
榎木淳弥が語る、“新たな一歩”を踏み出したピーター・パーカー。『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は「人間ドラマとしてすごく濃厚な作品」【インタビュー】
「息を書かない」スタッフとともに作り上げた日本版
──今作のアクションシーンをご覧になって、これまでのシリーズと比べて感じたピーターの成長はありましたか?
榎木:ピーターは、作品を重ねるごとにどんどん強くなっていると感じました。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で初登場した頃は、まだ初々しさがありましたし、敵に苦戦する場面も多かったですよね。でも今回はすごく頼もしくなっていて、アクションにもパワフルさが増していました。シリーズを通して、ヒーローとして着実に成長してきたことがアクションからも伝わってきましたね。
──これまでのインタビューでは、スパイダーマンならではの激しいアクションシーンの吹替は「とても大変だ」とお話しされていました。今回のアフレコはいかがでしたか?
榎木:やっぱり大変でした(笑)。特に息遣いが本当に細かいんです。トム・ホランドさんのお芝居に合わせて、息や呼吸のタイミングまで細かく合わせていくので、そこは毎回苦労します。でも、この10年で一つ気づいたことがあって。以前は息遣いまで全部台本に書き込んでいたんですが、今はあえて書かずに、その場の瞬発力で合わせたほうがうまくいくようになったんですよ。そのやり方を見つけてからは、以前ほど苦労せず、比較的スムーズに収録できるようになりました。
──アクションシーンだけでなく、今作のアフレコで印象に残っているディレクションはありましたか?
榎木:今回は、スタッフの皆さんが一緒に作品を作っていこうという姿勢だったのが印象的でした。「このセリフはどう思いますか?」「別の言い方のほうがいいですかね?」と、こちらにも選択肢を示しながら相談してくださることが多かったんです。収録したシーンをスタッフ全員で聞き返して、「もう少しこうしてみよう」と意見を出し合いながら進める場面もありました。みんなで一緒に作品を作り上げていけたという感覚が強かったですね。
──特に演じるのが難しかったシーンや、悩まれた場面はありましたか?
榎木:一番悩んだのは、冒頭のシーンです。世界中の人たちから忘れられたピーターが、どんなテンションで話し始めるべきなのか。その空気感をどう表現するかは、何度か試しながら探っていきました。トム・ホランドさんのお芝居に合わせることはもちろんですが、日本語として自然に聞こえるバランスも大切だったので、そのあたりは特に時間をかけて調整しました。
──予告映像でも描かれているように、MJやネッドと再会するシーンも印象的です。あの場面をご覧になって、どのようなことを感じましたか?
榎木:あの再会のシーンは、ピーターの立場で考えると、とても感動的な場面だと思います。ただ、僕自身はその瞬間だけというよりも、その後に描かれる人間関係の変化のほうが印象に残っています。友人たちとの関係をこれからどう築いていくのか。その変化していく過程がとても美しく描かれていて、僕はそこがすごく好きでした。
──今作で改めて感じたピーターの魅力を教えてください。
榎木:前作では“自己犠牲”が大きなテーマとして描かれていましたが、今回はその先にあるピーターの姿が描かれていると感じました。自問自答を繰り返しながら、その先に何があるのか、自分なりの答えを見つけようと前へ進んでいく。その姿勢がとても前向きで、見ていて気持ちが良かったです。周囲の変化に戸惑い、自分でもついていけないと感じる瞬間もあります。それでも、大人になったからこそ現実を受け止め、前へ進もうとしている。その成長した姿が、今回改めて魅力的だと感じました。
──『スパイダーマン』シリーズだけでなく、近年では『クラウデッド・ルーム』など、これまでさまざまな作品でトム・ホランドさんの吹替を担当されています。榎木さんだからこそ感じる“俳優トム・ホランド”の魅力を教えてください。
榎木:トム・ホランドさんは、本当にどんな役柄でも演じられる俳優だと思います。MCU作品では、幅広い世代が楽しめるエンターテインメント性のあるお芝居を見せる一方で、『クラウデッド・ルーム』のような作品では、繊細で抑えた演技も自然に演じ分けています。そうした表現の幅広さはもちろん、身体能力の高さも大きな魅力ですね。本当に何でもできる俳優だと感じます。
『スパイダーマン』との出会いが、榎木淳弥にとっての“Brand New Day”
──『ブランド・ニュー・デイ』というタイトルには、ピーターの新たな物語の始まりを感じさせます。榎木さんは、このタイトルをどのように受け止められましたか?
榎木:ピーター・パーカーとしても、スパイダーマンとしても、もう一度すべてを築き上げていく物語だと感じました。作品全体を通して「新たな一歩を踏み出す」というテーマが描かれているので、『ブランド・ニュー・デイ』というタイトルは本当にぴったりだと思います。
──榎木さんご自身の人生を振り返って、「ここから新しいスタートが始まった」と感じる瞬間はありましたか?
榎木:仕事が少しずつ増えてきた頃ですかね。とはいえ、自分の中では「ここから一気に変わった」という感覚ではなかったんです。少しずつ環境が変わっていって、気がついたら新しい日々が始まっていた、という感じでした。
──振り返ってみると、『スパイダーマン』との出会いも榎木さんにとって新たな一歩だったと言えるのでしょうか?
榎木:そう言われると、そうだったかもしれません。シリーズに関わり始めた頃の1~2年は、業界の方々や世間の皆さんに自分のことを知っていただけた時期だったと思います。当時はとにかく目の前の仕事をこなすことに必死で、毎日が目まぐるしく過ぎていったので、あまり実感はありませんでしたが……。でも、今振り返ると、あの頃が一つの大きな転機だったのかなと思います。
──ありがとうございます。最後に、日本版ならではの見どころと、公開を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
榎木:日本版の魅力は、字幕を追うことなく映像に集中できるところだと思います。特に『スパイダーマン』のようなアクション映画では、役者さんの表情や細かな演技にしっかり目を向けられるので、その魅力をより感じていただけるはずです。また、日本版キャスト全員が、演じている俳優さんのお芝居を大切にしながら、日本語でもその魅力が伝わるよう心がけています。僕自身も、トム・ホランドさんの演技の魅力を損なわないよう意識して演じました。ぜひ日本版でも、本作ならではのドラマやアクションを楽しんでいただけたら嬉しいです。
[インタビュー/米田果織]
作品情報
7月31日(金)全国の映画館で公開
あらすじ
ニューヨークでスパイダーマンとして、街の人々を守り、犯罪と戦う日々に全力を尽くしている。
人々のスパイダーマンへの期待が高まるなか、そのプレッシャーが自分の存在そのものを脅かし、命に関わる驚くべき身体的変異を引き起こす。
同時に、街では不可解な犯罪が頻発する事態が発生。
“親愛なる隣人”に、かつて直面したことのない大きな脅威が迫っていた─。
キャスト
(C)2026 CPII. All Rights Reserved. (C) & ™ 2026 MARVEL






























