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『重神機パンドーラ』前野智昭さん×梅原裕一郎さん対談#2

『重神機パンドーラ』放送開始記念!前野智昭さん×梅原裕一郎さん対談【河森正治監督作品の魅力に迫る #2】

河森正治総監督の最新作『重神機パンドーラ』(以下、パンドーラ)が、TOKYO MXほかにて絶賛放送中!

アニメイトタイムズでは、『パンドーラ』の魅力に迫るべく、レオン・ラウ役の前野智昭さんとジェイ・ユン役の梅原裕一郎さんに作品にちなんだ高級中華料理とお酒を楽しんでいただきながらインタビューする企画記事が掲載中です。

今回は連載第2回。料理に箸が進むたびに深くなっていく話題はついに河森監督の魅力について。お二人からはどんなお話が飛び出すのでしょうか? 改めて、今回の連載のテーマをご紹介していきましょう。

【1】『重神機パンドーラ』との出会いについて
【2】河森正治総監督作品の魅力について
【3】収録現場でのエピソードや声優として仕事に向き合う姿勢

河森監督の人となりや『パンドーラ』が作品として伝えるメッセージに迫ります。

↓第1回はこちらから!
●『重神機パンドーラ』前野智昭さん×梅原裕一郎さん対談【オーディション裏話に迫る! #1】

触っただけで吹き飛ばされた!?

■□■ 3品目すっぽんと薬味のスープ ■□■

――すっぽんは精がつきそうですね。

前野智昭さん(以下、前野):この肉、鶏肉みたいな味がするね?

梅原裕一郎さん(以下、梅原):それは鶏肉じゃないですか?

前野:こっちがすっぽんか(笑)! コンソメベースですごく飲みやすいね。

梅原:言葉で表現するのが難しい味ですね。

前野:間違いなく美味しいんですけど、説明が難しい(笑)。

――食べながらで結構なのですが、今回『パンドーラ』の総監督を務める河森監督ってどんな方なんですか?

梅原:不思議な方ですよね。

前野:そうだね~。

梅原:すごく柔らかい雰囲気を持った方なんです。以前、忘年会でご一緒させていただいた時に、これまでに行った海外の話を聞かせていただきました。例えば、武術の達人に会った話とか。中には「本当ですか!?」と思うようなお話もあったりするんですが(笑)。

前野:中国とかインドに特に詳しいよね。

梅原:そうですね。お話もすごく面白かったんですけど、それを淡々と話される河森監督が一番不思議で(笑)。河森さんがご経験されてきたことが作品の中に反映されている印象がありました。

さっきの武術の達人に会ったお話も、『パンドーラ』の中だと、クイニー(クイニー・ヨウ、CV花澤香菜さん)が武術の達人だったりしますし。本当に僕には想像できないような経験をされて、その経験が作品の中で活きているんだなって。

前野:すごくアクティブな方だよね。時間があれば取材も兼ねて一人旅に出るみたいだよ。

30年前にお一人で中国に旅行に行った時に舗装されていなかった道が、つい最近行ってみたらキレイな街並みになっていたみたいで。ここからインスピレーションを受けたというお話もありました。

これって『パンドーラ』のテーマである「進化」に通じるお話ですよね。色々なことを考えていて、常人には思いつかないような切り口で作品に投影しているというか。類まれな能力をお持ちの方という印象ですね。

後は……ダンディですね。

――ダンディですか。

前野:すごくダンディですね。格好いいです。ただ、カメラが回るとやっぱり緊張されるみたいで。すごく可愛らしい一面もあるというか。

今日、河森監督と東山さん(クロエ・ラウ役・東山奈央さん)とTwitter用の動画撮影をした時に、すごくコメントは上手だし自然体に見えるんですが、終わった後の安堵した表情が印象的でした。偉人の河森監督でも緊張されるんだなって。

河森監督って本当に僕たちと同じ目線で話してくださるんですよ。分からないことがあれば聞きに行ったら優しく教えてくださいますし。すごく気さくで素敵な方ですよ。

――アフレコ中の河森監督はどのような印象ですか?

