
TVアニメ『きみが死ぬまで恋をしたい』第13話「会いたい」振り返りレビュー|「雨の匂い、好き?」「大好きです。でも大嫌いです」ささやかで幸せな日常を願わずにはいられない
TVアニメ『きみが死ぬまで恋をしたい』第13話「会いたい」。最終話では、セイランを失ったあとのアリの姿が描かれました。
いつも穏やかで、周りを気にかけることが多かったアリ。何気ない日常のなかでセイランの面影に触れるたび、抑えていた気持ちが少しずつあふれ出していきます。そんなアリにそっと見守るシーナとミミ。この作品らしい大切な人への想いが詰まった第13話を振り返ります。
変わらない日常と消えない面影
前回第12話で、ミミに「覚えている限りは何も変わらない」と話していたアリ。でも、その言葉と内心は裏腹。セイランのいない日常にまだ慣れずにいました。そんなアリの気持ちを思わぬ形で揺らしたのが、先輩のエスタ。「シーナちゃんとミミちゃんって付き合ってるの?」という、なんとも直球な質問! 最初は親子みたいだったけれど、最近は雰囲気が変わったから……という言葉には、大きく頷きたいところです。
仲睦まじく話すシーナとミミの姿を見たアリが、ふと「うらやましい」とこぼすのが切ない。「二人にあてられて恋人に会いたく……?」と口にして、すぐに失言に気づくエスタ。アリは気にしていないふりでその場を去るけど、その笑顔が何とも言えず……。
日常の中に、何度も現れるセイランの面影。廊下を歩けば、「雨の匂いが好き」と話す姿と、シーナとミミのつながれた手を見れば、自分に手を伸ばすセイランがそこにいる。
学校の中は何も変わっていない。自分だって変わっていないはず。それなのに、セイランと離れてから「気持ちと言葉がバラバラ」になってしまった。第12話ではミミの話を穏やかに聞いていたアリだからこそ「こんなはずじゃなかったのに……」が苦しいんですよね。そんなアリを気にかけていたのがシーナとミミ。無理に踏み込むことはせず、ミミも「また今度、絶対ね!」と声をかける。その距離感が優しい。
「大好き」で「大嫌い」な雨の匂い
降り続く雨のなか、再び顔を合わせたアリとエスタ。自分も好きな子を戦場で失ったというエスタに、アリが尋ねたのは「好きな人と一緒に戦うのはどんな気持ちですか」。アリはセイランと一緒に戦えなかった。せめて気持ちだけでも寄り添いたくて、実力試験のときも、戦場へ向かうときも笑って見送った。でも、それが本当にセイランの支えになっていたのか、今となっては確かめられない。
エスタの好きだった子も、弱みを見せてくれなかった。でも、彼女が折れずに戦う姿が自分を支えてくれていた。だからセイランにとっても、アリの言葉がないと立てないときがあったと思うよ、と。
ここで語られるのが、雨の日の思い出。知り合ったばかりのころ、自分もずぶ濡れなのに制服を貸してくれたセイラン。二人で「よーいどん」と雨のなかを走り、そろって風邪をひいてしまったんだとか。「あのときには、もうセイランのこと……」とつぶやくアリには、胸がぎゅっとなりましたよね。
その後、戦場を知らないアリを連れてエスタは門の外へ。扉が開いた瞬間の演出も印象的でした。そこで、セイランのことを少しずつ話し始めるアリ。セイランがいなければ、シーナともただのクラスメイトのままだったかもしれない。不器用なくせに、自分のことは後回し。大好きだったセイランのことを話すうち、アリの目からぽろぽろと涙がこぼれる。ここまでずっと大人びて誰かを支える側だったアリが、ようやく涙を……!
でも、その涙には、気持ちの整理がつかないまま、言葉だけ取り繕っている自分自身が情けないという想いもありました。「寂しいのも納得できないのも当然」と受け止めるエスタに、「嫌なんです」「だって、カッコ悪いから」とアリ。さらに続いた「あの子が好きになってくれた私のままで生きることが、私にとっては大切なんです」という言葉。
ここで流れ始めるReoNaさんの「Amore」が、本当にズルい。エスタの「好きな人にはいつだってかっこつけたいものね」という言葉に、ハッとするアリ。そこに重なる「大好きでした」のフレーズがもう!!
その後、エスタから「雨の匂い、好き?」と聞かれ「大好きです。でも大嫌いです」と答えるアリ。セイランとの大切な思い出があるから好き。でも、セイランがもういないことまで思い出してしまうから嫌い。気づけば、降り続いていた雨も上がり、雲間からは光が差し込んでいて。それを見つめるアリの表情が、またよかった……!
かつてセイランと雨のなかを走ったときと同じ「よーいどん」のかけ声で、今度はエスタと走り出すアリ。セイランはいないけど、もらったものはちゃんとアリのなかに残っている。第12話の「覚えている限りは何も変わらない」という言葉が、ようやくアリ自身にも返ってきたようでした。
これからも二人で
エスタとの時間を経て、アリが向かったのはシーナとミミの部屋。待っていてくれた二人へアリが口にしたのは、感謝の想いと「よかったら、一緒に食べない?」。この作品にとって、「一緒にごはんを食べる」ことはきっと特別。同じ食卓を囲み、同じ時間を過ごす。そんな日常が、これまで何度も大切に描かれてきたわけですから。
何より最終話となる第13話。ここでアリの物語を描いたことにも、やっぱり意味を感じます。「いなくならないで」と伝え合ったシーナとミミ。一方のアリは、そう願った相手をすでに失っている。シーナとミミの未来はどうなっていくんだろう。二人でごはんを食べて、笑って、眠る前には「おやすみ」を言う。そんなささやかで幸せな日常をこれからも重ねていってほしい。そう強く思わされた最終話でした。
【文:吉田光枝】
『きみが死ぬまで恋をしたい』作品情報
あらすじ
人を殺すための授業、誰が死んでも悲しむことさえままならない日常。
ここは不条理で、常に死と隣り合わせの日々が、「当たり前」な世界。
「どうしてみんな平気なの?」
自分の境遇を受け入れられずにいる14才のシーナはある夜、血まみれの小さな女の子・ミミと出会う――
どんな現実が訪れようとも、生きていく。
これはそんな少女たちが見つける、あどけない願いの物語。
キャスト
(C)あおのなち・一迅社/「きみ死ぬ」製作委員会




























