2017/7/25 21:30

影山ヒロノブさんがデビュー40周年! 記念のオリジナルアルバム『A.O.R』発売を前に、LAZYからJAM Projectまで40年間の音楽人生を語り明かす!

 高校生でプロデビューしたロックバンド「LAZY」の大人気ボーカリストから、アニソンシンガーに転身し、「アニソン界のプリンス」として大活躍。その後の日本アニメの世界的人気を受けて、今や世界中にファンを持つという激動の音楽人生を歩んだ影山ヒロノブさんが、今年でデビュー40周年を迎えました。

 その記念すべき年に、LAZYがデビューした7月25日に合わせて、デビュー40周年記念オリジナルアルバム『A.O.R』を発売。そこでアルバムのお話も伺いつつ、影山さんに40年間の音楽人生を語っていただきました!

●影山ヒロノブ(かげやま ひろのぶ)
2月18日生まれ。大阪府出身。血液型A型。1977年、ロックバンド「LAZY(レイジー)」のボーカル“ミッシェル”としてデビュー。1985年、日本コロムビア移籍後にアニメ・特撮ソングに出会い、『電撃戦隊チェンジマン』『宇宙船サジタリウス』と名番組の主題歌を担当した。その後も『ドラゴンボールZ』主題歌「CHA-LA HEAD-CHA-LA」や『聖闘士星矢』主題歌「ソルジャードリーム~聖闘士神話」で、日本のアニソン界を代表する地位を確立した。現在では作詞、作曲、編曲、プロデュースをこなすアニソンアーティストとして、数々のプロジェクトに参加。2000年にはJAM Projectを結成。

今年のLAZYライブでは「赤頭巾ちゃん」の復活があるのか!?
――まずは40周年を迎えての想いからお願いします。

影山ヒロノブさん(以下、影山):何より、今も現役でやれていることがラッキーだなと思いますね。しかも歌う仕事だけでなく、JAM Projectとかで新しい何かを作る仕事などもあるので。ファンにも「本当に長い間、ありがとう」と思うし、スタッフも、特にランティスの社長(井上俊次氏)とかがいてくれるから現役で行けるのかなとも思うので、一番大きいのは感謝の気持ちですね。

――いまだにLAZY以来の女性ファンが、がっつり付いていますよね。40年選手がゴロゴロいるという。

影山:みんなもう、めっちゃいい歳になっていると思いますよ(笑)。

――高校時代にLAZYとしてプロデビューされたわけですが、一生ミュージシャンというような意気込みだったのでしょうか?

影山:当然、一生やりたいとは思っていたんですけど、そんなに深く考えていなかったかな。

――同じ頃にデビューした方たちを見渡すと、現在も現役というのはかなり少ないのでは?

影山:ビッグになった人たち以外は、けっこういなくなったんじゃないですかね。この間、かまやつひろしさんのお別れ会にランティスの社長と2人で行ったんだけど、Charがいたんですよ。Charはほぼ同期なんです。『ぎんざNOW!』のレギュラーが最初で、俺たちが金曜日、Charは水曜日とかだったのね。それで挨拶に行ったら「ん?」っていう顔をしてたから、「LAZYのミッシェルとポッキーです」って言ったら「うぉぉ~~~!!」ってすごい驚かれて、「元気でやってんだ!」ってすごく喜んでくれましたね。

――戦友との久々の再会ですね。LAZYの想い出というと?

