
『地獄楽』鈴木崚汰さんインタビュー|”皆殺し”が始まる!? 鈴木さんが語る、山田浅ェ門殊現の正義と狂気
殊現を創る難しさ
──今回そんな殊現を演じる上でどのように役を作っていかれましたか?
鈴木:まず意識したのは説得力です。第二期から登場するキャラクターですし、浅ェ門の中でも年長寄りで、周囲から慕われている存在でもあるので、声に「強さ」がなければいけないと思いました。
そのうえで、硬さが出せればなと。侍として礼節を重んじる男なので、言葉の歯切れや、文のつなぎ方に武士っぽい硬さを感じさせたかったんです。言葉の一つひとつに芯を通すようなイメージで喋っていました。
──ディレクションで印象に残っていることはありますか?
鈴木:「泣きながら言葉を発しているけど、泣きのお芝居はしないで」というディレクションが印象に残っています。殊現は、割と感情が高ぶるシーンが多いんですけど「相手に感情を寄せすぎないで」と。
つまり、涙は流しているけど、相手のためではなく、自分の正義のために泣いている、みたいなことだと理解しました。
──それは難しそうですね。
鈴木:そうですね。彼の涙は「情」ではなく、「信念の表れ」なんだと思います。だから、正義のための行動や言葉であっても、それが他者のためなのか、自分を保つためなのか、その曖昧な境界をどう出すかが難しかったです。
僕は普段、アニメの映像からお芝居のヒントを得るタイプなのですが、今回の「涙を流しているのに泣いていないように聞かせる」という演技は初めてで。殊現を演じることで新しい挑戦が多かったです。
──今回は皆さん一緒に収録されていたと伺いました。現場でのやり取りの中で、印象に残ったことはありますか?
鈴木:殊現はまだ上陸したばかりで新キャラクター同士でのやり取りが中心でした。
特に十禾とのシーンが多かったですね。彼は掴みどころのない人物で、のらりくらりとあらゆることをかわしていく、世渡り上手なタイプなんです。
それを遊佐浩二さんが、あの独特な色気のある声で演じられていて……もう、掛け合いしているとイラッとくる(笑)。
──アフレコ現場が想像できます(笑)。
鈴木:でも殊現は、そんな十禾に実力があることも分かっているんです。「やればできるのに、なぜやらないんだ」という気持ちが強い。そういう苛立ちと信頼の両方を感じながら、お芝居をしていました。
──映像で見ると、主役の小林千晃さんや、今回対峙する天仙を演じる諏訪部順一さん、甲斐田裕子さんなど、特徴的な演技が印象的です。そういった共演者の芝居を見て、どんなことを感じましたか?
鈴木:まず、諏訪部さんと甲斐田さんの演じ分けは本当にすごいなと思いました。天仙たちの複数の人格を瞬時に切り替えて演じていらっしゃるんですよ。おふたりで六人分の会話をされているような場面もあって。
テストの段階から、瞬時にキャラクターを切り替える技術に圧倒されました。
バトル作品って敵を倒したら次の敵が出てくるという流れになると思うんですが、この作品は中の人が同じままなんですよね。だから、戦っても戦っても、ずっと同じ方が演じ続けている(笑)。
でも、それでも全く飽きない。日常シーンの会話になると、まるで別人のように柔らかい声になったりと、熟練の技を見せていただいて、現場でずっと勉強させていただいていました。
──皆さん天仙の演技はすごかったとおっしゃいますね。
鈴木:すごかったです。あと、千晃が画眉丸のようなどこか闇を抱えたキャラクターを表現するのがすごく上手なので、毎回「うわ、上手いな……」と感心していました。
鈴木さんが『地獄楽』から受け取った「人間の生命力」とは
──魅力的なキャラクターが多数登場する本作ですが、鈴木さんがお好きな登場人物はいますか?
鈴木:典坐が好きですね。熱いキャラクター。すれていた過去があったり、生と死の狭間で戦い続けている姿が印象的でした。主人公のようなまっすぐさがあって、見ていて胸が熱くなるキャラでしたね。
退場が早かったのは寂しかったですけど、自分の信念を曲げずに、ヌルガイと士遠先生を助けて、師匠から受け継いだものを体現している。
その師弟関係の美しさも含めて、好きなキャラクターでした。
──典坐はヌルガイと士遠、どちらにも濃い影響を与える存在でした。
鈴木:そうですね。彼はこの先の展開でも、ヌルガイと士遠にとって心の支柱のような存在であり続けると思います。姿が見られなくても、心に確実に残っているキャラクターです。
──では、これまでのエピソードの中で印象に残っているシーンや戦いなどがあれば教えてください。
鈴木:名シーンが多いので、優劣をつけるのが心苦しいんですけど……。
佐切が「弱さじゃない強さの種よ」というような言葉を口にするシーンが印象的でした。
あのセリフは、その後の画眉丸にも強く根付いていきますし、タオを操ることの本質――つまり、強さと弱さをどう自分の中でバランスよく保つか、ということのヒントになっていると思うんです。
あの場面は、序盤の中でも特に物語全体を象徴するような重要なポイントだったと感じています。
──「生き様」や「死に様」、そしてタオをめぐるテーマなど、『地獄楽』は多くのメッセージを内包していますよね。鈴木さんご自身は、この作品からどんなことを受け取りましたか?
鈴木:この作品には、生きるということの多面性が描かれていると思います。
人間って、誰しも得意なことや不得意なことがあって、置かれた環境によって心のあり方もどんどん変わっていく。その中で、強さも弱さも内包しながら、それでも前に進む。結局それが生きるということなんだな、と感じました。
だから、「自分の弱さを認めながらも、それを抱えて生きていく」というメッセージは、心に残っています。この作品に出会って、改めて人間の生命力というか、生々しい強さを感じました。
──殊現もこれからどんどん力を発揮していくと思います。視聴者の皆さんに楽しみにして欲しいポイントを教えてください。
鈴木:殊現の「皆殺し」……! 強い言葉になってしまいますが、本人が言ってますからね。島で変化したキャラクターたちと遭遇した彼がどうなるのか。そして彼の正義がどう揺らいでいくのか、そこは大きな見どころだと思います。
先に上陸していた者たちを、罪人として裁くのか、それとも人として協力して天仙を倒すのか。今の段階では、まだまったく読めないキャラクターだと思います。その正義がどう変化していくのかを、ぜひ楽しみにしてほしいです。
──ありがとうございます。では最後に、「強さ」「弱さ」というテーマについて。今回の作品でも大きなキーワードでしたが、鈴木さんご自身にとっての強みと弱みを教えてください。
鈴木:強みって弱みにもなると思うんです。表裏一体と言いますか。
僕の強みだと思うのは、物怖じしない度胸、ですかね。この仕事を高校生の頃からやらせてもらっていて、たくさんの優しい先輩たちに囲まれながら、大人の世界の中で揉まれてきました。
そのおかげで、もともと臆するタイプではなかったんですけど、さらにそういう面は強くなった気がします。
──怖いものがないタイプなんですね。
鈴木:ただ、そのせいで大人っぽく見られすぎることもあります。今27歳なんですけど、周囲の人から冗談で「34とか35でしょ?」と言われることも多いんですよ。
──堂々としていらっしゃるからこそですよ。
鈴木:若々しさがないという部分は弱みなのかもしれません……(笑)。













































