという気持ちが芽生えていたと思うんです。そんな中、1歩踏み出すきっかけとなっていたので、僕としても「頑張って」と応援していました。あとサービスシーンが多かったですね(笑)。
――(笑)。この作品のサービスカットは、シリアスな展開の中で程よい息抜きにもなっていますよね。
山下:そうですよね。きっと、先生と監督のこだわりが上手いことミックスされているんでしょうね。
――アニメならではのこだわりも多いですものね。
山下:アニメオリジナルの表現があったりしますからね。そこはわかりやすいこだわりなんじゃないかなと思います。あとこのエピソードでは紅衣小女孩(フォンイーシャオニュイハイ)がすごく言いづらかったです。
ファイルーズ:私もめっちゃ練習しました。
山下:それ単体なら言えるんだけどね。
ファイルーズ:緊迫したシーンだとほかの言葉から続けて言ったりするから大変でしたね。私も、途中で噛んだときに音響監督さんが「お芝居は良かったんですけど、『紅衣小女孩』が惜しかった……」と言ってくれたりして(笑)。
山下:決めきれないんだよね。
ファイルーズ:化野は話し出すと止まらないからより大変そうでした。
山下:ここが一番難しかったかもしれない。特に、台湾の老婦人の事件を話すところ!
ファイルーズ:長セリフは途中からやり直しづらいですからね。
山下:そうそう。ここは特に、歴史の中で誰がどうなったのかを理解して喋らないといけなかったので難しかったですね。ただ、これが僕と蓮の任務でもあるので、上手く伝われば良いなと思っていました。
ついに明かされた兄妹の目的
――第七怪では今後に繋がる重要なキーワードがいくつか飛び出しました。ぜひ後半のエピソードの注目ポイントを教えてください。
ファイルーズ:今後、菫子が小説家を志した理由であったり、小説に夢中になるきっかけが描かれます。そこがノスタルジックな描き方になっているので楽しみにしていてほしいです。
――そこは、すごく後味が良いエピソードですよね。
ファイルーズ:心になにかを訴えかけるようなエピソードになっていてすごく好きです。物作りを志してる方、創作活動をされてる方には特に見てほしいです!
山下:あの回はちょっとだけ世界から飛び出している感覚になりました。
――山下さんの今後の注目ポイントはいかがでしょうか?
山下:この兄妹の目的は、乙からすれば一緒に“帰る”、蓮からするとこの子を“帰す”、なんです。その“帰す”がどんな意味なのかまだ語られていないところですが、乙のために怪異を集めているという蓮の目的がハッキリしました。
過去を遡ると、第三怪でふたりが手を繋いで歩いているシーンがありました。あそこはどんな意味があるのか、しかも、誰のことなのか言っていないんですよ。そんな風に、この作品にはまだまだ伏線が残っています。1クールの中でどれだけ描かれるのかまだわかりませんが、ぜひ予想しながら楽しんでほしいです。そして、“乙を帰すために怪異を集めている”という部分を覚えてもらえれば、今後、「なるほど」と思ってもらえるんじゃないかなと思います。
――目的の先になにがあるのか注目ですね。ただ、作品としてはこのまま長く続けられそうです。
山下:怪異がいる限り無限に続けられますよね。ただ1クールという区切りはあるので、どういう落としどころになるのか注目してほしいです。
――ありがとうございました。
[取材・撮影 MoA]

























