影山:きっちり二十歳のときに解散したので、十代の頃の自分たちの、プロとしてのスタートの場だったと思いますね。自分たちの考えも甘かったけど、若者なりのパワーもあったし、ある程度は自由にやらせてもらったし。俺たち大学とか行ってないから、いろんな意味でLAZYが大学と同じようなものだったかな。自分たちがそこから先、何をすればいいか模索した時期って感じじゃないですかね。

――1981年に解散、1998年に再結成してからは、ずっと活動が続いていますね。

影山:3人になってしまいましたけど、今年また新譜を出して、年末にコンサートをやるっていうことだけ決まっているんですよ。二十歳のときに解散したのは、求めているものが違う人たちは認められないってみんなが思っていたからなんです。でも、37歳くらいで再結成したときは、自分と違うことを求めている人とも一緒にできる人間になったから集まれたんです。今はそれがもっとゆったりしてきているから。

 あの当時、片やヘビーメタルガチガチのラウドネス、片や俺とか井上君は一番ポップなほうに分かれたんだけど、いま高崎(晃)君が「今回のコンサートのタイトル、こんなふうにしたいんだけど」って挙げてくれるメールはすごくポップだからね。「ラウドネスではできないことがやりたいから」って言ってくれるのが、各自が年月を経て成長したっていうことかなと思いますよね。

――それでも「赤頭巾ちゃん御用心」はやらないんですよね。

影山:いや、それがこの間1回「どうする?」って高崎君が。

――ええっ、そこまで変わりましたか!?

影山:まぁやらないかもしれないけど、だいぶ許容範囲が増えてきていると思う。

『電撃戦隊チェンジマン』で仕事運がチェンジ! そして「アニソン界のプリンス」に!
――40年の活動の中で、一番きつかった時期となると、ソロになってしばらくした辺りでしょうか?

影山:そうですね。二十歳でソロになって、アニソンが24か25歳くらいからだから、その4年間くらいが経済的にも精神的にも大変でしたね。

――そうなると、アニソンで救われた部分もありましたか? 『電撃戦隊チェンジマン』は人生をチェンジさせるくらいの勢いがあったと思いますが。

影山:そうですね。1981年に解散してからの4年間は、ソロがダメだからレコード会社を移籍して、移籍した先でもダメで、っていうような状態で。それでも、当時所属していたバースデーソングの山岸(達治氏。代表取締役)さんが、「とにかく影山、ライブだけはやろう」っていうことで、毎年120本とか、多い年で150本とかをやっていたんですよ。その中で、自分ではソロになったときよりもかなり曲も作れるようになってきたし、歌もすごく良くなってきたと思えるんだけど、世間は全然振り向いてくれなかったんです。

 ファンも、もう去っちゃったファンは戻ってこないし。そんな頃に、コロムビアの学芸部の木村(英俊)さんが「来年のスーパー戦隊シリーズの歌を歌ってくれ」って言ってくれたときは、山岸も俺もめっちゃ嬉しかったですよ。逆にコロムビアのディレクターの人が「子供向けだから、影山君のアーティスト活動の邪魔になると悪いから、名前を『KAGE』にしてもいいよ」って提案するくらい気を使ってくれて。

 その当時の学芸部のディレクターの人にとっては、シンガーはシンガーであればいいわけで、スターになる人であろうが何だろうが関係なく、とにかくどんどん作っていた時代なんですよ。だから「影山ヒロノブでもKAGEでも、うちは構わないですよ」くらいなノリで。ただ、木村さんが「さすがにアニソンもロックシンガーを使わなきゃダメだから、影山君に頼んだ」って言ってくれたのは嬉しかったですね。

――聴き手側にとっても革命でした。アニソンの世界が変わるくらいの衝撃で、まさにKAGEはアニソンをチェンジさせたチェンジマンだったんです。

影山:うまいっ!(笑)

――アニソンを歌い始めて、いつ頃から風向きが変わったと感じ始めましたか? 仕事がどんどん来るようになったとか。

影山:いやもう『チェンジマン』からすぐですね。今はスーパー戦隊もOPとEDでシンガーが違うし、アルバムとかもいろんな人が歌っていると思うんですよ。でもこの頃ってOP・EDは一緒の人だし、アルバムも10何曲中、10曲くらいは俺が歌うくらいの感じだから、いきなりレコーディングが増えましたね。

