
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) -Beginning-』感想&考察をネタバレ全開で語る。マチュの設定と年齢には、とあるキャラクターとの共通点も?
『ポケットの中の戦争』と『Zガンダム』の間の時代であることの意味
そんな一年戦争の終結から約5年後、『ジークアクス』の本編といえる後半部からは、キャラクターのタッチが竹さんに変わり、同じ作品とは思えないくらいの雰囲気が変化したことに驚いたのは自分だけではないはず。
これって、それまで多少のズレはありつつも、基本的には『ファースト』と同じ世界観だったのが、ラストにシャアが起こした“ゼクノヴァ”によって、「今までの宇宙世紀とは完全に別の世界になりましたよ」というメッセージでもあるのかなと。
思い返してみれば、この急な絵柄の変化って、庵野監督と鶴巻監督がそれぞれ関わっている『トップをねらえ!』と『トップをねらえ2!』の関係にそっくりなんですよね。
自分は『トップをねらえ2!』を最初に見た時、とくにバスターマシンのデザインの方向性が前作と違いすぎて、最初受け入れにくかったんですけど、それが後に伏線として見事に回収されて「やられた!」と掌を返したという思い出があります。なので鶴巻監督なら、今回も絵柄が変わることに何らかの意味を持たせているんじゃないか……という期待もちょっと抱いています。
OVA第1巻発売から20年🎊
— VSTORAGE(ビー・ストレージ) (@VSTORAGE) November 26, 2024
『#トップをねらえ2!』#氷川竜介(アニメ特撮研究家)寄稿
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新キャラクター達についてはまだ見えていない部分も多いんですが、とくに印象的だったのは、やっぱり主人公であるアマテ・ユズリハ(マチュ)のキャラクター性でしょうか。
今までの『ガンダム』の主人公って、事前に訓練を受けている場合を除けば、不本意な形で戦いに巻き込まれ、誰かを守るか、自分が生き残るためにやむを得ず“ガンダム”に乗って戦う……という流れが多かったんですが、マチュの場合平和に暮らしていた一般市民であるにも関わらず、MS同士の決闘である“クランバトル”に自分から興味を持ち、スラムを荒らしていた軍警に反撃するために、ザクを半ば奪う形で自ら進んで戦いに飛び込んでいます。主人公の中ではこのあたりの経緯が比較的近いのが、ティターンズへの仕返しのためにMSに乗った『Z』のカミーユ・ビダンになりそうなあたり、マチュがいかにぶっ飛んでいるかが分かります。
◤メインキャラクター解禁◢
— 機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) (@G_GQuuuuuuX) December 3, 2024
本作の主人公
アマテ・ユズリハ(マチュ)
Amate Yuzuriha (MACHU)
アマテを演じる #黒沢ともよ さんからのコメントも到着!
▼公式サイトhttps://t.co/rJtq0aobTQ#GQuuuuuuX #ジークアクス pic.twitter.com/ZTpB1wnull
さらに驚いたのが、その流れから「なるほど、初戦はザクに乗って戦うんだな」と思いきや、戦闘の途中で近くにあったジークアクスを見つけるなり「あっちの方が強そう」とあっさりと乗り換えたこと。いろいろな『ガンダム』主人公を見てきましたが、ここまで軽い理由でガンダムに乗った主人公はいなかったんじゃないかなと……(ザクよりも強そう、という台詞でジオンを愛する人達の心境が心配にはなりましたが、一応ジークアクスもジオン製ということでセーフでしょうか)。
このあたりの戦いに対する独特のノリの軽さみたいな部分は、マチュにとってMSは戦争の兵器ではなく、非日常の象徴みたいな存在だからじゃないかと、個人的には予想しています。
というのも、マチュは中立コロニーであるサイド6育ちなので、一年戦争の頃ですら戦争は比較的遠い世界の出来事だったでしょうし、それから5年間大きな戦いがなかったようなので、尚更兵器としてのMSの恐ろしさみたいな側面を知らないまま育っていると思うんですよね。
もしこの予想が当たっているとすると、むしろマチュと立場的に近い主人公は『ポケットの中の戦争』の主人公であるアルフレッド・イズルハ(アル)になってきます。アルもマチュと同じサイド6のコロニーで、戦争という現実を知らないまま育った少年で、当初はMSに対して憧れの感情を抱いていました。
アルは父親が別居状態で母親と二人暮らしなんですが、マチュも父が別のコロニーで単身赴任しているため、同じ母子家庭育ということになり、名字もマチュが「ユズリハ」、アルが「イズルハ」とそっくり。さらにアルは、U.C.0079年時点で11歳なので、逆算するとU.C.0085年には17歳となり、実はちょうどマチュと同い年だったりと、あまりにも共通点が多いんです。
なのでマチュは、「最後までバーニィと出会わず、戦争を知らないまま成長した5年後のアル」みたいな意味合いも込められているのかなと(もちろん性別が違うので、本人ではないですけど)。
しかも、少し前にカラーの公式YouTubeで公開された公式トーク番組内にて、鶴巻監督が好きな『ガンダム』作品として『ポケットの中の戦争』を挙げていました。同じサイド6を舞台にした作品を作るのに、主人公の名字の被りを気にしないとは考えにくいので、少なからず、アルを意識した上でマチュの設定は作られたんじゃないかと思います。
さらに思い出していただきたいのが、マチュは『Z』のカミーユにも似ていると感じた点。『Z』の時代はU.C.0087年、『ポケットの中の戦争』はU.C.0079~80年なので、『ジークアクス』のU.C.0085年は、両作の中間に近い年代でもあるんですよね。
ちょっとこれは自分の妄想が過ぎている可能性も大ですが、マチュがカミーユとアルに通じる部分があると感じたのは、『ジークアクス』という作品そのものが『ポケットの中の戦争』と『Z』中間的な作品として位置づけられているからなのではないか……と考えたりもしています。
本作を見終わって映画館を出た時、「一年戦争のifとマチュたちの話、どっちも面白いんだけど、あまりに別物だった」というのが最初に自分が思ったことでして、「なぜ一年戦争のifでなければいけなかったのか」という部分は、今もすごく気になっているんですよね。もしこういった意味合いも含まれているとするなら、その必然性というのも出てきそうだなと。
もちろん、シャアを追い続けるシャリア・ブルは本作の鍵を握る存在としてストーリーにも大きく絡んでくるでしょう。シャアは再登場するのかとか、この世界のアムロはどうしているんだろうとか、やっぱり『ガンダム』ファンとしては、一年戦争のifがどう物語に影響するのかは一番注目しているポイント。それらがマチュたちの物語にどんな影響を及ぼしてくるのか、今からTV放送が待ち遠しいです。
[文/米澤崇史]
作品情報
あらすじ
エントリーネーム《マチュ》を名乗るアマテは、GQuuuuuuX(ジークアクス)を駆り、苛烈なバトルの日々に身を投じていく。
同じ頃、宇宙軍と警察の双方から追われていた正体不明のモビルスーツ《ガンダム》と、そのパイロットの少年シュウジが彼女の前に姿を現す。
そして、世界は新たな時代を迎えようとしていた。
キャスト
(C)創通・サンライズ












































