
「興味を持つから、生き抜いていける」。そう感じさせるバイブル的な作品ーー『Dr.STONE SCIENCE FUTURE』最終(ファイナル)シーズン 第2クール:小林裕介さん×野島健児さんインタビュー
小林さん、野島さんの科学技術を駆使したクラフト
――この作品で千空たちはクラフトしますが、お二人は何かクラフトはしますか。野島さんは以前、農業をされているとお聞きしました。
野島:僕は変わらず畑をやっています。もう窒素、リン酸、カリウム……。
小林:(驚きながら爆笑)
野島:その植物が必要とする栄養素など、そういったものの知識があるとないとでは全然違います。土壌に何が足りてなくて、何が多すぎるんだろうというバランスを取りながら、畑の肥料を考えたりしなくてはいけないんです。酸性なのか、アルカリ性なのか、それがわからないと野菜をたくさん育てることはできません。
自分が食べる分だけだったら、そこまで必要はないですけど、いきいきと植物に育ってもらうために、科学知識は必要なので、それをもとにやっています。今はバカみたいにきゅうりが獲れて……。
小林:(笑)。
野島:きゅうりもなすもトマトもししとうもピーマンも枝豆もとうもろこしも……。区民農園ですが、規模感がやばい……。
一同:(笑)。
――いつ頃から農園を始めたんですか?
野島:科学的知識を持って、畑仕事をしているのは2、3年前ですけど、科学的知識がなかったなら、8歳ぐらいからやっています。今は科学の畑をやっていますけど、以前はナチュラルな畑でした。
――失敗することもあるんですか。
野島:あります、あります。去年は冬場に空心菜を作ったら寒さにやられて全滅してしまいました。2週間後にまた空心菜を植えるんですけど、今年は失敗しないように育てたいなと……。
小林:トライ&エラーだ!
――科学知識は役作りやお芝居などに役立ちますか?
野島:何かどこかにあるんですかね。しゃべりながら理解しているのと、理解していない言葉は全然違いますよね。セリフの乗り方は違いますし、何を言っているかわかっていると安心ですよね(笑)。
――小林さん、いかがですか。
小林:(困った感じで)えぇ……。
一同:(爆笑)
野島:今の話を聞いたら、話しづらいよね(笑)。
小林:科学的なことであれば……自炊をするんですけど、最近見ているYouTuberの料理人の方が科学的にどうやって料理を美味しくするかを実践しているんです。
たとえば、普通の人が何の下ごしらえもせずに焼いた鶏肉と、プロが作った時の違いみたいなものをご自身で再現されています。「なぜこうなるかというと、グルタミン酸は何度になると、分解されてしまうので、こういうふうに作ると、とっても美味しくできます」と細かい科学の知識を使って、料理を作っていらっしゃるのを見て、たまにそのように作っています。
野島:すごい!
小林:何もしないものと、しっかり下ごしらえしたものを作って「マジだ全然違ぇ! 鶏肉のジューシーさがまるで違うし、できた時のふくらみ方も違う!」と感じながら、たまに作っています。
野島:確かに、料理は科学です。特にお菓子作りはめちゃくちゃ科学ですよね。
小林:そうです。お菓子作りは本当に分量を量り、ちゃんと温度を守ったらできるけど、焼くのは強火、弱火というちょっとした微妙なものがあるじゃないですか。「そんなの、わからんわ」という感じでしたが、最近はレーザーポインターを当てたら、温度がわかるんですよ。
野島:えぇ~~~、科学だ!!
小林:なるべく理論的に美味しくなるものを作りたいと思って、とにかく調理器具だけは集めています。
野島:面白い! 感覚じゃなくて、数値化しているんですね。
小林:卵を割る時に、鍋の近くギリギリから落とした方が細胞も壊れなくてフワフワになるとか。
野島:なるほどね。
小林:目玉焼きも油をけっこう多く入れて、卵をそっと割ってフタをして5分ぐらい蒸し焼きにすると、焦げ目とか裏に全くつかずに、フワトロのやつになる。それを朝ごはんに食べるだけで幸せになる。
野島:それやってみる!