 また当時、コロムビアの学芸部ってディレクターが4、5人いたんだけど、俺を使った木村さんが「影山君、けっこうロックだからいいよ」って言ってくれたおかげで、社内のほかのディレクターも「じゃあ自分のアニメも」とか言って、すぐに『宇宙船サジタリウス』の仕事が来たりとか、『トランスフォーマー ザ☆ヘッドマスターズ』が来たりとか、『チェンジマン』が流れている間にコロムビアだけですごくレコーディングの機会が増えてきたんですよ。

 最初はコロムビアのディレクターも「まぁ1回限りの仕事かもしれないけど、お金にもなるし、そんな悪いものじゃないから」くらいな感じだったのに、それまで4年間ほとんどなかったメジャーのレコード会社でのレコーディングを、コンスタントにできるようになったんです。本当にチェンジマンしましたね(笑)。

――1990年代に入ると、渋谷エッグマンで頻繁に行っていたライブが回を重ねるごとにどんどん人が増え、ついにキャパシティの限界を超えて渋谷ON AIR WESTに場所を移し、さらに盛り上がっていった流れがあります。ステージ上からは客席の熱狂の高まりを、どのように見ていたのでしょうか?

影山:どこかのタイミングでアニソンメインに切り替えたんですよ。それは堀江(美都子)さんが1回コンサートに遊びに来てくれたときに、「影ちゃん、もっとアニソンやればいいのに。絶対に影ちゃんにとって損なことはないから。オリジナルをやりたかったら、コンサートの中にアニソンを入れるんじゃなくて、アニソンコンサートの中にオリジナルをちょっと入れるくらいの感じでやればいい」って言われたんです。

 それを聞いて、自分もそのほうがもっと良くなるような気がしたし、バンド(BROADWAY)も一緒に「じゃあそうしよう」って。ちょうど『聖闘士星矢』のアルバムとかを、うちのバンドでやらせてもらっていたりもしたので、みんなでアニソン中心に切り替えていったら、エッグマンがどんどんお客さんで溢れていって、ON AIR WESTに移って、さらにON AIR EASTに行ってみたいな感じになったんです。だから堀江さんの一言にはすごい感謝してますよね。

――やがて「アニソン界のプリンス」として縦横無尽の活躍を繰り広げる中で、1995年の「鬼神童子ZENKI」(『鬼神童子ZENKI』OP)、1997年の「GET THE WORLD」(『爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP』OP)辺りはもう、影山さんの天下だなという印象でした。1990年代は“影山ヒロノブの時代”だったと思います。

影山:俺はシンガーだったから、一番表に出るんだけど、本当は作曲家のつのごうじの功績が大きいんですよ。つの君が書くときは「絶対影ちゃん!」って言ってくれていたおかげですね。今はもう仕事をしなくなっちゃったんだけど、つの君が一番輝いていた、すごくいい曲を書けていた時代で、「鬼神童子ZENKI」とかって完成度がめっちゃ高いと思うんですよ。アニソンに必要なものをすべて兼ね備えている感じで。

 90年代は「CHA-LA HEAD-CHA-LA」のようなビッグヒットはなかったんだけど、自分たちのチームとしての完成度をすごく上げていけた期間だと思うんですよね。アメリカでアニソンのレコーディングをしたのも「鬼神童子ZENKI」や「GET THE WORLD」だったし、何をやってもうまく行った感じがありましたね。一番レコーディングしたのは90年代かも。

アニソンをやらないっていうのはもう絶対許されない!
――影山さんの歌の真骨頂は、やはりライブで聴くことだと思います。これまでものすごい数のライブをされてきた中で、想い出のライブというと何がありますか?

