音楽
福山潤インタビュー|ミニアルバム『Reflection』(後編)

王道の“少年誌的ラブソング”に込めた福山“らしさ”と“らしくなさ”とは? ミニアルバム『Reflection』リリース記念! 福山潤インタビュー【後編】

 

「自分が持ち合わせていない考え方を表現したらどうなるのか?」

──M3「フォーエバー・フレンズ」は男女の友情、しかも女性が男性に恋心を抱いているという、一捻りが加わった曲です。

 

 
福山:歌詞と曲を合わせて聴いていただくと、一番物語性を感じられる曲だと思います。実際、松井さんとは「これはラノベだね」って話していました(笑)。

好きな人と結ばれるのがラブコメの王道ではあるけれど、そうではない形の男女の物語も成立するんじゃないかと思いながら作りました。とくに、これが小説や映画であれば明確な結末を要求されてしまいますけど、歌はそれを必要としないので、だからこそこういう表現ができるとも思うんですよね。

──ちなみに福山さんは、男女の友情についてどう思われますか?

福山:僕は「アリ派」です。長い時間、お互いが「これは友情だ」と本心から思い続けるのはレアケースだと思いますし、 「男女に友情はありえない、どちらかが必ず好き」という意見も理解できます。

ただ僕的には、それも含めて友情のひとつの形なんじゃないかと思うんです。仮に恋心を持っていても、自分の強固な意思で「友達」であることを選択しているとするならば、それはもう「友情」と呼べるんじゃないでしょうか。少なくとも僕はそう考えています。

 

 

──楽曲はTAKEさん(FLOW)の提供で、とても激しいサウンドですね。

福山:TAKEさんの凄いところは、僕からするとかなり大変なところまで音域が昇っていくのにも関わらず、実際に歌っていると、その大変さを感じさせない運びにしてくれているところなんです。

もちろん「歌いやすい」と言えるほどには易しくはないけれど、ノリや雰囲気につられて思わず歌いたくなってしまうような曲で、僕も歌っていてとても楽しかったですね。「TAKEさん、凄すぎでしょ!」って思いながら練習していました。

──M4「Like a rolling stone」は「努力」がテーマですが、「流行に乗るために努力する」という、これまでの福山さんのイメージからすると意外な楽曲でした。

福山:おっしゃる通り、僕自身はまったくそういうタイプではないので、「自分が持ち合わせていない考え方を表現したらどうなるのか?」という実験的な試みです。

なので、この曲に限っては自分の考えを細かく伝えることはせず、 「他人の価値観に合わせて自分を変化させる努力」とだけお願いして、松井さんに歌詞を書いていただきました。

 

 

──共感できる部分は見つかりましたか?

福山:自分にはない価値観なので共感はしにくいんですけど、でも正直に言うと「羨ましい」とさえ思ってしまいました(笑)。

仮に僕が「周りからこう見られたい」と思ったとしても、そうなるためにかかるであろう労力や時間、コストなどを考えると、とてもじゃないけどやろうという気にならないんですよ。そういうデメリットを度外視してでも目標に向かって努力できる才能とパワーというのは本当にすごいなと思います。

──福山さんはふだんはどんな「努力」をされていますか?

福山:分かりやすいのは「筋トレ」だと思いますけど、そもそも筋トレはやったらやった分だけ自分に返ってくるのでコスパはいいですし、目標達成の確実性も高いので、この曲で書かれている「努力」とは違いますよね。

僕はどうしても費用対効果を優先しちゃうタイプなので、自分を内面から変えようとする努力なんてとうてい真似はできないですし、だからこそ「羨ましい」と感じるんだと思います。

──M5「『I love me, myself and I』」は「愛」をテーマとした楽曲ですが、それが「自己愛」であるところが福山さんらしい着想ですね。

 

 
福山:作詞のKUROさんには「強烈な自己愛でお願いします」とだけお伝えして、あとは完全にお任せでした。

近年、アニメ作品でもナルシストキャラってどんどん減ってきたなと感じていて、たまにいたとしても他人への承認欲求が強いタイプがほとんどだと思うんです。なので僕としては、完全に自己完結型のナルシストを表現してみたかったというのが、この曲を作った理由です。

人には何も求めず、自分の評価だけで自己肯定感が高まり、モチベーションを高く維持できるのであれば、それはもう最強の「永久機関」ですよね(笑)。

──福山さん自身はわりとそういうタイプのように思えますが、いかがでしょうか?

福山:そうですね。歌詞の「僕のことを好き嫌いどっちでもいい」という部分などは、まさに僕の価値観に近いです。他人にどう思われようとも、自分が納得していればそれでいいですし、そういう意味ではかなり自己完結しているタイプだとは思います。

ただ僕の場合はそこは完璧ではなくて、ときには人から賞賛が欲しい瞬間もあるんです(笑)。そういうときは憚らずに賞賛を求めるようにしているんですけど、理想的かと言われたらそうではないですよね。まだまだ精進が足りないなって思っています(笑)。

──なるほど。ここまでのお話をお聞きして、福山さんの人となりがよく分かるアルバムになっていることが分かりました。

福山:前編でも言いましたが、これを聴けば僕のことを知らない人でも「福山潤ってこういう人なんだな」ということが分かる、パーソナルな一枚になっていると思います。ぜひ手に取って聴いてみてください。

──ありがとうございました。

 

ミニアルバム『Reflection』

 
【発売日】2025年2月5日
【価格】
初回限定盤(CD+Blu-ray):4,070円(税込)
通常盤(CD only)3,190円(税込)

≪収録内容≫
[CD]
1.Breaking ”Bad” ~堕悪緋色~
作詞:松井洋平 作曲・編曲:JUVENILE
2.Always watching you
作詞:松井洋平 作曲・編曲:神田ジョン
3.フォーエバー・フレンズ
作詞:松井洋平 作曲・編曲:TAKE(FLOW)
4.Like a rolling stone
作詞:松井洋平 作曲・編曲:Shinnosuke
5.『I love me, myself and I』
作詞:KURO 作曲:松井洋平、神田ジョン 編曲:神田ジョン
6.君としか恋しない
(TVアニメ「妃教育から逃げたい私」オープニングテーマ)
作詞:松井洋平 作曲・編曲:神田ジョン

[特典ディスク収録内容]※初回限定盤のみ
「君としか恋しない」Music Video
「Reflection」Jacket Making Movie

 

 

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