
『暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが』織田晶役・大塚剛央さん×アメリア・ローズクォーツ役・水野朔さんインタビュー|晶の優しさ、そして、アメリアの愛の重たさが魅力!?
“必殺技”を出したくて声優になった
ーー演じるときに意識したことはありますか?
水野:テープオーディションだけだったんですけど、そもそも私は、シリアスな作品が好きで「戦っている作品に出たい!」という気持ちが強かったので、アメリア役に決まったときは、すごく嬉しかったです。
そのオーディションのときは、可憐で透明感のある、感情が乏しいキャラクターとして演じさせていただいたんですけど、実際にアフレコが始まると、全然そんなことはなく、猫みたいだったんですよね。台本のト書きにも、「可愛く」と書かれていて、天然な可愛さを、晶に対してだけ見せるので、そこはかなり苦戦しました。普段、自分が言わないようなセリフも多かったので、難しくて……。
今、台本を見返しても、至るところに「☆可愛く」と書いてあるんですよね。だから、できる限り可愛く演じる、というのは意識していました。
あと、オーディション原稿に、第2話の登場シーンがあったんですけど、羽原(信義)監督の中で、それがすごく刺さったようで、アメリアにぴったりだと思ってくださったみたいなんです。だからそのシーンだけは、オーディションを再現できるようにしようと思いました。
ーー水野さんは、バトルものが好きだったんですね。
水野:私、声優を目指したきっかけが「必殺技を出したい!」だったんですよ。アメリアも戦闘中に使う技があって、それが大きめに叫ぶ感じの技なので、個人的には「これがやりたかったー!」という気持ちでした。
年齢が上がるにつれて、必殺技を叫ぶことに対して、恥ずかしさが出てくるじゃないですか……まぁ、普通に生活していたら、そもそも必殺技を叫ぶ機会なんてないんですけど(笑)。でも声優は、大人になっても必殺技を叫んだりできるので、それは嬉しいことだなと思います。
ーー晶に関しては、いかがですか? 何かディレクションなどはありましたか?
大塚:オーディションから、大きく変えてほしいという要望はなかったので、細かいところを修正していった感じになります。クール寄りのキャラなので、どの程度アウトプットするのかというところは、細かくディレクションしていただきました。
タイトルにある通り、晶は強いですし、成長もします。その強さ加減、誰と相対しているか次第になるんですけど、緊張感と余裕の塩梅に関しては、音響監督さんと調整していきました。
あと、どの程度心を開くかというところは、特にアメリアや晶が召喚されたレイティス王国の騎士団長サラン・ミスレイ(CV.諏訪部順一)に対して考えていきました。たとえばサラン団長と会話しているところでは、「ここはもうちょっとサラン団長の茶目っ気に、毒気を抜かれても大丈夫です」とか、そういうディレクションをしていただきました。
ーー夜に対しては、またちょっと違う感じですよね。
大塚:夜に対しての晶は、表情が意外と柔らかくて、親しみやすい感じもあったので、あまり凝り固まった人でもないのかなと思いました。感情の表出が大きくないだけで、いろんなものを内に秘めているんだと思います。
ーーちなみに大塚さんも必殺技を叫ぶのが、好きだったり?
大塚:あはは(笑)。どちらかと言うと、必殺技はずっと難しいなと思っていますね。晶だと、決めなきゃいけないけど、決め過ぎたらキャラから離れてしまうんです。何を救おうとしているのかでニュアンスも変わってくるだろうし、「必殺技ひとつ取っても、奥が深いなあ」なんて思いながら叫んでいました。
ーー画が完成されていなかったりする中は、戦闘中のアドリブも難しいですよね。
大塚:そうですね。戦闘中、剣を振ったりジャンプしたりするので、ここは画に任せていいのかなとか。ここは息を入れて、インパクトを出したほうがいいかなとか。考えながらやったことが演出の方向性にハマったときは、面白いです。あと「ここは息を入れてください」「ここは抜いてください」というディレクションから、「完成はこうなるのかな?」と想像を膨らませたりするのも楽しいです。
2人が上げたいステータスは?
ーー実際にアニメを観てみての印象はいかがでしたか?
水野:建物とか美術のクオリティが凄まじくて、壮大ですよね! 監督もおっしゃられていたのですが、晶がしゃべっている空間の広さだったり、反響も意識して作ってくださっているみたいなんです。なので、全てにおいてリアルなんですよね。演技においても、リアルさは求められていたので、映像から感じるリアリティは魅力だと思いました。
ーー異世界を舞台にした作品で、いかにその世界が本当にあるように感じさせるかにこだわっていると。
大塚:このアニメはカット数が多いんですよ。これも監督がおっしゃられていたことなんですけど、キャラクターが話しているところも、画面が動いたりしていて、見ていて飽きない工夫をしているそうなんです。そういう意味では、飽きのこない画作りも魅力だと思います。それと、劇伴も含めた音にめちゃくちゃ迫力がありますよね。それによる世界観の落とし込み方が、このアニメの良さだと思いました。
ーーかなりスピーディに展開していくように感じましたが、物語の構成についてはいかがですか?
