
「メロロンにとっては、自分自身のことよりもねえたまが一番。ねえたまに笑っていてほしいんです」ーー『キミとアイドルプリキュア♪』プリルン/キュアズキューン役・南條愛乃さん×メロロン/キュアキッス役・花井美春さんロングインタビュー
第17話での葛藤を経て……
ーーでも第17話を観ると、メロロンの愛に泣けてしまいます。
花井:そうなんです。私自身もアフレコしながら、うるっときました。
南條:第17話を収録している時はプリルンの目線でいるので、“うたを助けるために自分ができることは何か”、ということを必死に考えているんですよね。プリルンのそういう気持ちがみんなにも伝わっていたら良いなという感じなんですけど、収録が終わって、声が入った状態の映像を確認したときは、プリルンとしてではなくて、南條として見ていて。メロロンだって思いがあるのに、ねえたまのためにそれは言わずに飲み込んで、ただ黙ってひとりで涙をポツンと流す。もうせつなすぎて。なんてお話なんだと思いました。
花井:メロロンにとっては、自分自身のことよりもねえたまが一番だから、ねえたまに笑っていてほしいんですよね。元気なプリルンが大好き。そんなプリルンが涙を見せた時、メロロンは初めて“こんなねえたま、見たことない”っていう感情になっていたと思います。
メロロンにとってのねえたまは、かけがえのない……家族とかそういう言葉でも言い表せない、ものすごく大きな“愛”の対象なんですよ。ラブというより、“愛”という言葉がぴったりだなって。
ーーそして、第19話では大きく物語が動きますが……お気持ちとしてはいかがですか。
南條:第19話はちょっと切ない終わり方なんですよね……。大好きなうたのことを忘れてしまっているという。実は私たちふたりの浄化ソングのRECのタイミングで、「どんな状況で変身に至るんですか?」と監督に聞いたんですよ。その時に「アイドルを助けたい一心で変身するんだけど、そのためにはうたとの記憶を封印しなきゃいけない」って聞きまして。本当に衝撃的でした。演じる立場としても、すごく胸が痛くてその場で“ガーン”となってしまって。
だからこそ、プリルンが変身するまで、うたと過ごす時間をいちばん大事に過ごそうと思いました。それはもうプリルン目線というより、演じる側としての目線なんですけども。うたとユニゾンで台詞を言えるタイミングがあったらやろうと思っていましたし、うたといる時間をいちばんプライスレスな時間にしようって。それが視聴者の方にも伝わってくれたら良いですね。
ーーメロロンも一番大事にしているものをハートキラリロックに封印している状態なんですよね?
花井:はい。ただ、それがなにかは明らかになっていません。メロロンはあまり自分の気持ちを語らないタイプなので……。
南條:でも、美春ちゃんは知っているんだよね。
花井:はい。私だけは全てを知っている状況でアフレコしているんです。「メロロンの願いは、ねえたまの願いが叶うことメロ!」というセリフがあって。そのセリフを言う時に、私がいちばん大事にしているものをそこに詰め込みました。
ーーてっきり、メロロンはプリルンに関する記憶なのかなとも思っていたのですが……。
南條:そうですよね。台本を読んでいると、プリルンはうたにまつわる記憶を本当になくしていて。でも、メロちゃんはプリルンに対する想いは忘れていなさそう。「じゃあ、一体なにを封印したんだ?」というのは気になるところです。
花井:今、考えるだけで涙が出てきちゃいそうです。
南條:えーっ、なんなんだろう……?
ーーこの先の展開も楽しみにしています。変身シーンの収録も楽しみですね。
南條:ちゃんとセリフが揃うかドキドキするね(笑)。
花井:はい(笑)。アイドルプリキュアの3人が、毎回テストから本番まで全くブレずに完璧なんですよ。
南條:「何でこんなに揃うの!?」って思うくらい。
花井:そうなんです。その姿を間近で見ると“頑張らなきゃ!”って気持ちになります。
南條:がんばろ! もう千本ノックやらせてください!みたいな気持ちです(笑)。絵もめっちゃ可愛いんですよ。でも、今ちょっと不安もありますね。変なテンションというか……あとで作戦会議しないとね(笑)。
花井:はい(笑)。
南條:みんなこの緊張感を抱えて変身してきたんだなと、改めて感じています。
ピカピカな気持ちをずっと忘れないで欲しい
ーーところで、キュアズキューンとキュアキッスという名前がすごく新鮮だなと。
南條:そうなんですよね。斬新! ズキューンとか、もう名詞でもないっていう(笑)。でも、ファンサに絡んだ名前になっていて、アイドルって感じがしますよね。どこかのライブに“ズキューンして”みたいなうちわを持ってくれる人がやってくるんですかね?