影山:CDにもなったON AIR WESTのライブ(『POWER LIVE'95 CYVOX ~COMPLETE VERSION~』1995年9月30日発売)とかはすごく憶えていますね。最初のWESTの頃って、遠ちゃん(遠藤正明)がコーラスやってくれていたかも。遠ちゃんがソロでアニソンを歌い始めるチョイ前くらいは、コーラスをやってくれていたんですよ。あの頃のすごく充実していたライブの感覚は、今でも残っていますね。

――個人的には「AJF2007“冬の陣”」で、「鳥人戦隊ジェットマン」のイントロに乗って勢い良く飛び出してきて、マイクのコードを踏んで滑ってステージから落ちてきたのは衝撃的でした。関連記事

影山:コードを踏んだところまで知ってるんだ(笑)。

――ちょうど撮影していた場所に落ちてきましたから(笑)。

影山:俺も後頭部から落ちると思った。でも全然痛くなくて、なのにスタッフに大慌てで助け起こされて「痛くないから、恥ずかしいからやめてくれよ~」とか思っていたんだけど、抱きかかえられるようにステージに戻されてさ。そうしたらバンドのヤツらがクスクス笑っていたのが超腹立った(笑)。

――目の前で一部始終を見ていましたが、さすがにあのときは写真を撮るのは自重しました(笑)。名実ともにアニソンシンガーと考え始めたのは、いつ頃からでしたか? ここまで来たら、もうアニソンからは逃げられないというか。

影山:やっぱり「CHA-LA HEAD-CHA-LA」からちょっと経ったくらいかな。ほかに何をやるのも自由だけど、アニソンをやらないっていうのはもう絶対許されないことだと思いましたね。

――2000年から始まったJAM Projectも、ソロシンガーからユニットでの曲作りへと次第に活動内容が変わっていく、大きな転機になったと思います。

影山:最初にJAM Project的なことをやろうって言ったプロデューサーがいたんです。アメリカの往年のロックスターの子供たちがみんな『ドラゴンボール』とか『ポケモン』とか大好きだから、「アメリカに行って往年のロックスターたちにバックをやってもらって、フェスを廻りましょうよ」って言ったヤツがいたんですよ。

 結局その人は離れたんだけど、それ面白いなって言って一番一所懸命やってくれたのが、ランティスの社長の井上君なんです。だけど、それと同時に井上君とか、メンバーのアニキ(水木一郎)とか俺の心の中では、もっとアニメソングを世の中に定着させたいと強く思っていたんですよ。特に井上君なんて、アニメソングの会社じゃないですか。

 あの当時、レコード会社がアニソンを枠として持っていって、バンドの最新作を脈略もなく入れるようなタイアップがどんどん増えていったけど、全部がそうなったら嫌でしょっていうことを宣言するユニットにしようぜってことで、名前もみんなで決めてJAM Projectにしたんです。そこに『スパロボ』のプロデューサーたちみたいな、自分が作る作品の主題歌はアニソンじゃなきゃ嫌だと考える人たちが同調して、「アニソンはアニソンとして作られるべきだ」という主張の象徴にJAM Projectがなっていったんですよ。

――タイアップの隆盛によって、アニソンシンガーの仕事が奪われ始めていた時代に、アニソン宣言をしたJAM Projectは非常に頼もしく感じました。またJAM Projectを見ていると、影山さんにとっても理想的なユニットをついに手に入れたような気がするのですが。

影山:今のメンバーになってから、JAM Projectで音楽を作るのがすごく楽しくなってきたんですよね。最近でも『ワンパンマン』(OP「THE HERO!! ~怒れる拳に火をつけろ~」)とかあったけど、自分たちにしかできないものを求められている気がして。普通のアニソンの作り方じゃ緩いから、もっとハードで衝動的な曲にしたいなと思ったんですけど、そういうことができるのがJAM Projectだと思うんですよね。いつも新しいことにチャレンジできるJAM Projectというものが、音楽を仕事にしている中で、自分にとって「めっちゃがんばれる場所」になりましたね。

――あのボーカルの音圧は、強烈なボーカリストを並べたJAM Projectでしか出せないと思います。それと同じ頃、タイアップと並んで声優が歌を歌う機会も増えてきましたね。

影山:ランティスは声優さんの音楽でもすごく成功した会社だと思うんですよ。活動をバックアップして、今はランティスの中のひとつの大きな柱になっていると思うんですよね。

――そうやって大きくなったがゆえに、アニソンシンガーの活躍は厳しくなったのでは?

