声優
『VOICARION XIX〜 スプーンの盾〜』奇跡の晩餐会の感想を思う存分語りたい

豪華キャストで繰り広げられた世界一”美味しい”戦争! プレミアム音楽朗読劇『VOICARION XIX〜スプーンの盾〜』の感想を語り尽くしたい

1月30日(昼公演)

ついに大千穐楽。もう当分「スプーンの盾」を観られないのかと思うととても寂しくなり、始まる前から泣きそうになってしまったのですが、そんな寂しさをふっ飛ばしてくれるくらい最高の公演でした!

初めて緒方恵美さんの演技を生で観たのですが、すべてが持っていかれそうになるくらい吸い込まれるお芝居でした。

そんな緒方さんが演じられたカレームは、とにかく純粋に料理が大好きな天才。好きなことには真っ直ぐで真面目で、他のことが見えなくなるような少年のような人物でした。

そんな子どものようなカレームを優しく見守るのが、日髙のり子さん演じるマリー。中井カレームとはまた違う関係性だったのですが、とにかくマリーの包容力がすごかった。どんなカレームでも優しく包み込む温かさ、そして可憐な花のような美しさは日髙マリーにしか出せない魅力です。

そして立木文彦さん演じるナポレオン。立木ナポレオンが一番、素直なナポレオンだったように思います。自分の気持ちに正直で、横暴、暴君。皇帝にふさわしい威厳がありました。子どものようにはしゃぐ一面があったり、本音がポロッと出るときの優しい雰囲気は、ナポレオンの素を見れたような気がしました。

そんな暴君ナポレオンの右腕には、関俊彦さん演じるタレーラン。関タレーランのラスボス感は半端じゃなかったです。頭の切れる外交官というのがふさわしい関タレーランは、常に凛としていて全く隙が無い。怒らせたらナポレオンよりも絶対怖いだろうな、と思わせるような立ち居振る舞い。

しかし常に冷静な関タレーランも最後の演説ではその冷静さを欠いていて、そこにグッときました。感情が爆発していて心の底から訴えるような心が揺さぶられる演説には涙が止まりませんでした。

感動の嵐だった大千穐楽のカーテンコールでは緒方さんの熱い想いに更に涙。本当に素晴らしいものを観させていただきました。

そして最後には音楽隊の皆様から素敵なデザートのサービス(劇中曲の演奏) もいただき、物語を支える音楽の素晴らしさを改めて実感しました。

終わりに

『スプーンの盾』の中にはカレームの作る「ヴァーミセリのコンソメポタージュ」という料理があります。それはこの世の美味しいものすべてが詰まったスープ。

ナポレオンが最後に飲んで「うまい」と言った一言には、この朗読劇のすべてが凝縮されていたのだと思います。観終わったあと、私もそのスープを飲んだかのような満足感が得られて本当に観に行ってよかったなと思いました。

まだまだ無限の可能性を魅せてくれる藤沢朗読劇。『スプーンの盾』もまた再演されることでしょう。

この記事を読んで少しでも朗読劇に興味を持っていただけたら嬉しいです!

[文/五反田ちさと]

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