
TVアニメ『きみが死ぬまで恋をしたい』第11話「無垢」振り返りレビュー|よりによってそれを言う……? 今のシーナにとってあまりにも痛い一言に込められたミミの願い
戦争用兵器として育てられる少女たちの“生と死と恋”を描く、TVアニメ『きみが死ぬまで恋をしたい』。放送も後半戦に入り、シーナとミミの関係は少しずつその形を変え始めています。
第11話「無垢」では、ミミと一緒にいるために自分にできることを増やそうと前へ進むシーナの一方、ミミはシーナに危険なことをしてほしくないという想いを募らせます。
どちらも相手を大切に思っているのに……。二人の気持ちがすれ違ってしまった第11話を振り返ります。
怖くても、もう逃げたくない
仮想敵を倒す実技試験に挑むことになったシーナ。かつて敵に腕を切られた恐怖は今も残っていて、ミミから「怖い?」と聞かれれば、シーナは素直に「怖いよ」と答えます。
でも、逃げるわけではないんですよね。「怖くない」ではなく「怖いけどやる」。戦場へ行く番が来ないことを願い、自分は弱いから無理だと思っていたシーナ。それが、セイランの死を経験し、治癒魔法という自分の力を知ってここまで変わりました。
でも、そんなシーナを素直に受け入れられないのがミミ。試験を見学していたハルに、「なんでシーナががんばらなきゃいけないの?」「ミミと違ってシーナは弱いんだ」と不安をこぼします。
いや、分かるんです。ミミの気持ちもすごく! 二人とも「一緒にいたい」気持ちは同じなのに、なんだか雲行きが怪しい……。
そして、セイランがいなくなってから初めての招集。翌朝、ミミは無事に帰還します。その後も戦場から怪我なく元気に帰ってきて、何ごともなくてよかった……と思っていたのに! 実際は誰よりも無茶を重ね、ミミは傷つきながら戦っていたのでした。
シーナからの「怪我をしないで帰ってきて」というお願いに応えたかったのはもちろん、「自分は大丈夫だから、シーナは強くならなくていい」という想いもあったのでしょう。「怪我をしない」のではなく「怪我をしたことをシーナに知られない」という形で。そうじゃないんだよ、ミミ……!
戦場で戦うミミの壮絶な姿を見て思い出したのが、第2話「ちゃんと痛いよ」。圧倒的な強さを持つミミにも、自分たちと同じように痛みがある。そのことをシーナが知ったエピソードでした。だからこそ、血を流しながらも「大丈夫だよ、ミミは強いから」と自分を顧みないミミ……。よりいっそう苦しく映ります。
大切だからこそ、ぶつかってしまう二人
そんなミミの嘘を、シーナは思わぬ形で知ることに。ある日の夕方、保健室の外に置かれていた血のついた袋。そのなかにいたのは、あのときと同じくボロボロになったミミでした。「どうして、黙っていたの?」「隠していたの?」と問い詰めるシーナに、自分が傷ついて汚れたままだとシーナが泣いてしまうからだと答えるミミ。
自分は死なない。でも、みんなは死んでしまう。だったらミミがみんなの分まで戦えばいい。そうすればシーナも戦わずに済むし、悲しまない。
やっていることは無茶そのものですが、ミミがここまで考えていることにも変化を感じます。あまりにも無垢で、だからこそ危うい。それでも、ミミなりに大切な人を守ろうと一生懸命考えた答えなんですよね。
でも、シーナだって守られているだけではなく、治癒魔法を使ってミミやみんなを助けられる自分になりたい。それを優しく伝えるシーナに、ミミが返したのは「弱いなら何もやらなくていいだけじゃん」。よりによって、それを言う……? 今のシーナには、あまりにも痛い……。
ミミはシーナを否定したいわけじゃない。ただ一緒に花を摘んで、クッキーを焼いて、二人で楽しいことをしていたいから、シーナが危ないことをするのは嫌。本当にそれだけ。「ミミは強いから、不死身だから平気」と再び伝えるミミに「そんな考え方、絶対間違っている……」とシーナ。
ミミだけがつらい思いをしているなんて知らなかったと、声を荒らげ「嫌」をぶつけるシーナに「ミミがやってきたことは全部嫌だっていうの?」「どうしたら間違いじゃないの?」と必死に問い返すミミ。二人のやり取りが本当に苦しく映ります。
シーナが治癒魔法で咲かせた花も印象的でした。花びらが欠け、二人の言い争いのあと、ついには鉢まで割れてしまう。二人で大切にしてきた日常そのものに、ひびが入ってしまったようで……。
かけがえのない日常をつなぐ「おやすみ」
そんな二人の言い争いを聞いていたフラン先生が、シーナに伝えたのは「嫌だ」と言い続けるしかないということ。それは答えを出すというより、答えが出ないままでも二人が向き合い続けるための言葉に聞こえました。
シーナの脳裏には、かつてのルームメイトから言われた「シーナちゃんは弱くていいよね」という言葉が何度もよみがえります。それでも「今のままじゃ嫌」だと改めて決意するシーナ。
そして、迎えたラスト。ケンカをしたままの二人ですが、ミミからの「おやすみ」にシーナも「おやすみなさい」と返します。仲直りしたわけでもなければ、すれ違いが解決したわけでもない。それでも「おやすみ」だけはいつも通り。二人がどんな答えを見つけるのかは、まだ分かりません。でも今は、明日につながる「おやすみ」が残っている。そのことに、ほんの少し救われた第11話でした。
【文:吉田光枝】
『きみが死ぬまで恋をしたい』作品情報
あらすじ
人を殺すための授業、誰が死んでも悲しむことさえままならない日常。
ここは不条理で、常に死と隣り合わせの日々が、「当たり前」な世界。
「どうしてみんな平気なの?」
自分の境遇を受け入れられずにいる14才のシーナはある夜、血まみれの小さな女の子・ミミと出会う――
どんな現実が訪れようとも、生きていく。
これはそんな少女たちが見つける、あどけない願いの物語。
キャスト
(C)あおのなち・一迅社/「きみ死ぬ」製作委員会






