影山:どうですかね。それよりも、アニソンの中でも得意、不得意で分かれていく時代が来ているっていうのはすごく感じたんですよ。それは、ALI PROJECTを武道館で初めて観たときに、「こんなのアニソンの世界でやっていいの!?」って思うような衝撃があって。すごいメイクした(宝野)アリカちゃんが、ポップアップで煙の中から出てきたんです。そして後ろでは2メートルくらいあるドラァグクイーンの人たちが踊り狂っていたんですよ。それを観ていて、やっぱりこれからはアニメの作品に合わせて、それが一番得意な人たちが音楽を作る時代が来てるなと思ったんです。

 たとえばゴシックロリータだったら、ALI PROJECTとかがやれば最高だし。そう考えたときに、JAM Projectもほかのヤツがやらないような音を作れるようにならなきゃダメだと思うきっかけになったんですよ。Revoさんたち(Linked Horizon)がやっていることも、音楽の作り方に彼ら独自のスタイルがあるじゃないですか。そこに『進撃の巨人』みたいな、中世ヨーロピアンのゴージャスさがマッチするような作品が合えば、大ヒットするわけですよ。

 アニソンシンガーは、どんな歌でも与えられたものを歌ったじゃないですか。でもそれだともう、クオリティがついていかないと思うんですよね。人は何でもかんでもできるものではないから、それぞれに合ったところで生きていくべきだと思うんです。だから声優さんが出てきて、アイドルが出てきて、アニソンシンガーの職場が減るとは思えなくて。たとえば『ワンパンマン』だと、どう考えたって声優さんが歌うより、遠藤が叫んだほうが破壊力が強いんですよ。そういうことを自分たちが生き残っていくときの一番の武器にしなきゃいけない。だから案外悪い時代ではないと、自分は思っています。“広く浅く”じゃなく、“狭く深く”をいろんな人がやって、その中のクオリティが高いヤツが生き残っていくのが一番自然だと思いますね。

デビュー40周年記念オリジナルアルバム『A.O.R』
――デビュー40周年記念オリジナルアルバム『A.O.R』を聴かせていただきました。8曲目の「She's trouble & I'm such a fool!」で一緒に歌っているのは遠藤さんですよね?

影山:そうです。

――ただ、5曲目の「おーりとーり」と9曲目の「Home ~僕の大切な人達へ~」は、一緒に歌っているのが誰かわからなかったんです。

影山:「おーりとーり」は、東京のセッションと石垣島のセッションが混ざっているんですよ。石垣島には林田健司っていう、SMAPの「青いイナズマ」とかを書いた作曲家が移住していて、かなり大物なんですけど、奥井(雅美)ちゃんに紹介されて友達になったんです。それで今回どうしても石垣島で一緒にやりたくて、この曲を作って一緒にやりました。

「Home ~僕の大切な人達へ~」のほうは、東京のセッションと奄美大島のセッションが重なっているんです。歌っているのは、いつも俺がアコギ(弾き語りライブ「影山ヒロノブ ソロアコギの旅」)で向こうに行ったときに前座をやってくれている、りょうへいっていうプロサーファーなんですよ。それともうひとつ、ちょっと深く長い話があって。奄美で出会った人が、うちのキーボードの須藤(賢一)君が大昔にやっていたバンドのボーカルだったんですよ。

 彼は造り酒屋の長男坊で、ミュージシャンとしてのたれ死ぬつもりで東京に来ていたんだけど、お父さんが倒れたときに呼び戻されて、ミュージシャンを諦めた人だったんです。それが今回偶然、そこの造り酒屋を見学しに行って、社長に挨拶して、話の中でそれがわかったときには寒気がしましたね。