大塚:かなりテンポよく進んでいくんですけど、そのテンポの速さも、自然と入ってくる速さなんです。大事なところは落とさずに活かしているし、キャラクターも、ちゃんとそれぞれが生きているように描かれています。構成的に時間が飛んでいる部分があっても、僕らは飛ばして考えてはいけないので、それがあった上で演じなければならないんです。そこは苦労するところではありました。
ーー例えば、晶とサラン団長との信頼関係が変化していく過程も、尺が短い分、演技で表現しなければいけない部分があったのかなと思いました。アメリアも、心情を語るモノローグがあるわけではないので、アニメだと、よりミステリアスに見えました。
水野:登場シーンから「何でそこにいるんだ?」という感じもあるので、ミステリアスさはあると思うんですけど、何か闇を抱えていそうなところを、皆様の心に残すことができたらいいなと思って、第2話を演じさせていただきました。
でも、そこから本当に晶に懐いていくんですよ。アメリアの過去だったりが紐解かれていく最中も、心の変化はわかりやすく出ていると思うので、楽しんでいただけると思います。
ーーその他に注目してほしいキャラクターはいますか?
大塚:勇者の佐藤司の成長は、ぜひ注目していただきたいところです。タイトルからして「晶のほうが強い」ということになりますけど、彼は彼で必死に頑張っていて、いい奴なんですよ。クラスを引っ張っていくリーダー的な立ち位置だからこそ、責任感もあるんです。
晶からすると、少し危なっかしく見えてしまうんですけど、彼なりに頑張っているのは、演じるキャストの方とも重なるところがあって。すごく頑張って演じていたので、それを見ていた僕自身も刺激を受けましたし、楽しかったです。
水野:私は夜ですかね。いろいろ抱えている猫ではあるんですけど、晶に助けられたという意味では、アメリアと重なる部分があるなと。一方で、すごく空気が読める猫なんです。それを見れば見るほど好きになっていくといいますか。あと小林沙苗さんが入れるアドリブもすごく猫っぽくて!(笑)あるエピソードで、台本にないのに「ニャー」と入れたシーンがあるんですけど、その入れ方が本当に素敵でした。個人的に衝撃を受けたので、「ここかな?」と思いながら観ていただけると嬉しいです。
ーー最後に、作品タイトルに因んで、自分のステータスをひとつ上げられるのならば、どの能力を上げたいですか?
水野:ひとつだけかあ……やっぱり頭脳ですかね。頭が良くなりたいです。大人になってから、もうちょっと勉強しておけば良かったなと思うシーンが増えてきて。特に英語をしゃべれるようになりたいんですよ。頭脳のステータスを上げられたら、簡単にしゃべれるようになりそうなので良いなと思いました。
大塚:何だろう。(少し悩みながら)……寝ないで活動できる時間を増やしたいです。寝ることも好きだから、寝たいは寝たいんですけど、ショートスリーパーの人が羨ましいです。あれもやりたいこれもやりたいと思いながら寝ちゃうんですよ。ステータスで言ったら体力になるんですかね? あとは遅刻しそうになっても、「走って何とか間に合わせる!」みたいな能力も良いかもしれません。
[インタビュー・撮影/塚越淳一]
『暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが』作品情報
10月6日(月)深夜1:30より放送開始!
あらすじ
召喚によってクラスメイト全員にチート能力が付与される中、彼は生来の影の薄さからか平凡な“暗殺者"の能力を得る。だが、ただの“暗殺者”のはずなのにステータス値が、最強の職業“勇者”すら軽々と凌駕していて――!?
そして、召喚の首謀者である国王の言動に疑念を抱いた晶は、自分の存在をひた隠しその陰謀を暴くも、逆にあらぬ罪を着せられ追われる立場に追い込まれてしまう。
国王への復讐を誓った彼は、逃げ込んだ前人未踏の迷宮深層でエルフの少女アメリアと邂逅を果たす――…。
これは“暗殺者”の能力を得た少年が、エルフの少女と出逢い真の”暗殺者”へと至るまでの物語。
キャスト
(C)赤井まつり・オーバーラップ/暗殺者のステータスが勇者よりも強い製作委員会













































