映画
『ヤマト3199』第三章 畠中祐&上村祐翔インタビュー

『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第三章 群青のアステロイド』すれ違い、それぞれの過去、古代からの教え――畠中祐さん&上村祐翔さんが土門竜介と揚羽武の関係性を語り尽くす【インタビュー】

畠中さん&上村さんが収録で小野さんから受けた影響とは?

ーー他にスタッフ陣からのディレクションで印象に残ったものはありましたか?

上村:最初に資料をいただいた段階で福井さんからメッセージをいただきました。その時に、「『ヤマト』は歴史ある作品で重厚な印象もありますが、上村さんに通ずる部分が揚羽を通して出てくると思うので、気兼ねなく自由に演じてください」と言われました。その言葉が支えになっています。

そして、キャスト陣の中でも祐くんたち同期組とは同世代なので、そういう意味でも新人クルーたちの空気感は大事に演じていきたいと思いました。だから役作りはしっかりやりつつ、現場に行ってからの空気感を重視しました。実際に現場に入ったらそこに対する不安はなくなりましたし、収録も着々と進みました。

ーー福井さんは上村さんに通ずる部分が揚羽に出てくるとおっしゃっていたそうですが、ご自身で何か揚羽に似ていると感じる部分はありますか?

上村:他人との距離の取り方とか、言葉のかけ方が凄く不器用なところでしょうか。今回も過去回想で自分なりの思いやりから土門に声をかけるシーンがあるのですが、結果的に受け取り方が思っていたものと違ってくる。けれど、あの揚羽の言い方では土門は「え?なんで?」ってなってしまうと思うんです。

互いに歩み寄ろうとして歯車が噛み合わなくなるような……そういう不器用さや他人との接し方みたいな部分は共感できるところがありました。そんな揚羽を通して、自分も他人との距離感を振り返れたんじゃないかと感じています。

ーー畠中さんはいかがでしょうか?

畠中:「一番若いのだから、若い世代の代弁者のような前のめりな姿勢で挑んでほしい」と言われていました。収録中のディレクションも、落ち着きすぎているとか、そういう指示が多かった印象です。

鬱屈とした感情は土門はもちろん、誰しも感じたことがあるはずだから、そこに踏み込んでいける無鉄砲さを常に意識しました。視聴者に一番近い感覚を持っているのが土門かもしれない。だからこそ、「そこは前のめりに行きなさい」と言ってもらえた気がします。

ーー痛ましい状況なのは理解できるものの、「今の古代には言いたいことがある」という視聴者も多そうです。

畠中:あんな神妙な顔でずっといられたら気になってしまいますよね。仕方ないとわかってはいるけれど、視聴者も思っていることだと思います。

上村:そこに「あまり突っかかるなよ」と釘を刺しにくる揚羽とのバランス感がいいんだよね。

畠中:確かに。色々な見方があるんじゃないかと思います。土門を見ていて共感する人もいれば、「若いなあ」って感じる人もいるでしょうし、ご覧になってくださる方の世代によっても変わってくる。今回の土門は、視聴者が自分を映す鏡になる気がします。

ーー古代進を演じる小野大輔さんからは収録時にどのような影響を受けましたか?

上村:まさに第三章のあるシーンなのですが、収録をご一緒する機会がありました。その時、古代が「サーシャ……」と呟く台詞があったのですが、隣のマイクに立って聴いていても本当に苦しそうに演じられていたんです。

その一言を出すために福井さんと綿密にディスカッションされていて、その様子から小野さんが台詞ひとつひとつにかける想いや背負っているものを感じられて。これまでの積み重ねがあってのものだと思いますが、新しく入った自分も「負けないように頑張らなくては」と刺激を受けました。

畠中:小野さんとは収録で一緒になる機会も多いのですが、主砲を発射する時の「撃て!」という台詞をはじめ、色々なことを細かく教えてもらいました。土門と古代艦長で多少の違いはあるかもしれませんが、脈々と受け継がれるものがある。本当にドラマチックだと思いますし、演じる時も教えてもらったという体で台詞を発しています。

小野さんは当然『ヤマト』への思い入れが強いし、今の状況下でどうしてこの言葉が出てきたのか、凄く考えてくれるんです。本当に作中の古代艦長のように迷っている瞬間もあって、そういう時に監督とディスカッションする光景をよく見かけます。

実際の掛け合いの中で「こういう解釈だったのか」と気づくことも多く、素直にその場で感じているようにも見えると言いますか。素直だからこそ揺れているけど、だからこそ、目指すところに泳いで行ける自由さも持っていて。

それがお芝居の醍醐味なんです。迷いながらも進んで行く姿や、現場でそんな醍醐味を見つけた時の楽しさを教えてくれるのも、古代艦長みたいだと思っています。

ーーおふたりと近い年齢の若い世代に向けて、「『ヤマト』のこういうところが面白い」というポイントを挙げていただけますか?