 自分は幸運にも音楽を続けられて、たぶん一生こんな感じで行くと思うんですよ。でもその社長さんは、やりたいことを諦めて家を継いで、思うことは色々あると思うんですよね。だって一緒にやっていたバンドのチラシを社長室にずっと取っていて、「僕こういうのやってたんだよ」って見せてくれるような人なので。その気持ちが痛いほどわかるから、社長さんにもこの曲で歌ってもらったんです。一緒にやりたかったんですよね。

 最後のほうでロバート・プラントばりのシャウトをしているのが社長さんなんですけど、須藤君にピアノを弾いてもらって、さらにはBLAZEっていう当時のバンドのギタリストにギターを弾かせて、完成した曲なんです。心が感動したから、どうしてもやりたいと思って最後にもう1曲作った曲で、すごく大切な曲です。

――それは思い入れもひとしおですね。今回の『A.O.R』でやりたかったこととは?

影山:本当は、LAZYを解散した後にこういうことをやりたかったんです。でも当時はまだ、曲が書けない、詞が書けない。そうなると、自分がやりたい方向性をスタッフにも伝えられないじゃないですか。だから中途半端にAOR(オーディオ・オリエンテッド・ロック)っぽいことを人に与えてもらってやってみて、失敗しました。

 AIRBLANCA(活動期間1990~1991年)は、ちょっと自分たちでAOR的なことをやれるかもしれないと思って、井上君、僕、(田中)宏幸、あと今のBROADWAYのメンバー(松尾洋一、須藤賢一、岩田ガンタ康彦)で組んだバンドなんですけど、やっぱり曲作りのクオリティも、詞もアレンジも、まだちょっと中途半端だったんですね。それを世の中に伝える術もなかったし。

 そこからまた長い年月を経て、自分たちがLAZYを解散した後に見たかった希望のスタイルを、やっと実現できたのがこのアルバムって感じです。LAZYを解散したときは、ヘビーメタルをやりたいヤツと、ヘビーメタルは無理だと思っているヤツの2つに分かれたんです。本当は3つに分かれたんだけど、俺とネバーランドというバンドはそんなに音楽的に違うわけではなかったんです。高崎たちが求めた音楽って、キーボードもいないし、ボーカルも超ハイトーンのメタルスタイルだったから、「俺はこれ以上は無理だよ」って思っていました。

 あの当時、俺とか井上君が「こういうのが一番カッコイイよね!」って思ったのがAORムーブメントで、TOTOっていうバンドだったりとか、デイヴィッド・フォスターが作るような「ロックなのに、こんなにハーモニーとかコーラスとかもちゃんとしていて、みんなめっちゃ上手い!」っていう当時のAORムーブメントのスタイルが、「こんなふうにやりたい!」って望むものだったんですね。

――アルバムタイトルの『A.O.R』は、その音楽ジャンルのAORから取っているのでしょうか?

影山:これは2つあって、ひとつはやりたかった音楽のスタイルがAORだったということ。もうひとつは自分の人生とリンクさせるために、「Always On the Road」という意味をつけてあります。これは「いつもツアーやってるぜ!」という意味です。

――このジャケットのギターは?

影山:これはね、いつも行く下北沢のバーのテーブルの下に、何年間もほったらかしになっていたギターです(笑)。「なにこれ、こんなところにストラトあるじゃーん!」みたいに引っ張り出して、汚れてたのを拭いて、面白いから「これ俺、借りパクしてっていい?」って聞いたら、持ち主の人が「ぜひ!」って言ってくれて。楽器屋さんで綺麗にしてもらって、自分のステッカー貼って、今回の撮影に使いました。

――ロケーションも綺麗ですが、千葉なんですか?

影山:失礼ですね。これは茨城です!

