
『追放者食堂へようこそ!』連載インタビュー第12回:デニス役・武内駿輔さん×アトリエ役・橘 茉莉花さん|美味しい料理で繋がる人と人──「ぜひぜひ、この作品の常連さんになってください!」
第1話のときから居やすい雰囲気を作ってくださっていました
──アフレコでの思い出も話していただければと思います。橘さんは初のレギュラー作品となりましたが、武内さんから見ていかがでしたか?
武内:本当に素敵な存在でした。アトリエのようなキャラクターを演じるにあたって、茉莉花ちゃんは等身大の自分を変に隠さないというか。一つひとつのセリフに対して取り繕うこともなく「どうやったらアトリエの声を自分の中から持ってこられるんだろう」と考えていたんです。
本人は意図していないかもしれないけれど、そういった姿勢を僕自身も、周りの人も感じ取っていたと思います。自分のキャラクターに真面目に、真摯に向き合う姿勢に、この作品は支えられていた気がしますね。
『追放者食堂へようこそ!』は、アクションもあればギャグもあって、さらにシリアスなシーンもある。それぞれが持っているカラーを強く押し出していこうとすれば、色々な演技ができちゃうと思うんです。たとえば、アクションのときは豪快にやってみようとか、シリアスなところでは思い切り泣かせようとか。でもこの作品は全体を通して、ひとつの良い料理のような形なんですよね。すべての要素が組み合わさるから、魅力的に映る作品だと思うんです。
アトリエのセリフで「意図的に視聴者の方に刺さるようにしよう!」のような雰囲気は良い意味で感じなかったんです。常にお芝居の大事な根幹を提示してくれていたので、僕も見習って、自分に嘘をつかない芝居をしようと思っていました。
──オーバーに演技できるポイントもキャラクターの心情に寄り添って、素直にそのまま演技をする、といいますか。
武内:そうですね、あと緊張してどもっちゃうこともなかったし、朗らかで、芯の部分がちゃんとあるんですよね。
──まさにアトリエのようですね。
武内:本当に! 似たような要素を持ってる人がキャスティングされるんですかね(笑)。素敵でした。
橘:ありがとうございます……!
でも、最初はとっても緊張していたんです。どうやって現場に入ったらいいのかもわからなかったし、どのようにマイクに入っていいかもわからない状態でした。掛け合いの経験もこれまで多くありませんでしたので……。
──橘さんがデビューしてすぐ、コロナ禍になって。
橘:そうですね。だから『追放者食堂へようこそ!』で先輩方の背中を見て、学ぶことだらけでした。収録中も色々な人の背中を見て、まず台本をどうやって持っているんだろう、台本がちらっと見えたときには、どういう書き込みをしているんだろうと。
あと、私がつっかえてしまったとき、掛け合いがあるときは隣に武内さんが入ってくださって、その都度掛け合いをしてくださいました。私のセリフを録り直せばいいだけのときも、一緒に入ってくださって。
武内:伊瀬さんも、丁寧に丁寧にやっていましたね。
橘:本当にありがたいことですし、すごく安心感がありました。
武内:とにかくモチベーションが高い現場で、みんな同じところを見ているようだったんです。そんな連帯感がありましたし、後半になるに従ってみんなのビジョンがひとつになっていくような感覚でした。
──先ほどお答えいただいた、この作品自体が「ひとつの良い料理のような形」という言葉が印象的でした。
武内:ありがとうございます(笑)。でも本当にそうなんですよ。どこかが味が濃くてもダメ。料理と同じでバランスが大事なんです。
──アフレコ現場では差し入れも豪華だったそうですね。
武内:先生方が遠方にいらっしゃるので、アフレコに来てくださるときに差し入れを持ってきてくださいました。「追放者食堂」だけあって、差し入れがバラエティ豊かだったので、休憩中にお茶を飲みながら食べて、しゃべって、明るい雰囲気でした。
橘:つむみ先生が毎回、アトリエちゃんの絵とコメントを書いてくださっていて。それが本当に嬉しくて写真を撮っていました。
武内:最終話のときは、先生方が、オリジナルのアクリルスタンドを作ってくださって、記念品としていただきました。ほかにも美味しい調味料をいただいたり。それも嬉しかったね。
橘:嬉しかったです! 炒飯の素もありましたよね。
武内:あったね! 嬉しかったなぁ(笑)。
橘:「炒飯をくれるのではないか」という話はキャスト同士でもしていたことがあったのですが、本当に炒飯の素をいただいて(笑)。
武内:一本取られましたね。
──さすが先生方ですね。打ち上げなどの機会もあったのですか?
