
「すき」「すきにしたら?」その言葉のやりとりがふたりの距離をさらに近づける──TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』第11話を寿美菜子さん・河瀬茉希さんが振り返る【連載インタビュー第11回】
甘さとビターさが混ざり合う第11話
──かなでとジンランは知的なやりとりをしますよね。今回の第11話のアフレコを振り返って、おふたりの中で特に印象に残っていることはありますか?
寿:結構、いつも以上に“間(ま)”が多かったんです。注文するまでの間とか、注文したあとに来るまでの間とかが、すっごく長くて。
きっとジンランはその“間”を気にしていないんですよね。でもかなでは、その時間も「どうしよう」という緊張感やドキドキ感があって、それがキュンとする感じにつながっている。間(ま)の時間が絶妙でいいなと思いました。細かくディレクションを受けた記憶はないのですが、あの空気感がすごく印象的でした。
河瀬:お任せしてもらっていましたよね。映画の話をしているときはポンポンポン、とスムーズにキャッチボールしていたのに、急にすっと間ができて話がふっと変わったりする。その感じが、ふたりの独特な空気感だなと思いました。
いぶきとぼたんにも あのふたりの間がありますが、また違う等身大の間というか。かなでとジンランには気まずさと、切なさと、甘さと……いろいろなものが混ざっている感じがあるんですよね。
寿:さらにビターさもあって、複雑な味わいがありますよね。おしゃれ。
── 一方で、第11話はいろいろな物語が交差する回でもありました。あかねが大学を辞めるかどうか、進路の悩みが描かれていましたね。
寿:年齢的にも、等身大の悩みですよね。その悩みもあかねがやえかにまだ言えないという距離感も分かる気がしました。近すぎるからこそ言えないことって、みんな経験があるんじゃないかなと思います。
──失いたくない関係だからこそ、簡単には言えないというか。
寿:難しいですよね。
河瀬:私はやえか側の目線というか、「なんで私に一番に相談しないのよ」と思ってしまう方なので、あかねとぼたんの落ち着いたやり取りもすごいなと思いました。
愛について語り合っていて「うっ、大人の話をしている!」「普通に相談してくれるんじゃダメなの?」って思ってしまいますけどね。でも……やっぱり人それぞれなんですよね。
寿:『上伊那ぼたん』は、まさに「人それぞれ」ですよね。
──第11話はクライマックス直前ということもあって、いろいろな矢印が少し揺れている回でもありましたよね。
寿:確かに。ぼたんって基本的に明るいですし、みんなの懐にすっと入っていくところがあるじゃないですか。ジンランも今ではそういう部分がありますけど、最初はやっぱりぼたんがそうだったんですよね。人たらしなところがすごくあったからこそ、そんなぼたんが悩んじゃうとこうなるんだ、という感じがありました。
でも「そういうこともあるよな」って。普段は明るくて人懐っこい人でも悩むときは悩むし、言える・言えないということもある。そこがすごくリアルな悩みで人間らしいと思いました。
──話が変わってしまうのですが、寿さんのソロインタビューの時に、秩父や長瀞に行ってみたいとおっしゃっていましたが、その後というと?
寿:行きました! 三峯神社に行ったんです。その翌日にトーク番組の収録があったので、お土産に味噌ポテトのポテトチップ(みそポテトチップ)を買っていきました。
作中、みんなが遥拝殿から見ていた雲海は私の行ったときには見られなかったのですが、眺めも空気感も本当に素敵で。地酒屋さんも本当に中にありましたし、その先に縁結びの木もあって。心の中でかなでを想い泣きそうになりながら、写真を撮りました(笑)。
ただ、秩父は一回では巡り足りないですね。何度も行きたいと思いました。三峯神社にたどり着くまでの山道もすごくて、基本的には両側通行なんですけど、お互いにカーブミラーを見ながら「来ていなければ行けるかな」くらいの道なんです。まずたどり着けただけで嬉しかったです(笑)。
それぞれが理解を続けている
──そして、次回はいよいよ最終話です。
寿:第12話も大好きです。素敵な内容になっています。
河瀬:伏線をしっかり回収していましたよね。
寿:本当に。かなでとジンランにも、みんなにも、それぞれ展開がある印象です。『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』という作品自体が、派手にいろいろなことが起こるというよりも、彩られていく日々を切り取った作品だと思っています。最終話にも、心に残る場面がちゃんとあると思いますし、彼女たちの日々がこれからも続いていくことを感じられる回になっているんじゃないかなと思います。
河瀬:みんながずっと「理解」を続けているんですよね。お互いがお互いのことを考えているけれど、分からない部分もあって。でも、かなではジンランがどんどん寄ってきてくれている感じもあって、嬉しいなと思います。
あとは、ぼたんといぶきのふたりですよね。今は少しもどかしい感じになっていますけど、ふたりがどういう着地をするのか、どこを見つけるのかというところも見どころだと思います。
それと、第12話のふたりの空気感が……なんというか、すごくおしゃれなんですよね。本当にお酒抜きでも素敵な関係だし、お酒に合うふたりの空気もあるというか。出会ってすぐのころから変わっているようで、変わっていないようで……でも着実に少しずつ関係が進んでいる。その積み重ねを第12話でしっかり見ていただけるんじゃないかなと思います。
【インタビュー:逆井マリ】
連載インタビューバックナンバー
『上伊那ぼたん、酔える姿は百合の花』作品情報

Onair
TOKYO MX、BS11、とちぎテレビ、群馬テレビ、テレ玉 ほかにて
4月10日(金)24時より放送開始
Streaming
ABEMAにて4月10日(金)24時より地上波同時・最速配信
ほか各配信プラットフォームにて順次配信
キャスト
上伊那ぼたん:鈴代紗弓
砺波いぶき:青山吉能
郡上かなで:寿美菜子
遊佐あかね:天海由梨奈
北杜やえか:富田美憂
張景嵐:河瀬茉希



