前野:とても真剣な表情で台本と向き合っていますね。根元さん(シリーズ構成・根元歳三)や佐藤監督(佐藤英一監督)と念入りにミーティングしています。

――河森監督とお仕事をしていて印象に残っているエピソードはありますか?

前野:アフレコ中は濱野さん(音響監督・濱野高年さん)とのやり取りが多いので、河森監督とのやり取りは多くないんですよね。

梅原:そうですね。エピソードという意味だと、さっきお話した武術の達人の話が一番印象的なんです。河森監督が「触れられただけでふっ飛ばされた」って仰ってて。

前野:それは盛ってるんじゃ……(笑)。

梅原:そう思うじゃないですか? でも、河森監督が話しているのを聞くと「本当」なんだって思っちゃいますよ。

前野:説得力ある。

梅原:僕たちが着ているようなチャイナ服の人に触れられただけで、“上に飛んでいった”みたいですよ。

――“上”ですか?(笑)

梅原:横とか後ろじゃないんですよ。“上”に飛ばされたって言ってました(笑)。

前野:本当にー?(笑)

梅原:(笑)。それが陰陽論の達人だったみたいで。陰と陽を切り替えると力が与えられるみたいな。『パンドーラ』でも陰陽の話しは出てきますし。

前野:そうだね。

梅原:他にもインドで脈診をしている方にお会いして、昨日食べたものを当てられたとか。

前野:それはすごいね。どこまでが本当なんだろう(笑)。

梅原:そうなんですよ。こんなエピソードをたくさんお持ちなので、すごいなって思いますね。

――河森監督が中国やインドに強い興味を持ったのは、30代半ば頃だそうです。

前野:僕もいま丁度それくらいの年齢ですよね。僕も行きどきかな~。

“愛・おぼえてますか?”。思い出せるかもしれない。うん、行きどきかもしれない。

梅原:スケジュール大丈夫なんですか?(笑)

河森作品の魅力とは

――それでは、河森監督作品の魅力ってどんなところだと思いますか?

前野:まず、着眼点ですね。他の作品にはない切り口。後は、河森監督と言えばメカでしょう。『パンドーラ』でも、「MOEV(モーブ)」が登場しますし。造形がすごく美しいんですよ。

ただ、『パンドーラ』に関して言えば、この2つに加えて人間ドラマに焦点を強く当てている作品なんです。

それぞれのキャラクターの関係性がすごく素敵だと思いますね。レオンやダグ(ダグ・ホーバット、CV・津田健次郎さん)、クイニーは序盤で「よそ者」だって言われて歓迎されていないんですよ。

それが「B.R.A.I」という共通の敵と戦うために、止むを得ず共闘している内に信頼関係が生まれていく。それがゆくゆくは強い絆になっていくというか。

――レオンとクロエの家族契約にも注目したいところですが、『パンドーラ』は仲間や家族の絆がメインでラブストーリーではないというイメージですか?

前野:(ラブストーリーは)あんまりないよね?

梅原:そうですね。恋愛要素は多くない印象です。ちょっとした描写はありますけど。

前野:もしかしたら? みたいなシーンはあるけど。ラブシーンやラブロマンスはあまりないですね。レオンとクロエの関係性も家族愛という言葉が一番しっくり来ますし。

梅原:ジェイ自身もセシル(セシル・スー、CV・茅野愛衣)に自分を見てほしいという描写はありつつ、色んな思いを抱えていて。彼の中で今の最優先はネオ翔龍を守るために、「B.R.A.I」と戦っていくことなんですよ。

前野:もしもラブストーリーがあるのだとしたら、荒廃してしまった世界が落ち着いてからはじまるのかもしれませんね。

――これまでの河森監督作品は男女の三角関係が色濃く描かれていたのが、今回は家族愛になったと。今回は敵も「B.R.A.I」という存在ですし。

前野:野良犬が「B.R.A.I」となって襲ってくるような世界ですからね。

――ある意味で敵と通じ合うことはできない。『マクロス』や『アクエリオン』では敵と通じ合うシーンがありましたが、今回はそれよりもコミュニティ、仲間たちと通じ合うことを主軸に置いていると。

