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『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』全力ネタバレレビュー

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』を全力でネタバレしながら原作ファンに刺さったあれやこれやを語りたい|νガンダム、『逆シャア』との関係、戦闘シーンから「肉欲」まで

原作小説内でも語られていた「IF」展開が映像化

また、アリュゼウスだけではなく、そもそもあの場にレーンがいること自体が、原作を知っているとより熱くなりました。

原作ではアリュゼウスだけではなくレーンも登場せず、その前のグスタフ・カールを撃破したところで戦闘が終わっているんですが、その前のシーンで「ケネスがあの場にレーンとペーネロペーを送っていれば、マフティーは殲滅されていただろう」という旨の文章が書かれているんです。

ケネスはギギの勘を信じて、グスタフ・カール2機を護衛につけたものの、ペーネロペーを一度下している新型のモビルスーツ(Ξガンダム)が本当にいると思っているなら、グスタフ・カール2機だけでは太刀打ちできないのも明白です。にも関わらずケネスがあれ以上の護衛をつけなかったのは、ギギの勘が必ず当たるとまでは信じられていないからで、ゲン担ぎとはいいつつも、その本質は現実主義者であることが分かります。

しかし映画ではこの展開が変化して、エアーズ・ロックでの戦いにレーンが登場しています。

これはケネスの命令なのか、レーンの独断なのかまでは判断が難しいんですが(レーンの台詞では自分の意思で来たようには聞こえましたが、ケネスからの理不尽な命令に自分を納得させる言葉とも取れるようになっていました)、原作で語られていた「IF」展開が映像化したようなシーンと言えます。

自分は直近で原作を読み直していたのもあって、ここで「本当にレーンが来た!?」と大興奮していました。結果的にはレーンがいようとハサウェイが勝利したわけですが、レーンはペーネロペーには乗っていなかったので、原作での文章と矛盾しているわけではないのも個人的にツボだったポイント。もしペーネロペーがあったら……?というところの妄想の余地は残してくれているんですよね。

あと、そもそも映画のレーンがすごくいいキャラしているなと。

煽られて人質だったガウマンを解放してしまったり、元々「若さ」が垣間見えるキャラではあったのですが、映画では大人(ケネス)を嫌悪するような台詞があったり、それがより顕著になっています。

ハサウェイとの戦闘シーンでもそれは活かされていて、正面から実力で勝とうとするレーンを嘲笑うかのように、ハサウェイはあの手この手を使ってレーンを翻弄しています。あれはレーンからすると「汚い大人」の戦い方で、純粋な子供と老練な大人の戦いみたいな構図にもなっていて(ハサウェイはまだ25歳なので、おそらく年齢には大きな差はないんですが)、ハサウェイとレーンの間でしっかりと因縁が作られています。

この後、レーンは最後まで子供として戦うのか、それともハサウェイと同じように大人の戦い方をするのか。決着が描かれることになるであろう、第3章での戦いに注目したいところです。

 

ハサウェイとギギ、ケネスを中心とした、三角では収まらないドロドロの恋愛模様

ハサウェイとギギ、ケネスの三角関係だけではなく、ケリア・デースやメイス・フラゥワーを交えての、ドロドロとした恋愛関係も大きな見どころでした。

個人的にとくに印象に残っているのが、ギギとメイスの対決(?)シーン。嫌味を言ってくるメイスに対してギギがカウンターをお見舞いし、激怒したメイスがビンタをして帰ってしまう……という流れなんですが、メイスが何を言われてあそこまで怒ったのかは分からず仕舞いでした。

一応原作だとしっかり台詞が書かれているのですが、ちょっとここに書くのは憚られるくらいパンチ力のある煽りです。マイルドにして改変したりシーンをカットするのではなく、あえて何を言ったかの想像を視聴者に委ねることで、強烈な印象を残すシーンになっているのがすごいなと。

またマフティーとしての使命感、自分を支えてくれたケリアとの関係性がある中で、ギギを好きになることを抑えられない「肉欲」とせめぎ合うハサウェイの葛藤は、『キルケーの魔女』の本題とも言える部分でもありました。ガンダムの主人公として良いのかと思う部分もありつつ、どんな大層な理想や正義を掲げた人間も、結局は一人の人間に過ぎないというのは納得がいく描かれ方です。

