音楽
『ずたぼろ令嬢』OPテーマ「月蝕」krageインタビュー

『ずたぼろ令嬢』を彩る壮大なサウンドと歌詞に込めた想いとは? 初のOPテーマに挑んだkrageが語る「月蝕」の魅力

 

ライブの幅を広げてくれる3曲が完成!

──カップリングの2曲「融解」と「白群」も、漢字2文字ですが、これは合わせたのですか?

krage:カップリングは、私とライブのバンドメンバーでもあるKanato(WHISPER OUT LOUD)さんで、候補曲を2曲ずつ作っていたんです。その中で選んだ曲が、たまたま漢字2文字だったんです。そもそもカップリングを1曲にするのか、2曲にするのかも決まってはいなかったんですけど、デモの段階で、この3曲を並べて聴いたときに、「すごく良くない?」となって、決まりました(笑)。

──それぞれ、どんなテーマで作った曲なのですか?

krage:私が作った「融解」は、真夜中をイメージした曲を作りたくて書いた曲で、メロディでも独特の浮遊感を持たせたかったんです。テーマは「忘れたい想いの曲」です。夜中って、思いにふけって、ふわふわしたりするじゃないですか。深夜2~3時ぐらい自分の中にぼんやりとある心残りを、感情を溶 かしてそうやって忘れてしまった方がいいと諭すよう歌詞を綴っていて、思いを完全に否定せず、万物の流れに身を任せ、最後には 「私がみた夢」で全部なかったこと、忘れてしまおうという締めくくり、夜中に想いに耽るときのような浮遊感のあるメロディーと 段々後半にかけて高揚していく感情の揺れを表しています。

 

 

──ピアノと歌声の心地良さもあって、夜中のイメージはありましたが、途中で、ギターソロが入ってくるあたりで、ドラムも激しくなっていきますよね。このあたりの静と動の対比は、どんなイメージがあったのでしょうか?

krage:アレンジは福島章嗣さんにお願いしていて、これまで「suisou」や「春想」でご一緒しているんですけど、サウンド面でもすごく信頼している方なんです。なので、いったん自由にやっていただいていいですか?と、ピアノと歌だけのデモを渡したのですが、私がピアノでソロを入れていたところを汲み取っていただき、感情が高まるセクションを作ってくださったんです。それをいただいた時点で、すごくカッコ良かったので、このまま最後まで作ってくださいとお願いしました。

午前2~3時くらいって、感情が揺れやすい時間帯だと思うので、ふわふわしていたり、ぐわーっとなったりするのが、アレンジでも表現されている感じになって、良かったなと思いました。

──「白群」は、Kanatoさんがメインで作られていますが、こちらはどのようなテーマで書いてもらったのですか?

krage:まず、すごいざっくりなんですが、「私っぽい感じの曲を書いてほしい」というリクエストをしたんです(笑)私も知らなかったんですけど、「白群」タイトルは色を意味していて「青と緑に白を混ぜた淡い色」のことなんです。つまり、私のテーマカラーの「青と緑」に白を混ぜた色ということになるんです。

Kanatoくんからも「青と緑は、水や空を思わせる透き通る儚さや静寂みたいなもので、“白”は純粋。“郡”というのは混沌や雑多を表していて、その対比を使って、心の中の矛盾や混乱を白く塗りつぶしていくような心情を描写しました。見かけは美しいけど、その中には混乱や葛藤が渦巻いているという、多層的なテーマがあります」とコメントをいただき、詩的な曲になりました。

真っ白にはならず曖昧で色が残っている状態を感情に重ねて、消えてしまったと思ってもまだここに残っているという比喩。"白群"の色の様に愛しさや温もりが時間と共に滲んで濁ってし まっても、それでも自分の一部だと受け止め、最後に「返事をして と願った」で感情を再び取り戻したいと心からの叫び、そして願う曲になっています。

──こちらはピアノと打ち込みが際立っていて、サビはストリングスアレンジで壮大な感じになるのですが、波の音もあって、最後は静寂になっていくイメージがありました。

krage:すごくカッコいいサウンド感ですし、「融解」と繋がる感じもあるんですよね。この曲は、さらに時間が進んで、4~6時ぐらい明け方とか、夜が明ける時間帯の曲というイメージがあります。

 

 

──ボーカルに関しては、それぞれどのようなアプローチで歌ったのでしょうか?

krage:「融解」は全体として淡々と自分自身に語りかけるように歌詞に合わせ中低音を効かせて芯がありながら空気感もあり 艶やかな歌唱を心がけました。ラスサビ付近で徐々に感情が高ぶっ ていくように静かに喋るような歌い方から一気に伸びやかに歌い上げています。
「白群」はAメロはかなり低くドライで男性的に、 サビは声に厚みを出すことを意識しました。個人的にメロディーの 動きの難易度が高くて、全体としてファルセットと地声の切り替え が多くなり、そこが良いクセになっている楽曲だと思います。

──今回のシングルは、krageさんらしい3曲が収録されていると考えてもいいのでしょうか?

krage:かなり私らしさは出ていると思います! 最近、自分自身の中で「融解」と「白群」のようなバラード曲が少ない気がしていて、ライブでも激しめな曲を多めにやっていたんです。「月蝕」はアップテンポでライブ映えする曲で、乗りやすくキャッチーなので、この3曲が加わったことによって、個人的にライブで私の世界観が一層表現できるなと思いました。

