
子どもに向けた曲だからこそ、真摯に向き合わないと伝わらない――『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』Wienners・玉屋2060%さんインタビュー
楽曲全体のエネルギーを喰らう、スーパー戦隊の原体験
──レコーディングはいかがでしたか?
玉屋:良い意味でいつも通りでしたね。気持ちは曲に込められているので、あとは歌うだけという感覚です。歌う時に出したかったのはヒーロー感というか、絶対的救世主感。自分が子どもだったとして、この作品を観て「こうあってほしい」という感じを出せるように心掛けました。
子どもの頃に聴くスーパー戦隊シリーズの曲って、細かく歌詩を気にしているというより、楽曲全体のエネルギーを喰らっていた気がするんです。だからこそ、僕自身も楽曲を通して、「みんなにエネルギーを喰らわせたい」という想いが強くあります。
特にサビ終わりの「はみ出してけ」はすごく伝えたい部分なんです。「集団や常識からはみ出さない」という風潮に一石を投じる気持ちなんですけど、そういうものは子どもも大人もワードではなく、熱量から感じるものだと思うので、はみ出し感を意識しました。
──確かに誰かの敷いたレールを歩いても、ナンバーワンにはなれない気がします。
玉屋:そうなんですよね。もちろんはみ出すことにはリスクがあるし、負けることもある。『ゴジュウジャー』の5人も、物語の中で沢山悔しい思いをすると思うんです。僕らはバンドマンなので、歴代のスーパー戦隊シリーズの楽曲を歌ってきた偉大なシンガーの皆さんのようには歌えないかもしれない。でも、気持ちだけは負けないようにしたいし、誰に何を言われても「全力を出し切りました」と胸を張って言えるように、楽曲を体現したいと思っています。
──歌詩もじっくり読み込んでいくと考察しがいがありますね。
玉屋:子どもが観る番組の主題歌であっても、「子どもだから分からないだろう」は絶対無しにしたいと思っていて。実は大人が想像するよりも、子どもって“分かっている”と思うんです。「唯我独尊」や「確乎不抜(かっこふばつ)」など、歌詩に漢字が多めなんですけど、個人的にはこの言葉で伝えたいテンション感がありました。
「子どもが観る作品だから、ひらがなやカタカナ多めにしよう」ではなく、真摯に向き合わないと伝わらないだろうなと。子どもは変に寄せると違和感を感じて、冷めてしまう。だからこそ、こっちは全力でいく必要があるし、全力で歌っています。
──折角なので、子どもたちの前で「WINNER!ゴジュウジャー!」を披露する機会があるといいですね。
玉屋:すごくやってみたいです! Wiennersには子どもたちに聴いてほしい曲も沢山ありますし。地元のお祭りで弾き語りをしたことがあるんですけど、最前列に15人くらいの子どもたちがいて。途中で飽きちゃったみたいなので、「じゃあ歌をやめてジャンケン大会しようか」って(笑)。そうやってコミュニケーションを取ったら、最後はちゃんと聴いてくれたんです。
「みんな同じものが好きな仲間」『超英雄祭』のパフォーマンスで感じたこと
──2月5日(水)に横浜アリーナで行われた『超英雄祭 KAMEN RIDER × SUPER SENTAI LIVE & SHOW 2025』にて初披露した感想をお聞かせください。
玉屋:僕らが普段やっているライブとは違って、特撮好きな方々が集まっているので、「果たして受け入れてもらえるのか?」と不安でした。僕らもお客さんもお互いにまったく知らない同士なので、「斜に構えて見られたらどうしよう?」とか。ただ、それでも堂々とステージに立っていたいし、「なめんなよ!」という気持ちも少しありました(笑)。
でも、ステージに上がった瞬間、「みんな、同じものが好きな仲間じゃん!」って。特撮が好きなもの同士として、特撮を通して出会えたことの喜びと共に「WINNER!ゴジュウジャー!」を歌えたことは良い経験になりました。直接「これから1年よろしくお願いします!」と言えてよかったです。
──先行でTVサイズの配信も始まっていますが、反響はいかがですか?
玉屋:今までバンドをやってきた中でも経験したことがないくらいの反響がありました。親戚や学生時代の友達、バンドマンの知り合いから沢山連絡を貰ったんです。スーパー戦隊シリーズの偉大さを改めて感じたし、僕らと一緒に頑張ってきたバンドマンや応援してくれるファンの人たちにも夢を見せられたのかなと。
──日曜朝の放送なので、家族で観ている人も多いでしょうね。
玉屋:そうなんですよ。しばらく会っていなかった友達から「子どもが何か観ていると思ったら、お前の歌声が聴こえてきた」と言われました(笑)。そのパターンは結構多いですね。家族で観る作品に関わっている不思議さや面白さを感じました。










































