
映画『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』ルーイエ役 悠木碧さんインタビュー|“引き算の芝居”で描いた、強くて優しい姉弟子・ルーイエ
これまで勉強をしてきた 引き算の芝居が活かせる作品
──アフレコはいかがでしたか? 先に収録していた花澤さんのシャオヘイの声と原音を聞きながらだったと思うのですが。
悠木:とにかく愛くるしいシャオヘイを、なるべくかわいいと思わずに演じなければいけないことがすごく難しかったです(笑)。そして原音のルーイエのお芝居が、非常に引き算が素敵なお芝居だったんですね。何となく海外の作品の声優さんのお芝居って、盛り目な印象があったんですけど、引き算が絶妙だったので、そこを私は頼りにさせてもらいました。「こんなに引いていいんだ! だったら日本語ならもっと引いても大丈夫だな」みたいな。
あと、シャオヘイがめちゃくちゃリアクションを入れてくれるので、逆にルーイエは黙っていたほうが強く見えるところがあって、そのバランスも考えつつ、とにかく引いて引いて、出すところだけカッコよく出す!ということを考えていました。でも音響監督に「カッコ良くしすぎないで」とも言われていたんです。最終的に見える彼女の柔らかいところに繋げたいから、2ミリでいいから少女を残してくださいというオーダーをいただいていたので、そういうことなら、ここはこのほうがかわいいかな?みたいなことも考えたりしました。
──原音も意識しつつ、ディレクションにも応えつつ、シャオヘイの声とも掛け合いをする。考えることがものすごく多いですが、逆に悠木さん的には、とても楽しい収録だったのではないかな?と思いました。
悠木:面白かったです! 足し算の芝居よりも引き算の芝居のほうが私は難しいと感じているので、今まで勉強してきたことが活かせるなぁと思っていました。勿論、盛るべき部分はしっかり盛ってます。特に後半あたりなんですけど。あと、観てくださっている皆さんにも、気持ちよく観てもらいたいので、リズム感なども大切にしながら演じていましたね。
──アクションシーンは、日本のアニメと違いましたか?
悠木:そこはかなり原音に忠実にやらせていただいたところです。原音の方が本当に上手くて、匠の技だったので、それをガイドにしながら、「彼女が演じているルーイエを日本語にしたらこういうことだよね」というのを、なるべくやれたらいいなと思っていました。
──花澤さんも、原音(字幕版)でも観てほしいとおっしゃっていました。
悠木:本当に! 私も一度お会いしてみたくなりました。どんな方が演じていたんだろうって。
──完成した映画を観た印象をお聞かせください。
悠木:これは収録しているときに教えていただいたことなんですけど、通り過ぎるモブ含めて、ほとんどのキャラクターに設定があるようなんです。そのくらいこだわって作られていることもあって、立体感が半端ないなと思いながら見ていました。1作目からすごかったですけど、2作目はキャラクターが増えた分、立体感が増しているんです。魅力的なキャラクターも多いので、1作目が好きだった方も、世界観をより深堀って楽しんでいただけると思います。
それとアクションがさらにカッコ良くなっていると思っていて、特にルーイエは重力を操るので、めちゃくちゃアクロバットな動きなんですよ。それぞれのキャラクターのアクションシーンも、個性があって、めちゃくちゃキマっていると思います!
──妖精サイドは曲者が多かったですが、印象的だったキャラクターはいますか?
悠木:ルーイエを監視していた甲(CV.榎木淳弥)と乙(CV.土屋神葉)とかは、一緒に戦うところもあったし印象に残っています。ルーイエの手段の選ばなさが出ちゃうのは、彼らと一緒に動いているタイミングだったし、彼らの甘さとルーイエの決して手を緩めないところは、ギャップになっていたのかなと思いました。
──では好きなシーンは、どこでしたか?
悠木:いっぱいありますけど、シャオヘイとルーイエが高級ホテルに泊まるシーンは、みんな好きだろうなって思います。シャオヘイが初めて贅沢しているのが、かわいくて! あとは後半にかけて、シャオヘイとルーイエがバディになっていくところも好きですね。シャオヘイが頼もしくなる瞬間ってあるじゃないですか。そうやって段階を踏んでいくところが良かったです。
──作品のテーマについては、どう捉えていましたか?
悠木:人間と妖精の戦いの話だったはずが、妖精内でも対立が起きてしまうみたいなことも含めて、人間と妖精だから揉めているわけではないんだよなと思いました。それぞれがそれぞれの個性や考えを聞かずにぶつかり合ったら、それはケンカになっちゃうよねっていうことを、ものすごくわかりやすくしっかり描いた作品なのかなと思いました。
でもそれってどの世界、どの文化、どのコミュニティでもあることで、それがこの作品では妖精と人間で描かれているだけなんですよね。それこそ、シャオヘイとルーイエの衝突も、考えの違いとディスコミニュケーションから生まれたものですし。どんな種族だとしても、育った環境も思ってることも違うから、擦り合わせない限りはぶつかってしまう。だから、わかりあうことは大切なのだということが、全体を通して感じたことでした。
──まさに、そう思います。では最後に、この作品をどんな方に見てもらいたいですか?
悠木:本当に、誰が観てもちゃんと面白い作品だと思います。老若男女、人を問わずに楽しめる作品に仕上がっているところが、この作品のすごさだと思いました。もちろん、いろんなアニメを観てきている方が観ても楽しいし、アニメを普段観ない人にも楽しめるようにできているんですよね。その上、深掘ったら深掘っただけ面白くなるように、映像も世界観も丁寧に作られているので、隙がないんです。だからどんな方にも観てほしいし、前作を知らなくても、ワンチャン楽しめると思います! もちろん、観たほうがより楽しめますけど。
──カンフー映画を観たあとに、強くなった気持ちで映画館を出るみたいな感覚もありました(笑)。
悠木:ちょっとわかります! 自分が妖精だったら能力はどんなかなぁとか考えちゃいますよね(笑)。そのくらいアクションシーンがすごかったです。
──みんなえげつない能力を使いますからね。
悠木:シャオヘイの空間を操る能力もすごいし、ルーイエの操る能力もすごい。アクションの速さも凄まじくて、人の形をしているけど、妖精たちが戦い出すと、「人じゃない!」って感じるんですよね。でも、それすら超えていくムゲンが人間という……(笑)。やっぱり今作のムゲンは面白いです。
作品情報
あらすじ
それから2年後、とある会館への襲撃事件が、長きにわたり保たれていた妖精の世界の平和を脅かす。
妖精会館からもたらされた任務により、シャオヘイとムゲンは引き離され、二人の運命は大きく揺らぎ始める。
次々と現れる脅威に立ち向かう中、シャオヘイは姉弟子・ルーイエと共に、真実を求めて新たな冒険へと旅立つ。
降りかかる突然の試練、そして、思いもよらぬ敵を前に、シャオヘイは大きな選択を迫られる——
キャスト
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