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『けもフレ』が誕生の話と、つんく♂との驚愕の関係!?

『けものフレンズ』が生まれたホントの話と、つんく♂との驚愕の関係!? ヤオヨロズ・寺井社長独占インタビュー

『けもフレ』の大ヒットで寺井社長が感じたことは「仲間を信じる」こと

——そうして作られた『けものフレンズ』が大ヒットしています。寺井さんのお気持ちはいかがですか?
寺井氏:ビックリしてる……(小声)。

一同:(爆笑)

——なんで小声なんですか(笑)。
寺井氏:『けもフレ』がウケているのを見て、「仲間を信頼すればなんとかなる」というのが、「確信」に変わっただけです。僕は福原も、たつきも信じてきました。あいつらが「あかん」と言ったものは「あかん」、あいつらが「イケてる」と言ったものは「イケてる」んだろうな……。僕が『けもフレ』がヒットして考えたことは、本当にただそれだけです。自分の手柄だなんて、まったく思ってません。

——いやいや。でも寺井さんがいなければ、『けもフレ』の話は無かったわけですし。
寺井氏:だって『けもフレ』の制作現場で「なんか手伝おうか? なんでも言ってくれ」と手を挙げてるのに、誰もなんも言ってくれへん(笑)。手伝ったことと言えば、商品化の打ち合わせとか、内容に関係のない仕事ばっかりです。「このストーリーの続き、どうしたらいいと思いますかねぇ?」みたいなクリエイティブな相談は、一切あらへん……。

一同:(爆笑)
▲最終回後の福原Pのツィート。寺井さんの信じた福原Pとたつき監督ですが、福原Pも同じくたつき監督を信じていた。また、福原Pの「たつきを信じて良かったよ」は、多くの人がSNS等で、引用してコメントしています。


——では質問を変えます(笑)。寺井さんが視聴者として『けもフレ』を観た感想はいかがでしたか?
寺井氏:「サーバルほんまええヤツやな」と思いました。人間関係のグシャグシャとかなくて、信用してる人間のためにがんばる。アイツはとてもええヤツですね。あとは身内がヒットしてるのは嬉しいという部分が大きいですね。感想はそれくらいです。


——ヤオヨロズという制作会社が、広く世間に認知された実感はありますか?
寺井氏:アニメ業界ではどうかわかりませんが、芸能業界の人間から「寺井が作ったん? なんで?」と言われるようになりました。Mステに『けもフレ』が出たときにも、局の知り合いが「なんでアニメ作ってるんですか?」とビックリしてました。そりゃそうですよ。いままでバラエティー番組とかドラマとかにタレントを連れて行ってる人間が、今度はアニメを作ってるんだから(笑)。


——仕事の守備範囲が広すぎます!(笑) 寺井さんからみて、『けもフレ』がヒットした理由はなぜだと思いますか?
寺井氏:たつき監督の世界観と、ファンの人の応援でしょうね。それだけだと思います。たつきは「こういう作品が欲しいよね?」というファンの気持ちがわかってるんだと思います。それをうまく世の中に出せたのが、ウケてくれた要因なんじゃないですかね?
『けもフレ』で「クリエイティブはこういうのが大事なんだな」と改めて思い出しました。

 

寺井さんから見た「福原慶匡プロデューサー」はこんな人

——『けもフレ』の制作で忘れてはならない現場統括者「福原プロデューサー」は、寺井さんから見てどのような人ですか?
寺井氏:とにかく「人に対して一生懸命動く」という人間ですね。ビジネスを知りつつも、クリエイターの気持ちもわかってるんですよ。僕らは大人だから、「そんなにがんばっても、なんにもならない」と思ってしまうようなことを、彼は一生懸命に動くんです。そういうことをされると、僕も福原に対しては一生懸命になっちゃいますよね。たつきは「福原」という防波堤があったから、『けもフレ』で自分の能力を最大限に発揮できたんだと思う。だから『けもフレ』がヒットした要因は、制作サイドではあのふたりですね。


——福原さんには何度もお話を伺っていますが、謙遜して自分では言ってくれません(笑)。
寺井氏:でも何度も言いますが、僕らがどれだけ一生懸命作っても、お客さんが喜んでくれないと成立しません。クリエイティブで大事なのは、そのことを忘れず、ファンの人たちに感謝をしなければいけない。僕らはファンの人に還元できるように、これからもみなさんが喜んでくださるような物作りをしていくしかないなと思っているです。


——『けものフレンズ』をヒットさせ、世の中に与えた影響について、寺井さんはなにか感じましたか?
寺井氏:いまはまだありませんが、たぶんこれから感じるんじゃないでしょうか? いまはMステに出演できて、世間が「ちょっとすごいな」と思うようになったくらいだと思います。今後、たつき監督にお仕事の依頼をいただけたりしたら、ようやく実感できるんだと思います。僕はアニメのことはよくわからないので、いまはそのくらいの感覚です。
もしも今後、どこかからお仕事をいただけたとしたら、感謝の気持ちを忘れずに「ありがとうございます」といただくと思う。そのときも福原とたつきが、やりたいことをやればいいと思う。お仕事が来なかったとしても、彼らにやりたいことがあるのであれば、僕はそのときに動きます。僕はアイツらが好きやからね(笑)。


——今後、どのような作品を作るのか、ファンも楽しみにしていると思います!
寺井氏:そうだったら、これほど嬉しいことはないですね。そのときのために、僕が福原とたつきに言い続けているのは、「応援してくれたファンの方に、なにでお返ししたらいいのか考え続けろ」ということです。『けもフレ』では、ほんまに暖かいファンの人が盛り上げてくれました。そういえば星野源さんも応援してくださったんですよね? ありがたいハナシですよ。