梅原:そうですね。最終的には「人間とは何か?」「進化とは何か?」という点に行き着くと河森監督は仰っているんです。今アフレコしているところは、ちょうどその核心に迫っているところで。

『パンドーラ』を最後まで見終わったら、こういった物事の本質について考える機会が生まれると思いますね。

――『パンドーラ』は非常に物事の本質に迫った作品になると。

前野:タイトル通り、「パンドラの箱」を開けてしまって、いいものが出るのか悪いものがでるのかということです。

配信されているPVにも「あの日、世界は進化してしまった」と出ていますよね。「進化」って、言葉だけ見ると前向きな言葉なのですが、それが長い目で見た時に本当にいい意味だけなのか? と言われると、そうではないこともありますし。

すごくメッセージ性が高い作品になっていると思います。

今でこそ、携帯電話も便利に進化しましたけど、例えば、昔好きな人の自宅に電話して、お父さんやお母さんが出ちゃうみたいなこともあったじゃないですか? そういったドキドキ感って、それはそれで大切なものだったと思うんですよ。

――確かにそうですね。受話器の前ですごく緊張して、実際に親御さんが出たら変な声が出たりとか。

前野:進化したことで失ったものもたくさんある。そういったことも河森監督は伝えようとしているのかもしれませんね。

■□■ 4品目 エビのとうがらし炒め ■□■

――これも前野さんスペシャルとして、唐辛子を多めにしています。

前野:まさに「B.R.A.I」でしょこれ!

梅原:そうですね。「B.R.A.I」。

前野:(一口食べる)あー! 辛い! 山椒がきいてるね。

梅原:香辛料がすごいですね。舌がすごいピリピリする。

あ、そういえば、こういった回転テーブルって中華料理店に普及してますけど、日本発祥なんですよ。

――中国発じゃないんですね!(東京の総合結婚式場・目黒雅叙園にて誕生)。激辛料理で身体が暖まったところで、河森監督の過去作品でお二人が特に好きな作品について聞かせてください。

前野:河森監督作品で20代の男性が主人公になってるのは『マクロスプラス』以来なんです。元々、僕は『マクロスプラス』のイサム・ダイソンが好きだったのですごく嬉しかったな。そういった意味でも僕は『マクロスプラス』が好きです。

そういった背景があるので、レオンが敵にパンチをするときは「ピンポイントバリアパンチ」のつもりでやってます(笑)。

――ミュン(ミュン・ファン・ローン、CV・深見梨加さん)を救出に行くぞと(笑)。

前野:そうです、そうです!(笑) ガルドを演じていた石塚運昇さん(ケイン・イブラヒーム・ハサン役)も現場にいらっしゃいますしね。

――それは素敵なめぐり合わせですね。個人的には『マクロス7』が好きです。

前野:熱気バサラですよね。「突撃ラブハード」とかすごくいい曲ですし、名作ですよね。

梅原:僕は『マクロスF』が好きですね。河森作品イコール「歌」というイメージがありました。

今回は歌も無ければ恋愛要素も薄い。また違った感じなんだろうなって思いますね。

――ちなみに今回、「合体」はありますか?

前野:直接的なものはないですね。ただ、近い描写はあるとだけお伝えしておきます(笑)。

――「MOVE」が変形するというのは、PVでも明かされていましたね。

前野:河森監督のメカはとにかくすごいですよ。パーツの可変とか特に。どうやったらそのアイデアが出るんだろうって、いつも思いますよね。流れるような美しい変形だなって。

