
男性以上に格好良く、誰よりも美しい…! 人間としての魅力が詰まった男装キャラ5選『ベルばら』オスカル、『セラムン』天王寺はるか(ウラヌス)etc.
男性以上に格好良く、時に女性らしい美しさや可愛らしさ、儚げな一面でわたしたちを魅了する男装キャラ。本コラムでは、『ベルサイユのばら』『美少女戦士セーラームーン』『うる星やつら』などの名作から、男性として、女性としてはもちろん人間的な魅力がたっぷりな男装キャラ5選をご紹介します。
オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ/『ベルサイユのばら』
池田理代子氏原作の『ベルサイユのばら』。今年1月に劇場版『ベルサイユのばら』が公開され、再び注目を集める『ベルばら』の主人公のひとりがオスカル。美しい男装キャラの先駆け的存在とも言えるでしょう。
フランス王家に仕えるジャルジェ家の末娘として生まれるも、父の意思により男性として育てられたオスカルは、フランス近衛連隊として王家を守る立派な軍人に成長します。
すらりとした178cmの長身によく似合った軍服とブーツ、長いまつげ、するどく光る瞳、美しいブロンドの髪……そのたたずまいといったら、見惚れずにはいられないほどの美しさ。
そのうえ男性以上に凛々しく、強く、誇り高く、どんなときもマリー・アントワネットを守り抜く姿や、己の正義を貫き物怖じしない言動、やがて民衆側に立ち祖国の為戦いに命を燃やす生き様に「ああ、オスカル様……!」と胸をときめかせずにはいられないのです。女性でありながら、作中のどの男性キャラより抜きん出て格好良いと言っても過言ではないでしょう。
指先の一本まで女神のように麗しいビジュアルもあいまって、一見クールで完璧な印象のオスカルですが、実はけっこうな激情型。勝ち気で短気な性格なので、怒って語気を強めているシーンも多くあります。時には酒に溺れることも。しっかり人間味があるところもオスカルの魅力なんです。
また、オスカルはいつしか女性として生きていれば得られたはずのふつうの人生を心のどこかで望んでいたと気づくことになります。そこで男として、軍人として生きる運命とのギャップに苦しみ、己の人生を思い悩むように。葛藤の末に愛を知り、自身のゆく道を決意する過程に、一度でも自分のアイデンティティに悩んだことがあるならば共感せずにはいられないはず。きっと心を揺さぶられますよ。
天王はるか/『美少女戦士セーラームーン』
武内直子氏原作の『美少女戦士セーラームーン』は、月野うさぎ扮する「セーラームーン」をはじめとするセーラー戦士たちの戦いを描く物語。アニメの放送がスタートすると当時の女児たちを熱狂させ、誕生から30年が経った今でも多くのファンに愛されています。
原作第三部、アニメ『セーラームーンS』より登場する天王はるかは「セーラーウラヌス」に変身する少女。原作版(と新作アニメ『Crystal』)のはるかは男にも女にもなれる特殊な体質で、一人称も「俺」「あたし」と使い分けて描かれていますが、旧アニメ版ではいわゆる“男装の麗人”として、一人称は「僕」と中性的に描かれています。
ショートカットが似合う美形で、普段は男装をしているはるか。基本的に振る舞いや口調がキザで、うさぎたちセーラー戦士のことは「子猫ちゃん」と呼ぶなど、プレイボーイなところに女性であってもメロついてしまう……!