畠中:原作が展開された当時は高度経済成長期のタイミングで、今よりもう少し希望に満ちて前向きな気持ちが強かった。今の日本にそれがないとは言わないけど、日本のみならず世界中が少し迷っているような気がしています。そんな状況下では、きっとヤマトも力強く進めないことがあるんじゃないかと。

古代艦長の姿からも迷いが見えてくる。僕らの生きる現代でも、色々なものが発達してすぐ他者と繋がれる方法が出てきました。一方で、その関係性はどこか希薄に見えたり、繋がっているようで監視しあっているかのようにも感じられる。

そんな中で僕たちは何を信じるべきなのか、考えなきゃならない場所に立たされているように思えてしまって。この第三章で描かれる部分にしたって重たい話だけど、僕らが日常生活で遭遇することでもある。これからヤマトが突き進む先は遠い未来の話ではなくて、僕たちにも関係していることだと思います。

そういう意味では、何か大切なことを教えてくれるというより、僕らが拾いにいくべきものかもしれません。そういうところにも注目してもらえると嬉しいです。

上村:「宇宙戦艦ヤマト」というタイトルは誰もが知っていますが、「ちょっと難しそう」みたいな漠然としたイメージがある。自分がキャラクターを演じる側になり、実際に映像も拝見して感じたのは、やっぱり人間ドラマだということでした。

この先の未来をどうしたら迎えられるのか、その考え方ひとつに対しても色々な立場の人がいて、その数だけ考え方が違ってきます。そして、そのために話し合ったり、争い合ったりしないと解決できない問題がある。

この作品は、色々な角度から捉えられる演出が散りばめられていると思うんです。物語を通して、今この時代を生きる人たちはどういう風に考えているのかが見えてきます。そういう人間ドラマを、ヤマトという戦艦を通して様々な視点からくまなく描いているからこそ、今の時代にも合致しているのかなと思いました。

ーー最後に上映を楽しみにしているファンのみなさんへのメッセージをお願いします。

上村:揚羽は第二章から登場しましたが、福井さんから彼の登場シーンについて「カッコよかったでしょ?」と聞かれたことがあるんです。もちろん「カッコよかったです!」とお返ししたのですが、現場では揚羽は誰が演じるんだろうって話題になっていたらしくて。満を持して登場させてもらった有り難みを感じています。

今回の第三章では、そんな揚羽がどんな過去を背負っているのか、なぜ土門との関係が拗れてしまったのかが明らかになります。ずっと大変な状況が続きますが、ひとつひとつの変化を楽しんでいただけたら嬉しいです。

畠中:と聞くと構えてしまう人もいるんじゃないかと思いますが、どの章にも親切に前回までのあらすじが入っています。それだけでなく、戦艦同士の殴り合いや戦闘機のアクションも見応えがありますし、そういったシンプルな楽しみ方もできるので、まずは『ヤマト』に出会わなければ始まりません。

僕らと同世代の人たちがより多く『ヤマト』に出会い、土門と同じように古代艦長を一緒に見守ってくれる人が増えたらいいなと心から思っています。

[インタビュー・撮影/胃の上心臓]

『ヤマトよ永遠に REBEL3199 「第三章 群青のアステロイド」』作品情報

ヤマトよ永遠に REBEL3199 第三章 群青のアステロイド

あらすじ

宇宙戦艦ヤマトが不在となった地球では、デザリアムと共存する奇妙な日常が始まろうとしていた。
あの加藤志郎の忘れ形見・翼が通う小学校にも、デザリアムの少女フルールが転入。彼らは次第に周囲に馴染み、人々はそれを受け入れていく――

だが本当にデザリアムは、不幸な歴史を変えるために現れた善意の使者なのか。
旧ヤマト艦隊クルーを中心とするパルチザンはその正体を世間に訴えるべく、大規模な反抗作戦を計画するのだが......。
一方、宇宙戦艦ヤマトは透明戦艦グロデーズの追撃を振り切り、ガルマン星系に立ち入ろうとしていた――。
すべてを失った古代進は、再び立ち上がることができるのか。
そしてさらわれたサーシャの運命はいかに――!?

キャスト

古代進:小野大輔
森雪:桑島法子
サーシャ/真田澪:潘めぐみ
真田志郎:大塚芳忠
島大介:鈴村健一
土門竜介:畠中祐
揚羽武:上村祐翔
北野誠也:鳥海浩輔
南部康造:松本忍
藤堂信乃:塩田朋子
神崎恵:林原めぐみ
藤堂早紀:高垣彩陽
芹沢虎鉄:玄田哲章
藤堂平九郎:小島敏彦
アルフォン:古川慎
イジドール:堀江瞬
ランベル:江口拓也
サーダ:井上麻里奈
スカルダート:内田直哉

(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト3199製作委員会
おすすめタグ
あわせて読みたい

ヤマトよ永遠に REBEL3199の関連画像集

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2025年秋アニメ一覧 10月放送開始
2025年夏アニメ一覧 7月放送開始
2026年冬アニメ一覧 1月放送開始
2026年春アニメ一覧 4月放送開始
2025秋アニメ何観る
2026冬アニメ最速放送日
2025秋アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング