
夢限大みゅーたいぷ 対談インタビュー連載「ゆめみたのWA!」第4回:宮永ののか × 小原莉子(RAISE A SUILEN)|“できない”にフォーカスせず、“いつかできる”を信じて
“できない”にフォーカスせず、“いつかできる”を信じて
──宮永さんから小原さんへの質問に「ギターの基礎練習について、普段行われている練習方法などありましたらお聞かせください」というものがありました。
宮永:どうやってギターと向き合っているのか気になります。
小原:私の話が参考になるかわからないですけど(苦笑)。もともとバンドとして活動していた頃は、毎日バンド練習、毎日ギター練習という生活が当たり前でした。でも声優になってからは、ギター以外の仕事もあるので、RAISE A SUILENに関しては“逆算型”で考えています。
ライブが決まったら、何週間前から練習すれば間に合うかを自分で計算して、練習開始の時期を決める。新曲ならこのくらい期間が必要……とか。完成日から逆算して計画を立てています。
宮永:すごい……。「これは上達に必要だった」と感じることはありますか?
小原:結局は、弾き続けることだと思います。私、本当に最初は下手で、Fコードも全然弾けなかったんですよ。よくFコードで挫折するとも言いますけど、でも私自身はあまり“挫折”って考えなくて。「音が鳴ってなくても、とりあえず押さえてるからOK」くらいの気持ちでやっていました。
“できない”にフォーカスしすぎず、「いつか弾けるだろう」くらいで、とにかくやり続ける。それが大事なのかなという気がしています。「それは当たり前でしょ」って感じかもしれないですけど。
宮永:でも、“いつかできるようになる”って信じるのは、結構難しいように思っていて。例えば難しいフレーズが出てくると身構えちゃって、「わたしこれ弾けるようになるのかな」と思ってしまうことがあります。
小原:でも、私たちって自分でフレーズを作ってるわけじゃないじゃないですか。人の手癖を弾くわけだから、難しいのは当然なんですよね。私も音源を聴いて「これ無理じゃん?」って思うこと、普通にあります。
もちろん難易度にもよりますけど、少しニュアンスが違っていても、極論、聴いている人が「あ、これだ」って思ってくれればいいと思ってるんです。完璧に同じじゃなくても、納得できるフレーズを弾ければいいのかなって。
──ライブでは音源を再現することだけが正解ではない、と。
小原:そうですね。“自分の色に落とし込む”っていう感覚です。完全に変えると「違うじゃん」ってなっちゃうので、あくまで自然に。後から「実はちょっと変えてました」って言えるくらいの変化で、自分に馴染む形を作っていく感覚でしょうか。
宮永:なるほど……自分を信じて、いろいろ試してみます。
──宮永さんは最近、どんな練習をされていますか?
宮永:指が思うように動かないのが悩みで。16分音符が続くフレーズになると、右手と左手の連動がうまくいかなくて、「これいつできるようになるんだろう」って。今はとにかく指が命令通りに動くように基礎練習をひたすらやっています。
小原:わかります。難しいですよね。私の場合、そういうときは、まずテンポを半分以下まで落として、そこから少しずつ上げていく。だいたい80〜90%くらいまでいければ、そのあとは多少ミスがあっても“弾き切る”ことを優先します。
宮永:なるほど、弾き切る……!
小原:難しいフレーズだけを練習するのも大事なんですけど、ある程度できるようになったら一曲通して弾いてみる。流れの中で弾けるかを確認するんです。流れでできるようになれば、あとは回数を重ねることで体が覚えていきます。
宮永:全体像を掴む、ということですね。
小原:そうそう。全体を把握すると、指が勝手に動く瞬間が来るんですよ。「無理だ」って思いながら弾いていたのに意外とできていた、みたいなことありませんか? あまり深く考えすぎなくてもいいと思いますよ。
宮永:すごい……。わたしはまだそういう経験はなくて。自分で「どうだったんだろう」って思えるところまで続けるって、やっぱりそこに行くまで弾き続けることが大事なんですね。
小原:でも全然、「どうだったろう?」って聴き返して「ダメじゃん」ってなることもありますよ(笑)。あまり「ここが弾けない、ここが弾けない」って考え過ぎると、自分が“弾けない人”みたいに思えてきちゃうので。
精神論って結構大事だと思っているんです。ちょっとしたハッタリも必要と言いますか……例えばライブでミスをしても、「ミスってませんけど?」みたいな顔で弾いていれば、意外と気づかれないんです。
でも「あっ」って顔をすると、そこに意識が向いてしまうし、ミスらないことに意識を向けすぎると、逆に硬い演奏になってしまう。もちろんミスしないことがベストではありますが、それも含めてライブだと思うので。
宮永:……沁みます。
“自分であり、自分ではない”という立ち方
──宮永さんからの質問に「ド派手な演奏方法についてお話が伺いたいです」といったものがありましたが、そこはどうでしょう?
宮永:ライブでギターを担いだり、寝そべったりして弾かれたことがあるとお伺いしたのですが、小原さんのアイデアだったのでしょうか。
小原:背面弾きは……もうだいぶ前になるので、ちょっと記憶が曖昧なんですけど(笑)。寝て弾くことは自分で提案しました。当時のRASは少し特殊で、キャラクターが発表される前に私たちが先にステージに立っていたんです。
だから自分の中でRASのイメージやロックというキャラクターを想像しながら演奏していました。“ロックだったら、どう弾くだろう”って考えながら、あれこれ試していた時期に生まれたパフォーマンスですね。基本的に私は、自分のスタイルを押し出すというより、「キャラクターだったらこうするだろう」という軸でステージに立っています。
──ライブ中も、そのキャラクター視点で?
