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『ヤマト3199』第三章 潘恵子インタビュー

『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第三章 群青のアステロイド』マザー・デザリアム役 潘恵子さんインタビュー|原作から受け継がれる想いと“人を想う心”が紡ぐ未来

 

潘めぐみさんの演じるサーシャには強い一面がある

──めぐみさんが演じられるサーシャにはどんな印象を受けましたか?

潘:私が演じたサーシャは儚い印象があります。もう50年近く経ってしまいましたが、あの時代のものだという感覚がありますね。でも今の時代は女の子が強いから、あんなに儚いと消えていってしまう気がします。

皆さんがあのサーシャで良かったかどうかはわかりませんが、あの時代はあれで良かったとは思うんです。私の中では、地球を守って陽炎のように消えてしまったあの子で良かった。でも今の世の中では、女子は以前より強い状態で主人公になるようなパターンが多いですよね。だから、これも時代なのだと思います。

 

 
私は身体面も精神面もおそらく弱かったので、私が演じたサーシャより、娘が演じるサーシャの方が強い印象を受けました。娘は強いと思いますね。意思も強いし、体力的にもあの当時の私の倍どころじゃない程働いていますしね(笑)。

一同:(笑)。

潘:娘が演じるサーシャならリメイクシリーズで、古代進たちと並び立つことに心配ない。率直に「このサーシャを見てみたい」と感じられたんです。

あの当時は儚さを求められました。意思は強くても、可哀想だと思われる側だった。だから、今の娘が演じるサーシャをあの当時の私は演じられないかなとも思います。

今だってマザー・デザリアムという役を演じ切れているのか不安はあるのですが、それくらい何か強さを持っているキャラクターには向いていない。芯はしっかりあったとしても、多くの人を動かす力は私にはないものなので、どうやって演じるべきか困っていたりしますね。

──そんなマザー・デザリアムが従えているキャラクターたちの印象も教えてください。

潘:アルフォンは気になりますね。人間的な弱さを抱えていて、凄く可哀想に見えます。マザー・デザリアムにとっては部下なのでしょうけど、私は逆にその弱さが人間味が強く思えて気になります。

 

 
アルフォンは原作から登場していましたが、リメイクのオリジナルキャラクターが戦っているシーンは新鮮ですよね。彼らデザリアム側のキャラクターとの掛け合いでは、自分(マザー・デザリアム)の作り上げた世界の人たちとして、部下を使うようなイメージで演じています。人を思う気持ちにも様々あるし、愛が憎しみを作っていくことだってある。今回私が演じるのはマザー・デザリアムですけど、私はマザーテレサが好きなんです。愛の反対は憎しみではなく、何なのか知っていますか?

──無関心でしょうか?

潘:そうそう。だから、マザー・デザリアムはその逆をやればいいのかなって。「私は生きたいのよ」って我を出すように演じればいいのかもと思っています。福井監督に内緒で伺いたいです。

──まとめに入る前に、原作の『ヤマトよ永遠に』の収録時、印象に残っている出来事もぜひお聞かせください。

潘:当時の私はまだ25歳~26歳で新人でした。『機動戦士ガンダム』と同時期だったので、『ヤマト』の後にそのまま『ガンダム』の収録に向かった覚えがあります。

収録は2〜3日かかったのですが、初めての映画だったんです。収録は西﨑義展さんと松本零士先生が座ってご覧になってくださいました。最後、サーシャが死んでしまう寸前の時に「これからお母さまの下に参ります」という台詞があるのですが、その時に途中で涙が出てきてしまったんです。

 

 
当時、遅くまで収録があってしょっちゅう夜中に帰っていたものだから、私は家族からこの仕事に就くことに反対されていました。だから、もう家出しないと仕事を続けられないので、手紙一枚残して出て行ってしまった。ちょうど、その時期の収録だったんです。

そのことを思い出して泣いてしまい……。サーシャの口にあわせて台詞を入れて、そのまま死んでいくような心持ちで演じなければならない場面だったのですが、喋れなくなってしまいました(録音中断状態)。

そうしたら西﨑さんが収録ブースのドアを開けて、「このままでいい」「画の方を直す」とおっしゃったんです。

その後で完成した映像をチェックしたら、絵の方の口パクが止まっていました。今だとあり得ないことかもしれないのですが、当時は画の制作と声の収録を同時進行でやっていたんです。だから、最後に画を直してくださったのだと思います。感謝しています。

舞台で演じることも、アフレコでキャラクターに声を入れることも何も変わらない。そしてそういう熱い想いが新たな世代にも伝わったからこそ、このリメイクシリーズに携わる方々も制作に打ち込んでくださっている。そうやって伝わったものはきっと変わらないので、ぜひ今の世代の方々にも見ていただきたいです。

 

 

──最後に、上映を楽しみにしているヤマトファンのみなさんへのメッセージをお願いします。

潘:人を想う気持ち、誰かを大切に想うことはAIにはできないことだと感じます。今この時だからこそ一番の問題ではないでしょうか。

人間かAIか、どちらが勝つかと問われた時に人間だと胸を張って言うためにも、そして共存していくためにも、この作品をご自身の大切な方と一緒にご覧になっていただけたら嬉しいです。

 
[インタビュー/胃の上心臓]

 

作品概要

ヤマトよ永遠に REBEL3199 第三章 群青のアステロイド

あらすじ

宇宙戦艦ヤマトが不在となった地球では、デザリアムと共存する奇妙な日常が始まろうとしていた。
あの加藤志郎の忘れ形見・翼が通う小学校にも、デザリアムの少女フルールが転入。彼らは次第に周囲に馴染み、人々はそれを受け入れていく――

だが本当にデザリアムは、不幸な歴史を変えるために現れた善意の使者なのか。
旧ヤマト艦隊クルーを中心とするパルチザンはその正体を世間に訴えるべく、大規模な反抗作戦を計画するのだが......。
一方、宇宙戦艦ヤマトは透明戦艦グロデーズの追撃を振り切り、ガルマン星系に立ち入ろうとしていた――。
すべてを失った古代進は、再び立ち上がることができるのか。
そしてさらわれたサーシャの運命はいかに――!?

キャスト

古代進:小野大輔
森雪:桑島法子
サーシャ/真田澪:潘めぐみ
真田志郎:大塚芳忠
島大介:鈴村健一
土門竜介:畠中祐
揚羽武:上村祐翔
北野誠也:鳥海浩輔
南部康造:松本忍
藤堂信乃:塩田朋子
神崎恵:林原めぐみ
藤堂早紀:高垣彩陽
芹沢虎鉄:玄田哲章
藤堂平九郎:小島敏彦
アルフォン:古川慎
イジドール:堀江瞬
ランベル:江口拓也
サーダ:井上麻里奈
スカルダート:内田直哉

(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト3199製作委員会

 

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