――失礼しました!(笑)

影山:鹿島です。鹿島スタジアムから車で10分くらい。ほんとすごいですよ。冗談みたいにすごい建物が建ってますから。

――この白壁の感じとか、地中海ですよ。ギリシャとかで見かけるような。

影山:ここの駐車スペースにも、白い貝殻が敷き詰めてあるんですよ。どうしたのって聞いたら、家族で毎日浜から貝殻を拾ってきて、根気よく撒いてるんだって。いやもう住みたくなるくらい素敵でしたよ。

――影山さんの撮影なのに、こんなにいい天気だし。

影山:あははっ!

――今後の活動を教えてください。

影山:ソロとしては40周年記念コンサートの「40 Year's On the Road」があります。まだ決定ではないんですけど、今回のアルバムから始まって、アニソンに行って、最後はLAZYで締めるような、自分の音楽人生を遡っていくような構成にしたいなと思っているんです。

 JAM Projectでも『TOKYO DIVE』っていうアルバムを出して、秋からツアーです。海外もけっこう行きます。タイアップも色々決まっているんだけど、まだ言えないかな。

――最後に、LAZY以来の最古参ファン、アニソン界のプリンス当時の熱狂的ファン、JAM Project以降の比較的新しいファンという3世代に向けて、メッセージをお願いします。

影山:LAZYのファンにはいつも感謝しています。特に一番苦しかった頃、地方のライブハウスを廻ってもお客さんがあんまり来なかった中でも、本当にいつも来てくれたのはLAZYのファンなんですよ。あの人たちがどれだけ救いになったかというのを、自分は忘れることはないと思います。今回も一緒にお祝いしたい一番の人たちは、LAZYファンです。女の子たちも50代とかになってきたんですけど、ずっと女の子だと思っています。

 次に、アニソン界のプリンスと呼ばれた、自分の音楽人生の中でもど真ん中にある世代の人たちへ。俺もアニソンを歌って32年くらいになるんですよ。だから自分の人生はほとんどアニソンと一緒にあったんだなと改めて思いますね。ただ、圧倒的に曲が多いので、コンサートでもそれをどこまで絞っていいのか悩んでいるんですけど、自分の人生の一番太いところをズバッと決めてくれたアニソンの世界と、応援してくれたみんなには感謝しています。

 最後にJAM Project以降で知り合った、もう一世代若い人たちへ。アニソンのファンも今はすごいパワフルだし、ある意味ロックしてると思うんですよ。JAM Projectのステージから見ていても、本当に楽しんでくれているのがわかって、若ければ若いほど、いろんなものに対する楽しみ方も上手になっているのかなって思いますね。それに自分のお父さんくらいの歳の俺なんかを支持してくれるのは、本当にありがたいことですよ。JAM Projectはいろんなことに挑戦していくし、あと10年、いやもっと、できるところまでやりたいと思っています。これからも楽しみにしてほしいですね。

[取材・文/設楽英一]

CD・ライブ情報
デビュー40周年記念オリジナルアルバム
影山ヒロノブ「A.O.R」

発売日:2017年7月25日(火)
品番:LACA-15660
価格:3,000円(税抜)
発売元:株式会社ランティス
販売元:バンダイビジュアル株式会社

01.Beginning
 Lyrics:影山ヒロノブ Serena Lee music:影山ヒロノブ
 Arranged by:David Foster
02. 甘く危険な夜に
 Lyrics:影山ヒロノブ music:松尾洋一
 Arrangement:Broadway Main arrange&Programming 須藤賢一
03.Mr.Travellin’Man
 Lyrics:影山ヒロノブ RiXIA music:影山ヒロノブ
 Arrangement:Broadway Main arrange&Programming 松尾洋一
04.Chase the real
 Lyrics:影山ヒロノブ music:影山ヒロノブ
 Arrangement&All Instrument:中土智博
05. おーりとーり
 Lyrics:影山ヒロノブ music:影山ヒロノブ
 Arrangement:中土智博
06. ハッピーアイスクリーム
 Lyrics:影山ヒロノブ music:影山ヒロノブ
 Arrangement:黒須克彦 
07.Life without you
 Lyrics:森由里子 music:影山ヒロノブ
 Arrangement:Broadway Main arrange&Programming 村上聖
08.She's trouble and I'm such a fool!
 Lyrics:影山ヒロノブ music:影山ヒロノブ 
  Arrangement:Broadway  Main arrange&Programming 松尾洋一
09.Home ~僕の大切な人達へ~
 Lyrics:せれな りょうへい かげあに music:りょうへい かげあに
 Arrangement:栗山善親
10.White wedding
 Lyrics:影山ヒロノブ RiXIA music:影山ヒロノブ
 Arrangement:寺田志保
11.Stellar Compass
 Lyrics:影山ヒロノブ Serena Lee music:服部隆之 影山ヒロノブ