そうやって狭間で迷い続けているハサウェイに対し、メイスという愛人がいながらギギを手元に置こうとしていることに罪の意識が一切なさそうだったり、ある種開き直りのような境地にいるケネスは対照的で(それが良いか悪いかはともかく)、ケネスの方が1枚も2枚も上手な印象があります。レーン相手ならハサウェイは大人の立ち位置ですが、ケネスを相手にすると逆に子供になる……と構造に変化があるのも面白いところ。

そしてギギは、本当に上田麗奈さんの声がハマっていて、ハサウェイが「肉欲」に屈しそうになっちゃうのも納得してしまう、魔性の魅力が凄まじい。

面白いのは、ギギはミステリアスでエキセントリックな一面はありつつも、実は社会人として結構ちゃんとしていて、良識もしっかりと持っているんですよね。ハサウェイ、ケネス、ギギの中で一番まっとうなのはギギだと個人的に思っています。

 

お馴染みのガンダム顔が現れたラスト。あのBGMも流して欲しい

そして、映画のラストで明かされたΞガンダムのマスクの奥に隠されていたガンダムフェイス。原作小説のΞガンダムの頭部の形状は、むしろ従来までのものが近いんですが、近年のゲームやプラモデルではデザインがアレンジされ、ラストで出てきたものに近い、いわゆるガンダム顔のデザインで登場することが多いです。

かくいう自分も、初めて『閃光のハサウェイ』を知ったのは、ゲーム『SDガンダム ジージェネレーションF』だったので、こっちのデザインの方が圧倒的に馴染みがあります。最終章では、カラーリングもトリコロールに変わって、さらに馴染みのある機体デザインになるんじゃないかとも予想しています(その上でBGMの「その名はマフティー・ナビーユ・エリン」が流れたら号泣するかもしれません)。

『キルケーの魔女』が公開されるまで「続きはまだか」とずっと言い続けてきましたが、残すはあと1章だけなのか……と思うと、期待もありつつ見るのが怖い感覚もあり、なかなか複雑な想いがあります。『閃光のハサウェイ』といえば、作品を象徴するあのラストシーンがどうなるのかは、おそらく誰もが気になっているところでしょう。

原作ファンの一人として、その結末をしっかりと見届けたいと思います。

 

作品情報

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女

あらすじ

U.C.0105、シャアの反乱から12年——。圧政を強いる地球連邦政府に対し政府高官の暗殺という方法で抵抗を開始した「マフティー」。そのリーダーの正体は、一年戦争をアムロ・レイと共に戦ったブライトの息子、ハサウェイ・ノアであった。不思議な力を示す少女ギギ・アンダルシアにかつてのトラウマを思い出すハサウェイ。彼女の言葉に翻弄されながらもマフティーとしての目的、アデレード会議襲撃の準備を進めるが……。連邦軍のケネス・スレッグは自ら立案したアデレード会議の支掩作戦とマフティー殲滅の準備する中、刑事警察機構のハンドリー・ヨクサンから密約を持ちかけられる。そして、ハサウェイ、ケネス、それぞれが目的のために動く一方で、ギギもまた自分の役割のためにホンコンへと旅立つ。

キャスト

ハサウェイ・ノア:小野賢章
ギギ・アンダルシア:上田麗奈
ケネス・スレッグ:諏訪部順一
レーン・エイム:斉藤壮馬
ガウマン・ノビル:津田健次郎
イラム・マサム:武内駿輔
ケリア・デース:早見沙織
ブリンクス・ウェッジ:白熊寛嗣
ジュリア・スガ:永瀬アンナ
ハーラ・モーリー:山崎真花
ベッチー:佐藤日向
ロッド・ハイン:喜屋武和輝
ローウェスト・ハインリッヒ:山下タイキ
チャチャイ・コールマン:高橋伸也
ヨーゼフ・セディ:観世智顕
リドリック:内田修一
ビランテス・スエッケン:猪股速十
ドラブ・リッド:木村太飛
ブライト・ノア:成田剣
ミライ・ノア:新井里美

(C)創通・サンライズ
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