小原:そうですね。私は割とサバサバしているタイプなんですけど、ロックはかわいらしさも持っているキャラクターだと思っているので、その部分は失わないように意識しています。
宮永:実際、めちゃくちゃかわいらしいです。可憐さがあって。
小原:良かった! クールだけど、どこか可憐さがあるのがロックだなって思っていて。弾いているときは真顔でも、時折笑顔を見せる。そういうニュアンスを大事にしています。でもののかさんの場合は、キャラクターであり、自分であるわけですよね?
宮永:そうですね。
小原:ということは、何かを指標にするというより、「私だったらこうする」という感覚で立っているんですか?
宮永:わたしとののかは表裏一体なんですけど、やっぱり同じではなくて。なので、「ののかがこう立っていたらかっこいい」「ののかがこうしていたら最高だな」っていう視点でステージに立っています。自分というより、キャラクターがこう動いていたら嬉しいな、という感覚で動いていますね。
小原:なるほど。“ののか”というキャラクターを、自分でプロデュースしている感じなんですね。
宮永:そうですね。でも最初は探り探りでした。キャラクター設定としては、可愛らしくて天真爛漫な子なんです。
小原:そういったプロフィールがあるんですね?
宮永:そうなんです。オーディションのときにも、キャラクターの絵と紹介文があって。
小原:すごいですね、自分であって、自分じゃないと。
宮永:キャラクターの持つ性格と、自分の手札を組み合わせていく感覚でした。最初は可愛い要素を配信で出していたんですけど、ライブではガツガツ弾いてみたらギャップが面白いんじゃないかなって思って。そこから徐々に今のスタイルになっていきました。最近は、ライブ中にちょっと変顔するのが自分の中で流行っていて(笑)。顔の表情筋を動かすのが楽しいんです。
──それは小原さんから事前にいただいていた質問の「最近ハマっていることは?」のアンサーにもなりそうですね(笑)。
小原:本当だ!
──表情をくるくる変えることにハマっているのですか?
宮永:もともと素顔を出していなかったので、会場のスクリーンに映ることもなかったんです。だから、どれだけ変な顔をしてようがバレなかったんですけど(笑)、カメラが入ってからもやめられなくなっちゃって。
小原:それも含めて、キャラクターに加わっていくわけですよね。いわばなんでもありというか、自由で良いですね。懐が深いというか。一緒に成長している感じというか。
宮永:確かに、そうかもしれないです。
──さらに、最近はそれぞれやりたいことを追求されているとか?
宮永:そうですね。わたしはギターの基礎レッスンをつけていただいていて、先生から基礎や音楽理論を教えてもらっています。聞きたいことがあればどんどん質問しますし、興味があることは自分で開拓していきたいな、という気持ちで取り組んでいます。
──あとゆめみたの皆さんはトークが上手いとよく言われていますよね。
宮永:いや、わたしは本当に喋るのが苦手なんですよ。今もそうなんですけど、途中で止まってしまったり、考える時間ができてしまったり。
小原:でも、それも個性だと思いますよ。全員が早口で頭の回転が速いタイプだったら、どんどんと話が進んでいってしまって、それはそれで疲れちゃうかもしれないですし。
宮永:みんなで喋りすぎちゃうこともあって(笑)。(藤)都子ちゃんがタイムキーパー役になってくれて「次いきますよ!」って回してくれるんです。わたしと(仲町)あられちゃんが喋りすぎてしまい(笑)、それを抑えてくれるという。
小原:役割があるっていいですよね。相性がいいというか。
宮永:そうですね。なんだかんだでバランスは取れているのかもしれないです。
──では、小原さんからの質問です。「人生で一番感動した出来事は?」。
小原:ゆめみたの活動に限らず、これまでの人生の中で一番心が動いた出来事を教えてほしいです。
宮永:バンドとは直接関係ないんですけど……。「ビクターロック祭り」というフェスで、サンボマスターさんのライブを初めて生で観たんです。お名前は知っていたんですけど、ちゃんとライブを観たのはそのときが初めてで。あのライブを観たとき、人生が変わる感覚があったんです。“愛”や“平和”って、ワードとしては使い古されているというか、時に軽く聞こえてしまうこともあるじゃないですか。
でも、サンボマスターさんのステージでは、それを泥臭く、本気で叫んでいて。「愛と平和を、こんなにまっすぐ叫んでいいんだ」って。こんなにも本気で叫んでいる人たちがこの世界にいるんだ、って。それで号泣してしまいました。
自分だけではなく、会場にいる全員が同じ瞬間に、同じ気持ちで泣いているような感覚があって。あの空間だけは、会場中のお客さん全員が、お互いのことを愛せる空間だったと思うんです。本当に、全員が“愛と平和”を願っている時間だったなって。それがすごく感動的で、めちゃくちゃ好きになりました。
小原:心を動かされる経験があるって、本当に素敵なことですよね。実は私、サンボマスターさんのMVにエキストラとして出たことがあるんですよ(笑)。「希望の道」って曲なんですけど。
宮永:えーーっ!! まさかのすぎる……。
小原:足だけが映っています(笑)。ニーハイソックスで走りました。
宮永:チェックします!
































