
『ある魔女が死ぬまで』声優インタビュー連載第1回:青山吉能さん&榊原良子さん | 余命1年の設定なのに「もっと面白く」とディレクションを受けていた!?
「もっと面白くやって」と要求された、メグとしての収録
──メグというキャラクターは、セリフ量も凄まじく、収録もかなり大変だったのではないかと思うのですが、青山さんとしては実際に演じられていかがでしたか?
青山:そうですね。『ある魔女』って、起承転結それぞれのパート全部に谷のようにギャグが挟まってくるんですけど、その中でもメグの気持ちはずっと先に向き続けているんです。なので、ギャグシーンを演じつつも、先に進もうとするメグとしての気持ちを途切れさせないようにするのはすごく難しかったところで、そこは忘れないようにいつも意識していました。ただ、そうしていると「もっと面白くやって」とディレクションを受けることが結構あって(笑)。

それだけ期待していただいていることでもあると思うんですけど、実は濁川(敦)監督とは、私がTVアニメで初主役を演じさせていただいた『恋愛暴君』の時もご一緒させていただいていて、その時もギャグシーンがかなりある作品だったんです。そこから7、8年くらい経っているんですけど、当時の私がやってたギャグの感じとかを覚えてくださっていたんです。その上で「もっと面白く」と言ってもらえているのが分かるので、やっぱりそれに答えたいという想いはすごくありました。
収録中は、もう本当に自分の中にある引き出しという引き出しを開きまくっていって、終わったあとは心の中がゴミ屋敷みたいな状態になっていることが多かったです(笑)。
──榊原さんといえば、自分の中ではやっぱり『機動戦士Zガンダム』のハマーン・カーンのイメージが今でも強いのですが、実はハマーンを演じられた当時って、だいたい今の青山さんくらいのご年齢ですよね。
榊原:そうですね、だいたい30になる前くらいだったので。その頃周りからは「老け声」とか言われてましたけどね(笑)。
青山:そうなんですか!? 今の自分と同じくらいの年齢の時に、もうハマーン・カーンを演じてらっしゃったって、改めて言われると本当にすごいなって……。
榊原:私は声が低かったから。舞台をずっとやっていると、自然と声が低く、強くなってくるのね。
あの系統の声を出したのは『風の谷のナウシカ』のクシャナが初めてだったんだけど、それで使ってもらえたんだと思います。それまでは、「柄じゃないのに」と思いながら、一生懸命声を上ずらせて、かわいい声を出そうとしたりしてたんですよ(笑)。
──青山さんとしては、ハマーンのような悪役とか、カリスマ性のあるキャラクターを演じてみたいお気持ちとかはありますか?
青山:いや、でもほんと、榊原さんの持っていらっしゃる声の深みみたいなものって、真似したくても絶対に真似できない部分なんですよね。その声の深みってやっぱ人生の深みからやってくるので、今の私には到底モノマネにもならないというか……。
榊原:いや、できる。貴方の声なら悪役も。
青山:本当ですか!?
榊原:青山さんみたいなね、普段からものすごく人の良さそうな雰囲気の人の方が、本当に怖い人を演じられるんですよ。一見いい人そうとか、何をやってるか分からなさそうな人が悪い人だった時の方が怖いでしょう? きっと悪役をやったら、今皆さんが抱いてる悪役像とか、青山さん自身のイメージを壊せると思います。
青山:確かに、そもそもできないと思い込むのがよくないのかもしれないですね。私、悪役自体は大好きなので、もうできないと思うのはやめるようにします。
榊原:私からも、「青山さんって子が悪役できるよ」って、いろんなところに伝えておきますね(笑)。
──メグとファウスト、二人の関係性についてはどのように感じられましたか?
青山:メグは生い立ちが複雑で、とある出来事をきっかけにファウスト様に引き取られるという経緯があるんですが、子供ではなく弟子にしたっていうのが特徴でもあるのかなって。
もしメグがファウストの養子だったら、血の繋がりがないからこそ、もっと優しく接してたんじゃないかと思うんですよね。高名な魔女でもあるファウストが弟子としてメグを引き取ったのには、何か意味があるはずなので、そこは注目していただきたいポイントですね。