橘:最後の打ち上げと、収録の真ん中あたりでも食事に行く機会がありました。実は私、お酒が入ったほうがしゃべれるんです(笑)。いつもは緊張してしまうのですが、その場所で甲斐田さんや武内さんとお話しできて。それまで中々長くお話しできる機会のなかった小沼音響監督ともお話しができたので、良い機会になりました。そこでちょっと輪が広がって、アフレコでもしゃべれるようになったと思います。
武内:僕はずっと、下山さんとホッピーを飲んでいました(笑)。ほぼ原液じゃん!とか言いながら(笑)。
──(笑)。本作において武内さんは、座長という立ち位置だったんですよね?
武内:う~ん、僕はあまりそういう事は考えていなくて。どちらかというとアトリエが主人公だなと捉えていたんです。なので、座長かと言われると……よくわからないです(笑)。
橘:でも、いつも雰囲気を作ってくださっていたと思います!
武内:いやいや。世の中には明確に「座長!」という方もいますから。
橘:そうなんですね……。でも私は本当にありがたいなと、第1話から思っていました。いつも居やすい雰囲気を作ってくださって、緊張し過ぎても演技をする上では良くないと思うので、やりやすい空気を作ってくださったのが、ありがたかったです。
──橘さんから見て、武内さんのお芝居はいかがでしたか?
橘:終盤のお話になりますが、戦っているシーンにおける後ろ姿の迫力がすごいな!と思いました。
武内:戦闘シーンは、ヴィゴー役の鈴木崚汰が良かったんだけどね(笑)。
橘:お互いがどんどん盛り上がっていく感じでした。鈴木さんが上げたら、武内さんも上げていくみたいな掛け合いの迫力がすごくて!
今まで私は、家で演技の練習をしていたので、演技はひとりで作り上げていくものだと思っていたんです。だから、お二人が掛け合いながら、どんどん重なりあっていくお芝居を現場で見られたことは、本当に大きな経験でした。
でもそれは、鈴木さんと武内さんだけでなく、先ほどお話に出てきた伊瀬さん、甲斐田さんなど、色々な方との掛け合いを見ていても感じたことで、こうやってお芝居は作り上げていくんだと学ばせていただきました。
あと、第6話の裁判で不正をしたスティーンブスに怒ってくれるところは、後ろから見ていて、イケイケ!って思っていました(笑)。
武内:あははは!
橘:もっと言っちゃえ!って(笑)。とてもカッコ良かったです! あそこのデニスも完全にお父さんでしたよね。アトリエのために、アトリエの気持ちを全部代弁してくれた。本当にカッコ良かったです!!
武内:ジョゼフ役の鳥海浩輔さんやスティーブンス役のチョーさん、「夜の霧団」ホッパー団長役の上田燿司さんなど、先輩方のお芝居をみて、僕も勉強させていただきました。
また戦闘シーンに注目すると、鈴木崚汰の馬力は僕がどうやったって追いつけないところがあるので、どれだけお芝居で応えられるか、だったんです。崚汰の真っ直ぐで自分のビジョンしか見れていないようなキャラクターを演じるときの熱量は凄まじくて、僕が同じ役をやったとしても、ここまで表現できるかな?と思うくらいなんですよね。
















