あと、今回はジャケットが月になっているので、夜の印象がする曲が3曲入っているのもいいなと思いました。

──少し、アニメイトタイムズらしい質問もしたいのですが、krageさんが好きなアニメを教えてください。

krage:最近、あまり観れていないんですけど、自分が主題歌を担当した作品以外だと、『葬送のフリーレン』とか『俺だけレベルアップな件 Season 2 -Arise from the Shadow』、『薬屋のひとりごと』シリーズ、『マッシュル-MASHLE-』とかですかね。

──『俺レベ』の2期のクオリティは、ものすごかったですよね!

krage:私は第1期のEDテーマを担当させていただいて「request」という楽曲を歌っていたんですが、第2期も観ていて、すごいクオリティだなと思いました。主人公の水篠 旬の顔が、だんだんスタイリッシュになっていくのも面白かったです(笑)。

 

 
あと、『ずたぼろ令嬢』のEDテーマ「マリー」を歌っているMyukちゃんから『タコピーの原罪』をおすすめされたので、今度観てみようかなと思っています。

──おそらくkrageさんが好きな系統だと思います。個人的には『光が死んだ夏』なども、合うのではないかなと……。

krage:夜、たまたま観たシーンが衝撃的だったので、気になっていたんです! それで思い出しましたけど、『サマータイムレンダ』も、面白くて観ていました。

──ちょっとサスペンスとかホラー感がある作品が好きなんですね。

krage:ホラーがすごく好きなんですよ。ホラー映画とかもよく観るし、どろっとしたアニメ作品が好きなんです。結構怖いものが昔から好きで、絶叫マシーンとかも好きなんです。

──では次に、好きなアーティストを教えてください。

krage:AimerさんとLiSAさんとmiletさん、TK from凛として時雨さんが好きです。

──どんなところが好きなのですか?

krage:皆さん、歌唱力がしっかりしているのがまずあって、Aimerさんは声質が独特で、ハスキーなアプローチが好きですし、LiSAさんは、ロックの激しい演奏にも負けない歌のアプローチがすごいなと思っています。miletさんは、グローバルな歌唱スタイルで、私も多言語を使うので、そういうところも尊敬しています。

そしてTKさんですが、私が最初に聴いたJ-POPが「unravel」(TK from 凛として時雨/『東京喰種トーキョーグール』のOPテーマ)だったんです。すごい曲から入ってしまったんですけど(笑)、TKさんは、私の中で「感性のすごい塊」と思っていて、何を食べたら、こういう感性になるんだろうって思ってます。

──ありがとうございます。では最後に、読者へメッセージをお願いします。

krage:『ずたぼろ令嬢』で私を知ってくださった方も多いと思うのですが、作品は、人間らしい部分も描きつつ、マリーに幸せになってほしいという気持ちが湧いてくる素晴らしいものだと思っています。私としても、初めてOPテーマという形で参加ができたので本当に嬉しい気持ちです。「月蝕」が、アニメの最終話までを彩れる楽曲であれば良いなと思っていますし、作品の内容にもかなりマッチした楽曲になっているので、1番だけでなく、フルで聴いていただき、リピートしていただければ嬉しいです。

 
[文・塚越淳一]

 

CD情報

 
【発売日】2025年8月20日
【価格】期間生産限定盤:2,200円(税込)

≪収録内容≫
[CD]
1.月蝕 ※作詞・作曲・編曲:内澤崇仁 (androp)
2.融解 ※作詞・作曲:krage 編曲:福島章嗣
3.白群 ※作曲・編曲:Kanato(WHISPER OUT LOUD) 作詞:Kanato, krage
4.月蝕 [TV Edit]
5.月蝕 [Off Vocal] [BD]
TVアニメ「ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される」ノンクレジットオープニングムービー

 
krage X:@krage_music
krageスタッフX:@krage_staff
krage公式HP:https://www.krage-music.com/

 

作品情報

ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される

あらすじ

ずたぼろの服をまとい、両親から召使のように扱われている貧しい男爵家の次女・マリー。

それでも素直で優しい心を持ち続け、彼女は家族に尽くしていた。

ある日、マリーのバースデーパーティが開かれる。

ところが、主役はお姫さまのような姉のアナスタジア。

会場の外で哀しそうに佇むマリーは、偶然にも大富豪のキュロス・グラナド伯爵に遭遇する。

お互いに惹かれ合い、マリーにひと目惚れしたグラナド伯爵だったが、ある勘違いからマリーではなく、アナスタジアに求婚してしまう!

急速に進んでいく、グラナド伯爵と姉との婚約。

しかしアナスタジアが事故死してしまい、代わりにマリーが伯爵家へ嫁ぐことになり……!?

勘違いから始まる“ずたぼろ令嬢”のシンデレラストーリー、開幕!

キャスト

マリー:本村玲奈
キュロス:濱野大輝
アナスタジア:田中美海
ルイフォン:木村良平
ミオ:日笠陽子
リュー・リュー:大原さやか
トッポ:柿原徹也
トマス:小林竜之
チュニカ:相坂優歌

(C)とびらの・仲倉千景/双葉社・「ずたぼろ令嬢」製作委員会
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