小林:ぜひ! 「もったいない!」と思うぐらい油を入れてください。というように僕は科学を使って料理を“たまに”します。毎日ではないので「たまに」と書いておいてください(笑)。
――それは役作りやお芝居などに役立ちますか?
小林:先程も野島さんがおっしゃっていましたけど、「知ってる、知らない」だけかもしれません。ただ「料理は科学だ」と言っていますけど、全部繋がっているんだろうなと思うと、きっと頭のどこかにそういうものが出るんだなとは思いますね。
野島:フランソワも美味しく作ろうとしていますしね。
小林:あとは作中で出てきた式は調べるようにしています。
野島:偉い!
小林:理系だったので、「あぁ、すげぇ! トリチェリーの定理(※1)出てきた!」とか、「ベルヌーイ(※2)が出てきた!」というのがあって、ちょっと嬉しくなる時があります。
野島:全然わからない……。
※1:トリチェリーの定理…1643年にイタリアのトリチェリーが発見。容器の底に開いた小さな穴から流出する液体の速度を計算する式。流体力学の基本的な法則
※2:ベルヌーイの定理…1738年にスイスのベルヌーイが発表。流体の圧力・速度・高さ(位置エネルギー)の関係を記述する式。流体力学の基本的な法則。
――最後に、今シリーズを楽しみにしているファンのみなさんへメッセージをお願いします。
小林:クラフトのレベルはシーズンを経ていくとどんどん上がっていくものです。そこをすべて理解したり、ついてこられなくてもいいので、「あぁ、そうなんだ~」くらいの気持ちで見ていただきつつ、今作は心が苦しくなるシーズンになるなと思っています。特に今回のエンディングテーマが泣けるんですよ。
「あぁ、だからこの3人なんだ」というのに目頭が熱くなったり、今までとは違う涙がこぼれるんじゃないかと思っているので、心して見ていただきたいと思います。
野島:小林さんのコメントが素晴らしすぎて、何も言えない(笑)。単純な話なんですけど、僕は家族そろって見てもらいたい作品だと思っています。
子どもたちの夏休みの自由研究の参考にもなるし、僕の子どもはもう大きいんですけど、もしまだ小さかったら、見せたい番組だと思います。科学的なことだけではなくて、いろんなこと、いろんなジャンルで楽しむ要素が入っています。
いろんな人たちが「楽しむということは、どういうことなんだろう?」、「生きるって、どういうことなんだろう?」という原初的なことから、この世の中にある様々な出来事に関して、彼ら天才だけじゃなくて、いろんな人たちがいろんなものに興味を持って生きていく。興味を持つから、生き抜いていける。興味を持つことの楽しさやいろんな仲間たちが実は周りにいるんだということを気が付かせてもらえる、バイブル的な作品だと思っています。
子どもがいなくても、周りの子どもをひっ捕まえて(笑)、大人も子どもも一緒に見てもらえたら、楽しんでもらえる作品だと思っていますので、ぜひぜひこれからもいろんな子どもたちに見せつけてください。お願いします!
――ありがとうございました!
[取材・文/宋 莉淑(ソン・リスク) 撮影/胃の上心臓]
『Dr.STONE SCIENCE FUTURE』作品情報
あらすじ
こので、ゼロから宇宙船を作るビックプロジェクトへと乗り出した。
早速、世界中から宇宙船の素材を集めるため、大海原へと飛び出した千空たち。
最初の目的地・アメリカに降り立つと、そこには Dr.ゼノ率いる高度な科学王国が存在していた!
互いにリーダーを狙いあう科学 vs.科学の速攻戦で、Dr.ゼノを捕らえたクロムたち。
スタンリーの猛追をかわしながら、次に目指すのは、あの忌まわしき石化光線の発信源――南米大陸!!
石化装置“メデューサ”の秘密に挑みながら、全力クラフトでアマゾンを駆け抜ける千空たち。
スタンリー部隊の魔の手が迫る中、千空と科学王国の仲間たちは、科学の灯を繋ぎ、ついにメデューサの核心に迫る――!!
キャスト
(C)米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会







