──面白いのは、ファウストって余命一年のメグを結構雑に使ったりもするんですよね。
青山:そう、「用事があって留守にするから、家の仕事任せた」みたいなこと言われたりして。メグ的には「え、私あと一年で死ぬんですけど」って(笑)。
榊原:私は、子供時代のファウストって実はメグと似ていたんじゃないかと思っていて。ファウストが魔女だろうと、いつか彼女にも死は訪れると思うのですが、自分が人生を賭けて学んできたことを託して、世界をよくしてくれると思えるような存在として、メグに期待をかけているんじゃないかなと。いつもメグに厳しくあたるのも、きっと自分も同じようにお師匠様から教えられてきたからこそなんじゃないかと想像したりしています。
──青山さんから見た榊原さん、榊原さんから青山さんは、メグとファウストに似ていると感じる部分はありますか?
青山:私から見た榊原さんとファウスト様は……似ているというか、なんというかもう存在そのものみたいな(笑)。冒頭でもちょっと話したんですけど、今回、原作とか台本を読んだ時に、自然と榊原さんの声が脳内で聞こえていて、それをアフレコでもう一度聞くっていう不思議な体験をしていたんですよ。だからこそ、私自身も榊原さんをついファウスト様に寄せて見てしまっているというか、勝手に尊敬するお師匠様みたいな感覚で、お話をさせていただいているところがあります。
私って、決してコミュニケーションが上手な方じゃないので、返事一つとっても相手を不快にさせてないか不安になったり、不快にさせるくらいなら黙っていた方がいいとか考えて、自分でバリアを張っちゃうようなことがすごく多いんです。
ただ『ある魔女』の場合、ずっといっしょにお仕事してきた前田佳織里(アンナ役)がいて、そういう心の鍵を開いてくれる人が一人でもいると、結構全開で喋れるようになるんですね。そのおかげで、榊原さんともいろんなお話をさせてもらうことができたのは、すごく良かったなと思っています。
榊原:そうだったのね。私から見ると、青山さんはメグみたいに汚い言葉は使わないんだけれど(笑)、すごく実直で嘘がないところとかはそっくりなんじゃないかと思っていて。
さっきご自身のことをお話されていたけど、私はきっとメグも自分が劣等感を持っているのを自覚した上で、それを克服するために明るく振る舞ってるんじゃないかと思っていて、そういうところも似ているんじゃないかなって。

青山:そんな風に言っていただけると、すごく嬉しいです……!
榊原:嘘がないから、お世辞とかもあんまり言わないタイプだと思っていて、だから好きなの(笑)。
私自身、お世辞を言うのも言われるのもあまり好きじゃなくて、お世辞が入るとどうしてもどちらかが上になってしまうでしょう? 私はできるだけ、誰とでも同じ目線で接したいと思っているから、人のことを褒める時は、お世辞じゃなく自分が本当にいいと思ったところだけを言うようにしてるんです。最初にお話しした時とかも、もし、お世辞を言われていたら「ん?」ってなっちゃう(笑)。青山さんはそれがなかったのが、すごく印象が良かったです。
──最後に、放送を楽しみにされているファンの方々に向けてメッセージをお願いします。
青山:もう本当にこの作品は、『ある魔女が死ぬまで』というタイトルの通り、生死という重たいテーマが根底にある物語なんですけど、それをポップに明るく描いているのがすごいところで、メグ自身がいろんな発見や学びを得ながら乗り越えていくお話になっています。
きっと1話の後には、皆さんもある程度覚悟みたいなものができるんじゃないかと思うんですけど、最後は一体どうなってしまうのか、メグやファウストたちの生きていく様みたいなのを、私も一緒に見届けていければ嬉しいなと思います。
榊原:もし人生の残りの時が限られていたら、みんなもう必死になって生きようとするじゃないですか。でも人生って、多くの人にとっては、それがいつまで続くか分からないまま生きていかないといけないものなんですよね。もしかしたら、それを重く感じてしまっている方もおられるかもしれません。
この作品は、メグという一人の女の子が、自分に残された1年という時間を、10年、100年もの勢いで充実させていくようなお話になっています。彼女の生き様のようなものを見ていただき、今後の自分の人生のプラスにしていただければ嬉しいなと思います。
──ありがとうございました。
[取材・文/米澤崇史]
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作品情報
あらすじ
十七歳の誕生日を迎えた見習い魔女のメグ・ラズベリーは、魔法の師匠であり、魔法界トップの七賢人に名を連ねる『永年の魔女』・ファウストから、突如として余命一年であることを告げられる。
メグは『死の宣告』の呪いにかかっていたのだ。
呪いによる死を免れる方法はただ一つ。手にした者に不死をもたらす、『命の種』を生み出すこと。
そして、『命の種』の材料となるのは、感情の欠片――人が喜んだ時に流す、嬉し涙。
「それで、一体どれくらい涙を集めればいいんですか?」
「千人分だ」
「......はい?」
こうして、メグは嬉し涙を集めるため、様々な人たちと関わっていく。
幼馴染みで大親友のフィーネ。
ファウストと同じ七賢人の一人――『英知の魔女』・祈。
メグと同い年にして七賢人に名を連ねる天才少女、『祝福の魔女』・ソフィ。
これは、余命一年を宣告された未熟な魔女、メグ・ラズベリーが起こす、奇跡の物語。
キャスト
(C)坂/KADOKAWA/ある魔女が死ぬまで製作委員会






















