さらに、トヨタ2000GTに似たスポーツカーを愛車としていたり(しかも原作版ではフェラーリ!)、陸上競技、バスケットボール、フェンシング、ハンググライダー、モーターレースなどあらゆるスポーツが得意なうえにピアノも弾けるという才色兼備っぷり。憧れずにはいられない要素をぎゅっと詰め込んだ存在は、さながら宝塚男役や女子校の王子様のようなんです。
すらりとした手足があらわになるセーラー戦士姿もまた美しく、思わず見惚れてしまいます。もちろん、セーラー戦士としての戦闘力も抜群。
公私ともにパートナーである海王みちる(セーラーネプチューン)とのどこか大人っぽく、深い絆で結ばれた唯一無二の関係性もまた萌えポイントです。
ヤマト/『ONE PIECE』
尾田栄一郎氏原作の『ONE PIECE』は、海賊王を目指すモンキー・D・ルフィとその仲間たちの冒険を緻密な伏線と壮大な世界観で描き出す漫画作品。
ヤマトは、ワノ国編での初登場から注目を集め、一気に人気キャラへと躍り出たキャラクター。元四皇・カイドウの娘でありながら光月おでんに憧れ、“おでんとして生きる”ことを決めた結果、男として生きています。
『ONE PIECE』の女性キャラらしい可愛らしい顔立ちと美しいスタイルをしているものの袴を着用しており、一人称は“僕”。カイドウもヤマトのことを“息子”と表現しており、おでんに憧れることはともかく、男として生きることに関しては一応認めている(?)様子。入浴シーンでは、ルフィたちに混じって男湯に入る姿も。
<自認が男性>というよりかは、<自認が他人(おでん)>というなんともユニークな設定のため、「僕はおでんだ!!!」と力強く言い切る姿に一瞬狂気を感じなくもないのですが、その胸の内には父の抑圧と支配から解放され、おでんのように信念を持ち、強く自由に生きたいという熱い想いが秘められています。おでんの息子・モモの助のことは「君の為に死ねる!!!」と自分の息子のように守ろうとするなど、おでんへの想いをどこまでも明るくピュアに表現し、自身の正義を貫こうとする姿にいつの間にか魅了されてしまうのです。
おでんの日誌を読み、その冒険譚やロジャーの言葉を知り、ルフィやモモの助が導くであろうこの先の未来を予感し目を輝かせる様子は無邪気で、こちらまで胸が胸が高鳴るのを感じられるはず。
柳生九兵衛/『銀魂』
空知英明氏原作の『銀魂』は、架空の江戸を舞台に万事屋を中心に個性的なキャラクターたちが繰り広げる活劇を描く漫画作品。ギャグ要素と感動・シリアス要素どちらも濃厚に楽しめる人気作です。現在は「生誕20周年記念 銀魂展 〜はたちのつどい〜」が全国を巡回中。
代々将軍家に仕える武術の名門・柳生家の次期当主である九兵衛。生まれてすぐに母が亡くなったため、「後妻を迎えることで九兵衛の居場所がなくなってしまわないように」という父の想いから考えて男性として育てられました。
そのビジュアルは、長く伸ばしたストレートの黒髪ポニーテールと大きな黒い瞳が醸す美少女然とした部分と、眼帯や刀、カッチリとしたジャケット、パンツ型の着物といったアイテムによる男子らしい部分の絶妙なバランスが魅力的。
また、剣術に長けており作中では「柳生家始まって以来の天才」と呼ばれているほか、幼馴染のお妙にキスをしたり許嫁として迎えようとするなど男前(?)な一面も。
しかし実はどこか抜けていておとぼけ感のあるちょっとズレた性格で、本人はいたって大真面目だがボケ倒しているという、自覚のないボケキャラ担当としてギャグシーンを盛り上げています。
さらに、作中ではゴスロリ要素のある短丈でピンク色の着物をツインテールとニーハイソックスで着こなしたり、スク水姿を披露する回も。水着を着用した際には主人公の坂田銀時にもプロポーションを評価されるなど女性らしい可愛らしさが覗く瞬間もまたチャーミングなキャラクターです。
藤波竜之介/『うる星やつら』
高橋留美子氏原作の『うる星やつら』は、浮気者の高校生・諸星あたると、彼に恋する一途な宇宙人の美少女・ラムを中心に繰り広げられるドタバタラブコメディ。2022年・2024年には神谷浩史さん、上坂すみれさん、内田真礼さん、宮野真守さん、花澤香菜さんなど豪華な新キャストを迎え制作されたリメイク版アニメの放送も話題となりました。
藤波竜之介という名前から、ついイカつめの男子を想像してしまいますが、彼女の口癖は「おれは、女だ〜っ!」。父によって男として育てられてきたため、口調も荒っぽく一人称は「おれ」、二人称は「おめえ」「てめえ」。喧嘩も強く、髪型や服装も男性色が濃いために、最初は諸星あたるや面堂終太郎も女性と知らず男性として接していました。
また、学校では男子学生服を着用しており、あまりの格好良さに女子生徒からモテまくっている竜之介。サラシを巻いて学ランを肩に羽織るスタイルが様になりすぎていて、女子の憧れの的になるのも頷けるほどに魅力的!……なのですが、実は本人はセーラー服を着ることに憧れていて、女性として接してもらいたいと願っています。
しかし、竜之介を男として育てた父は強く頑固で、セーラー服を着る夢はなかなか叶わず。あたるたちが竜之介の父から無理矢理セーラー服を奪い取って着せようと試みるも、いつか自身の手で父を倒すまではと踏みとどまる信念の強さも竜之介のいいところ。染み付いた男性らしさと女性らしさへの憧れの間で揺れる竜之介がいじらしいんですよね。
以上、筆者イチオシの男装キャラ5名の魅力をご紹介しました。ぜひ彼女(彼)らの本編での活躍も刮目してくださいね。
[文/まりも]