
芹沢は理想とする悪役像とピッタリ。収録では悪いヤツをやろうとしないことを徹底しました──「任侠×SF×死に戻りループ」の異色ゲーム『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争』発売記念に芹沢鏡時・小林親弘さんへインタビュー!
小林さんの役者人生に大きな影響を与えた橋爪 功さんの言葉とは?
――この作品では親や兄から血を受け継ぐことで「力」を手に入れますが、小林さんがお芝居をする中で、先輩から受けたアドバイスや行動で感銘を受けたり、今も大切にしているものはありますか?
小林:たくさんあります! 20代前半の時に一番刺さったのは元々いた劇団(演劇集団 円)の座長の橋爪 功さんに言われた言葉です。「お前は感情を込めてやり過ぎだ。例えば動物のドキュメンタリーで、チーターがガゼルを捕食しているシーンがあったら視聴者は泣けるけど、でもチーターやガゼルは「食ってやる!!」「食われるもんか!」と表現しているか? してないだろう? お前はそういうことを過剰に乗っけているだけなんだ。でも生きているだけでいいんだ。観ている側は勝手に判断するからこちらから提示するんじゃない」と。聴いた瞬間、「なるほど!!」とすごく刺さったし、今の自分の芝居の土台になっています。
あとその劇団の中で古典の舞台を見た時に、70歳超えの役者さんがあまりにも自然体で、長いセリフをずっとしゃべるんです。台本のページ数にしたら多分4~5ページくらいあるのに全然力が入っていなくて。僕らがやったら一生懸命しゃべったり、「大きい声を出さなきゃ」とか「感情的にやらなきゃ」とか考えてしまいそうだけど、その役者さんはフラットにしゃべりつつ、でも意味は全部入ってくるし。「なんて芝居だ!?」と感銘を受けたので舞台が終わったらすぐに楽屋に走って、「今みたいなお芝居はどうしたらできるんですか?」と尋ねたら「僕はとにかくセリフ覚えが悪いから忘れないように一生懸命思い出しながらしゃべっていたんだよ」と。それを聴いた瞬間、「芝居って何だろう?」とワケがわからなくなりました(笑)。
でもすごく心に刺さって。「何かを表現しよう」とか「いい芝居をしよう」と思いすぎたり、意識しすぎることが力みに繋がって、ついつい説明しがちな芝居になっていたのかもしれないと。そこで橋爪さんのアドバイスを思い出して、「これではチーターやガゼルにはなれないな」と気付かされました。
そういう1つ1つの先輩方の生き様やもらったアドバイスが、年齢を重ねていくごとにわかってきて。今はとにかくやろうとせずに伝えられないかなと考えていますけど、それを現場でやるとOKが出なかったりするので(笑)。アニメやゲームの現場ではある程度、デフォルメしないと伝わらないこともわかるし。難しいなと思いながら日々芝居に向き合っています。
――確かに演劇の舞台とアフレコでは同じ芝居ではあるけど、違いがありそうですね。
小林:きっと慣れだとは思うんです。その時の流行りがあって、アニメーションの芝居もそうで。例えば昔の『赤毛のアン』(「世界名作劇場」枠で1979年放送)の芝居は割とぽろぽろとしゃべっているけど、それを観て育った人が「これがいい芝居なんだ」と思って自分の芝居を作っていくので、統一されていく部分もあります。でも芝居の形は1つではなく、いろいろあっていいんだという気がしています。それを大事にしながらやっています。
プロデューサー:『ROAD59』は複雑な人間関係が繰り広げられる作品で、1人の人物の中に本音と建前の両方があることを意識してキャラクター設定を作っていったので、キャストさんにも「あまり記号化しすぎることはせず、言葉にできない感情の微妙なニュアンスを残してほしいです」とお願いしていました。今日、小林さんに芹沢を収録していただきましたが、セリフを聴いていてすごく腑に落ちたのはそういうご経験があったからなのかもなと思いました。
小林:僕も演じていて、そうだなと思っていました(笑)。
『ROAD59』は芹沢の悪っぷりを堪能しつつ、いろいろな視点で楽しんでください
――ゲームをプレイしてくださった方、これからプレイする方へコメントを頂けますと幸いです。
プロデューサー:キャラクターそれぞれに大切なものがあるからこそ、裏切りや復讐に巻き込まれていくのが『ROAD59』という作品なのですが、その中で小林さんが演じてくださった芹沢鏡時は唯一、『大切なもの』に囚われず、自分のための行動だけをずっと選択し続けてきたキャラクターなのかなと思っています。
だからこそある意味で、作中で彼はとても異質な存在かもしれません。そんな芹沢の選択や行動によって、周りのキャラクターが戦いの渦に巻き込まれていく様を皆さんにも楽しんでいただると嬉しいです。
小林:ゲームを既にプレイされている方、購入してやろうと思っている時にこの記事を見つけた方、ありがとうございます。ぜひ『ROAD59』の世界を堪能してください。まだ迷っている方は購入していただけたら、この記事で僕が話した意味をより理解していただけると思います。
『ROAD59』は設定的にもあまり見ない、珍しい作品だと思いますし、演じがいがある作品と出会えたなと感じました。僕はずっと悪役を演じたいという気持ちが強かったので、その願いが叶ったことも嬉しかったです。芹沢は自分がイメージする理想の悪役像で、「悪」らしさが詰まっていて楽しく演じさせていただきました。芹沢の悪っぷりを楽しんでいただいたり、思い切りショックを受けてください(笑)。
芹沢以外のキャラクターも善悪限らず、人間臭くて、魅力的で、視点によっては善悪が逆転するかもしれません。「極道」は道を極めると書きますので、皆さんも『ROAD59』を楽しみ尽くしてください。
ゲーム概要
タイトル:ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争
ジャンル:ビジュアルノベルゲーム
対応機種:Nintendo Switch/Steam
プレイ人数:1人
ボイス:パートボイス
対応言語:日本語
(以下言語字幕にも対応予定)
英語、繁体字、簡体字
<キャスト・スタッフ情報>
<CAST>
砂川脩弥/七海ひろき/美波わかな/相羽あいな/北村諒/末野卓磨
井上正大/工藤晴香/岡田夢以
君沢ユウキ/河内美里/前田誠二/白又 敦/鮎川太陽/山本康平
蒼井翔太/渡辺和貴/加藤里保菜
石川由依/津田健次郎/佐々木李子/谷江玲音/小林親弘
<STAFF>
企画・原作:ブシロード
キャラクターデザイン・メイングラフィッカー:ぎどら
開発:ロケットスタジオ












