あとは、劣勢からの逆転勝利という展開ですよ。僕はそういった王道のお話が好きなので、そういった意味でも目を離さずに見ていただきたいです。

――梅原さんが『パンドーラ』で注目して欲しい点はどんなところでしょう。

梅原:量子力学や哲学に関係してくる物語なので、見ていて難しいところもあると思うんですよね。河森監督ご自身の経験されたお話のように、「なんだか良く分からないけどすごい」とか「言葉で説明できないんだけど伝わってくる」みたいなところは色濃く描かれていると思います。

そういった人の想像を超えたところでも、「リアリティを感じる」というのは河森作品ならではというか、監督自身の生き様が出ているんでしょうね。

と、盛り上がってきたところで#2は終了。最終回は前野さん、梅原さんの役者としての「生き方」や『パンドーラ』の世界が進化するタイミングである2031年にどんな声優になっているか? など、2人の「進化」について迫ります。

[取材・文/川野優希 写真/アイザワヒロアキ]

作品情報


TVアニメ「重神機パンドーラ」

<放送・配信情報>
2018年4月4日より
TOKYO MXに毎週水曜23:30~

4月6日より
WOWOWにて毎週金曜21:30~

4月6日より
BS11にて毎週金曜23:30~

4月7日よりMBSにて
毎週土曜27:38~

2018年3月29日より
Netflix にて日本先行独占配信/全世界展開決定

<INTRODUCTION パンドーラ編>
2031 年、次世代エネルギーとして開発されていた量子リアクターの暴走事故「翔龍クライシス」により世界は激変した。突如、地下から広がったその閃光は都市ビル群を呑み込みながら大地を覆い尽くし、やがて生物、機械、植物を超越・融合した未知なる特異進化生物「B.R.A.I」が出現した。

7年後、翔龍は絶対防衛都市「ネオ翔龍」へと生まれ変わっていた。驚異的スピードで進化を遂げ人類を滅亡の危機に陥れたB.R.A.I に対抗する、人類最後の希望の砦である。運命に導かれネオ翔龍に集う、レオン、クロエ、クイニー、ダグ。彼らを防衛軍へと迎え入れる、セシル、ケイン、ジェイ、グレン。そして、人類の存亡をかけて戦う特殊部隊「パンドーラ」が誕生する。契約の時、希望は彼らに託された――

<STAFF>
原作:河森正治・サテライト
総監督:河森正治
監督:佐藤英一
シリーズ構成:根元歳三
キャラクター原案:江端里沙
キャラクターデザイン:安彦英二
重神機デザイン:河森正治
色彩設計:林可奈子
美術監督:伊藤聖
美術設定:青木智由紀、森岡賢一
撮影監督:久保田淳
編集:兼重涼子
CG ディレクター:後藤浩幸
CG スーパーバイザー:原田丈
重神機モデリング:小川朗広、渡邉健人、忽帥
モニターグラフィックス:影山慈郎
特殊効果:飯田彩佳
音響監督:濱野高年
音響効果:中島勝大
音響制作:マジックカプセル
音楽:得田真裕、眞鍋昭大
音楽制作:フライングドッグ、ワンミュージック
オープニング主題歌:BUMP OF CHICKEN「シリウス」(TOY'S FACTORY)
エンディング主題歌:BUMP OF CHICKEN「Spica」(TOY'S FACTORY)
挿入歌:西沢幸奏「Meteor」(フライングドッグ)
制作:サテライト

<声優>
レオン・ラウ:前野智昭
クイニー・ヨウ:花澤香菜
ダグ・ホーバット:津田健次郎
クロエ・ラウ:東山奈央
グレン・ディン:内田雄馬
ケイン・I・ハサン:石塚運昇
ジェイ・ユン:梅原裕一郎
セシル・スー:茅野愛衣
Mr.ゴールド:檜山修之
ジーク:中村悠一
ワン:近藤孝行
フォー:石川界人
ロン・ウー:石田彰
???:瀬戸麻沙美
???:能登麻美子

TVアニメ「重神機パンドーラ」公式サイト
TVアニメ「重神機パンドーラ」公式ツイッター(@unit_pandora)

(C)2017 Shoji Kawamori, Satelight / Xiamen Skyloong Media
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