花井:南條さんの個人のライブにも現れるのでは……?
南條:いや、私は塩対応で有名なので……(笑)。「ファンサはしませんからね」って言うと「それがファンサです」って言われるという、よくわからない現場です。
ーー(笑)。きっとこれから、キュアズキューン、キュアキッスのようなアイドルになりたい!と思う子どもたちも出てくると思います。これから子どもたちに伝えていきたいメッセージがあれば教えてください。
南條:私たちもズキューン、キッスとしての道を歩き始めたばかりなので、まだまだ未知なところもあるんですが……。でも、プリルンとも重なる部分がたくさんあると思っていて。やっぱり、“純粋さ”とか“無邪気さ”って、それだけで本当に尊いんですよね。それに勝るものはないって思います。“好き!”とか“応援したい!”、“キラキラだ!”っていう気持ちに、まっすぐになれるって本当に素敵。そういうピカピカした気持ちを、誰にも阻害されずに成長していってほしいです。やっぱり普通に生活していると純粋な生き方ってできなくなってっちゃうことが多いと思うので。
ーーわかります。
南條:私自身もプリルンを演じていて、ある日ふと街でチューリップを見たとき、「わあ!かわいい!」って不意に思ったりして。その時に、“あれ? 私、子どものころめっちゃチューリップが大好きだった!”って思い出したんです。急にフラッシュバックして、ああ、そういうのって忘れてしまうんだなって。だからこそ、今これを読まれている方も、“これが好き”、“これが可愛い”と思った気持ちを、大事にしてほしい。今の子どもたちにも“心にしまっておける大切なもの”を、ひとつでも多く持っていてほしいなって思います。
花井:忘れてしまう……というのは、なんだか切ないですね。
ーーまさに、ズキューン、キッスにもつながるお話ですね。
南條:でも……忘れたと思っていても、また思い出せるはずです。大切なことって、ちゃんと心の奥底に残っているから。お花を見て“可愛いな”って思う、ただそれだけで、もう十分じゃないですか。理由なんていらないというか。ただ感じる、それがすごく大事なことなんだと改めて感じました。
花井:私は“好きなものを貫いてほしい”って思います。例えば、“これが好き!”って言うのがちょっと恥ずかしかったりすることもあると思うのですが、好きの気持ちを大事にしてほしくて。同じものを“好きだよ”って言ってくれる人は、きっとどこかにいるはずだから。言葉にしなくてもいい、心の中で“ずっと好き”って自信を持って思い続けてくれたら、それだけで素敵だなって。
メロロンも、長い時間をひとりで過ごした過去があって、本を読んでその時に覚えた言葉でポエムを日常でつぶやいたりしているんです。だから、そういう“自分だけの楽しみ”を持って生きていくって、すごく素敵なことだと思います。絵本でも歌でも、何でもいい。夢中になれることを持ちながら、日々を楽しんで過ごしてくれたら嬉しいです!
[インタビュー/逆井マリ 撮影/小川遼 編集/小川いなり]
『キミとアイドルプリキュア♪』作品情報
あらすじ
ある日、伝説の救世主【アイドルプリキュア】を探しにきた妖精【プリルン】と出会う!
プリルンは、ふるさとの【キラキランド】が、【チョッキリ団】のボス【ダークイーネ】によって、真っ暗闇にされてしまったのだ。
そんな中、街の人のキラキラがチョッキリ団によって奪われ…大ピンチ!
「キラッキランランにしたい! 私の歌で!」
うたの決意が結ばれ、伝説の救世主《キュアアイドル》に変身!
歌って踊ってファンサして♡
どんな真っ暗闇でも、キミをキラッキランランにしちゃうよ!
キャスト
(C)ABC-A・東映アニメーション


























