影山ヒロノブ デビュー40周年記念ライブ
「40 Year's On the Road」

日時:2017年9月1日(金) 開場18:00/開演18:30
場所:大阪・なんばHatch

日時:2017年9月3日(日) 開場16:30/開演17:30
場所:東京・なかのZERO 大ホール

チケット料金:全席指定 7,020 円(税込)
※大阪公演のみ別途ドリンク代必要 ※未就学児入場不可

~影山ヒロノブデビュー40周年記念LINE LIVE~「影生ヒロノブ」
2017年、デビュー40周年を迎える影山ヒロノブのLINE LIVE が毎月1回放送中!
ゲストを交えてのトークコーナーや、アコースティックでのアニソンカバーライブコーナーなどを生放送にてお届け!
さらに、生演奏をしたアニソンカバー楽曲は翌月から配信リリース!

<通常配信>iTunes Store / animelo mix / mora / music.jp / レコチョク/ オリコンミュージックストア他
<ハイレゾ>e-onkyo music / groovers / mora / music.jp / レコチョク ※ハイレゾ音源は96kHz/24bit にて配信。

JAM Project オリジナルアルバム「TOKYO DIVE」
発売日:2017年10月18日(水)
品番:LACA-15670
価格:3,000円(税抜)

JAM Project JAPAN TOUR 2017~2018 TOKYO DIVE
2017年11月2日(木) 神奈川・川崎市スポーツ 文化総合センター
2017年11月5日(日) 大阪・グランキューブ大阪
2017年11月23日(木・祝) 宮城・トークネットホール仙台(仙台市民会館)
2017年11月25日(土) 北海道・Zepp Sapporo
2018年1月6日(土) 大阪・岸和田市立浪切ホール
2018年1月13日(土) 埼玉・クレアこうのす
2018年1月14日(日) 静岡・三島市民文化会館
2018年1月21日(日) 福岡・福岡国際会議場
2018年2月3日(土) 沖縄・ミュージックタウン音市場
2018年2月11日(日) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
2018年2月17日(土) 東京・日本武道館

JAM Project「Motto! Motto!!App」
<App Store>
<Google Play>
【JAM Project アプリ特設サイト】

LAZY 40th Anniversary Special Live Slow and Steady
supported by Rock Beats Cance

待望のフルライブ決定!

2017年12月17日(日) 大阪・なんばHatch
OPEN 17:00 / START 18:00
<問> ソーゴー大阪 06-6344-3326(平日11:00~19:00)

2017年12月27日(水) 東京・EX THEATER 六本木
OPEN 18:00 / START 19:00
<問> クリエイティブマン 03-3499-6669 (平日12:00~18:00)

《TICKETS (2公演共通)》
指定席¥8,000(税別/1ドリンク代別途必要)/ プレミアムシート¥10,000(税別/記念品付/1ドリンク代別途必要)

<チケット先行>
8月8日より、SOLIVOXL会員 / LOUDNESSオフィシャルサイト 先行受付スタート!

LAZY 今秋、新曲発表予定!

>>影山ヒロノブ オフィシャルサイト
>>JAM Project オフィシャルサイト
>>LAZY オフィシャルサイト



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