 

現在放送中の『ラブ米』は福原P主導のコンテンツ

——そして現在、ヤオヨロズが制作している『ラブ米』が放送中ですね。
寺井氏:僕のなかで『けものフレンズ』は「たつきを監督にしたい」と思って始めたこと、『ラブ米』は「福原が思ったことをやってくれ」というプロジェクトです。なので『ラブ米』の企画はすべて福原です。福原のクリエイティブに惚れ込んだ人たちがお金を出してくれてます。僕はいつものスタンスの、「手伝うことがあったらやるよ」という立場です。

——あえてお聞きします……。寺井さんは『ラブ米』で、どんなお手伝いをされましたか?
寺井氏:『けもフレ』のときと一緒や! 「会議に出といてください」とか!!

一同:(爆笑)

寺井氏:でもね、それでいいんです(笑)。あいつが作る作品だから、話の展開とかを相談されても逆に困りますからね。

——初めて『ラブ米』を聞いたとき、どう思いましたか?
寺井氏:『けもフレ』と違って設定があるから、『ラブ米』の方がわかりやすいじゃないですか? だから「おもしろそうだな」と思いました。立ち上げる前は、どうやって盛り上げるのかが気になりましたね。農林水産省に話を聞きに行ったり、おもろいことやっていて感心しますね。

 

アニメ制作のみならず声優事業も手がけるヤオヨロズ

——ヤオヨロズは声優事業にもチカラを入れていますが?
寺井氏:僕の本職は芸能プロダクションなんで、声優さんという職業にあまりふれることが無かったんです。それがあるとき、声優さんのアフレコを見学させてもらって、純粋に「すごいな!」と思えたんです。もちろん、役者やタレントがやるような舞台とかドラマとかはよく知っています。彼らは表情や身体の動き、声で感情を表現しているのに対して、声優さんは「声だけ」で魅力的に表現できるんですよ。こんなこと言ったら怒られると思いますが、「みんな上手やな!」と思ったんです。

それを目の当たりにして、僕も「声の上手な人の面倒をみたい」と思ったんです。それも何度も言ってますが、根底にあるのは「僕は人が好きだから」なんでしょうね。

——どのお話を聞いても、「人が好き」なのは切り離せないのですね!
寺井氏:そんな思いで、2年くらい前にウチの会社に声優セクションを作ったんです。当時は福原が知り合いとかフリーの声優さんに声をかけて、所属してもらいました。

 

ヤオヨロズが目指すのは「お客さんが喜んでくれる作品を作り続けること」

——寺井さんから見て、声優業界と芸能業界の違いはありますか?
寺井氏:そのふたつの業界を隔てる境界線は太いと思いますね。ですが、芸能とアニメ業界、両方を経験させてもらった僕から偉そうなことを言わせてもらうと、ヤオヨロズからなにか新しいカタチの声優さんが生まれてきたらいいなと思ってます。


——いろいろ業務を拡大しているので、数年後の「ヤオヨロズ」がどうなっているのか想像もつきません。
寺井氏:いろいろやらせていただいてますが、主軸はアニメです。福原とたつきがおもしろいアニメを作るのに、必要なモノを周りに置いてるだけです。僕はただ、アニメの周りをウロウロしてるだけです。いまヤオヨロズがやってる仕組みを作ったのは、すべて福原です。賢いのは福原。僕は言われるままに、「そうなんや? ほなやろかー」って動くだけ。僕がやってることを偉そうに言ってしまえば、「やりたい人がやりたいことを実現できる環境」を作るだけですね。


——今日インタビューをさせていただきまして、寺井さんは自分の考えや気持ちを相手に伝えるのがストレートで上手だと思いました。まるで『けもフレ』のサーバルちゃんのように。
寺井氏:あんなにかわいらしくないです(笑)。ただ、他の人よりもワンパクなだけなんじゃないかなと思います。18歳でつんく♂に出会えただけでも奇跡なのに、40歳を過ぎても楽しい仲間に出会えています。僕のイチバンの財産は、周りにいる仲間です。ホントに集まってくれたみんなには感謝しています。


——寺井さんが目的を達成するために、大切にしていることはなんでしょうか?
寺井氏:結果が出たときに「この人たちと一緒だったからよかったな」と思える仲間ですね。そうでなければ、儲かる仕事もやりません。これは福原にも言ってます。初めは儲かるかどうかわからなくても、気持ちの通じ合ってる仲間との仕事は、結果的にお金につながっているのかなと。


——これからヤオヨロズが目指すことはなんでしょうか?
寺井氏:ファンから「おまらわかってくれてるよな!」と思われるようなクリエイティブを提供し続けること。これは忘れてはいけません。なので『けもフレ』のように、お客さんに喜んでもらえてヒットできたのはすごく嬉しいですし、ありがたいですね。仮に『けもフレ』がヒットしていなかったとしても、我々がやることは同じです。ずっと仲間が楽しいと思っているモノを作り、それを喜んでくれたファンに感謝する。

僕は福原にいつも「調子に乗るなよ、これはお客さんのチカラやで?」と言っています。アニメを作ったたつき監督も、彼の面倒を見た福原も、お金を集めてきた僕も、ある意味では「偉い」のかもしれない。でも、なにが本当に偉いのかを考えたら、イチバン偉いのは応援してくれた「お客さん」です。エンタメ業界で働かせていただいている僕らは、それを忘れてはいけないと思っています。

[取材・文/佐藤ポン]

 
ヤオヨロズ

(C)けものフレンズプロジェクト
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